Providence――過失(仮題)   作:非正規人類

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 ただ過ちを犯し続けたら、何処へ辿り着けるのだろうか?

 


第一章
01.プロローグ


 

 

 空は紅に染まり辺りは火の手が上がっている。そこはまるで爆心地のようだ。

 建物が崩れあちらこちらに瓦礫が散らばり、人の形をしたものやまた動物のような形をしたものが地面に伏す。それらはもう動くことは無い。

 

 そんな中、男は一人泣き叫んでいる。

 まだ十代中盤と思われる幼さを残した少年。着ている衣服は焼け焦げ、肌が露出している部分には擦り傷が多々見える。その場に座り込み何かを抱えているようだ。

 少年の腕の中には女性と(おぼ)しき人がいる。少年と年齢はそう変わらないだろう。しかしその身体は動くことは無い。それは既に死体となっていた。

 少女の心臓の部分に開いた穴からは血が止まる事なく未だ流れ続けている。その表情は安らかなものだったが目尻には涙の後が残っている。

 

「――――!!」

 

 少年が誰かの名を叫び少女の体を抱き締めた。その叫びは轟音によってかき消される。

 少年は少女を抱き締めたままその一点を睨んでいた。その瞳に宿るのは明らかな負の感情。

 少年の視線の先にはまだ建設途中だったのだろう。巨大な、とても巨大な建物が円状の、まるで舞台のようなに(そび)え立つ。

 そしてその上で何かが戦っていた。

 閃光を、轟音を、そして衝撃を周囲に撒き散らす。

 少年は一度目を閉じると女性をゆっくりと地面へ横たえる。小言で二、三言い残して立ち上がる。

 そして傍に倒れていた人の死体から剣の様な武器を奪うと自身の武装を展開する。

 少年の身体に濃い青色のアーマーの様なものが展開し少年を包み込む。既に相当酷使したのだろう、展開された武装はあちらこちらに損傷が見られる。警告のメッセージも流れている。

 しかし青年は全てを無視した。ただ一点、今もなお轟音が鳴り続ける場所を見ている。

 

「――――」

 

 女性に一瞥し何かを呟き――少年は飛んだ、巨大な建物を目指して。

 武装が悲鳴を上げ警告音が鳴り響く。真っ直ぐ飛ぶことは適わず上下に、左右にブレる身体を無理矢理抑え飛ぶ。

 ただ速く、速く、前に進むことだけを考え飛ぶ。帰りなど考えず、着地など考えず目的の場所に向かってただ前へ、前へ、前へ、前へ。

 背後から何かが迫ってくるのを感じた。しかし決して振り返らない、そんな余裕などなく、また目的地に到着する以外、今は全てがどうでもよかった。

 

 目的地に到着した時、周囲は静かになっていた。

 そのことを疑問に思う心は既になく着地とは言い難い、墜落に近い形で無様に落ちる。

 衝撃が少年を襲う。続いてきたのは痛みだ。

 手が、足が、胴が、首が、頭が、全身に激痛が走る。しかしここまで来てただ倒れるわけはいかなかった。

 完全に壊れた武装を解除、破棄し幾分か軽くなった身体を起こし、手に持った剣で身体を支え立ち上がる。そこでようやくこの場に自分以外がいることに気が付いた。

 

 眼前に一人の男が――地に伏し絶命していた。

 その男には見覚えがあった。少年から大切な人を奪った男。それが自分の知らないところで勝手に死んでいた。

 そのことに呆然とし頭が真っ白になる。そこへ突如声が掛けられた

 

「実に興味深いな個体だ。今まで〝役者〟以外はここに辿り着いた者は居なかったというのに」

 

 少年は虚ろな瞳でゆっくりと声のする方へ視線を移す。

 そこには一人は若い男が居る。銀色というよりも灰色に近い髪の色をした若い青年だ。見方次第では少年ともとれるかもしれない。闖入してきた少年を興味深そうに観察している。

 

「あるいは君なら――――」

 

 少年は青年の言葉が理解できなかったし理解する気もなかった。視線を外し絶命した男を眺める。

 少年の目的は自分の知らないところで既に達成された。それ故、今の彼には何も残っていない。

 しかし少年の考えなど気にせず青年は近づく。すると

 

「全てを、やり直したくはないか?」

 

 その言葉に、少年は僅かに肩を震わす。はっきりと響いた。そして

 

「――――」

 

 青年は何かを囁く。その言葉を聞いた少年は目を見開き青年を見た。

 その反応に満足したのか青年は少年へと手を差し伸べた。

 そして少年はその手を――。

 

 

 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 この世界はどこで間違ったのか? と問われれば俺は間違いなく約百年前の静岡県海鳴市の消滅からだと答えるだろう。

 太平洋に面するこの都市の人口は二十万強を有していた。しかしそこは一瞬で、文字通り一瞬で消滅したのだ。目撃者である近隣住民の話では突如光ったと思ったら次の瞬間自分の家から先の舗装された道路がきれいさっぱり消滅し地面が剥き出しになっていたとのこと。

 

 都市中心部は窪み巨大なクレーターが出来上がった。抉られる様に消滅したため円周には土砂により自然の防波堤ができ海水が流れ込んでくることはなかったらしい。

 日本政府は直に海鳴市を立ち入り禁止区とした。核攻撃の再来を疑ったが少なくとも防衛庁(現防衛省)はミサイル等の接近を感知できなかった。それは米軍も同様でその時間に稼働していた核保有国の全基地を洗ったところ発射された形跡はなかった。

 最終的に汚染物質が検出されなかったことから核攻撃ではないとされた。また近隣住民のうち何名かが体調不良を訴えたが幸いなことに精神的疲労によるものであり身体に異常は見られなかった。

 それからすぐに国際連合主導の下、調査団を設立し派遣。あらゆる分野のエキスパートたちが調査に乗り出す。

 

 考えてみてほしい。核兵器並の威力のある兵器が自分たちの知らない間に開発され都市を一つ消滅させたのだ。明日は我が身かもしれないと躍起(やっき)に調査を始めるのは人の常だろう。

 そして数年後、進展が見られたがそれは当時の人たちにとって驚くべきことだった。〝魔法〟(正確には〝魔導〟なのだが当時はわかりやすく〝魔法〟と呼ばれていた)その存在が明らかになったのだ。さらにそのロジックを解明しその現象を引き起こすことができる〝デバイス〟製作に成功。各国はその力をより発展させようと魔導師育成に着手し始める。

 またこの時、日本において魔導に優れる者たち十名を十師と呼ぶようになった。これは後の魔導名家〝十師族〟の前進であり以後日本国内の魔導関係に対して強大な権力を握ることとなる。

 

 しかし残念なことに都市消滅の原因が明らかにならず調査は幕を閉じた。魔導が少なくとも関わっていたとされているが魔導単体ではそこまでの力は発現しないことが調査の過程でわかっている。

 ではなぜ調査を打ち切ったのか? これは単純に魔導の力が国防に役に立つからだ。魔導が関わっているのならば発展させていく道中でその原因がわかるかもしれないということが主だった理由だがこれ以上の研究結果を他国に流したくないという一部先進国のエゴであったとされる。

 

 それから数十年後、再び世界は動乱へと向かう。魔導技術の発展に伴い軍備拡張を進める国々の間で小規模な衝突が発生していた。それに拍車をかけたのが寒冷化に伴う食糧事情の悪化だ。それは留まる事を知らずやがて世界各国を巻き込み第三次世界大戦へと発展した。

 

 この時、日本まるで大戦が起きることを予期していたかのように行動は迅速だった。魔導に適用する為の軍備拡張を完了させ、自衛隊は自衛軍へと改名。しかし憲法第九条の解釈がまだ足を引きずり、戦闘はあくまで積極的自衛権の行使であり他国との交戦をよしとはしないものであった。(※1)

 故に日本の自衛軍は米軍及び同盟国の護衛及び中継地点としての役割とした専守防衛を主とした戦いをしていた。この国の魔導は〝守る事〟に主眼を置いたものが多い為、それが最良でもあった。

 また日本の対馬が大亜細亜連合(だいあじあれんごう)(第三次世界大戦中に中国がビルマ北部、ベトナム北部、ラオス北部、朝鮮半島を征服してできた国家)により攻撃されたが防衛に成功。しかし反撃に移ることはできなかった。

 

 大戦は二十年続き、明確な勝者を生むことはなく、ただ敗者と共に汚れた大地と疲弊した人々を残しなし崩しに終結した。

 

 そして数年後、東日本大震災が発生する。新しいエネルギー源とされていた魔導炉も暴走を始め被害は甚大。死者数は嘗て起きた関西・淡路大震災以上と言われているほどの被害がでた。

 戦争でそこまで痛手を受けなかった日本だがこの影響で魔導炉の見直しが進む。

 

 震災から数年、日本のどこの企業にも属さない一般市民である篠ノ之(しののの)(たばね)博士によりインフィニット・ストラトス――通称〝IS〟と呼ばれる宇宙空間作業用のパワードスーツが発表された。しかしどういうことかこれは女性以外動かす事の出来ない欠陥品であった。

 それだけならよかったのだがこのパワードスーツ、大気圏内で使用はもちろんの事、武装次第では魔導師と対等の戦いをしてしまうのだ。

 魔導師となる人間はまず高い適性がなければならない、でなければデバイスを扱うことすらできないからだ。故に女性というだけで扱えるISは重宝されるようになる。勿論それなりの適性は必要となるだろうがそれは魔導師よりも低いとされた。

 

 それから各国はISについての情報提示を求めるも人間嫌いな篠ノ之博士は「そんなことの為にISを作ったわけじゃない」と言い残し逃亡、行方不明となる。結果ISのプロトタイプとされる第零世代IS〝白騎士〟とその中枢に使われているISコア四六七個のみが残り、全世界を敵に回すことを恐れた日本はコアを各国に分配されることとなる。

 開発されたISコアは明らかにオーバーテクノロジーであった為、解析は難航。多くの企業はその解析、製造を諦め、プロトタイプISを模し独自のIS製作に着手し始める。

 その間女性の地位向上を目指す権利団体が出来上がり女尊男卑の社会構図を作ろうと画策するも魔導師に対抗できるとは言え、絶対数が少ないISでは勝負にならないことから上手く行かず結局消滅したとかなんとか。

 

 そして翌年、再び日本にて世界が震撼する。各国首脳はまた日本か、と憤りを通り越して半ば呆れていたと言われているが詳しいことは知らない。

 日本在住で正体不明の住所不定、無職、ではなく自称科学者の通称Dr.Fなる人物がISコアを男性でも扱えるようにバージョンアップに成功したのだ。更にこの人物、デバイスに関して何世代もの先の技術を提唱し現代の魔導発展に大きく関わった。

 

 その件に関して面白くないと思ったのは他の誰でもないISの生みの親たる篠ノ之・束だ。彼女は独自のネットワークを使いDr.Fの居場所を突き止めようとするがどうもうまくいかなかった。

 彼女は天才(or天災)と呼ばれるタイプの人種で彼女ができないことは無いとされている。そんな彼女ですら居場所を特定できなかった、それどころか探っていることをDr.Fに気づかれ逆にお茶会に誘われたのだ。Dr.Fことジェイル・スカリエッティ(なぜDr.JではなくFなのかはわからない)も篠ノ之・束に興味があったのだろう。

 

 世界最高峰の頭脳二人の会合、他の第三者が知ったら卒倒ものだろうがそれを知るものは当事者を除き存在しない。結果、会って話してみることとなったのだがどうなったかというと――――超意気投合した。これ以上ないくらいに息ピッタリだったとか、お互いの歯車がガッチリとかみ合ったとか。( 天 災 )ジェイル( 変 態 )、常識に囚われないという意味ではある意味お似合いだっただろう。

 

 なんでそんなことを知ってるかって? ……認めたくないが俺の両親がその二人だからだ。興味ないのに急に「二人の出会いは~……」とか惚気だされて嫌でも覚えている。うん、この話は置いておこう、俺の精神的安静の為にも。

 

 しかし一つ面倒事が発生した。いや本来なら他にも沢山あったらしいがとりあえず目立った問題としては日本政府に向けて大亜細亜連合、新ソビエト連邦etc.が篠ノ之・束、及びDr.Fの技術協力を要請した。要約すると「お前らばっかり好き勝手やってないでこっちにもよこせコラァ!」ということだ。

 他の国も同じようなことを思っているだろうが日本と同盟国たる国々は完全ではないにしろその手の情報は開示されているので特別不満に思っているわけではなかった。焦っているのは日本と距離ができてしまっている一部国家である。

 無論日本はこれを拒否した、というか拒否するしかなかった。そもそもその二人の所在を掴むことは困難であり、また自由気ままな為、自分の興味の持ったことしかしない、それもはた迷惑な形で。その結果日本国内で小規模なテロが発生し始めたとかなんとか。

 彼の国々は直接的な関与は否定しているがまあ誰がどう見たってねぇ……。

 

 そして二〇九六年、突如所属不明の艦隊が沖縄へ侵攻を開始した。のちの沖縄海戦と呼ばれる戦闘だ。

 政府はすぐ習志野基地にある魔導師及びISを有する即応部隊の一つ特殊戦闘団――通称〝S〟の投入を決定。

 上陸を阻止しようと沖縄の自衛軍にもすぐスクランブルがかかったが、敵工作員の妨害により対応が遅れてしまう。結果、制海権を掌握され上陸を許した。

 その後、本土から到着した特務作戦群と所属不明部隊が沖縄で戦闘を開始。戦局は五分だったが自衛軍は決定打に欠けていたため前線を押されつつあった。のだが突然現れた所属不明の魔導師及びIS部隊の介入により敵部隊は壊滅。生き残った者の話によるとその正体不明の部隊は僅か十二名からなる部隊だったとか。その後その部隊は青い戦闘衣装を纏っていたことから〝蒼い悪夢(ブルー・ナイトメア)〟と呼ばれ恐れられるようになったとかなんとか。

 

 ……はい、俺もそのメンバーの一人です。当時十三歳だというのになかなか刺激的な経験ができた、というか束も「ちょっと羽虫が目障りだから消して来てよ」なんて笑顔で子供に頼むか、普通? 十二名、正確にはオペレーターも含めると十三名は俺の家族です。姉十二人で末っ子弟一人の生活はとても大変です、可愛がり(物理)な方が多くて毎日阿鼻叫喚だった。

 尤も俺と違って束から生まれたわけではなくその十二人の身体は魔導とISの融合体であり生身とは言い難い、人工的に作られた子達なわけだ。どこのマッドなサイエンティストだと小一時間問い詰めたくなるが束とジェイルの(ロマン)の結晶であり彼女達への溺愛っぷりを見たら生まれなんてあんまり関係ないんだなと思えるよ。因みに全員女性、これはきっとジェイルの趣味だろう、あの変態。

 

 まあそういうこともあって正体不明の超精鋭部隊(自分で言ってて恥ずかしい)の活躍により被害は大きくならずに済んだ。因みに日本非公式部隊らしいです、バレたら重罪ってレベルじゃないだろこれ。一家族が持つ戦力じゃねーぞオイ。

 また後で聞いた話だが同時期に佐渡の方にも小規模だが正体不明の部隊が展開していたらしい。詳しいことはわからないがそっちは数が少ないため十師族へ情報を流して撃退させたとかなんとか。

 

 そして平和になったなーと思った翌年また発表があった、もちろん日本で。日本政府の悩みの種なんじゃないかなあいつら。

 発表したのは今まで行方不明だった篠ノ之・束であったが、その計画はDr.Fとの共同だというから世界は大騒ぎ。二人の関係性は不明なままだったが内容もまたとんでもないもので軌道エレベーターの建設計画、通称OEPだ。

 

 現在エネルギー問題は魔導技術のお陰でだいぶ安定しているが完全ではない。特に遅れがちな国は旧エネルギー資源を巡り泥沼と化していた。それをどうにかするため太陽から無尽蔵のエネルギーを入手するプランだった。

 そしてその試作一号機建造の場所は旧海鳴市、現在は流れ込んだ海水により沈んだ場所だった。それからスポンサーとなる企業が続々と名乗りを上げ建造を開始した。完成は早くても五十年後くらいらしい。

 まあぶっちゃけるとエネルギー云々は他人を利用するための口実でこの二人は単純に宇宙に行きたいらしい。だったらシャトルで宇宙の彼方まで飛んで行ってしまえ、そして二度と戻ってくるな。

 

 そして二〇九九年現代、間違いが重なり続け出来上がった世界に俺は生きてる。俺の存在は非常にデリケートな物らしく(まあ主に両親二人がキチガイ入ってるせいなのだが)表で生きる際は偽名と偽の経歴で生きている。

 束の逃亡生活の際に知り合ったとされる十師族の一つ〝四葉(よつば)家〟が手を貸してくれたのだ。何気に当主とは幼少期の頃に面識もあったらしいが実はよく覚えていない。そしてどう言い包めたのかわからないが表向きは司波( し ば )家が俺の生まれ育った家系となっている。尤もその家庭も大いに問題を抱えているのだが。

 

 司波家の父親こと司波・龍郎(たつろう)は婚約者である四葉・深夜( み や )を沖縄海戦で亡くした半年後には愛人と再婚。それが原因で娘であり俺の義妹こと司波・深雪(みゆき)は父親を毛嫌いしていた。父親は愛人宅、深雪は別な家で一人暮らしをしていたりと結構酷い有様だ。まあ、経歴だけの家族なので俺は龍郎氏に対し何の感情も持ってはいないが。

 

 沖縄海戦以来、本来なら俺もその家で深雪と一緒に過ごす予定だったが戸籍はそのままで結局二人一緒に俺の実家で生活していた。

 これじゃどっちが経歴を偽ってる立場かわからん。まあ束も了承して深雪の事気に入ってたからいいんじゃないかな。しかも姉たちは深雪にめっちゃ甘いし俺の時と大違いだよホント。魔導やISに関しても手取り足取り教えていたし俺の時なんて喰らって覚えろとか超脳筋理論だったのに酷い差だ。

 父親のことがあってか深雪は俺に異様に懐いた。まあ姉しかいなかった身としては妹がいる生活というのは新鮮だったわけで悪くなかった。

 

 またコネにより俺はIAIの研究局にバイト先としてよく世話になっている。経歴上の父親である龍郎氏の運営するFLTでもよかったのだがIAIは魔導だけではなくIS関連に手を出していたからだ。

 両親の英才教育(笑)のせいでデバイスやISに関しては人並み以上に技術と知識があるためその手の仕事なら手伝える。というかそこの主任と一緒にいつの間にか自社ブランドとしてデバイスを手掛けていたりとわりとやりたい放題やってる気がする。

 非常識()非常識(ジェイル)が合わさった結果、一変して常識人()が生まれたと思ったのだが、これがあの二人の血筋か……。

 

 小学校はもちろん中学すらまともに通ったことがない。書類上は通っていたことになっているのだが特待生的な立場で定期的にあるテストの答案を出すだけだった。そして俺は義務教育終了に伴いそのまま高校も通わず遊び呆ける、もとい研究を続けるつもりだった。

 そこで声を掛けてきたのが四葉家の当主だ。噛み砕いて言うと深雪と一緒に高校に通ってほしいとのこと。当然面倒だったので却下することにした。勉学についてはもちろん魔導関係及びIS関係について他人から学ぶ必要性がないので行くだけ時間の無駄である、だったらデバイスの一つでも弄る方が建設的だ。OEPの方もあるし。

 しかし声に出すことは叶わなかった。義妹こと深雪が腕にしがみついて涙目で懇願してきたのだ。あれはズルい。これが(バカ)姉達(暴力女)(五番目の姉は除く)だったら鼻で笑い振りほどくところだが(尤もその後教育という名の制裁が起きるが)そうもいかない。どうしたものかと悩んだところでいきなりジェイルから通信が入った。要件はいたってシンプル、高校へ進学しろ。お前は何を言っているんだ。

 

 そして四月、俺――篠ノ之・(ゆう)もとい司波・結は紆余曲折ありながらも魔導科とIS科、そして普通科の存在する複合学園都市駒王学園高等部へと入学することとなった。

 

 




 

※1――自衛隊から自衛軍への改名は日本国憲法第九条により
 1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 とある。これは2項で述べられている〝戦力〟があくまで1項に対して〝のみ〟適用されている為、軍そのものの保持を禁止しているわけではない。〝国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段しない軍〟であれば所有してもよいという解釈になった。
 故に戦争をしない軍体、あくまで専守防衛を主とし、自衛権を行使する軍は許容される。また交戦権を保持しないが、戦闘は積極的自衛権の行使となる為これに違反しないとされている。

 積極的自衛権の行使は自国、及び同盟に危機が迫っていると判断した場合、攻撃が可能となる。これにより領域侵犯を行った敵に対し先制攻撃を行えることとなる。しかしあくまで自衛権である為、報復やそれに準ずる行動を行うことはできない。
 第三次世界大戦のおり、日本が二度の侵攻のみで世界的に見て軽微で済んだのはあくまで積極的に戦争に参加しなかったからという考えが根強く残っている為、以後九条の改正は議会を通らなくなった。


 これはあくまで作中での設定です。現実と一緒にしないでね。お兄さんとの約束だゾ☆

 
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