ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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#12 急転

キリト達が禁忌違反をした翌日。アズリカ先生に破裂した右目を治してもらったユージオとキリトは迎えに来た使者を見て既視感を覚えた。金の鎧に青のマント、その鎧に引けを取らない金髪のロングヘアーからして、その人が女性であることと分かった。

 

「……………………」

「「「……? 」」」

 

俺たちの存在に気付いている筈だが、一向に動こうとしない彼女に首を傾げつつも、俺たちは近づくことにした。そして、すぐ傍まで近づいた時だった。

 

「……っ!」

「どうした、ユージオ?」

「…彼女の恰好……あの金色と青色の組み合わせにどこか見覚えがあって……」

「私語は慎みなさい、罪人たち」

「「っ!?」」

 

会話を遮るように騎士の声が通り、俺たちは自然と黙り込んでしまった。

 

「セントリア地域統括公理教会整合騎士……アリス・シンセシス・サーティです」

「!?」

「ア、リス……?」

 

ユージオがフラフラと近づくとユージオはアリスに剣で殴られてしまった。

 

「言動には気を付けなさい。私にはお前たちの天命を7割まで奪う権限があります。次に許可なく触れようとすれば、その手を切り落とします」

 

警告を告げた彼女の目はひどく据わっていた。困惑する彼らにアリスはこう告げた。

 

「上級修剣士ユージオ並びにキリト。そなた等を禁忌条項抵触の咎により捕縛・連行し、審問の後に処刑します」

「「!?」」

 

そう告げてからの彼女の行動はとても速かった。俺たちの手に手錠を填め、外へと連れ出した。校舎の外には彼女が乗ってきた飛竜が待機しており、飛竜の体に繋がれた拘束具で更に体を拘束されてしまった。

ここまま連行かと思っていると校舎の方から走ってくる人影があった。

 

「えっ……!?ティーゼ!?」

「ロニエに…マリーまで……!?」

 

ロニエ達三人はそれぞれ二人の剣を持って運んでいた。操作権限が足りていないせいで自在に持ち運べないにも関わらず。三人で頑張って持ってきていたのだろう。

そんな彼女たちにアリスも気づき、飛竜から降りて彼女たちの前に立ちはだかった。そのアリスの前に彼女たちは膝を突き嘆願した。

 

「整合騎士様!お願いがございます!!」

「私たちに…ユージオ先輩の剣を……」

「先輩たちに剣をお返しする時間を頂けませんか!!」

「……いいでしょう。但し、罪人たちに剣を帯びさせるわけにもいきません。これは私が預かりますがよろしいですね。……会話をするのなら一分間に限っては許可します。行きなさい」

 

アリスの慈悲に許可をもらったロニエ達が近づいた。

 

「先輩!」

「あ、あの……」

 

そうして二人が話し、本来ブレイドの傍付きであるはずのマリーが来ている事に疑問を持っていると、彼女が口を開いた。

 

「キリト先輩、ユージオ先輩。ブレイド先輩からの伝言です。『我、彼岸花の言葉に従って動く。待っていていろ、()()()()』……だそうです」

 

何の事やらと思うマリーにキリトはその意図を理解して内心ニヤリと笑った。

 

「(何らかの方法で記憶が戻ったのか…しかし、イキリやがってあの野郎……)」

 

強い味方が出来たと思い、キリトは『じゃあ、そんな方法で来るのかが楽しみだ』と思っていた。

その横でユージオは『記憶が戻ったのか……?』と思っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同じ頃、ブレイドは部屋で支度をしていた。

 

「やれやれ、まさかこんな実験無しでするとは……」

 

そんな事を思いながら木製の箱に作ってきた弾薬を仕舞いながら呟く。横にはマスケットと自分のサーベル、流星の剣が置かれていた。

 

「しかし、あれで意図がわかるだろうか……」

 

彼なら大丈夫だろう。そう思いながら木箱に作ってきた紙製薬莢を入れるとそれをカバンにしまった。

昨日見たあの夢から色々と思い出した。そして、今ここに自分が居る理由も分かった。とりあえずすることとすれば彼らに追いつく事だった。

 

「何せ、シャスポー銃一丁とサーベルでカセドラルを登れってんだから。無謀極まりないな」

 

そう思い。作ってきた紙製薬莢を全て仕舞い、片付けると最後に紙にペンで書き記しをした。

 

「これで準備は完了か……」

 

そう言い、荷物を全て見た瞬間。私の視界は真っ暗になった。最後に聞こえたのは君の悪い高笑いの声だった。

 

『ヒョホホホホホ!わざわざここまできたことに感謝するのですぞ!この愚民が!!』

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

パァンッ!

 

破裂音が部屋に響き、青年が叫ぶ。その破裂音は絶えず部屋に響いた。

 

「チッ!剣相手に銃なんて持ち込みやがって!!」

 

パァンッ!

 

「どうする、キリト!?」

「チッ、とりあえず走り回れ!」

 

キリトとユージオの視線の先には赤く、薄い甲冑に身を纏った青年が両手に銃を持って引き金を引いていた。

 

パァンッ!

 

放たれた弾丸はキリトの目の下を掠って壁に当たる。壁に穴が開いてヒビが入る。

 

「何なのですか!あれは!?」

 

そこに金色の鎧と青いドレスを身に纏い、右目を閉じている少女が叫んだ。

 

「野郎、ブレイドを味方につけやがった……!!」

 

激しい怒りと共にキリトは()を作り替えた張本人に怒りを抱いた。

現在キリト達がいるのはカセドラル96階層。元老院のある場所である。そして対峙するのはかつての友であった……

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

時は少し戻り、キリト達が96階層に続く階段に到着したところまで遡る。

連れられた牢獄から逃げ出した二人は途中、カーディナルと呼ばれる少女の助けもあって、何人もの整合騎士を倒してここまで来た。

途中でアリスもユージオと同じように右目が飛び、一時的ではあるが仲間になっていた。

 

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫。……行こう!」

「私も、問題ありません」

 

そう言うと三人は一斉に中に入った。ここまでブレイドを見たことはなく、『約束はどうしたのだろうか』と思っていた。それはユージオも思っており、『まだカセドラルには入れていなかったりして』なんて事を言っていた。

中に入り、そこで元老院に関する事実を知り、驚愕と怒りを覚えていると向こうの方から声がした。

 

「やれやれ、ここまで昇って来るとは……」

 

声の主を見るとそこには赤い甲冑に身を包んだ一人の整合騎士が背を向けて座っていた。その声に聞き覚えのあったキリトとユージオは目を見開いた。するとその整合騎士は立ち上がってキリト達を見た。

 

「ブ、ブレイド……?」

 

そう言うと整合騎士の見た目をしたブレイドは驚いた様子でキリト達を見る。

 

「名を知っているのか……だが、私の初陣だ。名乗りを上げさせてもらおう。私はブレイド・シンセンス・()()()()()()()。最も新しい整合騎士にして、最高司祭の最後の剣なり」

 

そう名乗るとキリト達は悪態を吐いた。

 

「クソッ、だから来なかったのか!」

「ブレイド!僕だ!覚えていないのか!?」

 

罪人が何か言っている。私が命ぜられたのは罪人の処罰、ただ一つである。持っていた銃のボルトを引いて中に紙製薬莢を入れる。

最高司祭が『自由に使え』と言ったこの武器を持ってレバーを押し込む。ここで戦闘をする時に被害を考えなくていいと言うことなので、私は持てる限りの力で応戦するとしよう。

それを持って私は銃を罪人に向ける。

 

「あれは……っ!走れ!」

 

パァン!

 

放たれた弾丸が罪人達の入ってきた扉に当たり、穴を開ける。

 

「っ!今のって……」

「あの整合騎士、剣を使っていない……?」

 

ならば行ける、そう思ったアリスは自身の持つ剣、《金木犀の剣》を握るとキリトが叫んだ。

 

「散開しろ!あれは武器だ!見えない鉄の弓だ!」

「な、何を……」

 

その時、破裂音と共に、殺気を感じた私は避けると肩に衝撃が伝わった。

 

パキンッ!

 

「……何!?」

「外したか…やはり新米の私では難しいか……」

 

肩に衝撃が伝わり、肩当てがひび割れていた。

 

「整合騎士の甲冑を一撃で……!!」

 

ユージオが戦慄し、思わずブレイドを見る。彼の赤く、光の無いその目は酷く恐ろしく見えた。

 

「デヤァァァァァァ!!」

 

キィン!

 

唯一動けたキリトは彼の持つ新たな武器に剣を当てていた。ジリジリと金属の擦れる音を鳴らし、ブレイドはキリトの剣を新しい武器で弾いた。

 

「チィ……」

「……」

 

一旦間を置いたキリトとブレイドは互いに構えた。

 

「思い出せよ!ブレイド!俺たちの事を!!」

「貴様らにことなぞ知らぬ!私は、最高司祭に召喚されし最後の整合騎士だ!!」パァン!

「だったら思い出させてやるよ!お前の事をな!!」キィィン!

 

煙が立ち込め、焦げ臭い匂いがするこの部屋で金属音と銃声が轟く。その先では黒と赤の青年が互いに持つ武器で応戦をしていた。

 

「(力量は同等。だが、これは……)」

 

現状、三対一の状況である。これでは流石に苦戦をするわけで、特に黒髪の罪人は私の撃つ銃の弾丸を切って迫ってきた。何度も剣を銃で守っていると銃身が傷ついてしまっている。

何とか一人ずつやって行きたいと思いながら視線を横に向ける。

 

「そこだっ!」ブンッ!

 

一瞬の隙を狙って黒髪の罪人が剣を振る。その瞬間に私は右後ろにいた金色の整合騎士の首元に向かってマスケットをぶつけた。

 

「ガァッ!」

「なっ!?」

 

残りの二人が驚く中、私は裏切った整合騎士を畳み掛けた。首をぶつけて力が抜けた所を狙って彼女を投げ飛ばした。彼女は吹き飛ばされ、壁にぶつかるとそのままガックリと気を失ってしまった。

 

「まずは一人……」

 

そう呟くと同時、罪人たちが同時に叫んだ。

 

「「ブレイドぉぉぉ!!」」

 

怒りに満ちた剣で私を殺しにかかってきた。

 

「アリスをよくも……!!」

「システム・コール、ジェネレート エアリアル・エレメント」

 

そう呟くと十本の指から十個の光が灯り、近づいて来る彼らに向けて放つ。

 

「バースト・エレメント」

 

その瞬間、ブオッと風が吹いて彼らを飛ばした。視線の先には壁に叩きつけられて倒れた罪人達が横たわっていた。

 

「終わったか……」

 

そう呟き、傷ついた彼岸花のマスケットを持って整合騎士を背負おうとする。これからやる事は忙しいだろう。そう思いながら整合騎士に触ろうろとした時。

 

「まだ……終わっちゃいねぇよ」

「あぁ…そうだよ……」

 

後ろから声が通り、ブレイドは感嘆の声を漏らす。

 

「ほぉ。まだ生きていたか……」

「生憎と悪運は強えんだ」

 

キリトはそう言うと刀身まで黒い剣を前に向けてブレイドに構えた。

 

 

 

「さぁ、第二ラウンドと行こうぜ」

 

 

 




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