ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~ 作:疾風海軍陸戦隊
「ちょっと待ちなよ!第三次世界大戦が起きてないってどういう事なんだよ!?」
杏が第三次世界大戦が起きてないという言葉を聞いて芽衣が大声をあげる。それを見た結子が
「ちょっと軍曹。落ち着きなって・・・・・」
「いや、いや。結子。だって第三次世界大戦だぞ!?12年以上も続くあの戦争!世界各地で仲間が勝利を信じて必死に戦っているあの戦争を知らないってどうかしているって!!」
感情に任せてそう言う芽衣に和人は手で制し
「落ち着け軍曹」
「いやだって大佐!!」
「落ち着けと言っているんだ!」
「うっ・・・・」
和人の気迫と言葉に芽衣は黙ると和人は杏たちに振り向き
「仲間が済まない。だが、本当に第三次世界大戦は起きていないんだな?生徒会長?」
「うん。私が知る限りね。秋山ちゃんはどうなの?」
「いいえ。世界大戦といわれるほどの大きな戦争は1939年から始まり1945年に終わった第二次世界大戦以降は起きていません。ただその間に戦争はありましたが・・・・」
「朝鮮、ベトナム、中東、湾岸、イラク戦争のことか?」
「あ、はい。そうです・・・・・」
「第三次世界大戦が起きる前は同じ・・・・・・・これは一体」
先ほどから膨れ上がる疑問。すると加奈が
「パ・・・・・パラ・・・レル」
「ん?どうしたんだよ加奈?傘がどうしたって?」
「それはパラソルよ。曹長が言いたいのはここが並行世界・・・つまりパラレルワールドじゃないかって言でしょ?」
「うぃ・・・・」
加奈の言葉に芽衣がぼけると、かおりが突っ込み、加奈が言いたいこと。つまりこの世界は自分たちのいた世界じゃない別の世界じゃないかというと加奈はそうだと言いたげに頷く
「パラレルワールド・・・・異なった歴史を歩んだ世界が無数にある世界だったね・・・・なるほど。それで合点がいったよ」
「何がですか会長?」
杏は納得したように頷きその姿を見て河島がそう言うと、結子が
「つまり、私たちは第三次世界大戦の起きていない世界に迷い込んだ・・・・・・そう言いたいんですか角谷会長?」
「うん。そうだよ」
「でもそんなことって・・・・・・」
「いや、並行世界理論は理論的に認められている。しかし現実は小説よりも生成りとはこのことだな・・・・・まさか戦争中にそんな世界に来てしまうだなんてな」
和人は軽くため息をつく。それを見たかおりは
「随分と冷静なのね大佐。それとも頭が狂ってそうなっちゃたのかしら?」
「棘のある言い方どうも中尉。俺だって普通なら慌てふためくところさ。でもあの戦争を経験すると驚く回数が減っちまうだけさ。お前もそうだろ?」
「確かに・・・・・・」
「うぃ・・・・」
「ああそう言えば・・・・」
「確かに大佐の言う通りあの戦争のせいでめったに驚かなくなったかな~?」
和人の言葉に笹本たちは遠目でそう言う。そうその戦争のせいで和人たちはよほどのことがない限り驚くことが少なくなっていた。だから娯楽のテレビのドッキリとかでもなんか物足りなさを感じていた。その言葉に角谷たちは苦笑すると
「あ・・・あのちょっといいですか?」
「なんだい?ええっと・・・君は確か西住さんだったけ?」
「はい。あの・・・・・宮部さんたちはこれからどうするんですか?」
「これからか・・・・・」
みほの言葉に和人は深く考える
「できれば元の世界には戻りたいとは思っている。しかし、俺たちは戦闘中に敵と相打ちになり戦車とともに爆散した。つまりあっちでは死んだことになっている。だが、俺たちは生きている。俺たちには元の世界に家族や仲間がいる。俺個人としては元の世界に変えれる方法を探す。無ければこの世界の住人として生きるだけだ。お前たちはどうだ?」
「そうね・・・・・私にはあんたを除けば家族と呼べるものはいないわ。私は大佐の判断に委ねるわ」
「私もです。私にはもう身内はいませんので…戻るか戻らないかどっちでも構いません。大佐の指示に従います」
「うぃ・・・・」コクコク
「私もかな~向こうでの友人。ほとんど各地の戦いで死んでいるし、国に返っても私の行き場所はないしね~。今更本土に戻って学生生活なんて無理だし、大佐の指示に従うつもりだよ私は」
と、全員は別に無理に元の世界に戻ろうとは思っていなかったようだ。だがこの世界に生きるには5人には問題があった。それは・・・・・
「でもさ。宮部君たちは異世界の人間でしょ~?これからどうやって生活していくの?」
「確かに今の宮部君たちは無国籍状態。ここで生活するにはアルバイトをするにしても住民票とか履歴が必要になるよ?それに住む場所は!?」
「それにだ。そもそもお前たちは異世界の人間だお金はあるのか?」
「ありますけど・・・・・この世界の日本の通貨。これで大丈夫ですか?」
そう言い和人は財布から小銭や札紙幣を杏に見せると
「ふんふん・・・・・向こうの世界の通貨もこっちと同じみたいだね~で、でもこれだけで生活できるの?」
「難しいな。カードもここじゃあ使えないし。銀行に預けた給料もここでは引き出せない。今あるのは財布にあるのだけだ。かおりそっちは?」
「全員の合わせて質素に暮らしても一か月が限界でしょうね。済む場所も野営するしかないでしょ。廃墟とかあれば潜伏できるけどそれだと不法侵入で警察にしょっ引かれてお終いですから」
「じゃあ、金が足りなくなったら銀行から引き出せばいいじゃん。あたしたち給料結構もらって貯金しているんだからさ?」
「だから軍曹。その預けた銀行がこの世界にないから無理だってさっき大佐が言ってたじゃない」
「だぁー!そうだったー!!」
「うぃ・・・・・」
詰んだ・・・・・・この時その場にいた和人たちはそう思ったが、突如杏さんが
「ねえ、宮部君。君たちの事情もわかったし、そこで君達に提案なんだけど〜、まず第一に君達が大洗女子学園に身を置くそうすれば色々と援助してあげるし、君達の身の安全や秘密の保障を取り付けてあげるよ」
生活を保障する。杏のその言葉に芽衣が「え!?まじ!!」と嬉しそうに声を上げ、加奈も少しうれしそうな表情をするが、結子、かおり、和人が疑いの眼差しで見ていた
「なんで見ず知らずの私たちを保護してくれるのか参考までにお聞かせ願いませんか生徒会長?」
かおりがそう訊くと
「いやさ~君たちを見つけたのは私たちだし、見つけて怪我が治ったら、出ていけなんて非情なことできないじゃん?だから最後まで面倒を見ようと思ってさ~」
「それは感心なことです。会長さんは人徳に厚いお方のようですが・・・・・・少し・・・いや確実に胡散臭いですよ?」
杏の言葉に結子は目を細めてそう言い、和人も
「会長さん。本当のこと話したらどうだ?あんたの性格からすべて善意でやる人じゃない。今回俺たちを保護するのは何かの見返りが欲しいからじゃないですか?角谷さん・・・・・・・正直に言え」
戦いの経験かそれとも学生とは違い大人社会をいち早く見てきた和人、かおり、結子は杏が何らかの見返りを期待して、自分たちの生活を保障してくれることを見抜いていた。そのことに杏は苦笑いをし
「いや~弱ったね。軍隊の人って勘がいいのかな?わかったよ正直に言うよ」
杏は参ったと言いたげに両手をあげるそして
「実はさ~。生活を保護する代わりに宮部君と宮部君達の乗っていた戦車共々うちの学園の戦車道に入って手を貸してほしいんだ。これが条件なんだよ〜」
「「「「戦車道?」」」」
聞き慣れない言葉に和人たちは首をかしげると、杏が説明した
「戦車道っていうのはさ。その名の通り戦車を用いて行われてる武道だよ。乙女の嗜みである華道、茶道に並ぶ女子の武道で礼節のある、淑やか慎ましく、凛々しい婦女子を育成する事を目指した武芸なんだよ〜」
「戦車と乙女の嗜みってどこをどう見ても共通点がないわよ?」
かおりの言葉に女子陣の三人は頷く
「まあ、君たちの世界じゃどうかはわからないけど。こっちとしては当たり前の武芸なんだよね~」
「異世界のカルチャーショックというやつですか・・・・」
「まあ、そんなとこ。それでね数年後に日本で行われる世界大会に向けて文部科学省から全国の高校や大学へ戦車道へ力を入れるよう要請があってさ、私たちの学校も最近戦車道を復活させて全国大会に出場しようと思っているんだよ」
「ふ~ん・・・・・・で、それと俺たち何の関係が?」
「だから言ったじゃん。生活を保障する代わりに私たちと一緒に全国大会に出てほしいって。それにさ、全国大会で出場して優勝すれば、全国から人気者になれるかも知れないし楽しいしと思うよ〜もしかしたら宮部君、女の子にもてるかもしれないよ~?」
そう言う杏さんに
「楽しい・・・・・・ね」
そう小さくつぶやく。その声はどこか悲しくそして重い感じがしていた。そして和人の言葉はかおりたちにも伝わったのか皆神妙な顔をしていた
「ん?どうしたの?あ、宮部君が男性でも大丈夫。別に男が戦車道をやっちゃいけないとかそんなルールないし」
と、杏は和人が自分が男だから戦車道をやれないと思ったのかそう言うが
「あなたね!!」
かおりは和人の言いたいことがわかるのか杏に少しきつめに何か言おうとするが一人は手で彼女を制止する。そして・・・・
「・・・・・角谷さん」
「ん?なに?」
「・・・・あんたら、なんか勘違いしていないか?」