ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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#36 思いがけない縁

十二月十八日

 

修也は寒い冬の中、マンションの部屋の一室でパソコン前にキーボードを叩いていた。今行っているのはGGOで発覚した個人情報を打つ時の管理方法の変更である。

透明マントを使って個人情報を手に入れられると言う大問題を改修する為にシステム調整をしていた。

 

「まあ、このくらいで良いか……」

 

基本的なプログラムを終えた修也はデータを送信すると横にカップが置かれた。

 

「お疲れ様」

「ああ、済まんな」

 

そこにはつい数日前に話をしていた朝田詩乃の姿があった。

 

なぜ彼女がここにいるのか、それは一週間程までに遡る……

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

十二月十日

 

家でGGOで起こった事件を仲間達に話し終え、対策をしていた時。珍しく父から連絡があった。

 

「もしもし、父さんからとは珍しいね」

『ああ、修也か?すこし、頼まれてくれ』

「?」

 

少なくとも父さんからこんな事言われるのは初めてだった。

一体何事かと思いながら修也は話を聞いた。

 

「それで、用件って?」

『ああ、修也がこの前言っていた朝田詩乃って女の子。あの子の事なんだが……』

「ああ、どうした?」

『暫くそのマンションに泊めてやってくれ』

「……はぁ?」

 

何を言っているんだこの人は。と思ってしまうくらい突拍子もない話だったが、父からの話はこうだった。

 

『あの事件の後、容疑者の一人の金森敦がまだ捕まっていない。もしかすると何処かで彼女に復讐をするかも知れない。だからと言って彼女に護衛の話をしたが断られてしまった』

「……で、目に届く範囲で護衛をしたいから電話をしたと?」

『そう言う事だ』

「……まあ、良いよ。どうせもう手筈は整えているんでしょう?」

『さすが、物分かりが良いな。助かった、由美子には話を通してある。朝田さんが来るのは明後日だ。それまでに部屋を片付けておけよ。マキナから色々と聞かせてもらっているからな』

「分かったよ……」

 

父の忠告に修也は溜息を吐くと今の自分の部屋を見てゲンナリしていた。

しかし、そこで父から爆弾が落とされた。

 

『それに、聞いたぞ。お前、朝田さんを姫様抱っこしたんだってな』

「……それが?」

『好きになったのか?』

「・・・」

『ま、また連絡する。じゃあな』

 

そう言って連絡が切れた携帯を持って修也はため息を吐くとマキナを呼び出した。

 

「お呼びですか、マスター?」

「今すぐ部屋を片付ける。手伝え」

「っ!じゃあ、マスターが家に女の子を呼ぶんですね!」

「そうだが……ラブコメじゃないんだ。変なことは考えないほうがいいぞ」

「ムー、それじゃあ面白くないです!」

 

マキナが文句を言いながら掃除機片手に部屋中を走り回った。

 

「下手に走って転けるなよ」

「大丈夫です!この部屋は段差ないですし」

 

そう言って掃除機片手にウキウキしながらマキナは部屋を片付けていた。

 

 

 

 

 

二日後、家にやってきた詩乃に修也とマキナが出迎えた。

 

「初めまして、朝田詩乃さん。私はマキナと申します」

「あ、ど、どうも……」

 

マキナを見た詩乃が戸惑っていると修也が詩乃に言った。

 

「彼女は身の回りの世話をしている妹のような子だ。よろしく頼むよ」

「あ、うん。分かった……」

 

詩乃はマキナを見ながら修也に挨拶をする。

 

「これからお世話になるわね」

「ああ、こちらこそ宜しく。()()

 

いきなり名前呼びされた事にドキッとしつつも詩乃は修也の部屋で生活をしていた。

 

 

 

 

 

そして今現在に至る。コーヒーを渡した詩乃は修也に聞いた。

 

「仕事はどうなの?」

「順調だ。仕事は終えたからあとはゲームをしようと思っていたが……」

「じゃあ、私も行く」

「了解、ついでに買いたい物があるんだ」

「……何を買う気なの?」

「なに、ちょうどクレジットが貯まったからな。前から欲しかったものだ」

 

そう言って口角を上げながら言うと修也と詩乃はアミュスフィアを取り出して二人して修也の部屋のベットに横になるとお互いに向こうの世界にログインをしていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

GGOの世界に入ったシノンは部屋の右を見る。そこには見慣れた赤いロボットが椅子に腰をかけていた。

 

「フリューゲル」

 

そう声をかけるとロボットがシノンに気がついた。

 

「よう、来たか」

 

そう言うとフリューゲルはシノンの手を取ると宿屋から外に出る。詩乃が修也の家に泊まっている時、彼がザスカーの社員である事や、フリューゲルである事は教えて貰ったがどこか納得できる部分もあった。

やけにSBCグロッケンの道に詳しいと思っていたが、どうも設計をしたのが彼だったそうだ。それは詳しいわけだと思いながら二人で街を歩くと街の外れの一角にある店に到着した。

 

「ここ?」

「そうだ。今度二人で行こうと思っていた場所に行く為の道具だ」

 

そう言って店の中に入りフリューゲルが店のコンソロールを触り、膨大なクレジットを払うと『有難うございます!』と言う機械音声と同時に隣のガレージに続く扉が開いた。

 

「さて、こっちだシノン」

「あっ、分かった」

 

店を眺めていたシノンはフリューゲルに呼ばれてガレージを歩くとフリューゲルが歩みを止めて一台の車の前に止まった。

 

「買ったのって……これ?」

「そうだ。さて、早速行くぞ」

「了解」

 

そう言ってシノンは《CMー35 雲豹 機動砲車両型》と書かれた車に乗り込んだ。装甲兵員輸送車のように見えるその車両は上に大きな砲塔を持ち合わせていた。

中は結構広く、フリューゲルはエンジンを起動させた。

 

「行けるか?」

「大丈夫」

 

ブオォォォオンッ!!

 

エンジンが唸り声を上げながらガレージを出て荒野を一気に走り出した。

 

 

 

 

 

荒野を走る一台の装甲車で、フリューゲルはハンドルを握っていた。

 

「運転大丈夫なの?」

「問題ない。車の運転は慣れている」

 

射撃手の椅子に座っているシノンがフリューゲルに聞くも、問題ないと返答をしていた。元が兵員輸送車なだけあって中は結構広く、車の中にかなりの物資や弾薬が積まれていた。

 

「元々移動拠点として買った車だ。これから重宝するだろう」

「そうね」

 

フリューゲルは運転をしながら外の景色を眺めるとシノンに聞いた。

 

「……シノン、十時方向にモンスターの大群がいる。試しに撃ってくれ」

「了解」

 

砲手席で砲塔が回るのを確認したシノンは自動装填される砲弾を確認すると双眼鏡を覗いた。レーダー測距で距離を測り、手に発砲用の引き金を持つ。

 

「距離は…大体2300m……」

「弾は榴弾。行けるな?」

「これくらい簡単よ」

 

自慢げに言うとシノンは双眼鏡越しに引き金を引く。

 

ドォォン!カンコンッ

 

重い砲声と薬室から吐き出される薬莢が落ちる音が戦闘室に響く。

 

発砲した砲弾は真っ直ぐ飛んでいきながらモンスターの大群の飛んでいく。

そして着弾と同時に信管に点火された火薬が破裂した金属片を纏わせながら辺りに広がり、炎に包まれた。

小さめのきのこ雲をハッチから確認したフリューゲルは苦笑してしまった。

 

「これは酷い……」

 

そう言いながらもう一度倍率を上げて着弾場所を確認するとモンスターが消し飛んでしまっていた。

 

「流石高いだけあって威力はトップだな」

「戦車まであったもの。凄いことになるわよ」

「一応数は制限しているんだがな……大きなスコードロンだと既に持っていそうだな」

「ただの車なら結構見るわね」

 

そう言ってシノンは前に大規模スコードロンが軽装甲の車両を買っているのを思い出したが、少なくともこんなゴテゴテの軍用車両を持っているのは殆ど見た事がなかった。

 

「少なくともこんな少人数でゴテゴテの装甲車を買ったのは私たちが初めてでしょうね。一体いくら掛かったの?」

「今までに貯めていたクレジット全部」

「嘘でしょ!?」

 

シノンが驚きながら聞き返すと咄嗟にストレージを確認する。

ゲーム内で結婚をしている二人はストレージが共有されているのでクレジットの残額を確認できた。フリューゲルが元々持っていたクレジットはとんでもない金額があった。シノンの持っているクレジットよりも断然多かった。なんでも初期の頃に課金した分を返して以来、通信費分以外換金をしていないそうだ。それで、通信費を出しながらここまで貯めていた事に驚愕するしかなかった。

シノンは確認すると本当にクレジットがごっそりと減っており、クレジットの桁数が何桁も減ってしまっていた。

 

「こ、こんなに……」

 

シノンは驚愕しながらフリューゲルを見ると彼は満足げな表情をしながら運転席に戻った。ここまでクレジット溜めていた事にも驚きだが、そこまでプレイできる時間があった事にも驚きだった。

 

「夏休み中にずっと潜って遺跡の周回ばかりしていた」

 

シノンの疑問に答えるようにフリューゲルが言うとシノンは試しにプレイ時間を聞いていた。

 

「それって何時間ぐらい?」

「ざっと平均十時間」

「バッカじゃないの!?」

 

思わず声を出しながらシノンが言ってしまいフリューゲルの異常さを思い出すと頭を抱えてしまった。

 

「……はぁ、修也と一緒にいると疲れちゃう」

「そうか……さて、街に戻ろう。ダンジョンに潜るのはまた今度だ」

「えぇ、分かったわ」

 

フリューゲルはハンドルを切りながらそう言うとシノンも納得して街に戻り、二人で貸りている宿屋に戻ると二人はログアウトをした。

ログアウトした詩乃と修也は時間を見て驚いていた。

 

「あ、もうこんな時間だったのね」

「じゃあ夕食でも作るか」

 

そう言って二人が台所に立ってそれぞれ夕食の準備をしていた。

詩乃が家に来た時に、冷蔵庫の中身を見た彼女に怒られて大量の食材を買い込み、それ以降詩乃が毎回食事を作っていた。

そんなこんなで詩乃とはやっていけている今日この頃、修也は台所で野菜を切っていた。

因みに、修也と詩乃が同居している事は和人達には未だバレていない。

 

「これ、バレたらどうなるんだろうな……」ボソッ

「修也、何か言った?」

「いや、何でもない。それより詩乃、食事が終わったらちょっと買い出しに行こうか」

「また、冬のアイス?」

「良いだろう?」

「はぁ、しょうがないわね」

 

詩乃が溜息をつきながら修也を見て少し笑うと二人はその後楽しく夕食をとっていた。

 

 

 

 

 




冬のアイスって美味しく感じません?
特に雪見だいふくとか、雪見だいふくとか、雪見だいふくとか。
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