ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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メリークソスマス!!


#17 援軍

世界樹攻略に乗り出したブレイド達は急速に上昇していた。

 

「ブレイド!そっちに行ったぞ!」

「問題ない!」

 

接近してくる白い守護騎士に両手剣を持ってその全てを切り捨てていた。

 

「流石だな」

「キリトもよく言う……」

 

背中合わせに敵を斬りまくっている二人はリーファ達の届く距離で進んでいる為、全力の速度で飛べずにいた。

 

「しかし、敵が多いな……」

「ああ、どんだけ出てくんだよ……」

「ヘイトを向ける。その隙にキリトは……」

 

ドゴォォォォオオオン!!

 

下の方で爆発音が響き、完全に膜となっていた騎士の群れに穴を開けていた。

咄嗟に下を見るとそこにはリーファしかおらず、レコンの姿はなかった。恐らくは自爆魔法。恐ろしいペナルティと共に大爆発を起こす魔法だ。

だが、その結果に見合う大きさの穴はポップされた敵にすぐさま防がれた。

おまけにさらに多くの敵がポップされ、周りを囲まれていた。

 

「四面楚歌……」

「背水の陣だな……」

 

敵を前に二人して上に突撃をかけようとした時……

 

『わあぁぁぁぁあああああ!!!』

 

雄叫びが聞こえ、大規模な魔法が詠唱された。

 

「あれは……」

「飛竜……!?」

「すまない」

「ごめんネ〜、装備揃えるのに時間かかッテ」

「猫妖精と風妖精か……」

 

二つの領主がキリトを見つめて微笑むと。

 

「騎竜隊、ファイアブレスっ撃てぇぇぇぇ!!!!」

「シルフ隊、フェンリルストームっ放て!!!」

 

ガーディアン達が爆炎に呑まれる。

 

「総員、突撃!!!」

「あの二人に続けぇぇ!!」

 

シルフと、騎竜に乗ったケットシーが戦線に加わる。二種族が合わせて決めた大技により、再び壁に穴が開く。

 

「キリト!」

「ああ、行くぞ!!」

「キリト君!!」

 

リーファの投げた長剣はキリトの左手に収まり、キリトは擬似的に二刀流を作った。

 

「はああぁぁぁぁあああ!!!」

 

キリトの後方でバックアップをしている自分は目の前に光る何かを見つけた。

 

ドォォオォオオオンン

 

守護騎士達の壁を破り、その上に到達する。

そこには円形の扉と守護騎士がおり、キリトがユイを呼び、その扉を触っていた。

 

「パパ、この扉は管理者権限でロックされています!」

「キリト!あれを使え」

「分かった!」

 

キリトがユイにカードを渡し、それを転写してユイが扉を開けていた。その間、自分は守護騎士を叩き切りながら飛び回っていた。

そして転写し終え、扉が四分割に分かれて開き始めた。

 

「転送されます!パパ、ブレイドさん。手を!」

 

ユイの手を取り、自分達は襲ってくる守護騎士を横目に、何処かに転送された。

 

 

 

 

 

次に視界が回復した時、そこは白い通路があった。

 

「ここは……」

「わかりません。マップ情報がないですから」

「ユイ、アスナの位置は?」

「こっちです!」

「よし、行くか」

「キリト!」

 

興奮状態のキリトにブレイドか話しかける。

 

「気を抜くな。ここは敵陣のど真ん中。何がいるかわからない事を肝に銘じておけ」

「あ、あぁ……分かった。ブレイドはどうするんだ?」

「私は囚われたプレイヤーの解放をする。……ケジメをつけにいく」

「…分かった。これ、渡しておくよ」

「これは、私はもう持っているが?」

「念の為だ。俺にはもう必要ないからな」

「……そうだな、受け取っておこう」

 

そうしてキリトからカードキーを受け取ると二人は正反対の方向に走り始めた。

 

 

 

 

 

白い通路を走り回って地図を見つけたブレイドは《実験体保管室》と書かれた部屋を見つけた。地図を見た時、あまりにも簡素化された作りからここへの侵入者を考えていないのだろうか?

そう思ってしまうほどに簡単に実験体保管室に到着した。そこには半透明の脳が多数浮かんでおり、その下に名前のようなものが埋め込まれていた。

 

「こりゃアウシュビッツより酷いな」

 

ブレイドは保管室にされもいない事を確認し、部屋の中央にあるコンソロールを触っていた。そしてカードを差し、最後の段階まで来た。

 

「ここを動かせば……っ!」

 

咄嗟に入ってくる気配に気づいたブレイドは咄嗟に台座の影に隠れた。

保管室に入ってきたのは二匹の紫色の巨大ナメクジ。気味の悪い触手を動かしながら観察をしていた。

 

「どうだ?」

「H14はよく反応しているよ。A24も幻覚を見ている」

「(……)」

 

思わず持っていた両手剣を持って切り掛かりたいと思ってしまった。だが、ここで表に出てしまってはせっかくの行動が無駄になってしまう。

気持ちを抑えて彼らが出て行くのを待っているとブレイドはいつの間にか持っている武器に投擲剣が追加されている事に気がついた。

その事に思わずフッと笑ってしまった。

 

「(なるほど……これで倒せと言う訳ですか)」

 

ブンッ!ザシュッ!

 

「っ!何が……ガッ!」

「お疲れさん……豚箱が待っているぞ」

「なっ!き、貴様……?!」

 

ナメクジが驚いている隙も与えずにブレイドは叫ぶ。

 

「副管理者権限、ログインID『ピロー』。目の前にいるプレイヤーの権限を剥奪。ペイソンアブソーバーを変更、それと同時にアミュスフィアのログアウト機能を剥奪。両プレイヤーをレベル1に変更……」

「何をした!!」

「僕らより高位なIDだと!?ふざけるな!そんな事、あの人にしかできないぞ!!」

 

ナメクジが怒り狂ったように叫んでいた。しかしブレイドはそこら辺のゴミを見るような目で二人に言う。

 

「人じゃないナメクジがしゃべるな。システム介入、両プレイヤーの発声コマンドを変更、体力常時回復を付与」

 

するとワーワー騒いでいた二人が一斉に静かになり、二人は愕然としていた。そしてブレイドは二人に突き刺した投擲剣を掴んで魔法を唱えた。

 

「スペル『帯電』発動」

 

バチバチバチッ!

 

短刀から青白い何かが走ったと思うと二人のナメクジは悶絶した表情で体をうねうねさせており、その様子はまるで打ち上げられたトドのようであった。

ブレイドによって管理者権限を剥奪された二人はログアウトも出来ず、体力が減らないので死ぬこともなく、永遠と身体中に電流を流される苦痛を味わっていた。

 

「せいぜい、君達を捕らえにきた警察がアミュスフィアを取ってくれる事を祈っているよ。ま、その時は豚箱行きが確定していると思うがね」

 

ブレイドはそう言い残して保管室の端に二人を蹴飛ばしてブレイドは再びコンソロールを動かしていた。

その途中で、ブレイドは話しかけた。

 

「そこに居るんでしょ?兄さん」

「…気づいていたのか……修也」

「兄さんだからね。これくらいは分かるさ」

「普通気配だけで分かる人もいないと思うがな……」

 

そう言うと茅場はブレイドの横に近づくとブレイドのコンソールを見ていた。

 

「修也、後は私がする。お前はキリト君の元に行きなさい」

「何故ですか?」

「須郷君が面倒をかけたようだ……ちょっと叱っといてほしい」

「君付けじゃなくていいと思う。あんな奴は」

 

ブレイドは真面目な表情で言うと、茅場はそれでもと言った様子で答える。

 

「これでも一応は同じゼミにいた人間だ。相応の敬意をしないとな」

「これから務所行きなの確定なのに……?相変わらずお人好しですね」

「……さて、ログアウトを開始させた。順にログアウトが始まるだろう。早く行きなさい」

「分かった。行ってくる」

 

ブレイドは茅場にそう言うと足速に保管室を後にした。その様子を見た茅場はどこか悲しげな表情でブレイドの去って行った方を見た。

 

「……幼い頃から決別され、兄として振る舞うことが出来なかったことだけは唯一の後悔だな」

 

茅場はそう呟いて修也の()()()()を思い出していた。

 

「一族の期待を背負わされた残酷な運命……人を殺したことで親族からは畏怖の目で見られ、人に絶望した子か……」

 

茅場は彼の過去と荒んだ心情を思い出し、思わず身震いしてしまった。

 

「彼の心を癒してくれる人が出てくる事に期待するしかないな。……少なくとも私では彼の心を癒すことはできなかった……」

 

茅場は徐々に数の減っていくプレイヤー達を眺めながら保管室を歩く。

 

「後でこれをあの子に渡しておこう……」

 

そう呟いて茅場は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

保管室を後にしたブレイドは走ってキリト達を探していた。

 

「位置情報ならこの辺り……」

 

座標に付いたブレイドは辺りを見回すも、何も見えず。代わりに上の方に見えた鳥籠だけだった。

 

「……まさか」

 

ブレイドは須郷がキリト達を逃げれない空間に引き込んだのだと予想した。

 

「チッ、面倒な事を……」

 

すぐさま管理者権限でコンソロールを起動し、キリト達のいる空間に飛んでいった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ガァ……!」

「キヒヒヒヒ。もっと君の悲鳴を聞かせてくれよ。心がスッとする」

「あなた……絶対に許さない……!!」

「鎖に繋がれて何もできない君がよく言うね。僕はこの世界の神!逆らう者はいないんだよ……?」

 

キリトの苦しんでいる声と、アスナの怒りのこもった声に反応するのはこの世界の神を自称するオベイロンこと須郷伸之は悶絶するキリトを見て笑っていた。

 

「さぁ、もっと君の悲鳴を聞かせてくれよ。システムコマンド!ペイン・アブソーバ、レベル8に変更」

「っ……ぐっ……!」

「おいおい、またツマミ二つ目だよ君。段階的に強くしてやるから楽しみにしていてくれたまえ」

 

須郷は楽しむようにキリトを嬲っていた。キリトは須郷の影響で武器を扱うことが出来なかった。

もがくキリトを見て楽しんでいる須郷は不意に舌打ちをした。

 

「チッ、誰かコマンドを触ったな?まあいい、後で捕まえて遊んでやる」

 

その言葉を聞いたキリトはブレイドの方はうまくいったのだと確信し、ほっとしていた。だが、自分がなぶられているのは変わらず、どうしようか考えを巡らせていると。

 

『フハハハハハハ……』

「っ!何だ!?」

 

突如として気味の悪い声が聞こえた。いきなりの事に困惑していると暗かった空間から何かが落ちてきた。それは人だった。そして人は地面に思い切り落ちると埃を落とす等に肩を触っていた。落ちてきた衝撃で須郷は吹き飛ばされていた。

 

「ふぅ、何とかたどり着いたようだな」

「っ!誰だお前は!!」

 

キリトとアスナは声から落ちてきた人が誰なのか分かったが、それ以上に驚いていた。

それはその人が身につけている装備にあった。

 

「私は……ブレイドという者だ。偽りの王オベイロンに会いに来た」

 

真鍮色の模様の入った赤い鎧に片手剣と盾を持ったブレイドが須郷に向けて剣を向けていた。

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