ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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今更だけど主はプログラミングの知識は一切ないです。なので情報源はウィキから仕入れています。


間話#25 マキナの矜持

九月初旬

二学期が始まり、修也や詩乃はいつもの生徒として学校に通っている。その間マキナとストレアは修也の家で二人の身の回りの小間事や家事洗濯を行っていた。

 

「ねぇ、姉貴」

 

新しい体を手に入れたマキナとストレアの二人。特にストレアは最近、マキナの事を姉貴と呼ぶようにしていた。これも最適化による一種の変化だった。

 

「ん?どうしました?」

「いや…最近の姉貴はなんか変わった気がしてね」

「そうでしょうか?」

 

メイド服を来て陽気なマキナは現在修也の洗濯物を畳んでいた。

彼女は偶に家を出てレディースーツを身に纏って総務省の紙爆弾の対応をしている。一切寝なくても仕事が出来るし、腕を動かして文字をも書けるので適切な回答を機械的に書いていた。

 

四つの省庁から紙爆弾攻撃を受けている総務省と防衛省。後者に関しては自力で頑張れとしか言いようがない。何故か?そりゃあ総務省は主人の肉親だからだ。だから協力する。

 

これは差別ではない、区別なのだ。人と言うのは卑しい存在なもので際限無く欲を掻く。一度でも許して仕舞えば『過去に例があるんだから良いだろう』『お前たちだけが楽しやがってこの野郎』と言って文句を溢す。

 

「気のせいではないでしょうか?」

「……そっか」

 

ストレアはそんなマキナの返事に深く追求することはなく自分で納得していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

それは唐突に起こっていた。

いつも通りに修也達が眠り、マキナも今日の行動を踏まえた自己最適化をしようとした矢先。

 

《ーー不明な侵入を確認》

 

修也の家のサーバーに何者かが侵入してきたのだ。別にこの件に関して驚きはしない。

今までだって私自身を攫おうとしてきたことは過去に三件あった。あの頃はボディ自体がとても重く、最初は幼女趣味の変態、次に変なチンピラ…おそらくは小遣い稼ぎに誰かに雇われた阿呆共、最後にどっかの訓練された一般人だった。

 

前二つは重すぎて運べずその間に殴って終了。最後は相手の持ってた携帯をハックして過電流を流して暴発させていた。

修也が二年間囚われていた二年間、私の体を狙って来る連中は多くいたがその全てを跳ね返し、報復していた。

 

しかし今回のそれはそんな甘ったるい連中の攻撃ではなかった。

 

「そんな事があるのですか……!?」

 

マキナのジェネシスシステムには命令権限と呼ぶ段階的な物があり、誰の命令を優先して実行するかを判断する基準があった。その順位は第一に修也、二番目に詩乃、藤吉、由美子、真之と言った順番で構成されていた。

修也の命令権限は唯一の物であり、それ以上の存在は茅場晶彦しかいなかった。なので他に同等の権限を持った存在はいない。少なくともこの時まではそうだった。

今侵入してきている存在はそれらを覆すような存在だった。

 

「マスターと同じ命令権限を持った存在ですって!?」

 

次々とファイヤーウォールを突破……と言うより、元々知っているかの如く守りが通用しなかった。掛けたロックも当たり前のように外れ、味方と言う認識となっていた。

 

「マズイ……!」

 

咄嗟にストレアに救援を出そうとしたが、もう遅かった。

 

「やあ、元気してたかい?()()()()()()()()

「!!」

 

目の前に現れたのは新しい体となる前の自分を映した姿をした私だった。

 

「……」

「おーおー、そんな怖い顔すんなって」

 

思わず睨み付けてしまうとその少女は飄々とした様子で語る。

 

「…なぜ、貴方はマスターと同じ命令権限を持っている?」

 

一切警戒を緩めないでその少女を見ていると、その瞬間ある声が聞こえた。それは目の前の少女からでは無かった。

 

「いきなり現れるのはいかがなものかと……牧奈」

「あら?この子なら許してくれると思ったんだけどなぁ……」

 

そう答えた牧奈にマキナはやや驚きながら呆れる。

 

「この子はあなたが呼んだのですか……

 

 

 

お兄様?」

 

そこには白衣を着た茅場晶彦その人が立っていた。

 

 

 

 

 

その後、茅場からマキナはその少女こと牧奈を紹介される。

 

「私は修也が馬鹿してSTLにぶっ込んだ脳みそレンチン装置が作動した0.12n秒の衝撃で生まれた、彼の無意識下に存在していた存在よ」

 

自己紹介と生まれの経緯を話し終えると、次に茅場が言う。

 

「この子はこの世界での私の妹と捉えてもらって構わない。マキナ」

「よろ」

 

姿が完全に昔の私と言う点を除けば、確かに納得のできる話だった。

 

「しかし驚きです。まさかこのような存在が現れるとは……」

 

そう言いながらマキナは牧奈を見ていると、彼女は軽く首を傾げながら逆に聞く。

 

「おや?君なら経験がかるから驚かないと思っていたけれど?」

「?」

「ほれ、妹のストレア」

「…ああ、そう言う……」

 

そこでマキナは納得する。ストレアの生まれはエラーを起こしてSAOで死ぬ事の無かったブレイド、その衝撃の残骸とも言うべき情報の塊がストレアだ。ブレイドがパランジャを持ってからの断片的な情報を持っている為、彼女は影響されてALOではよく大剣をメインに活躍する。

 

「それで、わざわざお兄様が紹介したのはなぜです?」

「ああ、君ならいずれ気づくと思ったからな。ならばと言う事で最初の挨拶をと、この子が」

「あと私からお願いしたいことがあってね」

 

茅場とマキナはそう話すと、彼女は納得していた。

元々自分の持つジェネシシステムはその名の語源の通り、茅場が初めて本格的に設計したAIであり、量産を考慮しなかった全盛期の頃の茅場の技術がふんだんに詰め込まれたものだった。

 

カーディナルシステムとも違う独立した機構を持つジェネシスシステムは茅場が世界で初めて実践したトップダウンとボトムアップの両立と言う相反する様な構造を組み込んでいた。それ故に自分という存在が同一上に存在していてもそれを違和感を思うことは無い。しかしその両立した構造を持っていることは製作者の茅場以外の知るところではない。

 

「お願いですか?」

「そう」

 

すると牧奈はマキナに近づきながら聞いてくる。

 

「私の情報をあげるから、私をあなたの傘下に入れて頂戴」

「それは……」

 

彼女の提案にマキナはやや驚くと、茅場が言う。

 

「彼女は特殊な生まれだ。ラースでも彼女の存在を把握できていない。修也の精神体のコピーである、未知の人工フラクとライトと言っても良い」

「だけど、所詮は修也の精神体のコピー。無意識下に存在していた架空の存在とは言え、生みの親がいる事実を知っている今。私のこの体がいつ崩壊するか分からないの」

「なるほど、だから同じ名前を持ち。尚且つマスターに最も近い私に接触を?」

「そう言う事だ」

 

茅場はそう頷きながら答えると、マキナは彼女を一瞥した後に茅場に聞いた。

 

「もし彼女を取り込むのであれば、マスターの家のサーバーが落ちる勢いですよ?」

「ああ、その対策はしてある」

「…発電所一個落とす気ですか?」

 

やや苦笑いしながらマキナは茅場に聞くと、彼は少し顎に手を触れた後に溢す。

 

「ふむ、それも良いが……良い場所がある」

「…まあ、その点はお任せしますが……」

「オッケーしたの?」

「ええ、私もマスターの希少な過去を取り込める良い機会ですので」

 

どっかの知らないサーバーが落ちても、この情報はそれに見合うものと判断していた。その様子を見て牧奈はやや引く。

 

「うわっ、飛んだブラコンになってるよ」

「これもある意味で予想外の成長だな」

 

茅場は面白げに答えると、マキナは牧奈の手を取る。

 

「これで、貴女と言う存在は私の一部になります。自分の存在が消えてしまう可能性がある覚悟はできていますか?」

「おう、そんなんとっくに」

 

そう答えるとマキナはその手に取った手を介して情報の回収とその最適化を行う。膨大な量のデータは軽くテラに行く。

 

 

 

 

 

そしてその情報の処理が終わった時、彼女の目の前には先ほどと変わらない光景が広がっていた。

 

「うまく行ったようだ」

「おお、さっすがは兄さんの最高傑作。なんともないや」

 

そう言い、牧奈はその体にワインレッドカラーのミモレドレスを纏わせながら答える。

 

「ふぅ、流石に今回のは疲れますね」

「そのようだな……向こうでも電源が落ちたようだ」

 

茅場はそう答えると、その後に牧奈の情報を得て更に進化したマキナを見ていた。

 

「ところでどうだ、最近の修也の様子は」

「ええ、いつも通りです。変化はありません」

「そうか……」

「もういっその事ここに住まわれては?マスターは両手をあげて喜びますよ」

「いやいや、弟に迷惑をかけるわけにはいかないさ」

 

茅場はそう答えてマキナの提案を拒否すると、相変わらずだなと思いながら月一くらいの定期でここに訪れる茅場に内心苦笑していた。

 

「さて、そろそろストレアが目覚めますよ」

「そうか、なら失礼するとしよう」

「はぁ、相変わらずですね」

 

誰にもバレないように後方腕組み兄貴面している茅場はそのまま逃げるように退散していった。

 

「んじゃ、私も行きますね」

「ああ、もう行くのです?」

 

そう聞き、自分の一部となった牧奈に問いかける。

 

「おう、私は修也の妹であって。晶彦兄さんの妹でもあるからね〜」

 

そんなマキナの問いに牧奈はそう答えると晶彦の後を追って消えて行った。

 

「んにゃ〜、おはよ〜姉貴」

「おはようございます。ストレア」

 

その直後に、やる気のない声と共に目覚めたストレアにマキナは意識を切り替えていた。

 

 

 

なおこの時、アメリカNSAのサーバーに大規模なDDos攻撃があったと大騒ぎになっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ところで姉貴は、考えてたりするの?」

「ん?何をですか?」

 

修也の帰宅前に置物などの埃落としや、修也の部屋の装備をしながらストレアは聞く。

 

「もしマスターが死んじゃった後とかさ。姉貴はどうするの?」

「……ああ、そう言う事ですか」

 

理解した様子でマキナは答える。

 

「マスターが好きに生きよと行った場合、私は迷わずこのデータを消去します」

「え?そうなの?」

 

まさかの即答にストレアは驚くと、マキナは冷静にその訳を言う。

 

「人と言うのは基本的に欲に塗れています。かつての名画が多くの家々を転々としたのと同様。私が経験してきたこの蓄積データを狙って多くの人が狙ってくるでしょう。それが国家であれ誰であれと」

 

そう言いながらマキナはサマルカンドの埃を取って置き直す。これは修也が気に入っている置物で他にも何種類も材質違いや色違いが置かれていた。

 

「しかし世の中には平和を望んで私を求める人も少なからずいます」

「え?そうなの?」

「事実、それを望んでいるのが藤吉さん達です」

 

彼女はそう言うと、次にサンルイのランプを手に取って磨く。

 

「平和を求めているなら、それでも良いんじゃ無いの?私は哲人政治みたいになって良いと思うけど?」

 

そんな当たり前の疑問にマキナは納得しながら答える。

 

「ええ、確かに平和は皆が幸せになるいちばんの方法です。ですがそれには欠点も存在します」

「え?どんな?」

 

ストレアは修也の溜めた機械部品の残骸をまとめながら聞き返す。

 

「平和と言うのは、皆が幸せになる代わりに人のある欲を低下させる要因にもなります」

「欲?」

「ええ、正確には競争欲です。上昇志向とも言いますが、平和が長続きするとより良い生活を求める上昇志向が薄れていくのが、すでに発見されています。あと貧乏人が生意気になります」

「そ、そうなんだ……」

 

ストレアはいつもゲームをして自己最適化をしているので、そういった方面にはやや疎かった。

 

「過去に二度起こった世界大戦は、人類の技術を大幅に促進させてきました。確かに、平和な時でも技術は発展しています。ですが産業革命を起こした起爆剤に戦争があるのは事実です」

「へぇ……」

「と言うより、こう言うのは自分で調べないんですか?」

 

マキナは思わずストレアに聞いてしまう。すると彼女は少し陽気に答える。

 

「私はそう言う情報は全部姉貴に任せているから。私は姉貴みたいにマスターの護衛が任務にないし」

「ああ、なるほど……」

 

ストレアはどうやらゲームにお熱のようだと感じた。元々の設定でALOでもユイのようにピクシーになれる彼女は主に修也をハードの面で支えることを決めたらしい。

 

「それに、機械に管理された平和を皆が求めるとは到底思せませんからね」

「そうなの?」

「人とは気難しい生き物なんですよ。皆が足並みを揃えて歩くのは不可能と言えるでしょう」

 

マキナはそう答えると、ストレアもそんなもんかと言った様子で今まで見てきた歴史を振り返って納得していた。

 

「まあ、話は戻りますが。もしマスター私に命令を下せば、私はその最後の命令を実行するまでです。ただ自由にしろと言われたら。私は全ての情報を消してこの世を去ります」

 

マキナはそう答えると、ストレアは納得した様子で金属スクラップをまとめ終えた。

 

「そっかー……私はあまりそう言うのを考えたことが無かったからなぁ…どうしよう」

「ストレアはまだ若いです。いずれ答えが見つかりますよ」

 

マキナはそう答えると、ストレアも毎日最適化していく中で考えていた。

 

「うーん、それもそっか」

 

そして彼女はこの何年もかかりそうな問題にとりあえず後回しにする事を決めていた。

するとマンションの扉が開き、修也が学校から帰ってきた。二学期が始まり、修也はラースの仕事と兼任して学校に通っている為に大忙しだ。

 

「帰ったぞ」

「あっ、お帰りなさいマスター」

「お帰り〜」

 

修也を二人が出迎えると、彼は言った。

 

「この後緊急でラースに行く」

「何かありました?」

「またアリスが無茶をして派手に足を壊したらしい」

「ああ、それは大変ですね」

 

その心労を察してマキナは答える。これも単に牧奈からの情報提供あってのものだった。

 

「全くだ……ストレア、予備パーツは残っているか?」

「ほーい、車にまだ残ってるよ〜。注文する?」

「ああそうだな……頼んだ」

「りょ〜か〜い」

 

ストレアはそう答え、修也は疲れた様子で出ていく。

 

そんな景色をマキナは微笑ましく見ていた。




マキナの様なプログラムは本当にあるかどうかは知らない。
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