ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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なんか、思いついたのをポンポン書いているから全然修也の過去編書けねえ。


間話#27 仕事仲間と書いて悪友と読む

時は遡って二〇二五年の三月。

もう間も無くSAO帰還者学校に修也は進学をする準備をする頃、彼の姿は紀尾井町の高級ホテルのレストランにあった。

 

「おお、さっすがは高級店。味も折り紙付きだナ」

 

修也の反対の席に座って料理奢って貰ってご機嫌なのは帆坂朋その人だった。

彼女は和人や明日奈の次に菊岡に連絡先を聞いた相手だった。途中までとは言え大事な仕事仲間だった人間だ、当然の様に連絡をしていた。

 

「気に入ってもらえたようで」

「いやはや、ブレ坊のご招待なら。オレっちはどこにでも行くネ」

 

そう彼女は答えるとその手にフィレステーキを切り取る。

ここは都内でも有数のホテルのバーレストラン。ホテルの中のレストランという事もあってお値段も張る。そんな場所にただ飯が食えると聞いて飛びつかない訳が無かった。

 

「まだ癖が抜けませんか」

「仕方ないネ、まだ終わってから半年も経っていないかラ」

 

彼女はそう答えると、修也も軽く頷きながら同時に感謝する。

 

「でも助かりましたよ。あなたに連絡したおかげでALOの闇は暴かれた」

「全くダ、いきなりデータだけ渡された時はビビったゾ」

 

彼女はそう不満を溢し、その時の事を軽く修也に愚痴った。

少し前のALOでの須郷信之の事件で彼の行っていた違法実験の全容を、彼女に送って記事に仕立ててもらっていた。

 

「でも、貴方のおかげで予想以上に世間は大騒ぎです」

「ブレ坊が仕組んだ事じゃないカ」

 

半分呆れた様な目で帆坂は修也を見る。あの記事が出回ったおかげで須郷一味全員が逃げる隙も与える事なく逮捕された。

 

「この一連の動きも君のお父さんのおかげカ?」

「……父を知っていて?」

「勿論勿論、苗字を聞いた時に違和感を感じたナ」

「そうですか……」

 

そこでメインを食べ終えた修也は彼女に聞く。

 

「どこまで調べがついているんです?」

「オイオイ、オレっちは現実じゃあまだまだ若いオネーサンだゾ。君みたいに社会的ステータスは無いんダ。……まあ、君のお父さんが総務大臣をやっていると言うところまでダナ」

「こんなステータスは必要ないですよ」

 

そう吐き捨てると、帆坂はこっからやばい毒が出て来そうだと直感的に感じて思わず話題を切り替えた。

 

「ところデ、修也はこっからどうするんダ?」

「進学先ですか?」

「そうダ」

 

その問いに彼は即答した。

 

「一応、帰還者学校に行く予定ですよ」

「ほぇ〜、あそこに行くのカ」

「貴方は?」

 

修也は聞き返すと、彼女も同様に直ぐに答える。

 

「オレっちはフツーに地元に行くネ」

「おや、珍しいですね」

「むしろ君があの学校に行くのが予想外ダ。てっきり普通の学校に行って大学に行くかと思っていたゾ」

 

『事実、それだけの学力があるだろウ?』と言い、帆坂は店の名物のスペアリブを頂く。

 

「でもどうして帰還者学校に?」

「気分です」

「ほほーん、そうカ」

 

そしてそこで修也は付け加える。

 

「和…キリト達も同じ場所だそうで」

「ほほう、じゃあ二人にもよろしくナ」

 

そう答えると、修也は聞いた。

 

「二人とは連絡をしてないのか?」

「ああ、向こうからしてこない限り、オレっちは答えないさ」

「……成程、向こうでもこっちでも同じスタンスですか」

「そう言う事ダ」

 

帆坂はそう答えると、骨だけになったスペアリブを皿においた。

 

「しかし、一個記事を書いただけなのにこんなに良いものを食べさせてくれるのは太っ腹だナ」

「いえいえ、これからの投資ですよ」

「?」

 

そこで帆坂は修也の言葉に首を傾げると、彼は言った。

 

「これはあくまでも私なりの予測ですが、これから和人は色々と事件に巻き込まれると思ってね」

「それはブレ坊の勘カ?」

「ええ」

 

修也は自身ありげにそう答えると、帆坂はしてやられたと言った様子で修也を見る。

 

「なら、オレっちは嵌められたわけダ」

「嵌めたつもりはありませんよ」

「にゃはは、それは捉え方次第だナ」

 

『その事件が起こらなくてただ美味い飯をたらふく食っただけで終わりたい』と彼女は続けて言った。

そして一通り食べ終えた後に最後に仰々しい装置や食材が並べられ、その光景に思わず帆坂は聞く。

 

「これは?」

「クレープシュゼットです。なかなかに良いですよ」

「……目の前で作ってくれるのカ」

 

そう言い、デザートの中でもダントツで高いクレープシュゼットを作る光景を目の前で見た。

カラメルを作り、そこのオレンジジュースとグラン・マルエニを入れ、そこに火をつけてフランベをする。そうして出来上がったソースをあらかじめ用意して熱していたクレープにかけて最後にアイスを乗せて目の前に置かれた。

 

「おお、美味そうダ」

「実際最高に美味しいですよ」

 

そう答え、二人は出てきたクレープシュゼットを最後にいただき、舌鼓を打っていた。

 

 

 

 

 

食後、レストランを出た二人。特に帆坂は満足そうに腹に手を当てていた。

 

「いやぁ、美味かった美味かっタ」

「満足してただけたようで」

「寧ろオレっちが申し訳なくなる程だヨ」

 

彼女はそう答えると、修也は聞いた。

 

「帰りはどうする?」

「神奈川まで電車だナ。お、もしかして送ってくれるのカ?」

「流石に神奈川は厳しいです」

 

彼はそう答えると、二人は東京の街を歩いた。

 

「でももう、かなり経つんだナ」

「ええ、そうですね」

 

帰りの途中、帆坂が徐に話し出した事に修也も納得する。

 

「オレっちはブレ坊がマチェテを使っている所しか見たことがないんだよナァ」

「ああ、そう言えばそうでしたね」

 

彼女はブレイドがパランジャを手に入れる前の、いわゆるバイト時代の武器の扱い方を知っている数少ない人物だった。逆に言うと和人達は彼がマチェテをメインで使っていた時代を詳しく知らない。二人のイメージはあの大剣だろう。

 

「右手にマチェテ、左手に毒吹き矢を持っていた頃が懐かしいです」

「途中からブレ坊は攻略組に本格的に転身したものナ」

 

そう言い、アルゴは本格的にブレイドが攻略組にシフトチェンジした五十層あたりまでが懐かしいと言っていた。

 

「でもよく大剣プレイヤーに転向できたナ」

 

元持っていたのはマチェテ、ついでトマホークだった。……俗に言う軽装プレイヤーがよくもまあ大剣を持てたと不思議に思っていると修也は答えた。

 

「元々STRは上げていましたからね」

「木登り得意だったものナ」

「あと投擲距離を伸ばしたかったってのがあります」

「成程、大剣に武器チェンジしやすいわけダ」

 

元々の下地が整っていたのかと帆坂は納得していると、その後の事を話した。

 

「でもオレっちも、あの頃は限界を感じていた」

「ほう?」

「何もわからないところの探索は、初めての遭遇と言うのは逃げるか静観のどちらかしか無い。あのまま進んでたらオレっちはくたばってただろうナ」

 

そう答えると、帆坂は地下鉄に続く階段を降りながらあの時の景色を思い返す。

 

「だからキー坊がゲームクリアしてくれた時は心底ありがたかっタ」

「……そうですね」

 

修也はあの七十五層での戦いをキリトがトドメを刺したと言っていた。流石に心にくる物があるから、真相を自分から言う事は無いだろう。

 

「じゃあナ。また会おう」

「ええ、また連絡でもしましょう」

 

そう言い、修也は改札前で帆坂を見送るとそのまま帰路に着いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ーーなんて話していたのがもう二年も前ですか」

「にゃはは、懐かしいナ」

 

場所は麻布台にあるカフェ、そこで修也と帆坂は何度目かのお茶をしていた。

 

「もうそんなに経ったカ。あれ以降、オレっちは散々使われたナ」

「そうですね、色々と世話になりましたよ」

「世間も色々と変わったしナ」

 

現在、二〇二六年九月九日。学校帰りにラースに呼び出しを受けた修也はアリス達の微調整を終えた直後に彼女に呼び出されていた。

 

「ブレ坊には彼女も出来たくらいダ、世界はもっと変わってル」

「なかなか()()()()言うじゃ無いですか。今日は割り勘ですか?」

「ハハハ、今日は取材でもなんでもないからナ」

 

帆坂はそう言い、バラフライピーを一口。

 

「ほほう、Mトゥデのライターは自由なんですか?」

「ああ、記者は恨まれてなんぼの仕事。毎日やってられないヨ、気が狂っちまウ」

 

修也はアールグレイの入ったカップを傾けながら帆坂の話を聞いていた。

 

「…で、仕事中の俺を態々呼び出してお茶に誘った理由は?」

 

そう言い、修也の聞き方に帆坂は変わったなと感じながら修也に話した。一応彼女には自分の身分を明かしていたはずだが、などと思い返していた。

 

「実ハ、秋からの編入でオレっちも帰還者学校に通うことにしたんダ」

「ほう、そうですか」

「あまり驚かないのナ……」

 

帆坂は大した反応を見せなかった修也につまらなさそうにすると、彼は言った。

 

「元々世間から新しい高校の形といって宣伝されてたくらいです。どっかの物好きが編入してくることくらい、ある程度予想はしていますよ」

「ほほう、やっぱブレ坊は反応が早いナ」

「寧ろ日本人の反応が遅すぎるだけです」

「ははっ、流石は人生の殆どをアメリカで生きてきただけあるナ」

 

おまけに大卒と付け加えるように言って彼女は紅茶を飲み切った。

 

「まぁ、秋から同級生で半年間よろしくって話をしたかっただけダ」

「……それだけか?」

 

こいつマジかよと言った表情で見た修也に帆坂はついでにどうせ無理だと思いながら聞いた。

 

「ああ、それだけだ。…まあ、あとついでにアリス達の直接の取材をできたら申し込みたいが……」

「それは上司に聞いてくれ。勝手に許可したら俺がドヤされる」

「だろうナ。他の世界中の記者から取材要請も恐ろしいだろう?」

 

それには帆坂も納得の様子を見せていた。

 

「まあ全部蹴っているがな。マスコミに大っぴらに晒されると二人の精神的負担も大きい」

「……すごいな、ストレスも感じるのカ」

 

帆坂の意見に修也は頷いた。

 

「もちろん、二人は()()()()()な」

「……」

 

あの修也が人間と評したほどのAI……いや、アンドロイドに帆坂はやや驚いた。自分は彼の妹である牧奈から言われて日本語訳されたあの論文を記事に仕立ててネットにばら撒いた仕事をしていた為にアンダーワールドの世界には行かなかった。

だが、あの世界に行った人たちの意見当然聞いており。それほどに現実と瓜二つだった事に冷や汗が出たのはよく覚えていた。

 

「じゃあ、そろそろ戻らないとな」

「仕事中に悪いナ」

「ええ全くですよ」

 

そう言い二人は席を立つと、修也がスマートにまとめて支払っていた。

 

「おっ、悪いナ」

「今後別で奢ってくれ」

「……はいはい、また次の取材でナ」

 

自分の事を悪友として見ている修也に、帆坂は薄く笑って修也と別れていた。

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