ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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#41 忘年会

二〇二五年 十二月二十八日 午後

御徒町のダイシー・カフェにバイクに乗って到着した修也と詩乃はバイクに牽引トレーラーをつけて店にやってきた。

店に入るとどうやら一番乗りだったようで店には誰もいなかった。

 

「エギル!」

「おお、修也か。今日は行けなくてすまねえな」

「いいさいいさ、こうやって店を貸してくれるだけで」

「お邪魔します」

 

そうして詩乃が席に座ると修也はエギルに厨房を借りると馬鈴薯とラム肉。野菜を切り刻んで炒めていた。

 

「今日は何を作るんだ?」

「詩乃が食べたいと言っていたシェパーズパイを……」

「ああ、そっか。そういやぁ修也と詩乃は同居しているんだっけか?」

「和人達には言わないで下さいよ」

「分かっているさ」

 

そう言いながら準備をしていると店の方がざわついており、和人達が来たのだろうと予想した。シェパーズパイもあとはオーブン放り込むだけなのでエギルに任せると店に戻った。

 

「キリト」

「あ、来ていたのか!アレ、持ってきたか?」

「ちょっと待ってろ。まだ最後のパーツを付けていないんだ」

 

そう言いながら店の外に一旦出た修也はトレーラーの蓋を開けて中からパーツを取り出した。

そしてバラバラのパーツを机に全て置くと明日奈達も興味深そうに見ていた。

 

「何これ?」

「八月に和人が注文をした品だ」

「八月って……四ヶ月も経っているの!?」

 

里香が驚きながら並べられたパーツを見ると修也は和人と鋭二を呼び寄せた。現在東都工業大学の学生をしている鋭二は修也の作ったものに興味を示していた。

分割したパーツを組み立てながら鋭二が修也に聞いてきた。

 

「これって……履帯?」

 

そう呟きながらパーツを組み立てた。見た目は履帯式の足に体と腕が取り付けられ、頭部に和人の作った《視聴覚双方向通信プローブ》を修也が改造した物が取り付けられた。

 

「これは?」

「本当はガン○ャノンみたいにしたかったが、予算がなくてこうなった」

「馬鹿言うな、見積もり出された時は腰が抜けたわ!」

「でもこれって……」

「ガ○タンク……」

「明日奈知っているのか?」

「ええ、兄が好きだったアニメだったから……」

 

そう言いながらガ○タンク……もといユイタンクは和人の最終調整を受けていた。

 

「ハードはこっちで作ったんだ。最後くらいは和人がやってくれ」

「アホゥ、こんなの作って貰って親が何もしないってど言う事だってばよ」

 

そう言いながら和人が修也の持ってきたPCを叩いていた。ユイタンクは大きさは80センチほどで、肩にはキャノン砲の代わりに砲身に見立てた外付けバッテリーを装着している。これで稼働時間は約一日と言った所である。腕はマキナに使った技術を使っているのでお盆をもつくらいは出来るようになっている。

 

マキナの場合は桁数がおかしくなるくらい金額をかけたので色々なことができるようになっていた。今入ってくる収入を貯め続ければいずれマキナの機体を完全新調するつもりである。

ユイタンクをマジマジと見ている鋭二は修也の技術に驚きながらユイタンクを見ていた。

 

「いずれはユイタンクを改造しようかな……」

「それはやめろ。これ作っただけでこっちは予算がすっからかんなんだから……」

「またバイトすれば良いだけだろう」

「まぁ、ユイのためなら……」

 

良いのかい。と突っ込みたくなってしまったが余計な事を言わないようにしていた。

そして和人がユイタンクに声をかけた。

 

「ユイ、どうだ?」

『す、凄い……ちゃんと見えるし聞こえるし、動かせます!』

 

ユイタンクのスピーカーから可憐な声が聞こえ、和人と修也がそれぞれカメラと本体のパーツの確認をしていた。

 

「問題はなさそうだな」

「そうだな。ユイ、試しに明日奈の所に動いてくれ」

『はい、パパ』

 

カタカタカタカタ……

 

ゴムキャタピラの回転する音が店に響き、ユイタンクは明日奈に近づいた。それを見た明日奈が興奮していた。

 

「凄い……」

「腕の方も問題なさそうだな」

 

ユイタンクを確認した和人は顔を上げてボソッと呟いていた。

 

「あぁ〜、アクスレー社とかが美少女ロボットでも作ってくんねえかなぁ……」

「アクスレー社って、あのアメリカの医療メーカーの?」

 

明日奈が記憶をもとに和人に聞き返した。

 

「ああ、あそこは義手とかを作っている部門があるんだけど……そこの義手がすごいんだよ」

「あぁ、聞いたことあります。何か体の電気信号を増幅させて機械を動かして本物の腕のように動く義手があるって……」

 

鋭二が思い出したように顎に手を当てていた。修也もそれに乗っかっていた。

 

「ああ、アクスレー社はアメリカ最大手の医療メーカーで、医薬品から義手まで何でも作っている会社だな」

「そこで、和人さんはアスクレー社の義手が欲しいと?」

「そう、アクスレー社が美少女ロボットを作ったら俺は絶対買うね」

 

彼はそう断言すると修也が問いかける。

 

「義手をそのままユイちゃんに使うのは難しくないか?」

「まあ、そこはハード作るのが得意な修也さんのお任せしますよ」

「…まあ、その分の料金をもらえれば……」

「そこやるんだ……」

 

里香が若干引いていると今まで黙っていた詩乃が呆れた表情を浮かべた。

 

「その時の修也は凄かった。家に行った時に部屋に部品が散乱して…まともな食事もしていなかった……」

「「「へ、へぇ……」」」

 

全員が引いている中、和人は修也がマッド感を醸し出しているのが伺えた。

そして全員がユイタンクで盛り上がっているとエギルが料理を運んできて、和人が音頭を取った。

 

「それでは、ええ、今年の終わりと二つの伝説級武器の獲得を祝して、――乾杯!」

「「「「「「乾杯!」」」」」」

 

こうして忘年会が始まった。

 

ーーある者はエギルの料理を頬張り。

ーーある者は修也の作ったシェパーズパイに舌鼓を打ち。

ーーある者は由那の生歌ライブに盛り上がり。

ーーある者は年越しをどうしようか悩んだりしていた。

 

 

 

 

 

店の端でユイタンクを見ながら修也は満足感ある表情を浮かべていると詩乃が声をかけてきた。

 

「どうなの?自分の作った物を見て」

「満足感はあるな。やっぱり何かを作るのは気持ちがいいな」

 

そう呟いて桜色のユイタンクはキャタピラを回転させてクルクル回っていた。いつのまにか超信地旋回している事に若干の驚きをしつつもユイタンクを眺めていた。

 

「和人が出した予算でも案外作れるんだなとも思った」

「まあ、マキナちゃんは色々と別次元でお金かかっているし……ね」

 

詩乃はマキナにかかった金額を聞いて目玉が飛び出しそうになった事を思い出すと思わずクスクス笑ってしまった。

 

「何笑っているんだ?」

「いえ、修也が楽しそうにユイタンクを作っているのを思い出してね」

「そうか……」

 

修也は詩乃を見てドリンクを一口飲むと修也が詩乃に言った。

 

「あ、そうだ。詩乃、春にアメリカ旅行の予約とったぞ」

「そうなの?」

「ああ、前に友人達に呼ばれて聞いてみたら良いって返ってきたんだ」

「そうなのね……」

 

あっさりと海外旅行に行く事を伝える修也に詩乃は若干顔が引き攣っていた。修也はそんな詩乃を見て話し続けた。

 

「大丈夫さ、パスポートの申請もしたし、向こうでは色々と教えてあげるから」

「じゃあ、その時はお願いするわね」

 

そうして二人は忘年会を楽しんだ後、先に店を後にした。同居している事を悟られないようにする為に少しだけタイミングをずらして出ていった。

そして店の外で修也の運転するバイクの後ろに詩乃が乗り込むとバイクを走らせていった。

 

 

 

 

 

修也と詩乃が居なくなった店で、ユイタンクを眺めていた和人は明日奈、里香、圭子、直葉、由那、鋭二を集めて会議を開いていた。

 

「あの二人、どう思う?」

「カップルっていうのは言わなくてもわかる」

「あんなに修也さんが優しい表情するなんてないですもの」

「だよなぁ〜」

 

和人が腕を組んで頷くと由那と鋭二が疑念を打ち明けた。

 

「でも何というか……」

「もっと大きな隠し事をしている気がしますね……」

「「「「「あぁ〜……」」」」」

 

全員が声を上げて修也と詩乃を思い浮かべる。タイミングはずれていたが修也と詩乃が目配せしていたのは全員が気づいていた。

 

「修也さんって嘘をつくのが下手ですよね」

「あぁ……」

「確かに」

 

明日奈と和人が学校での修也を思い返しながらそう呟く。確かに大人びているようにも思う修也は隠し事が下手な印象があった。

 

「じゃあ、何だろう。修也と詩乃がカップル以外で隠したい事……」

 

里香の疑問に由那がハッとした様子で思い浮かんだ。

 

「まさか…同棲……?」

「同棲?」

「はい、エー君と私もしているんでるけど……」

「あり得るかもしれないですね……」

 

由那の疑問に里香が疑問を鋭二が肯定をしていた。和人は鋭二の予想を聞いて

 

「同棲か…あり得るわね……」

「もし本当に同棲していたらどうする?」

「そりゃあ、暖かく見守っておけば良いんじゃないか?」

「そうだね、修也さんとシノのんがカップルなのはみんな知っているし……」

 

和人達がそんな話をしている横でクラインとエギルはカウンターでブランデーを嗜んで盛り上がっている和人達をいかにも年頃のお話だと思って優しい目で見ていた。




どうせやるならユージオ生存のUR編やりてぇ・・・
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