マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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最近ワンピもハマってるので、ついつい出してしまいます。特にエースのスピンオフは最高でした。


第四陣 鬼の子

 

 

 

まず感じたのは熱気、そして王者でありながらも何処か自由を求めるような奔放さだった。マグサリオンは、今まで闘ってきた敵と似つつも、どこか違うと推測した。

闘技場の入り口から現れたのは青年、帽子を被っており筋肉質な体格をしている。見た目だけの年齢ならば自分と近いかもしれない。

 

「どうもはじめまして、俺の名はエース。お前が俺と喧嘩してくれる男かい?」

「……」

 

ぺこりとお辞儀しつつ、エースと名乗った男はマグサリオンへとそう問いかけた。しかし返答をせず、その様子を見ればエースはニカっと笑った。

 

「無言か、じゃあ肯定したとして受け取らせてもらうぜ。」

「……何のために戦う?」

「あァ?」

「俺がここで今まで闘った輩は、大概が俺の命を奪わんとする奴等ばかりだった。だがお前は別段、殺しを好んでやるやつには見えん。故に戦う理由がなければ、やる必要性すらないだろう?」

「……なんだなんだ、無愛想な奴かと思えば、変に律儀なやつだな。」

 

マグサリオンの言葉を聞き、エースは呆れた口調でそう言い放つ。そして割拠な笑みを浮かべながら、返答を口にする。

 

「確かに俺は、無駄な殺し合いはやる様な性分じゃねェよ。だが、お前の様な強そうな奴がいれば、自分の力がどこまで届くのか試してェんだ。」

「要は腕試しか。」

「ああ、俺は男だからな。頂を目指してェんだよ。どんな時、どんな場所だって俺は悔いは残さねェ。男なら、夢の為に命を懸けて人生を駆け抜ける……違うか?」

「……ほう」

 

エースの発言を聞き、マグサリオンは珍しくも感心した様な声を出した。それを開戦の合図と受け取ったのか、エースは戦闘態勢へと入り出した。

 

「そういうわけだ、男として、そして海賊としての高みを目指すためにも付き合ってくれよ。」

「いいだろう、そういうノリは嫌いではない。来いよ海賊、呑み込んでやる。」

「上等、じゃあ行くぜェッ!」

 

瞬間、エースの全身から突如炎が帯びた。そして右拳を握りしめ、全力で拳を放てばロケットパンチの様に炎の形をした巨大な炎がマグサリオンへと迫り来る。

この技の名は、エースの海賊としての肩書きに由来する。

 

火拳(ひけん)!」

 

火拳のエース、これが彼の海賊としての通り名である。火の巨拳を前に、マグサリオンはそのまま真正面から刃を刻み、ケーキでも斬るように炎拳を両断した。

 

(炎を斬った?覇気使い……では無さそうだな。どの色も使ってる様子が無ェ。というか、あの太刀筋は……)

「温いな、火の粉は払わせてもらったぞ。それで、曲芸はまさかこれで終わりか?」

「はッ、馬鹿抜かせこの野郎。まだ始まったばかりだろうが。火傷すんなよ甲冑野郎?」

「吠えたな」

 

挑発的な発言をするエース、それに乗る様にマグサリオンは疾走する。それに対してエースは指を銃の様な形にし、その指先から弾丸の様な炎を連射する。

 

火銃(ひがん)ッ!」

「もう一度言う、温いんだよ。」

 

直撃すれば小規模の爆発が起きるが、この程度ではマグサリオンにとっては火傷どころか傷ひとつつかない。超高温の鉄火場を駆け抜けた彼にとっては、温風に等しいだろう。

だが、エースの狙いはそれだけではない。

 

「へッ、好きなだけ受けとけ。こっからが見せ所だぜ?」

 

そう言いながらマグサリオンとの距離が詰まり、約3mまで迫る。その瞬間、エースを中心に周囲に高熱が発生する炎の陣が出来上がる。

 

炎戒(えんかい)

 

それを前にマグサリオンは関係無いと言わんばかりに、炎戒の中へと入り込む。そして一歩踏み出し、エースの眼球目掛けて刺突を放ちこむ。

しかし、それを“先読み”したかの様にエースは目を閉じながらしゃがみ込んで回避した。

 

「やはりな、お前の剣は下手っぴだ。駆け出しのならず者が鉄棒を振り回してるに等しい。」

「……」

「まあ、それを踏まえてもパワーもスピードも半端じゃねェからシャレにならねェが、取り敢えず喰らいやがれッ!火柱(ひばしら)ァッ!」

 

瞬間、地面から巨大な火の柱が出現する。まるで地雷が爆発したかの如く。攻撃の間隙を狙ったカウンター戦法、それを以ってエースは反撃を狙った。

 

「なるほど、少しはやる様だな。」

(めちゃくちゃな剣技とはいえ、俺の火拳を真正面から粉砕するほどの威力だ。直接的なぶつかり合いはヤバい。武装色みたいな攻撃も備えてると予測すれば、一撃だって喰らったら死ぬかもしれん。だったら、戦術とテクニックで上手く押し通すまでだ!)

 

エースはそう考えながら、火柱をマグサリオンへとぶつけていく。しかしそれすらも、押し通して突き進むのがマグサリオン。発生した火柱の中心部、そこに向かって剣を叩きつけた。その衝撃の密度は火柱のそれを凌駕し、アッサリと鎮火させた。既に跳躍してその場から離れてるエースは、その光景を見て驚愕の表情を浮かべる。

 

「なァ!?おまッ、そりゃアリかよ!?」

「逃さん。」

 

跳躍した隙を狙った様に、マグサリオンの剣先が獲物を捉えた蛇の如くエースへと迫る。無論、これは隙を挟み込んだ一撃であり、意識の底から狙った暗殺の御業に等しい。目で捉えて回避するのは無理に等しいだろう。

 

「まずッ……!」

 

エースの首に刃が通り、そして頭部が胴体から離れた。しかし鮮血は舞わず、宙を舞う首は空蝉の様に一欠片の炎となって消失した。

そして着地した胴体はひとりでに動き、首の上が発火すれば、無傷の頭部が生えてきた。それをみたマグサリオンは、特に驚いた様子も見せずに口を開く。

 

「その炎の身体……流動体であることを利用し、俺の剣戟に通り道を作って回避したか。器用な真似をするな。」

「………へへ、これでも結構な修羅場を潜ってるんでな。うまく立ち回らねェと命が幾つあっても足りねェよ。」

 

汗を出しながらも、笑みを浮かべるエース。しかし内心は冷静さが崩れつつあり、心臓も早鳴りしていた。

 

(危ねェ……剣の気配がまるで捉えられんかった。隙を付いた剣の技術か?というかマジでそのまま切り結んでたら死んでたじゃねェか。

なんにせよ、サンキュー、サッチ。お前が見聞色を鍛えることを指摘してなかったら、俺は今頃首が刎ねられてただろうな。チッ、とことん退屈させてくれねェな!)

 

そう言い放ちながらエースは小さな火球を、自分とマグサリオンの周囲へとばら撒く。それはさながら蛍の様に、淡い光を放っている。

 

蛍火(ほたるび)

「……」

 

マグサリオンはその火球に視線を向ければ、突如意志を持ったように襲い掛かってくる。

無論、そのまま棒立ちで受ける訳もなく。マグサリオンは乱雑な足捌きながらも、蛍火の直撃を避けていく。

 

「ッ!?」

 

しかし、ある程度は避けられたものの退路の先に火球が設置されていた。それが直撃してマグサリオンの前身を炎が包み込む。

まるで退路を予測していたかのように、蛍火が迫り来る。それを見に受けてマグサリオンは確信した。

 

「なるほど貴様、“未来”を見たか。」

「お、お前解ったのか。凄いなお前、覇気無しで見聞色の本質を見極めるとはな。」

 

見聞色の覇気を見極めたマグサリオンに、エースは感嘆の声を上げた。だが、続けて不敵な笑みを浮かべながら言い放つ。

 

「だが、解ったからといって解決する問題でもねェ。俺の攻撃は、必ずお前の先に到達する。お前じゃ俺に勝てねェよ。」

「……御託は終わりか?やるならさっさとやれよ。」

「へッ、なら遠慮なく火達磨にしてやるよ。」

 

そう言いながらエースは再び、蛍火を周囲に展開した。そして当然、火球は一人でにマグサリオンへと迫り来る。マグサリオンも迫る最中、退路を見極めてそこを通りつつエースへと前進していく。その速度はまさに亜光速に迫り、第三者からすれば一瞬にしてエースとの距離を一気に縮めると思うだろう。しかし、その途中で見聞色によって先に退路を見極めたエースが、途中に火球を設置する。

 

(これで発火直後に、もう一発ぶち込んでやる。これなら流石に堪えるだろう。)

 

エースはかつて覇気を鍛えてくれたクルーに感謝の言葉をささげる。だが、その予測を踏み躙るかのように、マグサリオンは退路先にある火球を斬り払った。それを見てエースは内心で驚愕の声を上げる。

 

(は?いやいや待て、同じ戦法とはいえあの速度でアレを普通迎撃できるかよ!?と言うかこいつ、炎が直撃してるのに、肌が焦げた様な様子がない。あの親父ですら、表面にちょっとした焦げ跡だってあったのに……)

「馬鹿かお前、同じ手が何度も俺に通用するとでも?」

「クソ、仕方ねェ。神火(しんか)不知火(しらぬい)!」

 

内心驚いているエースを嘲笑う様に、前進しながらマグサリオンは挑発する様にそう言い放つ。エースは追撃のために用意していた攻撃を、驚きつつも躊躇いなくマグサリオンに向かって放ちこむんだ。槍の形をした火柱二本が迫り来る。直撃すれば鉄の壁で有ろうとも貫通し、誘拐する炎熱が込められている。人体が直撃すれば身体に風穴が開くだろう。

 

「ふん。」

 

しかしそれらすらも、一蹴するかの様に横薙ぎの剣戟によって無に還る。剣の先にある床と壁面に、底が見えないほどの亀裂が刻まれた。ここまで全ての攻撃が、悉くただの剣戟によって蹂躙されていく。その事実を前にエースは戦慄した。

 

(クソ、ヤバい奴だと薄々思っていたがここまでだとは……というか、俺の未来視より先に行くってことは、通り道を開ける会費も意味ないじゃねェか。しかも攻防速全てにおいて、最初の頃よりも圧倒的に強くなってやがる。こりゃ洒落にならねェぞ!)

「ウオォォォォッ!!大炎戒(だいえんかい)!」

 

ヤケクソ気味にエースは咆哮をあげながら、大規模な炎の陣を作り上げた。そして自身の掌の上に、太陽を連想させるほどに巨大な火球が出来上がる。それを見てマグサリオンはポツリと呟く。

 

「これが貴様の奥の手か?」

「ああ、ありったけをテメェにぶつける。覚悟するんだな。」

「面白い、だが捨て身か?」

「馬鹿言うな、意味のない自己犠牲なんてやるかよ。言っただろう、俺は人生に悔いを残さねェ。確かにお前は強いが、力に屈したら男に生まれた意味がねェだろう。」

「……違いないな。」

 

エースの独白を聞き届け、マグサリオンはまるで苦笑する様にそう言い放った。そしてその言葉を招致するかの様に、一歩踏み出して駆け出す。そして、エースもそれに応える様に炎帝を投擲する。

 

炎帝(えんてい)ィ!ッ!オォォォォッッ!!」

「ヌゥッ!!!!」

 

爆ぜる紅蓮の炎と、迸る漆黒の剣閃。それはかつて、生前にエースが黒ひげと激突した光景を再現するかの様な景色だった。黒と赤が闘技場全域を包み込み、闘技場そのものを崩壊させていく。故に逃げ場は皆無に等しい。

そして赤と黒が消えれば、立っていたのは黒騎士であり、炎と男は膝を地面につけていた。

 

「終わりだな。」

「はァ………はァ……」

 

死神の如くマグサリオンは冷徹にそう言い放ち、エースは言葉を返す余裕がないほどに体力が消耗していた。全身の至る箇所に傷が刻まれ、呼吸も肩でしている。

 

(クソ…….これだけやってもダメか。やることはやったから後悔はほとんど無いが、やっぱ悔しいな。だけど、これ以上は何もできねェ。悪いなルフィ、そして親父……ここでも俺は、負けた様だ。)

「では、これで終わりだ。死ぬがいい。」

「………」

 

マグサリオンがそう言い放ち、エースは覚悟を決めた様に目を閉じた。そして迫る刃が首を通そうとした。その刹那……

 

「よォ、死んでも元気な様だな馬鹿息子。」

「お……おォ、親父ィッ!?」

「……何だ?」

 

不意に男の声が聞こえ、エースが振り返り、マグサリオンも目を見開く。そこにいるのは6mをも巨大な身体に、右手に薙刀を携えた金髪の大男。

その名はエドワード・ニューゲート。かつてこの世の全てを手に入れた海賊王、それと肩を並べた世界最強の男を呼ばれた人物である。




次回が実は本命だったりします
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