ですが、フルダイブの時の朗読の内容とかは一切出しません。
#0 デスゲームの始まり
VRMMOの歴史はここから始まったと言っていいだろう。
天才量子物理学者にしてゲームデザイナーである茅場晶彦によって引き起こされた、史上最悪のインターネットによる大量虐殺事件として後世に名を残す大事件である。
二〇二二年 一一月六日 午前一二:五〇分
自分、赤羽修也は自室のベットで横になっていた。
「いよいよか……」
修也はそう呟くと頭にヘルメットのような物を被る。その物の名前はナーヴギア。世界初のフルダイブが可能な夢の機械だ。
祖父から誕生日にもらったこれをようやく使う日がやって来た。ナーブギアを被った修也はベットで横になった。
そして今回から配信が始まるVRMMO-PRG<ソードアート・オンライン>は発売から一瞬にして初期ロット一万個が売れた話題の作品である。
そんなゲームを自分は奇跡的に買う事ができ、今日からプレイすることになる。
そして時計のタイマーが鳴り、午後一時を示す。
初めてのフルダイブに緊張しつつもフルダイブする為の魔法の言葉を唱えた。
「……リンク・スタート」
そして視界が真っ白になり、次に見えたのは西洋風の街並みであった。
ログインしてから数時間経った。自分はスポーンした場所である『はじまりの街』の近くの草原で《フレンジーボア》なる青い猪を切りまくっていた。
「なかなかいい腕してるじゃねえかブレイド」
「そうですか?」
「ああ、俺から見てもなかなかいい腕していると思う」
そう言うのは若い男と、バンダナをつけた若い男の二人だった。二人の名前はキリトとクラインと言うらしい。
このゲームにログインした時に自分とクラインはベータテスターだったと言うキリトからレクチャーをしてもらっていた。
プレイヤー名は『ブレイド』。自分の名前の一文字を使った簡単な物だが、それで十分だと思っていた。
「剣がこんなに使いやすいとは……」
「一番綺麗に使えていたな」
そんなことを話しているとクラインがログアウトボタンがないことに気づき、キリトもそれに気づいて驚いていた。
「(ログアウトボタンがないなんてどんな欠陥だ……)」
そう思いながら自分のも確認をすると確かにそこにはログアウトボタンは無かった。
「(どう言うことだ……?)」
そう思っていると突如として視界が真っ白になり、《はじまりの街》の大広場に飛ばされていることに気がついた。
咄嗟にクラインとキリトの安否を確認していると上空に、中に何もいない真っ赤なローブが浮かんでいた。
ーーこれは不味い!!
直感的に自分はそう予感した。そしてその予感は的中した。
そして赤ローブはSAOを作った茅場明彦と名乗り、このゲームはデスゲームである事を伝えていた。
そして最後に茅場明彦はとんでもない置き土産を残して行った。
『最後に、私から諸君らにプレゼントがある。アイテムストレージを確認してくれたまえ』
そう言われて配られたのは手鏡。そして光に包まれ、次に視界が戻ると手鏡には現実世界と同じ自分の顔が映されていた。
「(やっぱりか……)」
移動しておいてよかった。そう思っていると横にいた二人の男が声をかけて来た。
「お前…誰?」
「おい、誰だよオメェ……」
そこには見慣れない男二人……片方はどちらかと言うと中性的な中学生がそこらに見てる男子がいた。服装は変わっていないので先ほど見ていたあの二人なのだと察っせた。
「まさか……キリトとクラインか……?」
「そう言うおめえは……ブレイドか?」
そうやってお互いに誰が誰なのかを確認していると茅場明彦は
『以上で〈ソードアート・オンライン〉正式サービスチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君のーーーー健闘を祈る』
そう言い残して虚空の彼方に消えていった。全員がそこでやっと各々然るべき反応をし始めていた。
そんな中、自分とクラインはキリトに呼ばれて裏路地に向かった。
「二人とも来てくれ。さっきの話が本当ならこの世界ではひたすらに自分を強化しなくちゃいけない。そうすればここら辺の狩場は一瞬で狩り尽くされてしまう。今のうちに次の村を拠点にしたほうがいい。俺は危険な場所も知っているから、レベル1の今でも安全にたどり着ける」
キリトがそう誘った。だが……
「でも、でもよ。前に言っただろ。おりゃあ、他のゲームでダチだった奴らと一緒に徹夜で並んでソフト買ったんだ。そいつらも広場にいるはずだ。置いて……行けねえ」
「……」
クラインの返答に、キリトは若干暗い表情を浮かべる。
「これ以上お前に世話になるわけにはいかねぇ。今まで教えてもらったテクでなんとかして見せらぁ。それに、もしかしたらすぐにログアウトできるかもしれないしな……」
「……そっか」
するとキリトは悔しそうに呟いた。
「ブレイド、お前さんはどうするんだ?キリトについて行くのか?それとも、残るのか?」
「自分は……すまん、足手纏いになるだろうから……」
「…そうか……」
キリトは残念そうにそう言うと自分とクラインは立ち上がり、キリトに声をかけた。
「また会いましょう。何かあったらメッセージも飛ばせますし」
「そうだな……キリト。お前のかわいい顔。結構好きだぜ」
「ブレイド……ありがとう。クライン、お前の野武士ヅラの方が十倍にあっているよ!」
そう言い残してキリトは《はじまりの街》を去って行った。
残った自分はクラインと別れ、武器を片手に早速フィールドに繰り出し、レベリングを始めた。
デスゲームを生き残るために……。明日を生きるために、ブレイドはフィールドを駆けていた。
あれからどのくらいが経ったのだろう。
少なくとも日に日に亡くなっていく人の数は増えていったが、未だ第一層の攻略すらも終わっていなかった。
そしてついに先日、《トールバーナ》と言う街で第一層攻略のための会議が行われる事になった。
自分もその話し合いに参加する為にトールバーナに来ていた。
そして始まった会議だったが、そこに乱入者がいた。
「ちょお待たんか!!」
関西弁で乱入して来たイガイガ頭の男は叫んでいた。
「ワイは《キバオウ》ってゆうもんや。ワイが言いたいんはな、こん中に詫び入れなきゃあかん奴がおるっちゅうことや」
そう言い、キバオウはβテスターのことを糾弾し、さらには罵り始めていた。
少なくとも自分が関わって来たβテスターにそんなやつはいない。嫌悪感を通り過ごして、憤慨していると外人のような見た目をした男がキバオウに話しかけていた。
「(おぉ…すごいデカい……)」
自分はそんな事を思いながらエギルと名乗ったプレイヤーを見ていた。
するとそこで思いがけない人物と再会する事になった。
「お前……もしかしてブレイド?」
「ん?あっ、もしかしてキリトか?」
久々の再会に少しだけ驚くとブレイドはキリトの隣にいる人物について聞いていた。
「キリト。隣の人は?」
「え?ああ、さっき会ったんだ。名前は……」
「……アスナ」
「そう、アスナ。アスナさん」
「そうかアスナか……宜しく」
そう言うとぶっきらぼうにアスナが返事をしてきて、ブレイドはちょっとだけ心にダメージを負ってしまった。
「(接し方を間違えたか……?)」
そんな事を思いながら会議は明日に第一層攻略を行う事が決まり、解散となった。
翌日、トールバーナの広場には多くのプレイヤーが集まっていた。
その中にはエギルやキバオウの姿もあった。昨日の会議の音頭をとったディアベルを先頭に自分もキリト、アスナと共に迷宮区を進んでいるが、自分の中で嫌な予感が走り、思わず隣にいたキリトに聞いてしまった。
「…なあキリト……」
「なんだ?」
「βテストの時、ボスはどんな敵だった……?」
ブレイドに聞かれ、少し腕を組んでキリトは記憶を辿る。
「え?確か武器が斧とバックラー……で、HPがなくなると武器がタルワールに変わるはずだ……それがどうかしたか?」
「…いや、ちょっと嫌な予感がしてな……」
ブレイドは嫌な予感がしつつも迷宮区の最奥、《イルファング・ザ・コボルド・ロード》のいるボス部屋の前に到着した。
ディアベル達によると自分とキリト達の溢れ組は取り巻きの《ルイン・コボルド・センチネル》の討伐に回され、自分とキリト、そしてアスナと共に動きを確認するとボス部屋に突入をした。
「戦闘開始!」
『グルゥゥゥアア!!』
ボス部屋に突入すると《ルイン・コボルド・センチネル》が何体かポップし、戦闘が始まった。
「スイッチ!」
キリトの掛け声に、アスナがソードスキルを発動させ、コボルドの鎧の隙間を〈リニア―〉で貫いた。そのまま、コボルドはポリゴンとなって、消滅した。
「(これは負けられないな……)」
そう言いながら自分も《ルイン・コボルド・センチネル》一体を倒した。
そしてボスの方もバーが赤くなり、ディアベルが飛び出した。
「後は任せろ!」
そしてディアベルが飛び出した時、《イルファング・ザ・コボルド・ロード》は武器を捨て、刀を取り出した。
「βの時と違う!……っ!」
「全員……背後に飛べぇ!!」
キリトがそう叫ぶも、ボスは刀に光を纏わせてソードスキルを放った。
ディアベルはその攻撃をモロに受け、宙に体が舞った。
「(嫌な予感はこれか!!)」
ブレイドはそう心の中で愚痴りながら逃げてくるプレイヤーを横目にキリト達に目配せをする。
「……行けるか?」
「ああ、任せろ」
「……」コクッ
確認をした後、自分達は突入を開始した。
結果として、突入は功を奏し、無事にクリアできた。
だが、問題はその後だった。
「何でディアベルはんを見殺しにしたんや!」
そう、この特徴的な関西弁はキバオウである。
しかもキバオウはあろう事かキリトを糾弾していた。
そしてキリトは全ての憎悪を一人で背負っていた。その事に自分は驚くとキリトは第二層の扉を開けて迷宮区から出て行った。
「(キリト……)」
自分は出ていったキリトを何もできずに見送ることしかできなかった……。
それから自分は攻略には参加しなかった。
いや、この場合は逃げたと言ったほうがいいかもしれない。向き合うべき事から逃げ出して……それでいて心のどこかでは強くありたいと思い、迷宮区から離れ、ひたすらにレベリングと自分に合う武器を求めてダンジョンに潜ったりもしていた。
時々キリトとも連絡をとっていたが実際に会うことは極端に減っていた。
そんなある時、新聞でキリトが『黒の剣士』と呼ばれている事を知った。