ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~   作:疾風海軍陸戦隊

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目覚め

みほたちが和人を保護してから数時間後、もう学校の授業は終わりに近づいていたころだ

 

「うっ・・・・・うう・・・」

 

保健室のベットから和人が目を覚ます

 

「ここは・・・・・見慣れない場所だけど・・・・」

 

辺りをきょろきょろと見渡すと・・・・・

 

「なんだ・・・・まるで保健室のような感じだけど」

 

そう言い和人は状況を整理する

 

「(確か・・・・俺たちはアルデンヌの森の霧の中で無数の敵戦車団と交戦して・・・ダメだ。その先は記憶がない・・・・・それで今は軍服ではなく白衣を着て保健室みたいな部屋にいる・・・・・・・不自然だ。どう見ても野戦病院とかじゃないな・・・・・)」

 

和人は冷静にあたりの部屋を見る。そして和人はあることに気が付いた。それはポスターであった

 

「・・・・・・日本語?」

 

そう、今いる場所が欧州なら外国語のポスターが主流だ。だがそこに書かれていたのは日本語だったのだ

 

「それに潮の香りがする・・・・・と、すると海が近いのか?」

 

和人は微かに感じた潮の香りで今いる場所が海に近いところだと推測した。そして一番に感じたことが自分が生きているっということだ

 

「そうか・・・・・俺は救出されたのか・・・・そうか・・・・・生き残っちまったんだな・・・・・俺だけ。笹本たちに申し訳ないな・・・・・結局俺はみんなを無事に国に還すことができなかった・・・・」

 

悲しい表情でそう言う。そして彼の脳内に浮かんだのは笹本ら白虎隊の隊員たちだ、基本、和人の部隊は少数規模で特に和人の車両は単独で行動することが多かった。その中で和人は乗員全員をだれも欠けさせることもなく無事に日本へと帰還させることを胸に秘めて戦ってきた。だが、最初の操縦手である井崎の姉である朝子は敵地へ偵察するためといい和人の制止を振り切って偵察に出たまま行方不明となり、そしてあのアルデンヌの戦いで大切な仲間を死なせてしまった。それなのに自分だけ生き残ってしまった。そう罪と罪悪感の入り混じった感情が彼の心の中で渦巻いていた

 

「すまない・・・・すまない・・・・・みんな」

 

死んでいった仲間に謝罪する和人。すると・・・・

 

「す~す~す~」

 

「ん?」

 

何処からか寝息が聞こえる。もしかして自分以外にも誰かいるのかと和人はベッドから降りようとしたが・・・・・

 

「つっ!!」

 

右足に激痛が走る。よく見ると右足は包帯でがっちりと固定されていた。どうやら自分の足は骨折しているらしい。だが、そんなことは関係ない。そう思い和人は必死に体を動かそうとすると・・・・

 

「ちょっ!何をしているの彼方は!?」

 

と、そこへ白衣を着た人が入ってくる。恐らく医者だろうか?白衣来ているし

 

「あなたは・・・・・」

 

「君は足を骨折しているのよ!無理に動いてはダメよ!!」

 

「は…はい。すみません」

 

なんかめちゃくちゃ怒られました。まあ当たり前だけど

 

「あ・・・あの・・・・私は何でここに?」

 

「森の中で角谷さんたちがあなた達を見つけたのよ」

 

「達?もしかしれ俺以外にも?」

 

「ええ、ほら。この子たち彼方のお友達でしょ?」

 

そう言い白衣の先生は和人のそばに在るカーテンをめくるとそこには

 

「笹本!西崎!立石!井崎!!」

 

そこには仲間である彼女らがベッドで寝かされていた

 

「せ、先生・・・・彼女たちは」

 

「大丈夫よ。怪我も軽い打撲ぐらいで命に別状はないわ。でも君の場合は右足が骨折しているからしばらくは杖で歩かないといけないわ」

 

「生きているんですね・・・・・・・良かった」

 

その言葉に和人はほっと胸を撫で下ろす。そして医務の先生は

 

「ちょっと待っててね。今、角谷さんを呼んでくるから、あ、そうだ分かっていると思うけど勝手に歩いちゃだめだからね怪我が悪化するから」

 

「あ・・・はい」

 

そう言うと先生は部屋を出て行った。そして和人は寝ているかおりを見て

 

「よかった・・・・本当に良かった」

 

と、安心し少し泣く和人。すると同時にあることを思い出す

 

「・・・・・あ、しまった。さっきの人にここは何処なのか聞くのを忘れてた」

 

頭を抱えそう言うと・・・・

 

「本当にそう言うところが抜けていますね大佐」

 

「っ!?」

 

声が隣のベッドを見ると、そこには寝ていたはずのかおりが目を開けてこっちを見ていた

 

「かおり・・・・・・起きていたのか?」

 

和人がそう訊くとかおりは体を起こし

 

「ええ。あなたが目を覚ます少し前に・・・・それで大佐は泣いておられたのですか?」

 

「え?・・・・あ、いいや。お前らが無事だということが分かってついな・・・・」

 

「そこは『目にゴミが入っただけだ』っていうところでしょう?まああなたが仲間想いなのは昔から知ってはおりましたが・・・・」

 

呆れたようにため息をつくかおりだったがその表情はどことなく嬉しそうだった

 

「それで、どうします大佐?あそこでいびきをかいている通信手とほかの子達も叩き起こしますか?」

 

「そおっとしておけ。せっかく生き延びたんだ。今時くらいゆっくり寝かせてやれ。状況整理と情報収集は俺とかおりだけでやろう」

 

「その足で歩くので?」

 

「足が折れるなんてまだましだ。以前に砲撃で吹き飛ばされて全身骨折したのとお前に無数のナイフで串刺しになりかけたことを考えればまだかわいいほどの怪我だ」

 

「最後のは少し余計です。それとあれは少佐がいけないんですよ。寝ぼけて私に抱き着いて」

 

「だからといって、本気で殺しにかかることないだろ?てかどこからあんな無数のナイフを出せるんだよ。どこぞの吸血鬼のメイドかお前は?」

 

「(てか、抱き着いたのはいいのよ。私が怒ったのは知らない女の名前を言ったから怒ったのよ#)案外、そうかもしれませんよ?」

 

と、少し話すと二人はまじめな顔になり

 

「さて…馬鹿話もここまでにして、状況整理、中尉ここは一体なんだと思う?」

 

「先ほど目が覚めて分かるのは医務室らしき部屋の中。しかし野戦病院でもなければ捕虜収容所でもないですね。しかもわずかに潮の香りがしますのでおそらく海沿いの場かと・・・・」

 

「・・・・やはりか。だが、アルデンヌからどうやって我々を運んだんだ?」

 

「それは不明です。まずここが欧州かというのも少し疑問がわきます」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「聞こえませんか?外の音と声が」

 

「・・・・・・・」

 

かおりに言われ和人は耳を澄ますとそこから大勢の人の声が聞こえる。そしてどこからかチャイムの音も聞こえた

 

「チャイムだな・・・・・しかもこの声は・・・・」

 

「ええ、日本語です・・・・しかも女性の声ですね」

 

「どう見ても戦時中とは思えない明るさだな・・・・てか本当にここは何処なんだ?」

 

「私が探りを入れてみますか?」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫よこんな怪我くらい私たちの戦場(ここ)では日常茶飯事だったでしょ?それに私は軍に入る前は諜報員と暗殺家業をやっていたのよ。知っているでしょ?」

 

「ああ、そうだったな・・・・じゃあ、お願い。なるべくばれないように」

 

「わかったわ」

 

そう言うと、かおりはいつの間にか消えていた。しかも自分が寝てたベッドにはクッションなんかを布団にかぶせ欺瞞をして出て行った

 

「・・・・・やっぱあいつ、吸血鬼のメイドだな」

 

と、軽いため息をつき、しばらくかおりが帰るのを持つのだが・・・・

 

「・・・・・暇だ」

 

そう呟くと、ドアの開く音がした。かおりが戻って来たのかと思ったが違った

 

「あ!目が覚めたんですね」

 

「あの大丈夫ですか?」

 

「よかったですわ」

 

「ほんとビックリしたよ。戦車探しててこんな事に遭遇するんだもん」

 

と、セーラー服を着た。恐らく高校生くらいの子たちが入ってきた。

 

「えっと・・・・・あんたたちは?それにここは・・・・・いでっ!」

 

俺はそう言い起き上がろうとすると骨折した足に激痛が走る

 

「ああ、無理しないでください」

 

「いてて・・・すまない。・・・・・なあ、ちょっと聞いてもいいか?」

 

「あ…はいなんですか?」

 

茶髪の子が俺の言葉にうなずくと

 

「ここは・・・・・何処だ?アルデンヌじゃ、ないみたいだが?」

 

「アルデンヌ?ここはここは、大洗女子学園です」

 

「大洗?大洗って・・・・日本の茨城県の?」

 

「は、はい。そうです?」

 

茶髪の子は何でそんなこと訊くのかと不思議そうに首をかしげていた。そして和人は

 

「(・・・・・おかしい。欧州から本土まで輸送機で運んだのか?いいや。それはないな・・・・もしそうだったら学校の保健室に入れず普通に病院に入れるはずだ。では彼女が嘘を?いいや。彼女の目からして嘘を言っている目じゃないな・・・・だめだ情報が足りない。詳しく聞く必要がある)えっと、すまないけど」

 

「はい?」

 

「ここのお偉いさんと話がしたいんだけど。いいかな?」

 

「え?はい。私たちもちょうど生徒会室に行って会長たちに知らせるつもりだったので、少し待ってくれますか」

 

「会長?ああ、わかった」

 

そう言うと4人は部屋を出て行った。そして和人は

 

「さて・・・・・吉と出るか凶と出るか…だな」

 

そういい、彼女らとかおりが戻るのを待つ和人であった

 


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