マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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俺はストーリーを読むのが好きなわけじゃねェ、爽快感のあるバトルシーンが好きなんだよォッ!
というノリで、基本的に書いてます。昔から戦闘シーンを書くのがとにかく大好きだったもので。というわけで、マグサリオンがひたすら戦っていく内容ですが、どうぞお楽しみください。


第一陣 殺塵鬼

 

男の生涯は殺戮に満ちていた、誰であろうと殺す。敵であろうと、味方であろうと、その業を見極めて晒し、理解した上で殺す。

これこそ冥府魔道を往く凶剣、第一神座において最強の座へと至ったマグサリオンという男の生き様である。

 

「……ここは?」

 

そんな彼が決戦の時まで深奥に控えているはずが、気が付けば何処かの神殿の中にある、闘技場の様な場所の真ん中に立っていた。

加えて、何処となく無数の視線を浴びてると感じとる。其処に敵意や侮蔑、或いは嘲笑等と数多の色が織り混ざった様な雰囲気を感じさせるが、どちらにせよ本人からしたら不愉快極まりない状況だ。しかし視線がある以上、これから起こる出来事が何が察しがついた。いいや、これは所謂茶番劇。決戦を前に控えた幕間と言うべきか。ある種いつも通りと言われればその通りだろう。

 

「なるほど、俺が屑と殺し合う姿が見たいか?趣味の悪い……俺は殺すことを決して好んではないのだが、まあ良いだろう。こうしてこの場に立った以上やることはやってやる、但し貴様らの期待通りにことが運ぶと思うなよ。」

 

そう言い放ちながらマグサリオンは肩に剣を担ぎ、視線の先にある扉が開かられるのを見た。そし周囲の視線から熱狂が帯び始めた。

そう、今から待ちに待った闘技が始まるのだと、視線の者達は期待に満ちていると確信する。するとそこから、赤い甲冑の鬼が現れた。

 

「ほう、これはこれは。随分と男前な騎士様が居るじゃねェか。」

「………」

「オイオイ、そんな仏頂面するなよ。湿っぽい空気は好みじゃねェよ。俺はカーネイジと言うだが、お前さんの名は?」

「御託は良い、さっさと来い。楽に死ねると思うなよ。」

「おいおい、名前を教えてくれないのかよ。へっ、無愛想なこって。それじゃあ遠慮なくその言葉に甘えさせてもらおうかァッ!」

 

戦意を露わにカーネイジはその巨体に似合わない速度で疾走する、その速度は亜音速に到達し、轍の如き亀裂を闘技場に刻んでいく。そして巨大な爪を振り上げながら、一気にその速度を乗せた一撃をマグサリオンへと叩き込まんと迫り来る。

それに対してマグサリオンは、閉じぬ瞳でその一撃を見定めれば迎撃する形で剣を振り上げた。すると巨大な金属音と共に火花を散らせば、カーネイジの巨体が少し浮かび上がった。

 

「ぬォッ!?お前さん、見かけによらず力持ちだな。ハッハッハッ、こいつは敵わねェな。だが、こいつは良い戦になりそうだなァ。ああ、しかし……哀しいかな、嘆かわしいかな。結局俺らは殺し合う定め、この至高の戦はたった一度でしか味わえない。なあ、お前さんもそう思わないか?」

「……だったら何だ、一緒に不殺に目覚めましょうってか?」

「生憎とそうはいかん、俺は死んだ戦友と約束したんだよ。聖戦の暁に、真なる勝利を墓前に捧げるとな。貴公程の戦士の首、捧げれば弔いになるってものよ。」

「………」

「故にさあ、どうか見届けてほしい。研鑽の重ねた我が御技を受け取ってくれェッ!」

 

刹那、カーネイジから暗黒の波動が全身から発生する。それに触れた瓦礫が、初めから無かったように消失した。その本質は物質分解能力、無機物有機物であろうとも暗黒に触れたものを瞬時に分解していく力であり、それを赤鬼は全身に身を纏っていた。まさに攻防一体、大量殺戮を齎すカーネイジの本領発揮が始まる。

 

Disaster Carnage(義なく仁なく偽りなく、死虐に殉じる戦神)

 

暗黒を纏った爪を上下左右に振り回す、それをマグサリオンは獣の如き乱雑な動きながらも、正面から剣で迎え撃ち、時には攻撃の間隙を見定めて其処へ潜り込んで攻撃を捌いていく。それを見てカーネイジは驚愕と感嘆の声をあげる。

 

「チッ、なんだこりゃ……英雄様の技巧とは違う。だが、どうにも分からねえが上手く当たらねェ。」

「どうした、俺の首を取って戦友の墓前に捧げるんじゃないのか?」

「おかしいだろお前さん、俺の目から見てもその剣技も体捌きも素人のそれだってのに。」

「さて、どうだかな。貴様の腕が純粋に下手くそ、で俺を捉えきれてないだけではないか?」

「チィィッ、その軽口を塞いでやらァッ!」

 

そう言い放てば、カーネイジは暗黒を身に纏った両手を振り上げて、まるで野獣の様に地面へと叩き付けた。その衝撃によってマグサリオンの足場が崩れ、その隙を狙ってカーネイジは抜手を放ち込む。それが直撃して、マグサリオンは数十m先まで吹き飛び壁面へと激突した。

 

「さぁて、こっから仕切り直しだ。妙な手応えだったが、ようやくまともに攻撃を当てられた気がするぜ。さぁて、

「黙れ、臭いんだよ嘘吐きが。」

「ッ!?」

 

壁面から立ち上る土煙を払いながら、マグサリオンはそう言い放つ。

 

 

「いかにも友のためといいながら、舌の根も乾かぬうちに随分と楽しそうに力を振るうではないか。友とやらの為に戦ってるのか、自分の為に戦ってるのかどっちなんだよ?戦闘狂いかと思ったが、どうにも違うな。察するに、昔から殺しが好きな性分だったのだろう。」

「……」

「要はお前は一方的に誰かに対して大好きな殺しをしたいと、そんなところだろう。臭いな、殺戮をしたくてたまらないという腐臭が隠しきれてないぞ。なぁ、そうだろう。」

「フフ、フハハハ………アァアハハハハハハァッーー!!」

 

マグサリオンの指摘を聞き届ければ、赤鬼は身体を震え上がらせながら笑い声を上げた。

 

「最高だよお前さん、正解だ。騙されたまま殺されてくれれば、俺としては万々歳だったんだがな。アンタは立派だ、素敵だ、だから殺されてくれ。そうだとも、俺はただひたすは、純粋に、殺して殺して殺したくて仕方ねェんだよォォォッ!」

「阿呆が」

 

今まで隠し続けていた純粋なる殺意、それを起爆剤とした過去最速にして最強の攻撃が迫り来る。しかしたった一言、マグサリオンがそう言い放てばすれ違い様に剣戟が黒い閃きを放つと同時カーネイジの胴体が両断された。身に纏う暗黒の波動も纏めて。

 

「……あ?」

「俺と対峙した時点で、安らかに死ねるとでも思ったか?考えが浅いんだよ、間抜けが。」

「テメェ、まさか……やめろやめろ、俺を何処に連れていく気が。こ、の、この狂人めがァァァッ!?」

「何処へだと?決まっている、俺の不変に呑み込んでやる。ああ、冥土の土産に教えてやるよ、俺の名はマグサリオン。貴様を殺した男の名だ。」

「うおぉぉぉ、マグサリオン!テメェ、絶対許さねぇぞォォォッ!」

「好きなだけ吼えろ、何度来ようと殺し返してくれる。殺人が趣味の屑に足踏みしてるようでは、俺も程度が知れるというものだ。」

 

そう言い放つと同時に、無慙無愧の剣閃が一瞬にして全方位を覆ってカーネイジを包み込んだ。その果てに其処には何もなく、無と静寂のみが漂っていた。

 

「まずは一体、次は何が来るか。だが誰が来ようとも関係ない、俺の道は生涯不敗。それこそが俺の不変なるもの、誰一人逃しはしない。」

 

闘技場の中心に佇みながら、自身を見ているもの全てに対してそう宣言した。冥府魔道を往く凶剣の殺戮劇が、開幕を告げたのだった。




次回のキャラもまた、シルヴァリオから出すかもしれません。
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