ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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正直、大学生時代の修也をどう書こうかまだ悩んでいます。


間話#24 真の創造者

六本木ラースに設置されているSTLの台数は四台。オーシャン・タートルを合わせると合計八台のSTLが設置されている。

そこからアンダーワールドに入る方法は、例のお方から貰ったアドレスを使って入る方法だ。

 

「我がクルディア家は曽祖母の代より、星王様の御命令により守人となってこの家を管理しております」

「なるほど」

 

横でマリーの子孫のマリーンが説明をしてくれた。キリト達はここにはおらず、ブレイド単独でアンダーワールドに入っていた。

 

「『今後、ブレイドと名乗る者が現れた時。この場所に案内せよ』と星王様は申しておりました」

「そうか……」

 

そこで嘗て、アンダーワールドで生活していたあの二等爵家に作られていた極秘の地下道を歩く。

嘗てのワラキア家の邸宅はカセドラル工廠博物館と名を変え、中は市民に一般公開されていた。主な展示物は異界戦争の時に生み出した戦車や戦闘機達などだった。

 

「ここから先は私には進む権限がございませんので」

「ああ、案内に感謝する」

 

マリーンは一歩下がってそう答えるとブレイドは目の前の扉を見て小さく溢す。

 

「キリトは本当にこう言うのが好きだな」

 

そう言い、壁にあった文字盤に軽く手をやるとそこに問題が三択形式で浮かんだ。おそらく一回でも間違えるとキリトの事だから爆発でもしそうな勢いだ。

 

『キリトとブレイドが初めて二人きりで討伐した階層ボスの名前は?』

 

その後に三択の問題があり、ブレイドは簡単に《ブラッディ・グリフ》のボタンを押すと扉が静かにロックが外れて開いた。まるでアニメにでも出てきそうな金庫のようだった。

 

「ははは…簡単な侵入者対策か」

 

そう言うとブレイドはマリーンを見た後に言う。

 

「マリーン、君はもう帰ってくれて構わない」

「畏まりました」

 

そう答え、彼女は深々とお辞儀をし。その姿はマリーを彷彿とさせた。流石は子孫と言ったところか。

そして鋼鉄製の分厚い耐爆扉が閉まると、そのままブレイドは順々に薄暗い明かりの付いた通路をさらに進んでいた。

 

 

 

 

 

そして通路を進むと、そこでブレイドはある部屋を見つけた。

 

「これは……」

 

通常の扉で鍵がかかった様子は無かった。やや警戒しながらブレイドはその扉のノブを回すとそのまま押して中に入った。

 

「……なんだ、お主が来たか」

 

部屋に少女の声が聞こえた、部屋の中は数多の本で埋め尽くされ。その中心で座り心地の良さそうな椅子に座っていた彼女は部屋に入ってきたブレイドを見てそう話す。

 

「お主が来たと言うことは、外では最短でも二百年が経過したと言うことだな」

「なるほど、あなたでしたか……カーディナルさん」

「こうしてしっかりと話すのは初めてじゃな。ブレイド…いや、真の創造者」

 

ブレイドはそう言い、カーディナルも意味ありげにそう返していた。ブレイドとカーディナルはアドミニストレータとの戦いで一瞬話しただけで、異界戦争の時もわずかしか話したことが無かった。

 

「驚きです。まさか貴方がこんな場所にいるとは」

「ああ、そうじゃろうな。態々この部屋を星王……キリトに頼んで作らせたのじゃからな」

 

そう言い、二人は席に座って話をしていた。

 

「あの後の世界の事は?」

「私の知るところでは無い。キリトが四帝国との戦争に入った頃には既に私はこの部屋にいた」

「なるほど…歴史書でも漁るしか方法はない訳ですか……」

 

ブレイドの呟きにカーディナルは頷く。

 

「そうだな、まあこの部屋に大量にそう言った本は置いてある」

「ほう?」

「ここはカセドラル最上層と同じ構造をしていてな、一定以上の新たな情報が貯まると本となって加えられる」

「飛んだ機密部屋ですね」

「ああ、だからこそ。こやつを隠すには打ってつけだ」

 

そう言いカーディナルは部屋の本棚の一角に置かれた分厚いガラスケースの中身を見る。

そこには黄金に輝く三角柱が置いてあった。

 

「管理者権限……」

「そうじゃ、この世界の目に見えてわかる権力の象徴。偽物は、普段はカセドラルの会議場に置かれている」

「ああ、戦争の火種になると……」

「さすがじゃな。キリトが見込んだだけの事はある」

 

カーディナルはそう言うと、この部屋の説明をした。

 

「元々この場所は私がこうして隠居と管理者権限を守る為に作られた場所だったが、後に()()()を置く為の場所となった」

「?」

「付いてこい。ついでに色々とお主には聞きたいことがある」

 

そう言うとカーディナルは席を立って部屋のさらに奥に向かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「まるで要塞だな」

「厚さ五メルのコンクリート装甲を全面に施しておる。並の神聖術や爆弾では破壊は不可能じゃ」

 

元々、爆弾自体極めて厳重に管理されているがと答えるとカーディナルは後ろを歩くブレイドに聞く。

 

「ブレイド、今流星のサーベルはあるか?」

「ええ、ここに」

 

そう答え、外套の下からサーベルを見せる。それを見たカーディナルは軽く頷いた後にブレイドに話す。

 

「お主は珍しい神器を二つ持った男だ。だが、()()に関して。私はお主に聞きたい」

 

それは恐らく《初まりの銃》の事だろう。そう感じてそれを前提に話を進める。

 

「なぜ通常の武器が神器に昇華したのかと言うことか?」

「そうじゃ、キリトから聞いたが。お主がこの世界の枠を作ったと聞いておるからな」

 

カーディナルは頷くと、歩きながらブレイドは答える。

 

「こちらの世界では、ある特定の偉業……世界に衝撃を与えた人物などは死後に神格化されることがあります」

 

有名どころで言えば東郷平八郎なんかがそうだ。死後にあの人を祀る為の神社が建立されたくらいだ。

 

「だからこの世界にもそう言った事があるように、ある一定以上の信仰を超すとその特定の物体、人が神格化するようになっているんですよ」

「なるほど……それはそれは何とも恐ろしい話だな」

「人に関しては死後に神格化しますがね」

 

補足で説明を入れると、カーディナルは納得した様子を見せた。

 

「現人神とはならぬわけか」

「そうです」

 

それこそ直接的な戦争に火種になると言い、ブレイドは改めてチラリとだけ見たこの世界のことを言う。

 

「しかし、この発展には驚いたものです」

「どう言う事じゃ?」

「まあ、分かりやすく言うなら。作った製作者が予期していない方向に発展していると言うべきですね」

 

そう答えると、カーディナルはやや驚きながらブレイドを見た。

 

「それほどか?」

「ええ、元々異世界で神聖術があるために科学の発展は遅いと思っていたのですが……」

「キリトがリアルワールドから色々と技術を持ち込んだからのう」

「お陰でリアルの原子炉でも動かせそうな雰囲気だ」

 

そう話すと、その時一気に暗闇の空間が広がったと感じた。風は感じないが、通路の壁は消え去り只々だだっ広い空間がそこにはあった。

 

「ここは……」

「かなり前にキリトが現れて作った場所だ。上は丁度セントリア郊外の高原じゃ」

「何があるんだ……」

 

そしてその空間をよく細めてみると、そこに巨大な影があることに気づいた。

 

「?」

 

そしてその影をよく見てみるとその正体を知って思わず苦笑した。

 

「嘘だろ……?」

「キリトはここに何度も訪れては『ブレイドを驚かしてやる』と意気込んでおった」

「ああ、これは驚きだよ。なんでモノ作りやがった……」

 

星王と呼ばれたキリトに一言文句を言いたかった。

 

「キリトはこれを『毒蛾』と言う計画名で建造しておった」

「なるほど、ほぼ原作準拠というわけですか……」

 

あのアニメかなり古いが、キリトは知っていたのかとやや驚いた。

 

「なんでもリアルワールドに出てきたとても巨大な機竜と聞いておる」

「ええ、何せ世界を滅ぼした兵器抱えてますからね」

「?」

 

カーディナルはブレイドの言葉に首を傾げていたが、ブレイドは架空の世界ですけどねと言って納得させていた。

 

 

 

 

 

「さて、お主に聞こう」

「答えられる範囲であれば」

 

先ほどの部屋に戻ってブレイドとカーディナルは席に座る。卓上には紅茶が置かれ、二人はそれを飲みながら話す。

 

「なぜアンダーワールドを作った?」

「いきなり聞きますか……」

「当然じゃ」

 

カーディナルは元はと言えばアドミニストレータによって書き換えられた存在。それ故にこんな世界を作ったブレイドには普通とは違う感情があった。

 

「…元々は私の兄の夢を勝手に継ぎたかった……からですね」

「兄……」

「ええ、異世界に行きたいと願い続け。いつしか異世界を作ることに固執する事となった人です」

「世界の創造主になりたかったのか?」

「いや、多分あの人は世界の創造主では無く、その妄想した世界に住みたかったのでしょう」

 

ブレイドは異世界の事になると熱く語っていたあの日を思い出す。

 

「元々兄はリアルワールドから逃げたかったんです」

「どういう事じゃ?」

「兄は自分と違って有名になり過ぎてしまったんです。それ故に現実世界の息苦しさを感じてしまい、逃げるように仮想世界にのめり込みました」

 

そこで次第に彼は少年のひと時に思った夢を思い出したと言う。

 

「そこで異世界を渇望する事から異世界を作る事に執着するになったんです。

だが、当時の技術力では完璧な異世界を作ることはできなかった。だから現実世界から人を箱庭に入れてその蓋を閉じた」

「狂っているな」

 

そんなカーディナルの意見を彼は否定しなかった。

 

「ええ、確かに狂っています。ですが、そこから四年。それを可能にできるかもしれないと思ったんです」

 

そう言うと、ブレイドはどこか狂信的な、崇拝しているような声色で話す。

 

「それが此処だったとな?」

「ええ、元々実験終了後に削除される予定でしたから。その間にデータだけは別の場所に移動させる予定でしたよ」

「……中々に恐ろしいことをする」

「そうでしょうか?」

 

そんなブレイドの反応を見てカーディナルはコイツも相当に狂っているなと直感的に感じていた。

 

「兄は私の人生における先輩でもあり、同時に最も尊敬できる身近な人でした」

「キリトが入っていたカヤバと言う男か?」

「ええ、本当の意味での兄ですよ」

「…血の繋がった兄弟か……」

 

カーディナルはそう言うと、彼は続けてこう言う。

 

「実験が終了し、この世界が削除される寸前に私が用意した場所に情報を移動させる予定でした。もちろん、偽装した状態でね」

「お主、そこまで本気だったのか」

「ええ、ラースの研究者達は所詮第一実験の試作段階に過ぎないこの世界など、すぐに記憶から消えているでしょうからね」

 

そう答えると、カーディナルは聞く。

 

「お主は世界の王にでもなりたかったのか?」

 

その疑問にブレイドは即答する。

 

「いいや?私はこの世界を世界から隔離したかった、それだけです」

「……」

 

ラースからアンダーワールドを切り離し、独自の歴史を歩ませる。目の前に座るこの男は外の世界にも気づかれずにその準備を進めていた。

 

カーディナルはキリト達にアドミニストレータの居なくなった後の世界の事を話した事がある。それは、二百年の因縁を終わらせた暁にこの世界を丸ごと消し去る事だった。

しかしキリトはそんなカーディナルの考えを受け入れる事なく、この世界の存続を考えていた。そしてその熱意にカーディナル自身も打たれたのだろう。だから異界戦争の時も協力をしてしまったのかも知れない。

 

「複雑な思考が絡み合っておるな」

「ええ、元々の計画がグチャグチャですよ」

 

多数の勢力の思惑が複雑に絡み合い、このアンダーワールドは奇妙な立ち位置になっている。

少なくとも、目の前にいるブレイドという男はこのアンダーワールドの世界を独立させるつもりだったと言うのは理解できていた。

 

「リアルワールドに対し、この世界は脆弱です。だから本当は秘密裏に事を進めたかったですよ」

 

そう話し終えたブレイドは時計を見て呟く。

 

「……ああ、そろそろ帰らねばなりません」

「向こうでの用事か?」

 

カーディナルの言葉にブレイドは軽く首を振る。

 

「いえ、上からアンダーワールドに入る時間を厳しく制限されているんです」

「なるほど、お主も大変だのう」

「いえいえ、アリス達の苦労と比べれば」

 

そう答えると、ブレイドはカーディナルに聞く。

 

「次回は此処から入っても?」

「好きにせい。元々この空間はお主のための場所だ」

 

彼女はそう答えるとブレイドは薄く笑った後に光に包まれてアバターごと消えてしまっていた。

その後、ブレイドの居た場所を見てカーディナルはキリトの友人から感じた狂気に頭を軽く抱えていた。

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