ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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#47 楽しい日々

一月十五日

 

今日はキリト達と共に二十二層にあるアスナとキリトの家の前の庭でバーベキュー大会を開いた。

参加者はキリト、アスナ、リズベット、クライン、リーファ、シリカのいつものメンバーにユウキなどのスリーピングナイツのメンバー。それからサクヤ、アリシャ、ユージーンなどの一部種族の領主達とその側近の合計三十名以上のメンバーが集まり。わざわざ食材集めのパーティーが編成された。

スリーピングナイツ達の噂は既にサクヤたちに届いており、早速ユウキ達を勧誘したりしていた。

賑やかな乾杯の後暴飲暴食の宴が始まり。飲んだり、語ったりしていた。

途中から参加したユナがユウキ達に演奏を行い、盛り上がりが最高潮に達したところでついでに二十八層のボスを倒そうということになり、そのままの勢いで二十八層の甲殻類型ボスモンスターを倒してしまったのは笑い話にするしかなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

二月六日

 

アスナを含めたスリーピングナイツのメンバーで二十九層の攻略に成功。アルブヘイム中にその名を轟かせた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

二月二十五日

 

ALOで行われた統一デュエルトーナメントでキリトとユウキが決勝を行った。

ユウキの神技とも言える十一連撃のOSSはキリトを打ち破り見事優勝に輝き、ユウキの名はザ・シード連結体に轟かせていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

三月一日 横浜港北総合病院

 

「……と言うことで木綿季さん。本国での準備の目処が整いましたので、今月の十五日に貴方をアメリカに移送する予定となりました」

『分かりました』

「それまでアスナとたくさん思い出を作っておいてください。本国の治療施設では電子機器が一切使えなくなってしまうので」

『っ!わ、分かりました!!』

「では、私はこれで。また後で会いましょう」

『はい!待っています!!』

 

木綿季の元気な声が聞こえると修也は最後に木綿季に提案をした。

 

「木綿季さん。もし良ければ、貴方の教えてくれたあの家を守らせてはくれませんか?」

『え?それはどう言う……』

「そのままの意味です。木綿季さんが教えてくれたあの土地と家を、貴方の治療が終わり帰国するまで私が責任を持って管理させて欲しいと言うことです」

『!?!?!?!?』

 

明らかに驚いた様子を見せる木綿季に修也はそう思った訳を話した。

 

「木綿季さん。私は貴方の今までの人生を見ていて感動しました。貴方に残された数少ない財産を……守らさせてはくれないでしょうか」

 

修也の今までにない程優しい声と表情に木綿季の答えは早かった。

 

『是非……お願いして貰っても良いですか!』

「……分かりました。後のことはこちらで行なっておきます。家の清掃と修繕などはこちらで行なってもよろしいでしょうか?」

『あ、はい……』

 

木綿季は思わず修也に聞いてしまった。

 

『あの…修也さんはどうしてそこまでしてくれるんですか……?』

「……私は、今まで色んなことを学んで来たつもりでしたが。家族と言う根本的なことを教えてくれたのが貴方だったからです。これはそのお返しだと思ってください」

『……』

 

お返しにはお釣りで一杯だと思っていたが、木綿季は修也の厚意に感謝をすると修也はそのまま病室を後にした。

 

 

 

 

 

病室を出た修也は倉橋医師と話をしていた。

 

「倉橋さん。移送の際の計画表です。目を通しておいてください」

「分かりました……」

 

倉橋さんの安心しきった表情に思わず声をかけてしまった。

 

「倉橋さん。私が言うのも何でしょうが……今まで苦労が絶えなかったでしょう。たまには大人でも泣いても良いと思っていますよ」

「っ!…そうですね……木綿季くんを……よろしくお願いします」

「常に最新鋭の医療機器を揃えているのがアクスレーの強みです。……今回もきっとうまくいくと思っていますよ」

 

修也は既に涙ぐんでいる倉橋医師にそう言い残すと病院を後にした。これから彼女が無事にアメリカ本国まで着くまでは気が抜けない。

まともに寝れない日々が続くだろう。

そんな予測をしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

三月五日

 

この日、明日奈と里香、珪子、直葉とユイは京都旅行に出掛けていた。この時、プローブに改良を加えており、シウネーやジュンと言った他のスリーピングナイツ達のメンバーにも映像が見えるように改造をしていた。

宿は結城本家の屋敷を借り、浮いた予算で見た目麗しい京都料理にした舌鼓を打ち、ユウキ達に羨ましがられていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

三月十三日

 

夕暮れのアインクラッドの一角。大樹のある小島に自分は呼ばれていた。

目の前には一人の水妖精の少女と、闇妖精の少女が立っていた。

 

「アスナ……」

「ユウキ……」

 

二人の少女はお互いに顔を合わせるとユウキが先に口を開いた。

 

「アスナは…僕がアメリカに行くの……知っているの?」

「うん、そこにいるブレイドから聞いた」

「あぁ……やっぱりそうかぁ〜」

 

そう言いながらユウキは自分の方を見るとまた視線をアスナの方に戻した。

 

「ーーアスナに渡したいものがあるんだ」

「渡したいもの……?」

「今作るから待ってて」

 

そう言うとユウキは剣を抜いた。

 

「「……」」

 

アスナと二人して少し緊張した様子でその様子を眺める。

 

「やぁっ!」

 

裂帛の声と共に右手が閃く。木の幹に向かって右上から左下に、神速の突きを五連発、剣を引き戻し、今度は左下から右上に五連発。一撃一撃の技にユウキの全力が込められていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そして最後の一撃、合計十一連撃を終え、突風が吹き荒れ、咄嗟に顔を腕で庇い、風が止むとユウキは幹に剣を刺したまま動きを止めていた。

そしてその剣先から小さな紋章が回転しながら展開し、同時に四角い羊皮紙が樹の表面からジェネレートし、端から細く巻き上がってユウキの手に収まった。

 

「アスナ…これ、受け取って。僕のOSS」

「私に、くれるの……?ブレイドの方が……」

 

しかしブレイドは首を横に振った。アスナとユウキが視線を戻すとユウキはアスナに羊皮紙を渡しながら言った。

 

「アスナだから受け取って欲しい。強くて、優しい、お姉ちゃんみたいだったアスナに……」

「……分かった」

「技の名前は《マザーズ・ロザリオ》。きっと…アスナを守ってくれるよ。……僕は明日からALOに来れなくなっちゃう。だから最高の技が出せる時に渡したかったんだ」

「……ユウキ!」

 

思わずアスナがユウキを抱きしめていた。ユウキはアスナに抱かれて驚きながらもアスナの肩を優しく叩いていた。

 

「アスナ……僕はまた帰って来るよ」

「うん…その時まで……ずっと…待ってるから……」

 

二人が抱き合っているのを眺めているブレイドはそっと空を眺めた。

 

「(もしこの世に神がいるのであれば……彼女がまたこの世界に帰って来れるのを祈ろう)」

 

 

 

 

 

ーー彼女なら大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

不意にそんな答えが返って来た気がした。それはとても懐かしく、かつて自分の目標であり、尊敬していた人の声……

ブレイドは思わず声に出して言っていた。

 

「…そうだね。兄さん……」

 

ブレイドの返答は風に乗ってどこかに飛んでいくような気がした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

二日後、自分と明日奈は木綿季の入院する病院に来ていた。

今日は木綿季がアメリカに移送される日である。病院は既に物々しい雰囲気で、防護服を着た人や完全防護されたビニールの筒が設置され、その先には一台のトラックが止まっていた。明日奈と自分は行き先である羽田まで同行させてもらう事になっていた。羽田までは木綿季の親戚も同行すると言うことで軽い挨拶だけを済ませると明日奈は修也に謝っていた。

 

「今日はごめんね。無理を言っちゃって……」

「問題ない。彼女も最後に明日奈の姿を見られれば嬉しいだろう……」

 

そう言いながら走り回る従業員を見ていた。すると明日奈はずっと気になっていた事を修也に聞いた。

 

「ねえ修也さん。前から聞きたかったんだけど……貴方って、何者?」

「…そう言われてもな……あまり詳しいことは言えないな……」

 

顎に手を当てながら修也はそう言うと少しだけだがぽつりぽつりと話し始めた。

 

「私がアメリカで暮らしてたのは知っているな?」

「うん、前に聞いたよ」

「その時に、ここの会社の人と知り合って仲良しになって色々とアメリカではお世話になった人なんだ。その人から木綿季の事を頼まれたんだ」

「修也さんに?」

「ああ」

 

そう聞き明日奈は思わず苦笑する。

 

「こんな重要な事を任せるって…私逆にその人に会ってみたいわ……」

「今度見合い相手に教えてやろうか?金持ちだぞ?」

「ふざけないで」

「…冗談だ……」

 

明日奈のガチトーンに思わず身震いした修也は思わず明日奈から視線を外すとビニール筒の病院の出口の方から担架に乗せられて、防護服に囲まれた少女が目に入った。

 

「…いよいよね……」

「ああ……明日奈、行くぞ」

「っ!分かった」

 

二人は筒にできるところまで近づくと木綿季が気づいたのだろう。動かせる限りの力を使って明日奈に手を振っていた。そのことに明日奈は目頭を熱くしていたが、グッと堪えてトラックに乗せられる木綿季をみた後、自分たちも車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

トラックはそのまま羽田空港のビジネスジェット専用ゲートまで向かう。ここも今日の為に至る所に人がおり、明日奈達も入る前に防護服に着替えさせられた。本来は禁止されているが、無理を言って面会させてくれたザスマンには感謝しかない。

ちなみに木綿季の親戚はこの手前のところで一応の見送りをする為に展望デッキの方に向かっていた。

 

『なんか、蒸し暑いね……』

『この際我慢しろ。最後に木綿季に会えるチャンスなんだ』

『そうだね…これからユウキの受ける事を考えたら……』

 

明日奈はそう意気込むとそのままゲートの方に向かっていった。

 

『修也さん、準備はどう?』

『さっき連絡があって準備はできたそうだ』

『分かった…ふぅ……』

 

明日奈は一呼吸おくと扉を開いた。

今回日本からの被験者は十人ほどおり、一気に全員がアメリカに送られる予定となっていた。外では既に大型ビジネスジェット機が待機しており、時間まで被験者達はこの部屋で待機をしていた。

 

『ユウキ……』

 

「っ!あ…す…な…?

『そうだよ…また会えてよかった……』

 

明日奈が防護服越しに顔を見せると木綿季は喜んだ様子を見せ、明日奈と短く話をした。

 

「嬉しい…また会えた…」

『うん、私も…』

「今度は…こんな壁もなくなって話せるといいな」

『うん…そうだね……』

 

時間が無いので修也は申し訳ないが、二人の間に割り込んでしまった。

 

『木綿季、飛行機に乗ったらターミナルビルを見てくれ。私からはそれだけだ。明日奈、すまないがもう時間だ』

『うん…分かった……。木綿季、絶対見てね』

「分かった」

 

そう言うと二人は名残惜しそうに部屋後にした。

残った木綿季はさっきの修也に言われた事を思い出していた。

 

「(何だろう……?)」

 

木綿季は疑問に思っていると他の人の担架が動かされるのを見て遂に飛行機に乗るのだと感じた。

初めて乗る飛行機がこんな形だとは思っていなかったが、それでも少しだけ楽しみにしていた。

外のビニールの筒から見える景色を見ながら木綿季は担架ごと飛行機に乗せられる。

清潔感ある白で統一された機内の一つに木綿季の担架が乗せられ、そこで病院の時と同じメディキュボイドを頭に被せられた。

自分を運んでくれた人に外を見たいと言うとメディキュボイドが機外カメラと接続され、外の景色をそのまま映し出し、初めて見る感覚にワクワクしていた。

そしてカメラは自由に動かて、意識をすれば左右上下に動いた。

さっき修也から言われたことを思い出しながらカメラを見ていると地面が動き出し、機体が動き出した事を示していた。

ユウキは意識をターミナルビルの方に意識しながらカメラをじっと見る。

地面が動き出し、一気に加速をしていた。そして地面が離れ、大きな金属の鳥は空に飛び立った。

そして、ターミナルビルの屋上を見たユウキは思わず息を呑んだ。

 

 

 

 

 

そこには大勢の人が『ユウキガンバレ!!』と言う大きな人文字を作って全員が手を振っていたのだ。

さらに屋上には人が大勢おり、今飛んでいる自分に向かって大きく手を振っていた。

その事に修也の意図がわかり、大粒の涙をこぼしながらユウキもターミナルビルにいる人たちに手を振り返した。

 

「ありがとう皆んな…絶対元気になって返ってくるよ……」

 

今までに知り合った全員、明日奈や修也から()()を受け取った木綿季は決意を胸にアメリカへと飛び立っていった。

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