マグサリオンの殺戮道場   作:ヘル・レーベンシュタイン

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タイトル通りです、久々の更新と同時に新しい試みを始めたいと思いました。


第三十三話 万事屋

 

 

「よお大将、随分と盛り上がってるようじゃねぇか」

 

 闘技場の中心に佇むマグサリオンの前に、ズルワーンが現れる。素振りを止め、鋭い視線が飄々とした彼に突き刺さる。

 

「本題から言うけどよ、ここを模様替えしないか?」

「何故?これ以上の装飾なんぞ無駄だろう。」

「戦いに関しては、な?けどよ、無機質で彩も無し、ましてや来る連中や怪獣の類やむさ苦しい野郎共、まあたまには女も来るかもしれんけど、いい加減目に優しくないだろう。

前にも言っただろう、もっと世の中ごちゃごちゃしてた方がいいってな。殺すか殺されるかの二択だけの繰り返しなんぞ、お前は良いだろうけど俺はそれだけなんぞゴメンだね。だから、ここをもっと彩よくさせてもらうぜ。」

「勝手にしろ、ただし俺は一切手助けはしないぞ。興味ないからな。」

 

 ズルワーンの語りを聞き、マグサリオンは視線を元に戻し再び素振りを再開した。それを見てズルワーンは肩をすがめながら答えた。

 

「そりゃそうだろ、お前にそう言うのを求めるの奴なんぞトンチキが過ぎるわ。だから……適役を外から依頼してきた。」

「……なんだと?」

「ま、偶然が奇跡的に絡まって俺がキャッチできたからだけどな。」

 

 ズルワーンの言葉に、流石のマグサリオンも剣を止めて再び視線を向けた。

 

「つーわけで早速きてもらうかね、ほれ入ってこいよ」

 

 そう言いながらズルワーンが手を叩くと、そこに三人の人物が歩いてくる。銀髪の青年と眼鏡の青年、そしてチャイナドレスの少女がマグサリオンの瞳に映った。

 銀髪の青年は坂田銀時、眼鏡青年は志村新八、チャイナドレスの少女は神楽という名前である。

 

「あーどうも、そこのピーターパンっぽい人物に呼ばれてきました万事屋の坂田銀時でーす。」

「誰がピーターパンだゴラァ」

「銀さん、ピーターパンじゃなくてズルワーンさんでしょ」

「ピーターパンだのピーマンだのなんだっていいから、報酬はたんまり弾ませるネ。卵かけご飯毎日食わせろヨ。」

「おいズルワーン」

 

 坂田銀時をはじめ、現れた彼らがわちゃわちゃと話し始めるのを一刀両断するようにマグサリオンが間を割ってズルワーンに剣先を向けた。

 

「あん?」

「なんだコイツらは?茶化し来ただけならば斬って捨てるぞ。」

「まぁ待てって、言っただろう模様替えするってな。血生臭い光景ばかりより、こう言う騒がしい奴らを受付嬢にした方が派手に賑やかになるだろう?」

「え、受付嬢?ちょっとシャッチョさーん、彼氏の名前聞くとかセクハラとかやめてくださいよぉ、今の時代コンプラ優先なんですからぁ。」

「そーだそーだ、女の子にプライベートのこと質問するだけでも死刑案件ネ!」

「いや死刑は言い過ぎだから。」

「わかったわかったから少し黙れ、大将はんな真似しねぇよ。で、お前らの仕事は、さっきも言ったが受付嬢みたいなもんだ。」

「それなんですが、ズルワーンさん。」

 

 すると、新八が手を挙げながら問いかける。

 

「僕たち万事屋は可能な限り依頼には答えます、受付するというのならそれだけなら問題ありません。ですが、見た感じ闘技場の受付をする感じなんでしょうけど……僕らに務まりますかね?」

「あー、それは正直俺も思ってたところだ。そこの大将さん?明らかに俺より強いだろうなって思ってたんだよ、血の匂いが明らかに桁違いだからよ。」

「おう、その心配は無用だ。どいつもこいつも大将狙いだからよ、適当に茶化して通せばそれでいい。」

「ふーん、まあちゃんと報酬もらえるならそれで良いわ。で、何処でやれば良いんだよ?まさかここのど真ん中か?」

「もちろん違う、じゃあ…….おーいクイン!聞こえてんだろ?良い感じの部屋に変えてくれや、パパさんその辺り得意だっただろうが!」

 

 と、ズルワーンがふと天に向かって叫べば、次第に空間が歪曲し闘技場から何処かのオフィスのフロントらしき空間へと変わった。

 その光景に、新八は思わず唖然とする。

 

「ちょっ、な、この一瞬で何が起こったんですか!?」

「オイオイオイオイ、こんな上品なところで働かせてもらっていいんですかね?俺ら場違い感否めなくない?」

「気にすることないネ、銀ちゃん。どうせ元は闘技場なんだから、血生臭い奴が来るんだからそいつらもどうせ場違い感出るアル。私らはとりあえずボスのところに案内するだけの仕事アル。」

「そういうこと。で、報酬だが先に払う形になるな。」

「え、初日から金渡してくれんの?太っ腹だねェ。」

「違う違う、アレだよ。」

 

 ズルワーンが指差した先は、給湯室と書かれた部屋だ。銀時と神楽は目を細め明らかに不満げな顔を向ける。

 

「え、なに?インスタントのコーヒー無料で飲ませるからそれで満足しろとでも?」

「ふざけてるアルか?貧乏人は百均のキャンディーで充分とでも言う気カ?ズルワーンとボスには人の心とかないんアルか?」

「ちょ、ちょっと二人とも依頼主にそんなブーブー文句を……」

「そう思うんならとりあえず入って色々試してこいや、それからクレームは受け付けてやるよ。」

 

 ズルワーンが答えると、銀時と神楽は渋々と給湯室へと入っていった。が、数秒後にドアが開いて手にパフェや卵かけご飯を持ったままズルワーンへと駆け寄った。

 

「ちょ、ちょちょちょちょ!おまっ、これ、確かチラシで見たうん万円の高級パフェ!それが冷蔵庫にたんまり入ってたんですけど!?これいくらでも食べて良いのか!?」

「私が開けたら卵かけご飯がたくさん入ってたね!それも電子レンジで温めたら出来立てほやほやの状態で食べれたネ!」

「こんなのをいくらでも食べて良いのか!?その後にガス訓練とかしないよな!?」

「ご飯に卵いくらでもかけて良いんアルか!?四次元ポケットならぬ四次元冷蔵庫を堪能して良いアルか!?」

「おう、幾らでもな。ちゃんと仕事やればどんだけ頼んでも構わねぇよ」

「お、ぉぉぉ……あざーす!誠心誠意込めて受付業務させてもらいますッ!」

「安心するネ、ボス!私達がちゃんと客をキャッチして案内するね!」

「お前ら身代わり早すぎるだろォ!もうちょい躊躇えや!」

 

 さっきまでの不満げな態度から一変、感謝の言葉を出す二人に新八は思わずツッコミを叫ぶ。

 

「んだよぱっつぁん、お前の大好きなお通ちゃんの配信とかいつでも無制限に見れるかもしれないんだぞ?」

「せっかくの機会なんだから、ここは真正面から好意を受けとけよメガネ」

「いやそんな都合の良い話が……」

「おう、望めば可能だぞ。」

「ありがとうございます!しっかりお勤めさせてもらいますッ!」

 

 結局同じ様に、ズルワーンが肯定すれば新八もあっさりと頭を下げた。

 

「………」

 

 その最中、銀時はチラリとマグサリオンを見る。その閉じぬ凶眼が自分達を絶え間なく捉え続けているのを察し……

 

(さっきから思ってたが、やっぱこりゃ洒落になんねぇな。とんでも無いところに来ちまったぜ……修羅場しか歩んでない人生を送ってきたのかコイツ?

戦に狂った輩はそれなりに見たことあるがよ、コイツはマジで埒外だ…….神楽も新八も、多分うっすらとヤバさを感じてるな。舐めた態度見せたら冗談でも比喩でもなく、血を見るハメになるぞ。幸いズルワーンが架け橋になってくれてるし、それなりに話に耳は傾けてくれるタイプなのが救いだな。)

 

 と、一滴の冷や汗を垂らし警戒心をバレない様に振る舞いながら様子を見守っていた。そして、ズルワーンはさっきから静かに佇んでいるマグサリオンへと向く。

 

「ま、あとは大将次第だがどうかね?どうだい、雇う気になったか?」

「同じこと言わせるな、好きにしろ。」

 

 そう答えつつ、彼は背を向けて受付の隣にある扉へと向かう。

 

「この手の装飾は好まん、お前に任せる。しかし戯けた姿勢を俺に見せれば殺す。」

「え、ちょ、殺すって」

 

 新八が動揺の言葉を漏らすが、ズルワーンが手を差し出して言葉を挟む。

 

「要は戯れは見過ごすが、侮りは許さんってことだろう?ちゃんと徹底させるから任せろって。」

「ふん……」

「あ、あと大将さんの名前は……」

「無慙、お前らはそう呼べ。」

「む、むざん?」

「………」

 

 ズルワーンがそう言うと、マグサリオンは少し目を細めた。それを察したのか、銀時が横から入り込む。

 

「ま、そう指示が降ったんなら従うしかないわな。あいよ、無慙様よ。仕事はきっちりさせてもらいますよ。」

「しかし無慙って名前はなんか聞いたことあるネ。確か、鬼舞ムグ……」

「ダメ、それ以上言わないで神楽ちゃん。別の意味で危うくなるから。」

 

 咄嗟に新八は神楽の口を塞いだ。その様子を見届けつつ、マグサリオンは扉を開け……何も言わずに閉めた。

 こうして、新たに万事屋のメンバーが加わったのだった。




そんなわけで、今後は銀さん達を通して展開を進めるスタイルに変更しました。
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