ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「悲しいときはいつも」
日本の幻の戦車・・・・・その名を聞いたとき、戦車好きの人たちは四式、五式中戦車を思い浮かべるであろう。
だが、実際には違う。旧日本軍はこれまで極秘の超兵器や秘密基地を設けていた。たとえば、異次元ワームホールを完成させそこにつながった世界に飛行機を製造したり、またある時は大和型戦艦を超えた超大和型戦艦まほろば。アメリカ本土を日本から直接に爆撃するために作られた超重爆撃機『富嶽』『雷神』などが多々ある。
そして戦車も例外ではない。旧日本陸軍はノモンハン事変の後、最新兵器である九七式中戦車チハの短砲身五七ミリ砲の火力不足に痛感し、これから後の対アメリカ戦に備え対戦車戦闘を想定した戦車を製造しなければならないと判断し、研究に入った。それは「極秘、超重戦車計画」であった。しかし製造の経費はすべて軍艦や飛行機に当てられなかなか進まず、とりあえず繋ぎとして製作していた四七ミリ対戦車砲をチハに取り付けるなどをしていたがアメリカがM4戦車を太平洋に投入するという情報を聞きつけた研究員や一部の特務についていた陸軍士官たちは47ミリ砲では威力不足になることを予測し、75ミリ砲搭載型中戦車の開発を急いだ。それが三式中戦車や4式、五式である。
だがそれと同時に超重戦車の開発も行なわれ、ついに1945年昭和二十年8月10日に一輌の重戦車が日本の誰も知らない土地で完成された。
その戦車は戦車というにはあまりにも大きく、まるで巨大な像のようであった。その戦車はのちに五式重戦車と名付けられた。
主砲は自走砲を除けば今までの戦車よりも巨大な120ミリ砲。これは陸軍の三式高射砲を軽量化され戦車砲に改造したものだ。装甲も中国大陸で輸入したティーガー重戦車に習って100ミリとし、全面装甲は傾斜され現在で言えば車体はどことなく61式戦車に似ていた。
本土決戦のアメリカの対重戦車の切り札として期待されたこの重戦車だったが、8月15日のポツダム宣言受諾によって日本は連合国軍に無条件降伏し、ついにその戦車は戦う日もなく、そして誰の目にも映らず、表の歴史から消え去り、そしてその存在も不明のままその姿を消したのであった。
それから80年後、世界はまた戦争の業火に包まれた。。新ナチスドイツを名乗るテロリスト軍団が世界征服を企み、侵略戦争を始めた。それを阻止するため国際連合はテロリスト軍と交戦。いわゆる第三次世界大戦が勃発した。
だがこの戦争には奇妙な規定条約があった。それは
「使用できる兵器は1945年8月15日までに設計が完了し、試作に着手しているもの。また多少の改造は認める」
と、いうものであった。そんな奇妙な規定がある中、両軍は激しい戦闘を繰り広げているのであった。そして時は戦争末期、時は8月15日のアルデンヌの濃霧の森の中、一輌の傷だらけの重戦車が止まっていた。それはドイツのティーガー、ティーガーⅡでもなけれれ場連合軍のIS2やM26パーシングでもない重戦車であった。そして砲塔には日の丸が書かれており、その後ろには虎の絵が描かれていた。
「今頃、陸軍の主力部隊はベルリンに突入したかな?」
砲塔の上に座っている少年がそう呟く。するとハッチが開き、少女が顔をのぞかせる
「どうです外の様子は?」
「いたって静かだ中尉。残党戦車どころか野良犬一匹もいないよ」
「でしょうね。あのバルジの戦いで連中の戦車のほとんどがやられたんだからね。今でもこの森焼け焦げた臭いはするわね。しばらくは焼肉は喰えそうにないわ」
と、ため息交じりに言う少女。そして車長と呼ばれた少年は軽くため息をつき車内へ戻る。そして無線を修理している通信手の少女に声をかける
「・・・・で、どうだ。軍曹。無線は直ったか?」
「まだぐずっているみたいで、もう少しかかります」
「それにしてもスマホのニュースでは海軍の戦闘機乗りの疾風村正大尉の戦死の方でいっぱいですね」
「仕方ないよ。なんたって多くのナチスの戦闘機を叩き落としたエースなんだからさ。やっぱり地上や海上よりも空のほうが有名になるのかね?」
「確かに戦闘機乗りは基本単独プレイですから顔も覚えられますしね。それに比べ戦車は戦車が有名でその乗員のほうがあまり知られないというのがほとんどですしね」
「・・・・世知辛い・・・」
乗員たちがそう言う中、車長の少年はノートに何か書いていた
「それ・・・・五式の戦闘記録ですか?」
「ああ。後で上層部に提出する記録書だ。先の戦いでこの五式重戦車の127ミリ徹甲弾の威力は十分だな。装甲もパンターやティーガーの戦車砲にも耐えられる」
「敵がパンツァーシュレックやパンツァーファウストで撃ってきたらどうですか?」
「撃たれてみなきゃわからんさ」
「でもさっきの戦闘で一両逃がしたのはまずかったですね。きっと報復しに来ますよ。しかも団体で」
「ははは…そりゃ大きな祭りが始まりますね」
と、車長と装填手が話し合うと
「ああ、早く戦争終わればいいですね。終わればレーションじゃなくてお腹いっぱいホッカホカのご飯が食べられるのに。ね、曹長もそう思うでしょ?」
「カレーがいい」
「アハハ・・・・じゃあ、この任務が終わったら曹長のリクエスト通りにカレーでも食べるか」
「賛成・・・・」
車長の言葉に曹長は嬉しそうに頷く。
「それにしてもよく、こんな戦車が第二次大戦頃にありましたね?私、幻の戦車といえば四式か五式しか知りませんでしたよ」
操縦手の子がそう言うと車長は頷き
「まあ、この五式重戦車は今まで極秘中の極秘だったみたいだからなこうして発見されたのは奇跡としか言いようがない」
「確かこの戦車の持ち主って車長の曽祖父でしたよね?」
「ああ、子供のころ爺さんは俺に秘密でこいつのことをよく話してたよ。当初俺はウキウキ気分で聞いていたよ。で、曽祖父が死んで俺がまだ中学くらいだったか?ひい爺さんの遺品整理をしていたらこいつが隠されている場所へ行ってこいつを見つけた時は驚いたさ。まあそれと同時に黒ずくめの連中に包囲されたときは驚いたな。まさかそいつらがお前の母が率いる特殊諜報員だとは思わなかったがな」
「ごめんね。うちの母の部隊が驚かせて。あの時は母は第三次世界大戦で奇妙な交戦規定の内容を知った後は旧日本軍が作り出した幻の超兵器を探し見つけることに躍起になっていたから」
「だからといって拳銃突きつけることないだろ?」
「だからそのことは母同様謝ります。本当にごめんなさい。あの時はてっきりナチスの諜報員かと思ったので・・・」
「はぁ・・・・・まあいいや。爺さんの遺品であるこの戦車の持ち主が俺って言うことになったからな。まあ監視役にその諜報員さんの娘である。中尉が付くことになるとは思わなかったけど」
「何?私と一緒は嫌だった?」
「いや、最初は疑っていたけど、共に過ごすうちにそんなことどうでもよくなった。今では俺の副官であり友人だよ」
「そうですか」
と二人が話し合う中
「ちょっと~二人とも楽しく話し合っているの邪魔して悪いけど今は仕事中だよ」
「ああ、ごめん軍曹。で、無線は?」
「あともうちょい。3分待ってくれる?」
「わかった。それと焦らずゆっくり直してくれ」
「あいよ~」
そう言うと上空から飛行音が聞こえる
「それにしても車長。今日はやけに味方の飛行機が近くを飛びますね?」
「俺たちを援護しているんだろ・・・・しかし、この霧では上からこの戦車を見つけるのは不可能だろうな」
「無線も修理中だから連絡できないし・・・・・」
「だから今やってるって言ってるだろ?」
「少尉も敵戦車が現れたら運転頼むよ」
「了解。姉さんほどではないけど。がんばるわ」
「おいおい少尉。お前の姉さんもすごかったけどお前もいい腕しているぞ?」
「でも姉さんには負けます。初代五式重戦車の操縦手でしたから。でも姉さんは単独で敵陣へ斥候したっきり行方不明にその穴埋めに私が着任した・・・・ですから二代目である私は」
「そう言うことは言うな。確かに少尉は君の姉である大尉になれないかもしれんがそれを追い越すことはできる。だから自信を持て。お前には大尉にない実力を持っているんだからな」
「ありがとうございます車長」
少尉は車長に礼を言うと・・・・
「ん?・・・・・」
車長は何かの気配を感じる。そしてキューポラを開けてじっとある方角を見るそして目を見開き
「敵戦車発見!、敵ナチスの戦車軍団!!まだ戦車を隠し持っていたのか!パンターやティーガーⅡの団体さんのお着きだ!!戦闘用意!!」
「「「了解!!」」」
そう言い五式重戦車は動き出すと
「左だ!左の戦闘のティーガーⅡを狙え!曹長頼むぞ!!」
「うぃ!!」
そう言い曹長は引き金を引く。そしてティーガーⅡも砲弾を放ち、ティーガーⅡの砲弾は五式の砲塔を掠め、五式の砲弾はティーガーⅡの車体前面に命中し、ティーガーⅡは爆散する!!
「よし!最強の戦車も五式の前では鉄の棺桶同様!!」
「そして俺らの乗る戦車も鉄の棺桶だ!!」
そう言い戦車は前進する。濃霧の中聞こえるのは激しい砲撃音と閃光が聞こえ、爆散する音や無数の
そしてその激戦の中、一機の戦闘機が飛んでいた
《アルデンヌ森の内部西三キロ地点にて戦車戦と思しき閃光を認むが、雲が低く、霧のために戦車は見えず!!特務任務に就く独立戦車隊、隊長車の五式重戦車「猛虎」が戦闘中と想像せるも、確認不可能!!》
《陸軍大佐、宮辺和人との無線連絡は過去十日間絶えてなく、戦車もろとも消息不明なり!!》
その後、戦争は終結した。しかし、幻の重戦車とその乗員が日本に戻ったという記録はない・・・・