マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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皆さんお久しぶりです、ようやく更新できました。おそらくこれが、年内最後の更新になるかもしれませんね。


第二十八陣 無尽なる鋼鉄の戦鬼

 

 

 

 

 闘技場の中心に座するマグサリオン、その場に機械音が鳴る。それは次第に大きくなるに連れて、マグサリオンの視界に何者かが現れる。

 察しの通り機械生命体……正確には人型であるものの尻尾を生やした異形の人物が現れ声を掛けてきた。彼の名はクウラ、とある世界の宇宙人である。

 

「ここの主はお前だな?」

「……」

「違うとしても、そう判断させてもらうぞ。少なくともそのうちにあるパワーは相当のものだからな、お前を倒してこの俺が宇宙最強と証明するためにな。」

 

 そう言いながらクウラの目がマグサリオンを捉えた直後、彼我の空間に僅かな閃光が走った。常人ならばまず見過ごしてしまう様な現象だが、その閃光が到達するよりも早くマグサリオンは疾走した。

 直後、さっきまでマグサリオンがいた場所に爆発が起きた。まるで地雷が不意に爆発したかのように。もしも、クウラの視線上に居ればマグサリオンの身体が一人でに爆発してただろう。

 

「ほう……」

「死ね。」

 

 そしてすかさずクウラの懐に忍び込んだマグサリオン、下方から跳ね上がる剣戟がクウラの胴体を断ち切らんと迫り来る。

 しかし、その攻めに動揺することなく回避する。直後にすかさずマグサリオンは背後に回るが、クウラは目線のみでマグサリオンの動きを捉えていた。

 

「そこか。」

「チッ……」

 

 交差する拳と剣、怒涛のラッシュが両者によって交換されるものの両者共に一切の被弾がない。マグサリオンの攻撃は全て死角、人体的には対処困難な箇所から攻めてるにも関わらず、まるでクウラは演算処理でもするかの様に淡々と回避、時には軌道を逸らし返しの拳を放ち続ける。

 

「ほう、不器用さは否めないが下等生物の分際でよくここまで出来るものだな……」

「ほざけ、いつまでも同じ展開だと思うなよ屑が!」

 

 すかさずマグサリオンは剣を振り上げて、クウラの両腕を強引に開く。そしてすかさず振り下ろし、クウラを両断せんと剣戟を差し込む。

 咄嗟にクウラはガードし、剣戟の軌道を逸らすもののその犠牲として両腕は砕かれた。故に次こそ狙い目、そう思った時だった。

 

「隙を晒したのは貴様だ。」

「っ!?」

 

 両腕の粉砕を一才気にした様子を見せずに、クウラの視線から再び閃光が駆け抜けてマグサリオンの顔面へと飛んだ。

 直後、マグサリオンの身体が大爆発。同時に砕けたはずのクウラの腕から触手の様にコードが伸び腕が再生を果たした。粉塵を剣で振り払い、マグサリオンは口から血を少し垂らしながらクウラを見据える。

 

「ほう、存外タフだな………いや、違うな。貴様の身体は妙な構造をしているな、まるで生物とは思えん反応をしているが、俺の攻撃はしっかり届いている。詳細は掴めんが、まあ良い。俺の敵ではあるまい。」

「余裕だな、そう言ってられるのも今のうちだ。」

 

 そう言い放ち、マグサリオンは疾走しクウラとの距離を詰めようとする。

 

「甘いな、ハッ!」

 

 しかしクウラが掌を見せ、気迫と共に声を上げればマグサリオンはまるで突風に煽られるかの様に1人でに吹き飛んだ。そしてすかさずクウラが逆に距離を一瞬で詰めれば、拳の追撃でマグサリオンを壁面へと叩きつけた。

 しかしこれで終わりではない、クウラは壁面に沈んだマグサリオンを視線で捉え、標準を定める。すると再び、空中に閃光が走りマグサリオンへと向かった。

 

「それは既に見たぞ。」

 

 しかし、瓦礫の山から伸びたマグサリオンの腕と剣。それが横薙ぎに振るわれると同時に、その閃光は掻き消された。

 

「ほう……奇妙なやり方をするものだ。」

 

 更に、それで終わりではない。マグサリオンは閃光だけでなく、空間諸共切り裂いたのだ。それは即ち、その分の距離が消えたことで一気に距離を詰めることが可能となる。故に瓦礫を粉微塵にし、クウラへと猛速度で距離を詰める。それを見届けてクウラは感嘆の声を上げるものの……

 

「だろうな、だがコレを見るのは初めてだろう?」

「ッ!」

 

 だが、クウラはすでに次の攻撃へと移っていた。指一本を上空に掲げれば、そこにエネルギーが凝縮される。だがそれが次第に太陽を連想させるほどの巨大な光球“スーパーノヴァ”となり、マグサリオンに向けて振り下ろされた。

 それは地上に直撃すれば本来は星を滅ぼす大爆発を引き起こす。だが、クウラはこの星を侵略する為に爆破範囲は抑えてるものの、直撃すれば星殺しに匹敵するダメージを負うことをマグサリオンは直感で察していた。

 

「………」

 

 星殺しの攻撃で臆したりはしない、だがマグサリオンは慢心とは無縁である。故にこの瞬間に、最大火力を高めた攻撃で切り裂かんと攻撃の密度を高める。

 

「消し飛ばせ(アラストール)」

 

 瞬間的に現在の攻撃力を四乗に重ね、同時に重化したまま強引に瞬間移動を行使する。その結果、一瞬でスーパーノヴァの箇所まで転移し、爆散と斬撃が重なった攻撃となる。

 

「なんだと……」

 

 それは自爆特攻に等しく、発動したマグサリオン本人もダメージを負ってるがまるで意に介してない。そしてそれを見ていたクウラは少し驚いたような顔をしていた。だがそれは、スーパーノヴァを破壊したからではなかった。

 

「貴様も出来るのか、瞬間移動を……」

「……貴様も?」

 

 マグサリオンは、思わず鸚鵡返しをしてしまった。だがその直後に、クウラは一瞬にしてマグサリオンの背後へと回っていた。

 だが、マグサリオンの閉じない瞳は彼の場所を即座に突き止めた。即ち背後へと“瞬間移動”したことをすかさず見抜いたのだ。しかし、それでもギリギリ迎撃できる程度だった。

 

「初見でこれを見抜くか!」

「舐めるなよ屑がァッ!」

 

 怒号に織り混ざる金属音、それが闘技場に鳴り響いたかと思えばすぐさま両者の姿が消えた。まさに閃光の世界に入っており、その最中で連続して指先からレーザーを放っている。

 マグサリオンは追いかける形でレーザーを切り裂いており、次第にその距離は詰まっていた。そして、剣の射程距離に入ればクウラも迎撃する形で拳を振り上げる。その拳ごと、マグサリオンは破壊しようと振り切ろうとした。

 

「……フッ」

「ッ!?」

 

 だが、その直前でクウラは拳を止め、逆に引いた。その奇妙な動きに警戒したマグサリオンは、咄嗟の判断で強引に攻撃を止めた。それは俗に言うフェイントであり、クウラの狙いは次の手にあった。

 直後、クウラは瞬間移動と同時にマグサリオン背後へと移動、同時に剣の届かない位置まで行く。その直後に両眼から赤い光線が放たれる。咄嗟にマグサリオンは強引に片手でレーザーを弾き飛ばすが、向かった先の闘技場の壁面が大爆発を引き起こして灰燼となった。

 

「ほう、今の反応するのか。貴様、やはり良い眼をしているな。」

「だったら何だ?」

「ククク、強がったところで無駄だ。目のいい奴ほど見えるものに囚われるからな、今のやり取りでおまえも実感したはずだ。」

「……御託はいい、やるならさっさとしろ。」

「全く、愚かな下等生物だ……ならば、その愚かさを抱いたまま逝くが良いッ!」

 

 再びクウラは叫びと共に姿を消した、マグサリオンは自身の背後へと回った事を補足して振り向くと同時に刺突を放ちクウラの腕をかち上げた。

 腕が上がりつつ後退するクウラ、それに対してそのまま追撃する、と見せかけて今度はマグサリオンが背後へと回り込んだ。

 

「無駄だ。」

 

 しかし短いモーションでクウラは裏拳を放ち、マグサリオンの攻撃を止める。そのまますかさず尻尾をムチの様に放ち、マグサリオンをへと叩き付ける。

 マグサリオンは尻尾を受け止めるものの、すかさずそれが自身の首へと巻きつこうと始めた。だが、その直前にすり抜けて再びクウラへと接近する。

 

「チッ、無駄な事を…」

 

 それを迎撃する様に、再びクウラが指からレーザーを放つ。しかしマグサリオンもそれに応える様に、斬風を飛ばしてレーザーを迎撃する。結果、相殺となり煙が立ち込めた。

 そして同時に、クウラとマグサリオンはその煙の中へと入り込み激突した。剣と鉄拳の音が鳴り響き、地上から空中へと激突が移動し始めた。

 

(……しかし気に食わん、こうして剣と拳をぶつければ常に火力で俺の上をいきやがる。ビッグゲテスターによって火力の学習が行われてるはずなのに、また更にその上をいきやがった。

まあ良い、何度でもその火力を学習させれば良いだけのことだ。)

 

 攻防を繰り広げながら、クウラはそう考えていた。正面衝突では押し負けるからといって、勝負に負けるとは限らない。如何なる勝負でも言える理屈であり、事実クウラは巧みに断ち割ってマグサリオンを翻弄していた。故にこのまま、緩やかに立ち回りつつマグサリオンの体を削る事を想定していた。

 

「やはりか、貴様は欠損した後のダメージを学習しその機械の体と戦闘力を強化しているのだな?」

「……ほう?驚いたな、俺の構造を見抜いたか。」

「腕を破壊した時と比べて、剣の手応えが明らかに違ってたからな。」

「それはまた、大した洞察力だな。だが分かったところでどうなると……」

「いいや、それさえ分かれば問題ない。」

「……何だと?」

 

 マグサリオンがクウラに対してそう言い放てば、クウラは内側から説明困難な不穏な気配を感じ始めた。単なる言葉を交えた答え合わせ、説明して仕舞えばそれで終わり。分かったところで、この男にどうこうする力が備わってるはずもない。

 故に勝利はこちらに傾いている、そう判断し再び指からレーザーを放つ。だが、その直後だった。

 

(……何?)

 

 今までとは比較にならない速度をマグサリオンは繰り出し、一気にクウラの懐へと忍び込んだ。補足自体は出来ていた、しかし意識の隙間を差し込まれたこの刹那にワンテンポ反応が遅れたのだ。加えてしっかりと学習強化された腕でガードしたのに、それを無意味だと言わんばかりに野菜でも割くようにその腕が切断され粉々となったのだった。

 マグサリオンの剣戟によって砕けた腕を見て、クウラは僅かに顔を歪めて予想外と言わんばかり表情が浮かび上がる。だけど直後に不適な笑みを浮かべれば、砕けた部分からコードが伸び始め……

 

「再生し強化される、それは既に知っている。かならば再生され、学習されるよりも早く殺せば良い。」

「何だと!?」

「タイプは違えど生憎と、似た相手との経験は何度もあるのでな。」

 

 マグサリオンが続けていったその言葉に、クウラは驚愕に染まり上がる。マグサリオンの言った相手とは即ち、かの闘争の化身なのは言うまでもないだろう。

 そしてすかさず放たれる剣戟一閃、傷口に更なる毒を塗るかのようにコードが伸びようとした腕部分に剣を差し込んだ。再生力を超える破壊、それを以ってクウラを殺さんと闇黒の斬風が渦巻く。

 

「き、キサマッ!オォ、オォォォッ!?」

 

 腕が砕け、胴と下半身が分離し、下半身が粉微塵となり、そして首が刎ねられた。その全てが機械部品であり、血の一滴も流れない。

 しかし明確な殺戮であり、クウラはバラバラとなっていく身体を止めることが叶わない。その果ての目視不可な領域まで裁断され、完全にクウラの存在が消滅した。これによって唐突な来訪者による殺陣が終わりとなる……

 

「……で、良い加減そろそろ出てこいよ屑共。」

『ほぅ……既に気付いていたとは大した奴だな。』

 

 その筈だった。だが闘技場の頭頂部、そこから声が聞こえ姿を表したのは全く同じ姿をしたクウラだった。

 

『それで、まさかお前一人でこの数をどうにかする気か?お前がどれだけ強化されようとも、ビッグゲテスターの科学力で学習し凌駕する。それは他の個体も同様にな。』

「…‥」

 

 しかも、それは一人だけじゃなかった。2人3人……否、それらはマグサリオンの視界には収まらないほどの圧倒的数の暴力がそこにあった。ましてや全てが学習し成長し続けるというのならば、絶望して然るべきだろう。

 

「どうにか?笑わせるな、機械風情が。」

『……なんだと?』

「全員残らず殺す、逃げられると思うなよ屑どもがッ!」

『ッ、良い気になるなよ下等生物風情がァッ!』

 

 マグサリオンが暗黒の斬風を巻けば、クウラ達の大半が一斉にマグサリオンに向かって襲いかかる。黒い斬撃が一体のクウラを切り裂いたかと思えば、瞬間移動によって空振りとなる。その直後に、背後のクウラの目から閃光が走る。咄嗟にそれに反応し、マグサリオンは避けようとするがその直後に横からクウラの尻尾が伸び首を締め上げられる。そしてすかさず周囲をクウラ達に囲まれて目の閃光、或いは破壊光線が放たれて特大の爆破をマグサリオンは喰らってしまう。

 まさに、あまりにも理不尽すぎる数の暴力。いくら百戦錬磨のマグサリオンと言えど、瞬時の乱れ交差する戦線を処理するのは非常に困難と言えるだろう。クウラの一体を見定めて殺すために剣を振り下ろそうとしたら、瞬間移動されその背後にいたクウラの目から閃光が放たれ爆発を喰らってしまう。それでも尚、マグサリオンは強引に前進し攻撃を放ったクウラに剣を振り下ろして殺害する。だが、そのダメージを学習されて更に強化されたクウラに背後から殴られる。まさに負の連鎖、波状攻撃を止めるためには殺すしかないが、殺せば殺すだけクウラが強化されていく。まさに終わらない無限の螺旋回廊の如き戦況で絶望的な状況と言えるだろう。

 

(チッ、それでも気に食わん……)

 

 しかしその一方で、クウラ側から見て何の問題もないかと言われるとそんなことはなかった。何故なら……

 

(幾らダメージを学習しても、必ずコイツの攻撃力の方が上なのだ。どこからそんな力を供給しているのだ……)

 

 まず一つ目として、そんな疑問が浮かび上がったのだ。これは彼を知るものであれば第一戒律が関わっており、無数のクウラから放たれる殺意が全てマグサリオンの攻撃力へと変換されているのだ。こればかりは本人から懇切丁寧に説明されない限りは、察するのは非常に困難と言えるだろう。

 

(そして大したダメージが確認されない、ある程度の流血は見えるが……こいつ、どんな身体をしてやがるのだ?)

 

 もう一つは、マグサリオンにどれだけ攻撃を放ってもダメージが大して通ってるようには思えないこと。これもまた推察が困難であり、ダメージがある程度通ってる以上は攻撃し続けるほかないと結論を出すしかなかった。

 

「では……そろそろ仕上げにするか。」

 

 そう言い放った直後、マグサリオンを囲む数十体のクウラたちが指を上空に掲げる。するとその指先から、赤い球体が発生しそれがマグサリオンに向けて放たれた。その名は“スーパーノヴァ”と言い、単なる巨大な光弾ではなく、その一つ取ってしても惑星の破壊が可能である。

 それは何発も、無数とすら言える星殺しの猛威がマグサリオンへと襲い掛かる。だが……

 

「それで終わりか?」

「な、に……?」

 

 暗黒の斬撃が、巨大な黒い竜巻の如く死線を描いて迫り来るスーパーノヴァを悉く切り裂いていく。例え星殺しであろうとも、マグサリオンの進撃が止まらない。

 

「見込みが甘いな!」

「チッ……」

 

 だが、そんなの想定外の減少を前にしてもクウラは揺らがない。数体のクウラが瞬間移動でマグサリオンの背後へと回り込み、拳と熱線、そしてレーザーが襲い掛かる。瞬間移動の軌跡は視認できてたものの、連続して繰り出される脅威に処理が追いついてない。

 流血はしてないものの、相応のダメージがマグサリオンに襲い掛かる。そして、全方位から一斉に閃光が放たれて連続爆発を起こし畳み掛けようとした時だった。

 

「温い。」

「の、オォ!?」

 

 たが、閃光が被弾よりも早くマグサリオンの剣戟が止まることなくその全てを切り裂いた結果にクウラは瞠目した。

 何故ならば、その過程を全く捕捉できなかったから。ビッグゲテスターの技術力を以ってすれば、捕捉できない存在など居ないと確信していた。しかし、目の前に起きた切断現象はまるでひとりでに起きた現象にしか映らない。無論、その現象を引き起こしたのはマグサリオンだと確信しているが、その姿を捉えきれないのが問題である。

 

「下等生物風情が舐めるなよォッ!」

 

 しかし、それでもクウラは足掻く。数千機のクウラが、レーザーと閃光を織り混ざりマグサリオンに迫り来る。だが、その程度では牽制にし必ずマグサリオンは間を縫うように避け、時には剣どころか拳で弾き飛ばしながら迫り来る。

 

「機械でありながら、その学習能力は確かに大したものだ。」

 

 そして、マグサリオンがその言葉を漏らしたと同時に全てのクウラの視界から彼の姿が失った。

 

「なっ……」

「だが、限度があるのだろう?鉄器が唐突な高音や衝撃に耐性が強くない様に、お前の要であるあの鉄の星はそうした想定外の事象に耐えられない。」

「な、き、貴様………まさか、既にビッグゲテスターを捉えていたのか!?」

 

 そう、マグサリオンはこの闘技場より遥か彼方に位置している異星を瞳に捉えていた。その異星はこの地を完全に支配せんと侵食しており、それがクウラを量産している本体だと見据えていた。その最深部にいるクウラ本体に、戦慄が走る。

 

「お前は宇宙最強を取ると言ってたな?俺はその座には大して興味はないが、折角だから言わせてもらおうか。追いついてみろよよ、屑が。」

「舐めた口効きやがって……ムカつく野郎だァァァッ!!!」

 

 周囲を囲むクウラ達が怒号を吐きながら、全員が一斉にスーパーノヴァを放った。最早この瞬間に殺さねばならないと確信し、徹底して押し潰さんと放つ。だが、その一つ一つを、全て見据えてマグサリオンは切り裂いていく。物理的に、通常の時間軸の流れ的にあり得ないにも関わらずスーパーノヴァが地上に着弾するよりも早く斬滅していく。

 故にクウラは確信する。マグサリオンは既に時間軸から切り離された動きをしており、それはビッグゲテスターの科学力でも捕捉が困難な域であると。その常識破りな動きに、戦慄を禁じ得なかった。

 

(こ、コイツの力を取り込めば俺もビッグゲテスターも別次元の力に目覚めるかもしれない。だが、こんな奴をどうやって倒せば良いのだ!?伝説の超サイヤ人ですらない、コイツは一体……どうやってこんな力を手に入れたと言うのだ?)

「どうした、もう手は尽きたのか?」

 

 数千、数万のクウラが隙間を埋める様に攻撃を放ち続ける。しかし、その尽くが正面から打ち砕かれ、不意を突こうと瞬間移動を織り交ぜた攻撃をするものの移動先よりも早くマグサリオンが移動し、見極められて斬殺されていく。

 その速度ももはや異次元であり、クウラの脳裏に死の一文字が大きく意識するほどに数の減る速度が速くなっていた。数万機もあった筈が、気がつけば百体以下となっており、更に数十ともはや全滅がもう僅かとなっていた。

 

「お前、お前は一体何なのだァッ!?」

「マグサリオン。例え如何なる時代だろうと世界だろうと、宇宙だろうと、全てを皆殺しにする者だ。」

「ならば、お前は俺に殺されるべきなんだァァァッ!」

 

 最後の一機が叫びと共に、指先から過去最高にして最大のスーパーノヴァを放った。これまではこの星を支配する為に威力はともかく破壊範囲を絞った光球を使っていた。

 しかし、これは違う。完全にこの星やその周囲の星々すらも、果てにはビッグゲテスターすら巻き込みかねない一撃となっていた。最早一刻の猶予もないと判断し、ビッグゲテスターは後から時間をかけてでも修復すればいいと想定しての行動だった。故にある種の、自爆特攻地味た攻撃と表現できるだろう。

 

「いいや、俺がお前を殺す。俺の滅尽の剣をその身に刻め。」

 

 マグサリオンは、迫る特大のスーパーノヴァに正面から剣筋を叩き付ける。僅か数刻の鬩ぎ合いの果てに、スーパーノヴァに黒い亀裂が刻まれ、直後に綺麗に両断された。そしてその斬撃はこの場に留まらず、その先にある残り一体のクウラにまで疾走し斬滅すら。

 否、それで終わりですらない。空を割りながら、その遥か彼方まで斬撃が進み続け、地上を侵食するビッグゲテスターに到達。巨大な破壊痕を刻めば、その最深部にいるクウラ本体にまで到達した。

 

「ぐ……う、があァァァァァァッ!!?」

 

 その斬撃がクウラの機械の体へと吸い込まれれば、内から闇黒の光が漏れ、苦悶の声を上げながらクウラとビッグゲテスターは諸共滅びの爆破を引き起こした。

 その光はまるで夜明けの太陽の如く眩い光を放ち、宇宙空間に超新星爆発を連想させる滅びとなっていた。

 

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