マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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今回はリクエストいただいた相手です。


第十四陣 宇宙的恐怖

「……何か、来るか。」

 

 闘技場に、揺らぎが生じた。マグサリオンがまず感じたのは、それは悪なる存在であること。そして同時に、後天的でありながらも神性とよく似た性質を有していたこと。

 

「……あァ、何だここは?……ほう、なるほどな。怪人協会の連中みたいな、屑な連中の視線が感じるが……諸悪の権化はお前と言うわけだ。うんうん、決まりだ。悪の親玉には死を、殺戮パーティの始まりだ。」

「……お前は?」

「俺はガロウ、不吉な未来そのものだ。絶対悪、全ての存在の恐怖の象徴として君臨するものだ。」

「何のためにだ?」

「……何のために、だと?さァな、とりあえずお前は気に入らんからぶっ殺す。」

「……」

 

 まさにそれは、人型の宇宙。しかしそれは形だけであって、目に映る姿はひとのそれではない。かつて殺したナダレと良く似た求道神と言える存在と類似しているのかもしれない。しかしその一方で、決定的に違う性質も有していた。故に異質な人物として捉えつつも、決して動揺するような相手ではないとマグサリオンは判断する。

 だが、ガロウが問い掛けに対して答えた直後、マグサリオンは眉を顰めた。

 

「悪を執行する」

「ならば、俺は悪を喰らう悪として貴様を斬る。」

 

 語るまでもなく、二つの悪は激突を成した。まずガロウから常時放たれているのは、宇宙放射線。簡単に言えば、彼の近くにいるだけで人ならば被曝していずれ死ぬ。だが、それだけで宇宙を絶滅させたマグサリオンの足止めにもならない。故にそれを拳に纏い放つ【全生命根絶拳 核分裂】を、マグサリオンに向けてはなった。

 それを知っていたかのようにマグサリオンは、剣戟を奮い正面から激突した。その結果、まず闘技場が核爆発共に跡形もなく消え去った。

 

「ヘェ、これを喰らってまだ無傷とは感心するな。」

「舐めるな、餓鬼。」

 

 しかし、両者共に無傷。粉塵を払い、ガロウの挑発的な言葉をマグサリオンは鼻で笑うような口調で一蹴する。

 

「お前が強いことは確信した、だがこれには耐えられるかな?」

 

だが、ガロウの攻撃手段はそれだけではない。独特な構えをとりながら、ガロウはマグサリオンと対峙する。

 

借頸(モード)“サイタマ”連続普通のパンチ』

「ッ!?」

 

 瞬間、ガロウの顔面に気の抜けたようなスキンヘッドの男の貌が浮かび上がった。その直後に放たれる、パワーと速度が常識外れな“ただの人間の拳”。だがその拳から生まれた余波は、まるで核ミサイルが連続で撃ち込まれたかのように無数の爆発を生み出す。

 マグサリオンは驚きの表情を浮かべながら回避をし続けるも、軽く被弾をしてしまい大きく吹き飛ぶ。なぜなら原理がわからない、ガロウがコピー能力を使ったことは自体はわかる。しかしコピー先の男の力の原理はどこまでもただの人間業の筈なのに、桁違いなエネルギーが内包されていたのだから。

 

「ハハハ!随分と面食らったな、殴られたのは初めてか?なら、もっと本格的なものを喰らいな。」

 

 マグサリオンが瓦礫を振り払って立ち上がり、それと同時にガロウは借頸の構えを取る。

 ポツポツと降り注ぐ黒い雨、核汚染されたの影響によるものである。そしてガロウの顔に浮かび上がる、件の男の貌。

 

借頸(モード) “サイタマ”マジ殴り』

 

 先ほどのラッシュとは異なり、一発にして一点集中の強打。その威力、速度ともに過去最高。この一撃で確実に殺せるだろうと、ガロウは確信していた。

 だが……

 

「阿呆が」

「ッ!?」

 

 マジ殴りはマグサリオンの顔に吸い込まれるように当たった、だが結果は万全とは言えないだろう。ズレたのだ、ガロウとして芯を狙った一撃が何故か半端な手応えしか伝わらなかった。

 武術を極めた彼の中で連想するのは、流水岩砕拳による受け流し。或いはボクシングのスリッピングアウェイのそれが近しいか、と。どちらにせよ攻撃を受け流す類の技術と確信していた。だが、それを踏まえてもやはりおかしいと感じていた。

 

(こいつ、先のぶつかり合いで分かってたが武に関してはど素人。ジジイやアトミック侍みたいな達人級じゃねェのになんでこんな真似事ができるんだよ!?いや、もしかして……)

「そのパンチは、単に威力と速度が桁違いなだけで隙は見えるんだよ。」

 

 ガロウが動揺で生んだ隙を見定め、マグサリオンはそう言い放ちながら剣を振り切る。狙いは突き出した腕、それを竹を割るように斬り裂いた。

 

「ぐ、うぉぉぉぉぉ!!」

 

 ガロウは苦悶の声を挙げるが、即座に下がり腕を意思の力一つで再生させる。完全に怪人となった彼に、人間的常識はほぼ意味をなさない。そして……

 

「ふ、ふははは……なるほど、なるほどな。見えてきたぜお前の力の源流が。」

「……何?」

「鞘を持たずずっと抜き身の剣、瞬きすらしない眼、その他諸々。察するに、共通して休まず戦い続けることが、お前の力を得るための制約といったところか。その力は死線を見極める類と見た。ヒーロー名鑑にもお前ほどではないにせよ、制約を守ることで力を得るタイプのヒーローは何人もいたからな、要するにそう言うタイプというわけか。」

「ほう、だから何だ?」

「ふふふ、まあ見てろや。」

 

 そう言い放ちながら、ガロウは再び借頸の構えを取る。先ほどと同じように、正体不明の男の力をコピーするのか?

 否、マグサリオンが戒律を遵守していることを彼は推察していた。ならば答えは一つしかない。

 

借頸(モード)“マグサリオン” 絶し不変なる凶剣の冷徹(サォシュヤント・マーフ)

「ッ!」

 

 瞬間、ガロウの顔にマグサリオンの貌が浮かび上がった。その結果、マグサリオンの動きを理解した果てにガロウの脳裏に浮かび上がる第二戒律。自身の戒律がコピーされたことでマグサリオンに動揺が生まれる。その隙をガロウは見逃さない、その瞬間を穿たんと手刀を突きの形で放った。

 頭部に迫る手刀、マグサリオンはそれを咄嗟に頭を横に逸らして回避する。しかし完全とは言えず、肩を穿たれた。動揺が生じたことであるはずのない血肉が爆ぜてしまう。

 

「グッ!」

「はは、なるほどねェ。こりゃ便利な力だなァッ!」

 

 ガロウの笑い声が弾ける、しかしその内心には相応の余裕はほとんどない。何故なら、マグサリオンの戒律を擬似的にコピーしたことで相応の反動も生じていた。

 

(休憩といった安らぎを切り捨てる縛り、か……瞬き禁止、非武装禁止、欠伸やスカしっぺの一つも許さねェってか。想像以上の激痛だぜこれは……こんな狂った縛りをよう守ってるもんだ。面白ェ、それでも俺が上だと証明してやるぜ!)

「死ねェ!」

「お前がなァッ!」

 

 一気に距離を詰め、横薙ぎの一閃をマグサリオン放つ。それを迎撃すべく、もう一度ガロウは第二戒律をコピーし、痛みを気力一つで抑え込んでマグサリオンの隙を見定める。

 横一閃を屈んで回避し、突き上げるかたちで心臓部を手刀で穿たんと放ち込む。

 

「阿呆が」

「なァッ!?」

「俺の力で何を同じ手法を二度もやってやがる。同じことの繰り返しならば、どんな馬鹿だろうとやり返す工夫の一つや二つ思いつくに決まってるだろう。俺を舐めすぎだろう、お前。」

 

 ガロウの手刀は心臓部に届かず、マグサリオンの出した掌で受け止められて阻止された。

 即座に抜け出そうとするも、握りしめられてそれは叶わない。そして空振った死風が、反対側からもう一度放たれる。迎撃すべく構えを取ろうとしたが、ふと不吉な要素をこの瞬間悟った。

 

(こいつの攻撃力、対面した時からずっと俺より高い。さっきの横薙ぎもほぼ反射だから自覚なかったが、直感で力負けしてるからと理解したからだ。何だ、こいつは戦いながら成長しているのか……やば、刃が近、死……)

 

 脳裏に浮かぶ死の文字、それを避けるべく借頸であの男の力を引き摺り出す。片手だけとは言え、それは星をも砕く究極の一撃。

 

借頸(モード)サイタマ 必殺マジシリーズ マジ殴り』

「ッ!」

 

 凶剣と神の拳が激突し、その刹那に超新星爆発が発生した。その余波で周囲の星々が攪拌され、その果てに二人は衛星へと着地し、即座に立ち上がって同時に血を吐き出して向かい合う。マグサリオンの背後には木星があり、神がこの戦いを見下ろしているかのように映っていた。その状況に、思わずガロウは苦笑を浮かべた。

 もっとも、マグサリオンは今もなおほぼ無傷。その一方でガロウは右腕が血染めでボロボロとなっている。やはり、火力においてマグサリオンの方が上なのだ。だが……

 

(フッ、奇しくもアイツとの闘いを少し再現されるなんてな……だが、見えてきたぞ。ん?そういえば、なんか忘れているような……)

「どうした、頭の打ち所でも悪くて苦し紛れの笑みか?そんなに苦しければ、今すぐ殺して楽にしてやるよ。」

「………ハッ、んな見え見えの挑発に乗るかよ。なァに、ようやくお前の全貌が見えてきたから楽しくなってきたんだよ。」

「……ほう?」

 

 興味深そうにマグサリオンは目を細めた、まるでその根拠を話してみろと無言で指し示しているかのように。無論、言葉を交わす間も互いに油断の類はない。一般的なお喋りとは訳が違う、この情報の照らし合わせは両者の今後の戦況を大きく左右させるのだから。

 まず、ガロウからすれば解釈が間違っていれば大きな動揺を生み致命的な隙となる。だが反面、当たっていればマグサリオンの力を完全にコピーを果たすことができ大きな戦力となるからだ。それがどれだけ戦況を大きく動かすかは想像に難しくない。一方でマグサリオンからすれば前述通り、ガロウの解釈が見当違いであれば最大の狙い目。逃す手はなくその時点で殺すことができる。一方で当たっていれば相手の手札を増やすことを許すこととなる。ならばそれらを無視して殺しにかかるのも手段の一つだが、それを出来ないのがマグサリオンという男。何故なら、彼は曖昧でブレた解釈は好まないし許さない。故にガロウがどれだけ自分を理解しているのか見定めなければならないのだ、真に不変なるものとして貫くためにも、そんな妥協や半端に逃げることは許されないのだ。

 

「まず一つ、お前の体はおかしい。

核汚染しない時点でそうだが、まあ耐性のあるヒーローも何人かいたからそういうものと最初は思ってた。だが、何発か当てても肉体を殴った感触がなかった、と思ったら隙を見極めた攻撃を当たれば今度はちゃんと感触があった。なんだそりゃ、まるでトンチンカンだ。と、俺は思ってた。だがどうやら、お前は戦術以外にも自分の体に影響を与える誓約を設けてるようだ。その縛りは……ぶっちゃけよくわからんが、人体を無くすものといったところか。」

「………」

「黙ってるということは、肯定と受け取らせてもらうぜ。もっとも、根底的な部分が曖昧だからその力はコピーできないのが残念だがまあ仕方ねぇわな。」

「御託はいい、話は終わりか?だとしたら、単なる失敗談かよ。」

「まあそう急くなよ、こっからが本番だ。」

 

 苛立ちを隠せないマグサリオンに対し、ガロウは愉快そうに肩を揺らしながら話を続けた。

 

「で、ずっとお前のパワーが俺よりも上回ってたのは、種は俺とお前の殺意を媒介にしてパワーアップしているんだろう?さしずめ、殺意以外の接触は許されない、そんな誓約か。」

「……」

「ビンゴ、だな。あの隙を生みだす力の縛りはどう考えても人間なら不可能、まるで自分を殺戮の兵器にしたようなものだからな。なら、戦闘において避けられない近接接触はどうするかってなったら、そりゃそういう縛りと恩恵にするわな。まあ、おかげで俺としても好都合な力が手に入ったぜ。」

 

 そう言いながらガロウは、もはや見慣れたであろう借頸の構えを取る。何を引き出すかは、もはや語るまでもないだろう。

 同時にマグサリオンは衛星の表面を滑るように駆け出す。

 

借頸(モード)“マグサリオン” 絶し不変なる殺戮の地平(サォシュヤント・アウシェーダル)

 

 闇黒を描く剣に対し、同じく暗黒を生み出す拳が交差する。結果、相打ち。否、本当にそうだろうか?

 小さな差とは言え、マグサリオンと比較して数歩分ガロウが後退していた。単なる誤差、普通ならそう考えるかもしれないがガロウは違った。

 

(……は?嘘だろう、アイツの威力補強の力はちゃんとコピーしたはずだ。ならアイツの殺意を汲み上げた上で、コピーして上書きして返している俺の方が上回るはずだろうが!?)

「どうした、動揺しているぞ。」

 

 コピーしたはずの力の差、それはマグサリオンの無法を象徴する戒律から由来している。より具体的に言うならば、第一戒律は殺意を媒介に他者を生み出す力。故にそこまで理解していないガロウは物量差で押されるわけだが、今の彼には知る由もない。

 しかし、マグサリオンがゆっくり考える余裕を与えるほど優しいわけもなく、ガロウを切り飛ばさんと黒い斬撃波を飛ばしてきた。

 

「くそォ!」

借頸(モード)“ブラスト”』

 

 原因不明である以上、安易に使えない。そう判断したガロウは、ブラストの力である亜空間ホールを展開して斬撃波を遠くへ飛ばそうとした。だが……

 

「ガァッ!?」

 

 あまりのエネルギーに処理が追いつかず、異次元ワープそのものが弾き飛ばされた。それは皮肉にも、かつてガロウ自身がブラストにやった事と同じ結果となっていた。

 

(クソが、あんな斬撃にすら威力補正が働くのかよ!?なら……)

 

 よろめきながら後退する最中、ガロウは再びこちらへと近づくマグサリオンを捉える。ならばと、今度は別の男の貌を浮かび上がらせた。発想を切り替える、隙を生み出し作り出すことはなにも、マグサリオンの専売特許ではないと。

 

借頸(モード)“タンクトップマスター”』

 

 その直後、核爆発を纏わせた拳を目の前の足場へと叩き込んだ。すると足場から核爆発が発生し、足場もろとも吹き飛んだ。当然それにマグサリオンも巻き込まれるが、その瞬間を逃さない。

 

『タンクトップタックル』

 

 そしてガロウは一気に踏み出し、マグサリオンに向かって突撃した。一見すれば単なるタックルだが、確かに動揺を誘う戦術の組み方としては充分だろう。

 一切休まず闘い続けたマグサリオンが相手でなければ。

 

「小さいんだよ」

「ッ!?」

 

 宇宙の端から端を滅尽し続けたマグサリオンにとって、足場の概念なんてほぼ無意味に等しい。両手足で虚空を掴み縦横無尽に駆け抜ける事ができ、ガロウのタックルを目で捉えることは造作でもない。

 故に当たり前に、真正面から剣戟を叩き込まれる

 

「ク、ソがァァァッ!!」

借頸(モード)“閃光のフラッシュ” 流影脚』

 

 ガロウは咄嗟に閃光のフラッシュの技をコピーし、それを活用して剣戟の矛先を横から逸らした。それによってどうにか身体を縦に裂かれる事を防いだ。しかし彼にとって状況は一切好転してない。マグサリオンの攻撃的な力をコピーして自分の力にして優位になるはずなのに、何故こうなってるのか理解不能であり、それが混乱を招いている。

 

(クソが、どうなってやがる……あの力でどうやったらあんな真似が出来るんだよ?こうなったら、とことんまでやってやる!俺は、恐怖の象徴に、絶対悪になるんだ!!)

 

 飛ばされた先でガロウは立ち上がり、まずマグサリオンの足元に亜空間ゲートを展開する。別の場所へ飛ばし隔離しようとする。だが……

 

「くだらん」

 

 マグサリオンは足元に展開されたワープボールを足蹴にし、粉々に砕いた。だが、それはガロウにとっても想定内。

 

(まぁ、そうなるだろうな。アイツも似たようなことはしていた、その程度は覚悟していた。なら……)

 

 覚悟を決め、ガロウはマグサリオンの周囲に無数の亜空間ホールを展開し、そこへ身を投じた。そして転移を繰り返しながら、数多の拳法を放った。

 

『轟気空烈 流水岩砕 爆心解放 疾風鉄斬 核分裂 重力拳』

 

 達人たちの拳法が流星群の如く降り注ぐ。それはマグサリオンにとって未知の拳法、ガロウにとって手応えはあるもののまだ浅い領域と理解していた。だからこそ、更なるダメ出しを押し込んだ。

 

『殺戮地平 凶剣冷徹 怪害神殺拳』

 

 マグサリオンからコピーした力を、自身のオリジナルたる拳法にトレースし、それをマグサリオンへと集中砲火し繰り出す。

 その結果、光をも逃さない暗黒天体の如き空間収縮を生み出し、例えS級ヒーローや災害レベル竜以上の怪人だろうと死にかねない威力が発生していた。

 

「……だから、小さいと言ってる。」

「は……はあァァァ!?」

「その程度で俺を理解したつもりか?ああ、それ以前に絶対悪を自負しておきながら、天からのお恵みで、飼い慣らされた力で胡座をかいてる様なんぞ滑稽だぞ。」

「ッ!何を……ガァッ」

「核爆発、そして数多の流れを己のもとして落とし込む力。猿真似にしてはあまりに道理を無視している。もはやそれは拳法や武といった領域とは乖離しているだろう、敢えて定義するならば……“神通力”とでも?だとしたら、実に茶番だ。」

 

 だが、それでも尚、マグサリオンは生きていた。粉塵を切り払い、閉じぬ瞳をガロウを捉えれば一瞬で間合いを縮めてガロウの心臓部へと刺突を放った。魂を穿つ一撃、痛みすら感じる暇もなく、吐血と同時に常時燃えたぎっていたガロウの殺意と戦意が霧散した。

 マグサリオンの一撃を認識できず、仮にできたとしても渾身の拳法を撃ち込んだ直後なのだからその反動で動けるわけもなく、不可避の一撃だった。

 

(負けた、か……だが、分からねェな。加えて最後の最後に痛い事を言いたい放題しやがって、ムカつくぜ。けどなんでだ、俺がコピーした力とアイツの力、一体どんな差があるんだ?あいつの縛りは確か三つ……いや、待て!もしかして……)

 

 ふと、ガロウに電撃の如き直感が閃く。もしや、見落としていた四番目が存在しているのでは。そう感じた直後に再度、マグサリオンの力の流れを理解せんと探りを入れた。

 直後、その読みは正解だと確信する。

 

(従来の縛りに改良を入れて新たな恩恵、ねぇ。つまりあの力全部に一つ一つ未知数の領域があったと言うわけか。そりゃ小さいと言われるわけだ……だが、何のためにそんな事をしてやがる。俺みたいな奴に絶望を与えるための意地悪か?まさか、そんな訳が……)

 

 そして更に探りを入れた直後、探し求めていた真実に辿り着いた。マグサリオンが改良の果てに目指していたもの、それは……

 

■■(カミ)の予想を超えた存在になる』

「………ハ、ハハハ、ヒャハハハハハハハ!!」

 

 その真実に到達した瞬間、ガロウは思わず笑ってしまった。

 

「……ようやく理解したか、餓鬼。」

「あぁ、悔しいしムカつくが納得した。神を殺すと誓っておきながら神の手先になることを良しとしてしまった俺と、神の思惑すら越えようとしたお前では決定的に違う。」

「そう言う事だ、そしてお前は正確にはガロウ本人ではない。」

「……あァ、何言ってやがる?」

 

 突き刺していた剣をマグサリオンは抜き、そして剣先を向けながら言い放つ。

 

「お前は本体から吹き飛ばされた神通力の残留思念だ、絶対悪だの恐怖の象徴だのご大層な事言っておきながら、目指す目的が曖昧なのが良い証拠だ。」

「ッ!?」

「なんだ、やはり自覚は無かったか。」

「……そうか、なんか忘れている気がしてたがそう言う事だったのかよ。俺自身、何を目指していたのか。そりゃ半端なままじゃ、勝てる勝負も勝てないわな。」

 

 神通力の残滓であったガロウは、不適な笑みを浮かべながらそう呟いた。その直後、マグサリオンに向かって中指を立てながら言い放つ。

 

「じゃあなクソ剣士、もしも本体の俺とあい見えた時せいぜい無様な吠え面晒しやがれ!」

「……フン、負け犬の遠吠えはよく吠えるな。その無様さはしっかり覚えておいてやるよ。」

 

 そう互いに罵り合った直後、ガロウの残滓は宇宙風に乗ってどこかへと消えていった。




ガロウ戦は書いててなんだかんだ、面白かったです。
本編だとサイタマ相手だから実感わきにくかったですが、やはりコピー能力は厄介ですね。


※追記
今回のガロウは、ゼロパンで吹き飛ばされた神からの神通力の残滓が偶然マグサリオンの元へ飛ばされたと言う設定です。その為、本来はサイタマとの戦闘で覚醒や発揮する能力がマグサリオンとの戦闘で、運命力が覚醒して実現されていると言う認識で見てもらえれば幸いです。
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