ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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#1 攻略組参加

二〇二三年 九月一〇日

 

久しぶりにキリトが載った新聞を見た自分は不意にキリトに連絡を取っていた。

 

『今から会えるか?』

 

返事はすぐにあり、自分はキリトと落ち合う事になった。

 

現在の最前線は第三十九層。今の自分の拠点は三十五層を中心に活動をしており、時々キリトと共にダンジョンに潜ったりしていた。

 

「よっ、久しぶりだな。ブレイド」

「ああ、久しぶりだな。キリト」

 

軽い会話で合流したキリトとブレイドは店に入り、簡単な飲み物を注文するとブレイドが単刀直入にキリトに言った。

 

「キリト……近々自分も『攻略組』に参加しようかと思っているんだ」

 

そう言うとキリトは少し驚いた様子を見せながら、どこか嬉しそうな様子で聞き返した。

 

「本当か?」

「ああ……前に入ったダンジョンで思ったんだ。そろそろ現実と向き合った方が良いのではないかとね……」

 

ブレイドのレベリングはキリトも何となくだが攻略組にいても問題ないほどだと察せた。だからこそ人数が増える事に不安を感じることはなかった。

 

「そうか……しかし、ブレイドが来てくれるのは俺としても嬉しい。俺もブレイドとダンジョン潜っててずっと思っていたんだ、『これなら攻略組に来ても十分戦える』ってな」

 

嬉しそうにしているキリトを見てブレイドはいつもとは違う違和感を感じた。

 

「(何かあったのか……?)」

 

ブレイドはあまり人の事情を聞くのは無礼と思っている為、普段であれば詳しくは聞かないが、この時ばかりはキリトに聞いてしまった。

 

「キリト……()()()()()?」

「え?」

「何度も共にダンジョンを潜った仲だ、気持ちの変化くらいわかる。もう一度聞く、何があったんだ?キリト。何が君をそう()()()()()()()()……?」

 

そう聞くとキリトは諦めたような表情を浮かべ、ゆっくりと席に座るとブレイドに三ヶ月近く前の悲劇を話した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

月夜の黒猫団での話を聞き終えたブレイドは、飲んでいたカップを置くと席を立ってキリトの肩を優しく叩いた。

 

「成程、それはすまない事を聞いた……」

「いや、良いんだ。ブレイドに話したからか少しスッキリした。……こっちこそ、聞いてくれてありがとう」

「これくらいはお安い御用だ」

 

そう言うとブレイドはキリトと攻略組との顔合わせのために店を出た。

 

「しかしいきなり攻略組に参加するなんて驚いたよ」

「そうだろうか?」

「ああ。だが、ブレイドと戦う時間が増えて嬉しいよ」

 

そう話しているとキリトはメールであるフレンドに連絡を送った。

 

「OK、アスナにもメッセージを送ったら了解していたよ」

「そうか…随分と軽いんだな……」

 

予想外の反応にブレイドは思わず苦笑してしまう。するとキリトも軽い様子で話す。

 

「まぁ、実際作戦会議と攻略するときしか全員集まらないしな。あとは情報集めとレベリング……それと装備の整理とかだな」

「そ、そうなのか……」

 

若干気の抜けた返事をしながらブレイドはキリトと話しながら連携プレイの練習としてダンジョンに乗り込んでいた。

 

「じゃあ、始めますか」

「ああ、やろうじゃないか……狩を始めよう」

 

そう呟いてキリトは片手剣を、ブレイドは両手剣を持ってダンジョンに突撃をしていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ダンジョンに潜って数時間、レベルアップの音が数回聞こえる頃にキリト達はダンジョンから出てきた。

 

「ふぅ、やったやった」

「なかなかに疲れたな……」

 

二人はそんな事を言いながらダンジョンから出て街に戻る。

そしてそこで適当に夕食を取ってキリトとブレイドはそこで別れた。

 

「じゃあ、また会議があったら呼ぶわ」

「ああ、頼んだ」

 

そう言うとキリトと反対方向にブレイドは歩き始めた。

 

「さて、攻略会議が始まるまでレベリングか、迷宮区の偵察でもしようかな?」

 

ブレイドはそんな事を呟きながら街を歩いていた。

久しぶりにキリトとダンジョンに潜った影響か、今日は気分がよかった。

 

「さて、今日はこの後どうしようかな」

 

ブレイドはそんな事を考えながら宿屋に向かう道を歩き始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数日後、ブレイドが攻略組に参加する事はすぐに仲間に知れ渡り、ブレイドはある人物と共にフィールドにいた。

 

「……で、わざわざアルゴさんが何故私の狩場に?」

 

ブレイドがそう聞くと横にいた黄色い髪に猫の髭を模したフェイスペイントをする一人の女性は少し笑って陽気に答える。

 

「にゃはははは。それは勿論ブレ坊がなぜ攻略組に参加するのか気になったからだネ」

 

ブレイドが片手斧を振り回している横で話しかけるのは《鼠》と言われている情報屋のアルゴだった。

 

「もう知っているんですか。流石ですね」

 

モンスターを殲滅し、斧をしまったブレイドがアルゴにそう聞き返すとアルゴは『にゃはは』と特徴的な笑い声で、返事をした。

 

「せっかくのいいバイト仲間の君が攻略組に参加ダ。オレっちとしてはせっかくの敏腕助手がいなくなるのと同じだからネ」

「それはそれは光栄ですね」

 

実際、ブレイドはここ数ヶ月。アルゴと共にダンジョンの情報収集を行なっていた。ドロップ品を受け取って良いのと割と時給が高かった事からブレイドもウキウキでアルゴのバイトに付き合っていたのだ。

コルも貯まり、レベリングできるだけでも十分おいしいのに、更にドロップ品までもらって良いと言うのだ。これほどおいしいバイトはないと感じていた。

なぜこんなバイトを誰もしないとかと思わずアルゴに聞いたことがあった。

 

『ああ……それはブレ坊以外全員何かしら仕事があるからだネ』

 

そう言うとアルゴは理由を話し始めた。

まず第一にブレイドのレポートは読みやすいと言う事。キリトも同じ事をやらせたらしいがこんなに綺麗に纏まっている事はないという。

第二に未知の迷宮区やフィールドに飛び出す度胸のある人が少ないと言う事だった。確かに、十層までならβテストの時の経験が生きていたが、今の最前線は三九層。未知のことほど怖いものはないと言える、その点は理解できた。

最後に、実力あるものはほぼ全員が攻略組に参加してしまっていると言う事だった。

確かに他のプレイヤーもレベリングはしているが、攻略組に比べれば微々たるものだろう。おまけに攻略組はボス戦の為に基本的に何かしらの予定を入れている可能性が多く、なかなか予定が合わせづらいと言うのが大きな理由だった。

 

そんな中で、攻略組に匹敵するほどの実力も持ち、それでいて攻略組に参加せずにレベリングをしており、更にレポートは見やすいというアルゴにとってはとても使える助手なのがブレイドだった。

 

「ブレ坊はすごく有能だからネ。オレっちの本音としてはこのまま一緒に仕事をしたいと思っているのだガ……」

「ははは、別に自分はいつでも良いですよ。ボス戦終わった後にでもまた予定合わせたら行きましょうよ」

 

そう言い残すとブレイドはアルゴと共に街に戻ろうとした時。ふとある疑問が浮かぶと早速行動に移した。

 

「アルゴ、ちょっと先に戻っててくれ。ちょっと呼ばれたみたいだ」

「分かっタ。じゃあ、いつものところで待っているネ」

 

そう言うとアルゴは先に街に戻るとブレイドはメッセージでキリトを呼び出した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「で、それ本気で言ってるか?」

「ああ、本気だ。やってみる価値はあるだろう?」

 

そう言いながらブレイドはアイテム欄から転移結晶を取り出した。

 

「……仕方ない。この際やってみますかね」

 

キリトも半分諦めムード、半分面白そうなムードで転移結晶を取り出すと不敵な笑みを浮かべた。

 

「じゃあ、行こうか」

「ああ、クリアしたら『閃光』さんに怒られそうだな」

「その時は甘んじて説教を受けよう」

 

お互いに若干笑い合いながら二人は迷宮区に向けて歩き始めた。

 

 

 

 

 

迷宮区の最奥の部屋……ボス部屋では戦闘が行われていた。

 

「キリト、そっち行ったぞ!」

「任せろ!!」

 

ブレイドの声に反応するようにキリトが剣を構えた。絶賛、二人は三十九層のボスの《ブラッディ・グリフ》と言う大きいカラスのような鳥に戦いを挑んでいた。

 

「……これ焼き鳥にできないか?」

「今それを言うか?!」

 

キリトがそう叫びながら《ブラッディ・グリフ》の腹に剣を差し込んで傷を入れる。対するブレイドも鳥の右翼の根元を剣で切り付けてダメージを与えていた。

ダメージを与えた二人は《ブラッディ・グリフ》の羽の動きが変わったことに注意すると《ブラッディ・グリフ》は翼を思い切り振って攻撃をしようとした。

 

「させるかぁ……!!」

 

すると《ブラッディ・グリフ》が攻撃する直前、ブレイドが左翼の根元に両手剣で切り傷を入れる。

ブレイドとキリトが取った戦法はとても簡単で、ブレイドが高速移動をして敵を撹乱している間に、キリトがダメージを与え続ける戦法だった。

実際、今回のボス戦はブレイドの高速移動のおかげで《ブラッディ・グリフ》は完全にブレイドを狙っていた。このおかげでダメージバーがどんどん減っていき、ゲージの色が赤くなっていた。

 

「ブレイド!」

「これで……止め!」

 

ブレイドは《ブラッディ・グリフ》の上に跳躍をすると《ブラッディ・グリフ》の両翼に短刀を突き刺した。すると《ブラッディ・グリフ》はポリゴン片と化し、入ってきた部屋の扉とは別の扉が開いた。

 

「やっ…たか……」

 

ブレイドは両手剣を持つとキリトの手を掴んだ。

 

「やったなブレイド」

「そっちこそ。おめでとうキリト」

 

そう言うとキリトがブレイドに聞いた。

 

「ところで、アスナさんへの言い訳は考えたか?」

「……」

 

その問いに無言のブレイド、それを受けキリトの方はたちまち青くなる。

 

「…まさか……」

「…考えているわけがなかろう。こっちだってまさかうまく行くとは思わなかったんだ」

「ハハハ…ですよね〜……」

 

ブレイドとキリトは言い訳を考えながら第四十層に続く扉に歩き始めた。

 

 

 

 

 

ちなみにこの後、アスナにめちゃくちゃ怒られたのは言うまでもなかった。

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