マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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今回も結構多くの人が知ってるであろう、あの王様となります。


第三陣 英雄王

 

 

DIOを撃破し、再びマグサリオンは新たな敵が現れるのを待っていた。するとDIOと同様、覇者の気質を振り撒く者の気配を感じ取る。

そして入口から現れたのは、DIOと同様に金髪の男。しかし黄金の鎧を着ており、マグサリオンと同様に剣や弓で戦っていた時代の雰囲気を漂わせる。まさに黄金の王者、そう連想させるように。その王の名はギルガメッシュ、古代ウルクの王であり、かつてこの世の全てを支配した人類最古の英雄王である。

 

「ふん、随分と寂れて穢れた神殿に呼ばれたと思えば……我を出迎える輩がこんな狂犬とはな。玉座も用意せず、この犬と我を同じ地平に立たせるとは無礼にも程があるわ。この邂逅の場を設けた者を見かければ、極刑を以って処したいところだ。」

「………」

「おい雑種、この我を言葉をただの無意味な独り言にするつもりか?躾のなってない犬よな。今時の雑種は吠えること出来んのか?ただでさえ、周囲から常に下衆な視線が刺さって苛立っているのだ。詫びの言葉と歓迎の挨拶の一つでも寄越せば、片腕を対価に許してやる。さもなくば殺してやるから死ね。」

「何を勘違いしてやがる?」

 

傲岸に言葉を放つ王に対し、マグサリオンは否定の言葉と同時に剣先を向ける。それはまさに、天に唾を吐く行為に等しいだろう。

 

「死ぬのはお前だ、それとも王の決定だから確定とでも?舐めるなよ屑が、道化の様に無様な悲鳴でも上げながら死ね。」

「………フフ、フハハハハハハハハハッ!吠えたな、薄汚い狂犬めが!ならば良かろう、その喧嘩買ってやる。ああ、釣りはいらん……この我を闘えたことを誇りに、冥土の土産に持っていくが良い!」

「何度も同じとを言わせるな、死ぬのはお前だ。俺の往く道は生涯不敗、こんな所では止まらんのだよ。」

 

こうして英雄王と、凶剣の決戦が始まった。マグサリオンが疾走すると同時に、ギルガメッシュの背後の空間から多数の武具がまるで砲門の様に現れ、そして射出される。これこそが彼の宝具の一つ『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』であり、どれも全てギルガメッシュがかつて集めた宝物の原典。例え未来の物であろうとも、この王の宝物に必ずその原典が収められている。その無数の宝物が射出され、マグサリオンの進路を阻む。

 

「ほう……腕力は確かにある様だな。だが無駄よ、その剣の間合いに我の身体が届かねば無意味。そのまま我が宝物に潰されて死ね。」

 

事実、彼我の距離は確かに圧倒的に離れていた。少なくとも数十mは離れており、マグサリオンがどれだけ瞬間加速を上げようともその進路を阻む様に宝物が無尽蔵に襲いかかってくる。マグサリオンの脚が、肩が、腕が、数多の宝物が貫いて破壊していく。無論、真正面から迫るそれ黙って受けるわけもなく、剣を振り上げて砕いていく。しかしその様子を嘲笑う様に、ギルガメッシュは吐き捨てる。

 

「剣一本で処理できると思ってるのか?無駄よ、数の優劣で初めから限界があったのだ。とはいえ、それが直撃すれば危険なのもまた事実。ならばこれはどうだ?」

「ッ!」

 

ここでギルガメッシュは攻撃の流れを変える。砲門は正面だけでなく、背後からも発射されてくる。それによって背中に宝具が直撃し、多量の血が噴出する。故に立ち止まっていては串刺しにされてしまい、まるで休む余裕すら与えてくれない。もっとも……

 

「阿呆が」

「っ!?何ィッ!?」

 

マグサリオンは最初から……否、兄が姿を消してからその生涯を全て殺戮に注いだ。故に休むことは一切なく、本人も求めることはしなくなった。

世界を呪う様なその言葉と共に漆黒の斬撃を振り下ろした瞬間、剣の範囲分という小規模とはいえギルガメッシュとマグサリオンの間合いという距離が殺され、その分縮まった。咄嗟にギルガメッシュは距離を取ろうとするも、無駄と言わんばかりまた一閃。そしてその分また距離を削られ、次第に間合いが縮まっていく。

 

「おのれ小癪なァッ!」

 

激昂の言葉を発しながら、ギルガメッシュ砲門の数を更に倍増やした。秒間で放たれるそれの量は、既に人の身体を覆って余りあるほど。しかしどれだけ串刺しになろうとも、マグサリオンは前進を止めない。流血も次第に減っており、それを見てギルガメッシュも動きを変えた。

 

「……良かろう、ならば我もやり方を変えるとしよう。我が宝物庫はただ射出して攻撃する為にあるわけではない。」

 

そう言い放つと同時に、一本の剣を取り出す。そしてそれを一振りすれば、地面が一瞬にして凍りマグサリオンの脚ごと凍結させた。

 

「温い」

 

しかし、マグサリオンはそう言い放つと同時に一歩踏み出して氷の地面を一瞬にして粉砕した。

だがそれでも充分な時間ができた、そう言い放つ様にギルガメッシュは両手に黄金の斧を携えながら上空から攻め入った。

 

「オォォォッ!」

「ヌゥッ!」

 

放射場に広がる火花、このギルガメッシュは射撃に重きを置いてるとはいえ決して白兵戦ができないわけではない。故に、直接剣を結んだことで見えてきた部分があった。

 

(此奴、なんて下手くそな剣なのだ。本質的には木の棒を振り回してる小僧と大差ない、その差を埋めて余りあるほどの戦闘勘とパワーがあるだけだ。)

「なんだ、さっきの遠距離戦はしないのか?」

 

そう言い放つと同時に、マグサリオンの剣先が下方から跳ねた。それがギルガメッシュの左肩に直撃し、黄金の鎧の一部を粉砕しつつ血が跳ねた。

 

「なァッ……おのれ、この我に傷なんぞをッ!」

「傷一つくらいでわざわざ騒ぐな、王の癖に随分とデリケートだな。」

(腹立たしい……しかし、此奴の斬撃が察知出来なかった。あんな下手くそな剣戟、我の目で捉えられんなんぞ普通はあり得んはず。ならば、その手の力を持ち合わせてるわけか……)

「どうした、随分と苛ついてる顔だな王様よ。沢山お宝があるのならば、とっておきの一つでも出して見たらどうだ?」

「何だと貴様……エアは我が認めた相手のみに出す物。貴様如き薄汚い駄犬に抜くほど安い物ではないわァァァァッ!」

 

叫びながらギルガメッシュは二本の剣を両手に携え、マグサリオンへ突貫していった。しかし、悉くが空を切る。時に剣を粉砕されつつも、即座に別の宝剣を取り出しては突撃を繰り出す。それでも尚、攻め続けてもマグサリオンに確かな損傷一つをつけられない。まるで、圧倒的戦闘眼でギルガメッシュの隙を正確に見抜いて其処へ入り込んで安全を確保しているように。

 

「馬鹿な、何故このような……貴様の剣技ではそんな真似は……」

「間抜けが、俺に技術が無いから剣技での真っ向勝負ならば勝機があるとでも思ったか?貴様は確かに俺よりも技術面は上かもしれんが、全身から慢心だらけで突き入る隙が幾らでもある。ましてや教科書通りの剣術で実に読みやすい、工夫のない基本なんぞ餓鬼の遊びにも劣るわ。」

「ぐぬぬ……黙れ、慢心せずして何が王かァッ!」

「ならばこのまま死ぬか?」

 

そう言い放ち刺突一閃、今度は左脇腹へと刺さった。激痛が全身を駆け抜け、口から血が垂れ落ちる。慢心し続ける王と決して慢心せぬ剣士、実に相性が悪すぎる対面と言えるだろう。

するとギルガメッシュは怒りの視線を向けるも、即座に諦めたような表情を浮かべた。マグサリオンも何かを察したように刺した箇所から剣を抜き数歩後ろに下がる。そしてギルガメッシュは口を開く。

 

「認めよう……貴様は我が見た剣士の中でも最高峰の武を確かに持っている。我が名はギルガメッシュ、貴様は何という?」

「マグサリオン。」

「良かろう。その名を脳裏に刻み、我の本気を見せてやろう。さあ、目覚めるが良いエアよ!貴様に相応しき舞台、世界最強の剣士が目の前にいるぞッ!」

 

そう言い放つと、王律剣バヴ=イルを回せば魔術回路が広がって収束しギルガメッシュの手元に乖離剣エアが握られていた。そして正面にかざし地面に突き刺せば強烈な回転と同時に周囲の景色も削られるように苛烈な空間へと変わっていきその果てに宇宙空間のような景色へと変わった。

 

「原初を語る。元素は混ざり、固まり、万象織り成す星を生む。」

 

その果てにエアを中心にギルガメッシュの頭上に、三層の世界の断絶現象を引き起こすエネルギー力場が発生していた。それはもはや人を殺す兵器から逸脱しており、太陽系を飲み込んでも余りあるほど。

 

「貴様には天の理を示してやろう、死して拝せよ!

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』」

 

乖離剣エアの剣先がマグサリオンへと向けられれば、巨大な断絶現象がマグサリオンへと迫っていった。それをさながら、無数の星を飲み込むブラックホールの様に。

距離を取る?空間転移で逃げる?そんな逃げ場を取るという選択肢、世界そのものに牙を剥くこの脅威を前には無意味な選択。ならば、マグサリオンはどうするのか?

 

「慢心だらけの王らしく、派手な一発だな。良いだろう、ならば俺はそれを超えていくだけだ!」

 

マグサリオンがその言葉を告げ、次いで振り下ろした一閃はもはや斬撃という概念をも逸脱した究極の一振りだった。無限の殺意から放たれるそれは、エアから放たれる断絶現象を両断した。砕け散る万象、三層から織りなす螺旋は木っ端微塵に破壊されていった。その光景はもはや、奇跡としか言いようがなかった。

 

「フフフ、ハハハハハハ!フハハハハハハハハハハハハハハハー!!」

 

その光景を前に、ギルガメッシュは愉快な笑い声をあげていた。巻き込まれた斬撃から走る痛みは、もはや忘れてしまったかのように。そして次第に自分の姿が透けていき、マグサリオンと向き合って言い放つ。

 

「褒めて遣わす、マグサリオンよ。実に充実した一戦であった。また合間見えれば我をさらに楽しませよ。」

「負けたというのにか?そもそも二度も会えると思うな馬鹿が、さっさと死ね。」

「戯け、万象結果が全てというならば全て生まれ出でた時点で無価値というもの。ならば納得のいく終わりを迎えたというならば、大笑いを出して退場してこそ華があるというものよ。派手さ伴っての王道と知るが良い。」

「……貴様の決まり事に従う気はない。」

「従わんか、我がルールだぞ。だが……貴様の魔道というのはそういうものか。まさに否定の極みよ。」

 

ギルガメッシュの言葉を聞き、マグサリオンは眉を顰めた。

 

「貴様……」

「気づいてなかったとでも?戯け、我はこの世の全てを手に入れた。故に人の業を見定めるこの観察眼も一級品よ……貴様は人と言えぬだろうがな。」

「……なるほど、王と自負するだけある。」

「そういうわけだ、また次の機会があれば今度は酒を飲み交わしてから再戦といこうか。従わぬというならば、無理矢理にでも従わせてやるわ!フハハハハハハハ!」

 

そんな高笑いを残しながら、ギルガメッシュはこの場から退場していった。その姿を見送り、息を吐き捨てながらマグサリオンは言った。

 

「我儘な王だ、笑えんことを最後の最後に残しやがって。なんて傍迷惑な奴だ。」

 

と、辟易したような言葉を言わずにはいられなかった。

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