ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~ 作:疾風海軍陸戦隊
異世界での初めての戦車試合。彼らにとっては久しぶりの実戦だ。
「・・・・で、どうします大佐?」
「とりあえずは指定された地点に向かうぞ。軍曹。エンジンの調子はどうだ?」
「ちょっと息をつくけど、大丈夫だよご機嫌に吠えているし、昨日私が徹夜して修理したんだから問題ない!」
と、スパナをくるくる指で回してて言う芽衣
「さすがは魔法使い・・・」
芽衣の言葉に加奈がそう呟く。ちなみに彼女の言う「魔法使い」とは芽衣の仇名だ。どんなに壊れたところでも彼女にかかれば著ちょいのちょいで直る。それどころか新品同様になることもあった
「あ、そう言えばこの学校の自動車部もすごかったよ」
「自動車部?この学校そんな部活があるのか?」
「うん。それでボロボロ状態だったあの学校の戦車を一夜にして直してたよ。大佐たちも見ただろ?」
「ああ・・・それにしても一夜でか・・・・うちの軍の整備部隊に欲しいぐらいだな」
「ですね」
「うぃ・・・・」
宮辺の言葉に皆が頷く。それはそうだろう戦車の修理は時間が掛かる。履帯だけでも数時間かかることがあるのだ。それを一夜。しかも数十年も放置された戦車をたったの一夜でレストアするなんてそれはかなり腕の立つ証拠。そんな腕の持ち主である自動車部を軍の整備部隊に欲しいと正直思う和人たちであった
そんな話をする中、他のチームはというと・・・・・
「何かお尻がぶるぶるする」
「音も凄いです」
「これがいいんですよぉ!!」
と、西住みほのAチームは戦車倉庫を出て目的地に向かっていたが武部と五十鈴はⅣ号の中での振動と騒音等と文句を言う。しかし秋山はそれが戦車の良いところなのだと言う。一方の一年チームは、
「分かった!前へ進むにはギアを一束に入れてアクセルを踏むんだって」
「ギアってどれ?」
とネットの口コミで戦車の操縦を調べていた。一方のバレー部チームは動かせてはいるが幾度も木などの障害物に衝突していた。
「ブロックされた!」
「バックトス」
「どうやるの!?」
「根性ぉ!!」
そして生徒会チームは、
「会長、快調に進んでいます」
「座布団一枚〜」
と河嶋が洒落のつもりは無かったのだろうが角谷はまたしても座布団一枚と言う。そして、歴女達は、
「どちらぜよぉ」
「フェスティーナレンテ」
分かれ道に差し掛かりどちらに行くか決めていたのだった。
そしてしばらくして和人の乗る「猛虎」以下、他のチームは集合地点につくことができた
「・・・・全車両到着まで20分ですか・・・・遅いですね」
「そう言うなかおり。相手は戦車を動かすのが初めてな素人たちだ。大目に見てやれ」
「そうですよ中尉。しかも戦車の操縦訓練もしたことがない学生がこの時間で来ただけでもすごいことですよ?」
かおりがため息交じりに言う中、和人と井崎がたしなめる。車の操縦と戦車の操縦はかなり違う。それを車も運転したことがない素人。しかも学生がこの時間帯で集合時間まで来れるのは異例のことだったからだ
「確かに・・・・なんでだろう?」
「ここが異世界だからでしょ?」
「うぃ・・・・・」
芽衣の言葉に結子と加奈がそう言うと無線から蝶野教官の声が聞こえた
『皆スタート地点に着いた様ね!ルールは簡単全ての車両を動かなくするだけ、つまりガンガン前進してバンバン撃って!やっつければいい訳。分かった!』
「「「「いや、ざっくりしすぎだろ!?」」」」
そして、蝶野は無線でルールを説明するが、流石に説明がシンプル過ぎる。そのことに和人たちは思わず突っ込んだ
「何?このドッチボール感覚な大雑把な説明・・・・・大丈夫なのか?」
「はぁ・・・・このことも含め、あの一尉とはゆっくり話さないといけませんね大佐」
「ああ・・・これはちょっといただけない」
かおりと和人は呆れた声でそう言う中、蝶野教官の話は続く
『戦車道は礼に始まって礼に終わるの、一同礼!』
と、声がした。なるほど。さすがは武道なだけはある。礼に始まり礼に終わる。これ見な武道通じるあいさつだ。無線越しにも他のチームの挨拶が聞こえた
そして俺たちもそれに倣い挨拶をする
『それでは、試合開始!』
と全員が挨拶をして蝶野が試合開始の合図を出して試合開始だ。
「大佐、先のだれを狩ります?」
芽衣の言葉に地図を見ている。その地図は試合会場の地図であり、他のチームのいる集合地点が書かれたものだ
「(俺たちのいる場はここ・・・・そしてこの地点から近いのはⅣ号Aチームと八九式Bチームと三突Cチーム・・・・・ならばここは」
「まず、Ⅳ号Aチームと三突のCチームからだ。あれは厄介だからな」
「長砲身の三突はともかく、なぜAチームを?彼女の乗るⅣ号は24口径の短砲身じゃないの?」
「短砲身でも成形炸薬弾を撃たれたら危険だ。三突も素人は乗るとはいえ、試合会場は森を通るところがある至近距離で側面から撃たれたら五式と言えでも一たまりもない。脅威は早めに摘み取る必要がある」
「了解しました」
「中尉。砲弾の数は?」
「徹甲弾3発。榴弾2発・・・・それと徹甲榴弾3発に発煙弾2発・・・あ、あとタ弾が1発入ってます」
「実戦で使えるのは9発か・・・・それじゃあ乱戦は出来ないな・・・よし、狙撃で行くぞ」
「狙撃地点は?」
「ターゲットは必ず接敵し、戦うことになる。だが、狭い場所では戦わないはずだ。だとすると向かう場所は橋のあるこの付近。世っと俺たちも橋のところまで行くぞ。井崎少尉!目標!橋付近!戦車前進!!」
「了解!」
和人の指示で井崎は重戦車「猛虎」を動かす。森の中を走るその姿は猛獣というよりも太古の恐竜のようであった。
しばらく走ると
「少尉、橋まであと何分だ?」
「そうですね・・・・全速力で走ればあと1分半ってところね。あ、見えてきました」
井崎がそう言うと、目の前に目的の吊り橋が見えてきた
「少尉、あそこの林あたりに止まれ。待ち伏せして狙撃する」
「了解」
そう言い五式は橋の近くある林の中に隠れた。幸い林の中は薄暗いのと五式の迷彩のおかげか外からは見えにくい状態であった
「思ったより早く着いたね?」
「南方戦線のジャングルに比べれば。それに軍曹の整備のおかげです」
「よしなって、照れるじゃんか~♪」
て、照れくさそうに言う芽衣。そしてしばらくすると遠くから砲撃音が聞こえた
「どうやらおっぱじめたようね・・・・あの音からして・・・18口径57ミリ砲・・・・徹甲榴弾の音ね」
「よくわかるね中尉?あまり違いが分からないけど?」
「敵と味方の砲声をの違いを聞き分けるのが生き残るコツよ。今までそうだったでしょ?」
「そういえばそうだった・・・・」
かおりの言葉に芽衣は軽く頷くと、橋の向こうで何かが近づいているのが見えてきた
「見えた!先頭はⅣ号!その後ろに八九式と三突が追いかけてくるな・・・・かおり!徹甲弾装填!」
「了解!」
「立石は合図があるまで待て!」
「うぃ!」
そう言うのと同時にかおりは後部から徹甲弾を取り、素早く装填し、立石は照準眼鏡を除き、引き金に指をかける。その目は得物を狩る直前の猛獣のようだった
「まだ撃つな・・・・まだだ・・・・・・」
数とは双眼鏡で相手の様子を見て、まだ撃つなと指示を出す
「ん?」
「どうしたんです?大佐?」
和人の表情が変わったのを見たかおりは訊くと
「西住さんが戦車から降りた。恐らく橋を渡るため誘導するつもりだな。今撃つと命中した時の破片とかで巻き込んでしまう。砲撃は少し待て」
「・・・・了解」
そう言い和人たちは様子を見ることになった。