カンッーーーカンッーーー
甲高い音が辺りに響き渡り、山と見間違うほどの大樹の木の下で、二人の青年が斧を振っていた。
アッシュブラウンの髪の青年が大樹に向かって斧を振る。その後ろで黒髪の青年が声をかける。
「これで1000回だな」
「うん、午前はこれで終わりだね」
二人の青年はそう言い頷くと持って来ていた籠の蓋を開けた。
「早く食べないと天命が尽きてしまうからね」
「ああ、そうだな」
そう言うと二人は口を開けて中に入っていたパンを食べる。
「うーん、やっぱり硬いな……」
「それは仕方ないよ、キリト」
そう言われたキリトは防御力の高いパンを齧りながら空を眺める。
「でっかい木だなぁ……そう思わないか?ユージオ」
「それは、仕方ないよ」
金髪のユージオと言われた青年は苦笑しながらキリトに言う。
「キガスシダーは天命がありすぎるんだから……」
そう言い、二人は黒く大きな木を眺めながらそう呟いていた。
俺は、気がついたら森の中にいた。
鳥の鳴き声が囀り。風が木の葉を揺らす音を鳴らし、水の流れる音がする。
俺はさまざまな推測を立てながらここがアンダーワールドと呼ばれる世界だと認識した。
俺は森の中から外に出るとそこには山の様に大きな大木とその下で斧を振るユージオと言う青年と出会った。
そこから紆余曲折あって俺はルーリッド村と呼ばれる場所に赴き、そこで宿などを貸してもらっていた。
その対価として俺はユージオの天職を手伝っていた。
ここに来て数日、俺は早速問題に直面していた。
事の発端は俺が世話になっている教会の《セルカ・ツーベルク》が朝から姿を見なかった事から始まる。
出会った初日にアリスという少女がおり、その子の妹だと言うセルカ。幼い頃に整合騎士と呼ばれる者に、禁忌目録と言う者に違反したせいでアリスという少女は連れ去られてしまったと言う。
セルカに果ての山脈でそうなってしまったと言う事実を話すてしまったが為に、その出来事は起こってしまった。
今現在、ユージオとキリトはセルカを追って果ての山脈に来ていた。
「やるしかない……!」
そこで偶発的に会敵したのはゴブリンのような生物だった。
ゲーでではお馴染みだが、キリトは其処で気を引き締めた。
『ゲームであっても遊びではない』
あの世界で嫌と言うほど経験した出来事である。
俺は目を大きく開けて剣を振る。ゴブリンの腕を切り落とし、切り口から鮮血が飛び散る。ここはただの仮想世界ーーでは無い。皆が生きているのだ。手の届く範囲で守らなければならない命がるのだ。おそらく彼も同じ事を考えるだろう。だから俺は剣を止めなかった。剣でゴブリンの首を刎ねる。
生き残る為に他人を殺す。とても現実世界に似たこの《アンダーワールド》はある種の別世界なのかもしれない。
ーー敵はおよそ三十、彼ならどんな選択肢を取るだろうか。
おそらく、この状況ではユージオとセルカが避難出来るまでの時間稼ぎだろう。先に二人には戻ってもらい、増援か防御をさせるだろう。
「《イウム》の癖に生意気な……!」
ゴブリンの中でも一際大きな者が言う。まずリーダーであることに間違いないだろう。指揮系統を混乱させるのは戦いの常だ。俺は奪った蛮刀と直剣を持って対峙をする。
「キリト!」
するとそこでユージオがキリトの名を呼ぶ。
「先に行ってろ。村に着いたら増援を呼んでくれ!」
「でも!」
「後で追いつく!」
「……分かった。セルカを送ったら戻ってくる!」
そう言うとユージオはその場を後にする。キリトは心配事が減ったことを確認するとヒュッと後退りする。元いた場所に刀の斬撃が走る。
「《イウム》のガキが!死に晒せぇ……!!」
「そう、簡単に、死ねるかよ……!」
キリトはそう呟きながら斬撃を避ける。あの世界だってそうだ。死と隣り合わせだったあの世界は、何だったと言うのだ。
キリトは咄嗟の直感で後ろに飛び去る。其処には刀が突き刺さり、あれが首に当たったらと思うだけでゾッとした。
「やってみせるさ……」
キリトは足を強く踏み込むと剣が光る。それは慣れ親しんだ、別世界の剣技、ソード・スキルの光だ。
「(ソード・スキルが使える……!?)」
一瞬の思考が、隙を作ってしまった。
「しまっ……」
ギィンッ!
その時、どこからか剣が飛び出す。振り下ろされたゴブリンの蛮刀を一本のサーベルが受け止める。
「よくやった……若い青年」
聞き覚えのある声と共に、キリトはハッとサーベルを持つ者を見る。赤髪に赤目の青年は蛮刀を勢いよく弾いた。
「ブレ…イド……?」
その声と見た目に思わず呟くとその青年は少し驚いた様子を見せつつもサーベルを持ってゴブリンと対峙する。
「君も早くここを出ると良い、後はこちらでする」
そう言うと青年は神聖術を唱え、周りに赤い光の玉が生まれるとそれを弾くように飛ばし、ゴブリンを攻撃していた。
「……」
一瞬の出来事に呆然としていると青年はサーベルをしまって、キリトに話しかける。
「……さて、無事かね?
「あ、あぁ……」
すると洞窟内に、ユージオの声が響く。
「キリト!」
「ユージオ……」
「大丈夫かい!?」
そう慌てた様子で聞くユージオに青年が言う。
「彼なら無事だ」
「あ、貴方は……?」
明らかにユージオよりも良い身なりをしているその人物にユージオは困惑していた。
「それよりも早くここを経った方が良い、近くに村があるはずだ、其処まで案内を頼む」
「は、はいっ……!」
青年に言われ、萎縮してしまったユージオは緊張しながら洞窟を言われた通りにそそくさと後にしていた。
不思議な人物を見た。
興味本位で北の果てまで馬で旅をしている途中、私は道端で小さな少女に話しかけられた。
『果ての山脈に行って、ユージオとキリトを助けてほしいの』
そんな少女の願いにどこか奥深さを感じた私は、馬を飛ばして果ての山脈に辿り着く。私はそのまま洞窟に辿り着くと中で一人の黒髪の青年が両手に剣を持ってゴブリンを相手にしていた。
「数は三十ほどか……」
簡単に行けるだろう。そう思い、私はサーベルを持ってとりあえず相手の蛮刀を弾く両手に剣を持っていた黒髪の青年を見た私は少しだけ違和感を覚えたが、取り敢えず目の前のゴブリンを倒す事に専念する事にした。
ルーリッド村に到着すると村長やシスターアザリアから質問攻めにされた。果ての山脈に向かってしまった事、その発端はキリトがセルカに呟いてしまった事、コッテリ搾られた俺たちはやや疲れた様子で一息ついていた。
そして、村長はキリトから視線を赤髪の青年に移していた。名前を聞くと彼はこう答えた。
「初めまして。私は二等爵家のブレイド・ソド・ワラキアと言う。しばし、ここで世話になる」
そう言うと村の全員がワァッとなった。その事にキリトは呆然としていると思わずユージオに聞く。
「なぁ、二等爵家って何だ……?」
「本気で言っている?本来ならこんな所に来ない様な人だよ!?それに、ワラキア家と言ったら僕たちの間じゃあ有名な家だよ!」
ユージオの剣幕に思わず慄いてしまったキリトは改めてブレイドと名乗った者を見る。
「(ブレイド…名前も顔も同じ……だけど俺の事は覚えていない……?)」
キリトはさっきの戦闘を思い出しながらブレイドを見る。赤髪に赤目だが、その立ち姿から喋り方まで全部自分の知っているブレイドであった。
しかし、当の本人はキリトを初対面の様に捉えており、知らない人といった様子であった。その違和感にキリトは考察をしているとブレイドは村長との話を終えてこっちにやって来た。
「やれやれ、こちらは野宿でも構わないと言うのに……」
キリトからすればいつもの面倒臭がりが出たと思っているが、ユージオからすれば信じられないと言った様子だった。まさか貴族だと言うのに野宿なんて普通であればやらないと思うからだ。
「まぁ、そんな所でこっちは仕事を終えるまで世話になる。よろしくな二人」
「あ、あぁ……」
「こ、こちらこそ……よろしくお願いします」
そんなこんなでキリトは記憶のないブレイドに疑問を抱いていた。
先に土下座します┏○┓
アンダーワールドに剣以外の武器持ち込みます。世界観をなるべく壊さない様に努力はするつもりです。
変な部分があれば、その時はご指摘の程をよろしくお願いします。