ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~   作:疾風海軍陸戦隊

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命の重さ

「勘違い?」

 

和人の言葉に杏たちは首をかしげる。

 

「ああ、あんたら戦車のことをスポーツ用具かなんか勘違いしていないか?俺は戦車道のことについては素人だが、これだけは言える戦車はスポーツの車両じゃない。戦争のための…人を殺すための兵器だ。危険と隣り合わせの車に乗り生半可な遊び感覚でそう言う発言は慎んでくれ」

 

和人は真剣な表情で杏たちに言うと柚子が

 

「でも宮部君。戦車道は安全なんだよ。被弾しても特殊カーボンで守られているから・・・・・・」

 

「人間の作ったものに絶対安全という保証はない!」

 

力強く否定する和人に皆は驚き黙ってしまう

 

「特殊カーボンと奴が安全だという保証が何処にある?しかも危険は外部とは限らない。もし車内に搭載してある砲弾が誤差を起こして爆発したらどうなる?しかも聞けば砲弾も実物に近いものじゃないか。戦車の装甲とは違い生身の人間が飛んでくる。しかも音速を超える速さで飛んでくる戦車の砲弾が当たっらどうなる?一瞬で即死だ。俺は元居た世界でキューポラから顔を出した車長が飛んできた敵の砲弾で木っ端微塵になる姿や、被弾して燃え上がる戦車の中から聞こえる悲鳴を何度も聞いた」

 

「それは戦争で特殊カーボンをつけていなかったからだろ!戦車道ならそんな心配はない!!」

 

河島がそう反論する。その言葉にかおりたちは顔をしかめ何か言おうとするが和人は

 

「俺が言いたいのはそこだ。競技だから安全になっている。ルールがあるから死んだり怪我の心配はない。いかにも学生らしい軽い言葉だ。いいか。スポーツにも危険はある。野球でもデッドボールであたりどころが悪い、むしろ頭に剛速球のボールが当たれば下手をすれば死ぬ可能性がある。戦車なら特にだ。スポーツだからって甘いことは考えるな。君たちの扱うものは操縦桿を動かせば頑丈な壁を押しつぶし人間を簡単にミンチにする。そして砲を撃てば敵戦車を破壊しその中にいる乗員を抹殺する。そしてその指示を出すものはその命令一つで敵の命を奪うだけじゃない。仲間の命を誤って死なすことになるかもしれない。どんな奇麗ごとや名目を取ったところで戦車の本質は変わらない」

 

静かにそして力強く言う一人にみほたちはただ何も言えず静かに聞いていた

 

「俺たちは元の世界では多くの敵戦車を撃破しその乗員を殺してきた。だがそれは俺たちの望んだことじゃない。人殺しなんて誰もやりたくないし、したくもない。だがな俺たち軍人の仕事は国やその国にいる大切なものを守るためだ。家族や友が安心して生活できるように自らを盾にし、血にまみれになることを覚悟で戦っているんだ。」

 

宮辺は心の底から思うことを彼女らに語り、声を荒げることもなく静にこう続けた

 

「君たちの乗る戦車もかつてはそう言う覚悟を持って戦ってきた人の想いが残っているんだ。それをゲーム感覚の生半可な覚悟でやってはいけない。無論、君たちのやるのは競技だから皆で頑張って楽しむことは別にそれが悪いとは言わない。

しかしだ。それと同時に戦車で戦ってそれに殉じた人たちのことを決して忘れてはいけない。君たちの乗る戦車はそう言う血塗られた歴史の中で戦ってきた物なんだ。だからスポーツ用品だとか戦車道という言葉に惑わされず。そのことを心の内に秘めてほしい。決して戦車の悲しい歴史に目を背けないでくれ。見て見ぬふりはしないでくれ。それが出来なければ戦車に乗る資格はない」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

怒りや憎しみなんて感情には和人には微塵もなかった。ただ杏さんたちの楽観的な言葉にただ単に悲しくなっただけだった。本来戦車の目的やその歴史をよくわからずただ単に大砲が撃てる。どんな障害物を乗り越える、スポーツとしての車輌としか見ていなかったこの人たちの言葉がただ悲しかっただけなんだ・・・・だから自分への戒めとして、そして少しでも自分の気持ちがこの子たちに伝わってくれるように祈り。回りくどいことはせず真っすぐに彼女らに言ったのだ。

その言葉が正しかったのか差し出口だったのかは和人にはわからない

 

「・・・・・すまない。少し言葉が強すぎたな」

 

和人がそう言うと杏は首を横に振り

 

「いや。いいよ。私たちも君たちの心情を無視してごめんね」

 

一人がそう言うと杏も申し訳なさそうにそう言う

 

「・・・・・角谷会長。先ほどの件だが、さすがにすぐには返答できない。一度皆と話し合って決めたい。それに俺たちはこの世界に来たばかりだ状況も整理したい」

 

「そだね。それにもう外も暗いし、また明日来るから返事はその時でいいよ。あ、それと学園長と話はつけてあるから今夜はここで泊ってていいよ」

 

「感謝します」

 

角谷が保健室から退室して続く様に生徒会一同とみほ達ま退室して行く。そして帰る中、生徒会三人衆は

 

「何なんだあの男はいきなり変な事を言って!」

 

「まあまあ落ち着きなって河島。宮部君の心情も知らずにああ言った私たちにも非があるんだからさ」

 

「ですが・・・・・」

 

「それにさあれでも宮部君はかなり優しく言ってくれたと思うよ?口調も荒げないで言ってくれたからみんな彼の言葉に耳を傾けられたんじゃないかな?」

 

「それは・・・・・・そうかもしれないですが」

 

「でも会長。私たちには時間が残されていません。もし宮部さんたちが協力してくれなかったら・・・・・」

 

「わかっているよ。でもね彼らには彼らなりの事情があるんだよ。たぶんだけど未だに彼らにとっての戦争は続いているんだと思うんだよ。心の中でね。でもきっと私たちに協力してくれるよ。今私はそう信じることしかできないけどね・・・・・」

 

杏はそう言いながら星空を見て河島と小山と一緒に帰るのだった。そして同じころみほたちも武部たちと一緒に帰っていた

 

「異世界ですか・・・・・・まさか異世界の日本が戦争をしているなんて驚きです。しかも相手はかつて同盟を結んでいたナチスにしかも第二次世界大戦の兵器を使用して12年も・・・・・・しかもあの宮部和人という人。見た目的に私たちと同じくらいの年齢で隊長を任せらるほど。しかも佐官しかも大佐だなんて、普通はあり得ません。恐らくかなりのエリートだと思います」

 

秋山がそう言うと武部は

 

「確か宮部君って2001年生まれで2017年に来たという事は・・・・18歳かでも今は2013年だから14歳・・・私たちより年下っていう事じゃない。それにあの宮部君少しかっこいいし・・・・・」

 

武部が少し顔を赤らめてそう言うと華は

 

「確かに少しかっこいい人でしたね。ほかの皆さんも優しそうな人でしたけど」

 

「でもあの銀髪の・・・・笹本さんは少し怖そうだったね。それに・・・・」

 

「どうしたんですか沙織さん?」

 

「あ、ううん・・・あの井崎さんって人、幼馴染に顔が似てたからちょっとね・・・・」

 

「そうなんですか・・・・・」

 

と、そう話している中、みほは考え事をしていた。それを見た武部が

 

「ん?どうしたのみぽりん?」

 

「え?ああ…うん。ちょっと宮部さんのことをね・・・・・」

 

「宮部君のこと・・・・・あ、そうだ。みぽりんはどう思ったの彼のこと?」

 

「え?宮部さんのこと?・・・・・・・ちょっと厳しそうな人かなって思っていたけど、とても優しそうな人だと思うよ」

 

「と、言うと?」

 

「うん。宮部さんは初めて出会った私たちに戦車についての危険性とそれを操縦する際・・・乗る際のことを私たちに注意してくれた。普通の人ならましてや知らない世界に突然来てそう言うこと教えてはくれないと思う。だから宮部さんたちは私たちが戦車に乗って大怪我をしないように・・・・遊び感覚じゃなくて真剣に戦車に乗ってほしいって思ってそう言ってくれたんだと思う」

 

「不器用な優しさってわけね。なるほど」

 

武部がそう言うと五十鈴も小さく頷き

 

「わたくしたちも戦車に乗るならそれなりの覚悟をしなければいけないっという事ですね・・・・・」

 

「うん。たぶん宮部さんはそう言いたかったんだと思う・・・・それに」

 

「どうしたのみぽりん?」

 

「ううん・・・・・なんでもない」

 

そう言いみほは星空を見て先ほどの和人の顔を思い出していた

 

「(あの人・・・・ものすごく悲しい顔をしていた・・・・・私に何かできることはないのかな?)」

 

そう思いながら家へと帰宅していった。

 

 

 

 

 

一方、保健室では、ベッドに横になる和人が星を眺めていた。すると・・・・

 

「眠れないの和人?」

 

「ああ、かおり・・・・」

 

隣のベッドにいるかおりがそう訊くと

 

「他の三人は?」

 

「私は起きています少佐。でも軍曹と曹長は・・・・・」

 

そう言いかおりの隣にいる結子が起き上がりそう言いまた隣を見ると芽衣と加奈は眠っていた

 

「なんだ。井崎も起きていたのか?」

 

「はい。それにしても・・・・奇麗な星空です」

 

「ああ・・・・・たとえ異世界でも星の輝きと月は何処でも変わらないってことだな・・・・・」

 

そう言い三人は星空を見るとかおりは

 

「それで和人。あなたはどうするつもり?」

 

「俺たちは今、軍から孤立し、指揮系統を失った状態だ。だけど、どこに居ようと俺は日本陸軍でいるつもりだよ」

 

「じゃあ戦車道の件、お断りするのですか?」

 

結子がそう訊くとかおりは

 

「それだったら和人ならあんな説教をしないで即断っているわ。あの子たちに説教をしたのは私たちみたいな世界のようにしないため・・・あの子たちのことを思ってのことだよね?」

 

「さぁな……どうだろうね?まあ、俺の言葉が彼女らに伝わったかわからないけどね」

 

「それに私たちはあの子らが戦車で間違った方向に行かないために監視し教えなければいけないわ」

 

「場合によってはそうなるかもな・・・・・・」

 

和人がそう言うとかおりはため息をつき

 

「あなたって人はもう少し素直になれないのかしら、彼女らが心配だって・・・・・・」

 

「誰もそこまでは言ってないぞ、かおり?」

 

「いいえ、顔に書いてますよ大佐?」

 

ジト目で結子がそう言うと和人は軽くため息をつき

 

「本当に二人は容赦ないな・・・・・長い付き合いとはいえ」

 

「はい。私はあなたが初陣のころ・・・いいえ士官学校のころから井崎伍長はアフリカ戦線での付き合いですからね。かれこれ3年は経っているわね・・・・」

 

「ああ、もうそんなに経つのか・・・・それでかおりたちのほうはどうなんだ?」

 

「私は帰る家はないので最後まで付き合いますよ」

 

「私も先ほど言った通りです。命尽きるまではともに戦います。芽衣も加奈も同じ意見だと思います」

 

「そうか・・・・・」

 

そう言うと和人はただ空に輝く星を見つめるのであった・・・・・

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