ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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途中、全く本編に関係ない話が出て来ますが気にしないでください。


War of Underworld
#18 襲撃


キリト達が最高司祭を討ち取ってから一週間が経った。

その間は色々と忙しい日々が続いていた。カーディナルが最高司祭代理となって事実上の人界トップとなり、整合騎士達の立て直しや、ダークテリトリーに関する云々の情報整理や、各種地方への伝達。

そこらじゅうを飛竜が駆け回り、伝令やら何やらをしていた。

そんな中、カセドラルの一室でカーディナルとベルクーリがそれぞれ一冊ずつ本を読んでいた。

 

「ーーー此奴の頭はどうなっているのだ……??」

「同感だ。俺にはさっぱりな事ばかりだ……」

 

少し赤茶色の表紙の中に書かれた内容を見て二人は開いた口が塞がらなかった。その紙の表紙にはそれぞれ『試製武器設計図集』、『部隊編成および行動案』と書かれた本があった。

 

「赤の坊主が居たら聞いてみたいものだ。こんな考えはどこから生まれるんだ、ってな」

「そうじゃな……だが、これは非常に有益だ。ダークテリトリーに対する切り札となろう」

 

これを教えてくれたユージオには感謝じゃ。

少なくともカーディナルはそう思っていた。ベルクーリはこの本に書いてあった様々な新兵器の設計図を見て幾つかはすでに帝国に配備されている物だと言うことに気がついた。

 

「ははは……アイツは何処まで考えているんだか……」

 

そんな事を思いながら忽然と消えてしまった赤髪の青年を思い返していた。あのあと、カセドラル中を捜索したが彼を見つけることは出来ず、カーディナルが権限を使っても見つけることは出来なかった。そのことでユージオは非常に落胆した様子で、キリトを連れてルーリッド村に戻っていた。

 

「……そう言やぁ、嬢ちゃんと氷の坊主達はどうした?」

「彼奴らならすでにルーリッドに向かった。暫くは人目を気にせずに行けるじゃろう……」

「そうか……」

 

ベルクーリはそう言うと兵士たちの訓練のためにカセドラルを後にしていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

アンダーワールドで一大事を迎えている中、現実世界でも大事件が起こっていた。

 

「状況はどうなっておる……?」

「ほとんどが制圧されました」

 

現在、ザブコントロール・ルームに避難しているのは菊岡を筆頭に比嘉、神代、藤吉、真之。そして、明日奈と詩乃だった。他の自衛隊員や護衛も入り口を固めていた。

 

「間違っても飛び出そうとしないで下さいよ?特に先輩がここで死ぬと下手すれば戦争に発展しかねませんから。…ただでさえ怪我をしていて国際問題になるのは確実ですから……」

 

若干疲れた様子で菊岡が言う。その視線の先で足に包帯とガーゼを巻いて普通に立っている藤吉の姿があった。

 

「何、これくらいかすり傷よ。ユーゴスラビア紛争の時はもっと酷かったぞ」

 

余裕そうでそう言う藤吉に菊岡は若干の畏怖を感じた。さすがは元傭兵だったと言うことか。だが、敵に突貫してくのはちょっと今の立場ではいただけないと思っていた。

 

「(何が起こってったんだろう……)」

 

詩乃は明日奈と共に今までに起きた出来事を思い出しながら整理していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ALOでリズベット達にアリシゼーション計画の話や、キリト達の話をした後。二人はそれぞれSTLに繋げられているそれぞれの恋人をガラス越しに見ていた。

 

「元々はメディキュボイドって言ってたっけ……」

 

詩乃は記憶を思い出しながら今修也の使っている機械を見る。これでもこのSTLは小型化されている様で、試作1号機と最近テストが終了した8号機が六本木の分室、2号機、3号機はここのロアシャフトに設置されているそうだ。正直話が飛びすぎてて修也や和人じゃないと理解できない様な話ばかりだった。

 

現在、修也の治療状況は分からないそうで、どうなっているのかも分かっていないと言う。

修也の心がああなってしまった原因に明日奈が心当たりがあると言ってSAOでの最後の戦闘の事を話してくれた。それを知った時、藤吉さんや神代さんも流石に血の気が引いた様子で青ざめていたし、私も同じ気持ちだった。そして、それが原因だと全員が断定していた。

『何て事だ……』と言って菊岡さんが絶望に近い表情をしていた。回復の見込みはあるのかと言われれば比嘉さんや菊岡さんはそこで厳しい現実を突きつける。

 

『原因が余りにも重すぎる。これは僕たちには少し難しい話かもしれない』

 

そう言われて私は気を失ってしまいそうだったが、比嘉さんが対応案を出した。

 

『もしかすると彼に近しい人と会えば刺激を受けていいかもしれない』

 

そう言われた時に率先して行こうとしたが、比嘉さんに止められてしまった。

 

『いやいや、君はダメっすよ。いくらなんでも刺激が強すぎるっす。今の修也君は記憶を封じているっす。下手に刺激を加えると何が起こるか分からないっす』

 

そう言われて私は何もできない無力感にただただ呆然としてしまった。そんな時に私を支えてくれた明日奈には感謝しかなかった。だけど、いずれ手伝ってもらうかもしれないと言う事で話を終えて少し休憩をしていると部屋に明日奈が入ってきた。その手にはどこから持ってきたのか果実ジュースのペットボトルを持ってきていた。

 

「しののん、大丈夫?」

「……ありがとう」

 

明日奈から受け取ると明日奈は私の隣に座ってさっき起こった事を話した。あの神代博士という人が茅場晶彦に脅されて小型のマイクロ爆弾を埋め込まれていた事。彼を殺そうとしたが、できなかった事。それが原因であの事件を引き起こしてしまった事など話していた。

神代博士の話を知った私だったが、いまいちぼーっとしてしまっている自分もいた

 

 

 

 

 

食事を終え、風に当たっていた詩乃は近くを航行する海自の護衛艦を見て修也の言っていた事を思い出す。

 

『兵器はある意味で人類の叡智だ。その時代を生きた人が出来うる最高傑作品だろう。かつて最強の名を縦にした戦艦大和を想像してくれ。あの戦艦で培われた技術は今の日本にも生きている。

 

ーー測距儀に使われたレンズを作ったのは今の日本のカメラ企業だ。

ーー砲台を動かすためのベアリングの技術は東京のホテルの回転レストランに使われている。

 

その時にそのベアリングを作った技師はこう言ったそうだ。『大和の砲塔より軽いから簡単にできるわ!!』とな。

私がそう言う兵器が好きなのは見るだけで国柄やその時の技術力が目一杯詰め込まれているからだ』

 

そして、そう話した修也はこうも告げた。

 

『いずれ兵器も変わるだろう。今の世界の主流はもっぱら《航空主兵論》だが、いずれは《大艦巨砲主義》に逆戻りするだろうな。いや、この場合は繰り返すと言った方がいいか……』

 

何故?と聞くと修也はこう答える。

 

『答えは簡単。……レールガンさ』

 

レールガン?あの架空戦記とかに出てくる?

 

『ああ、そうとも。レールガンはいずれ軍艦に搭載され、今では姿を消した《戦艦》が蘇るだろうな』

 

何故?と聞くと彼はウキウキした様子で予測をしていた。

 

『考えてもみたまえ、現代の対艦ミサイルは一発当たり二億円はかかる。対して戦艦大和の砲弾は一発だけなら現在の価値で大体五〇〇万円ほど。斉射しても四五〇〇万円。時代が違いすぎるから比べてもアレかもしれないが、十分安い。

おまけにミサイルはレールガンの砲弾なんかよりもより圧倒的に遅い上に、CIWSで迎撃が可能だ。対してレールガンは音速を超えて飛んで行き、ミサイルと同等の距離で攻撃ができ、砲弾だから高価な誘導装置も必要ないから単価が安い。

安い、速い、強い。この三拍子が揃えば軍が飛びつかないわけがないだろう』

 

そう言うと修也は携帯である動画を見せながら言う。

 

『それに、日本は少し前にレールガンの開発に成功した。音速を超え、外郭の硬い砲弾の迎撃なぞまず出来ないから、これがあれば装甲が無い空母は燃料を積んだ燃えやすいカカシだ。それを多数積めば護衛の軍艦なんかも一気に相手できる。するとほら、見た目は完全に戦艦では無いか』

『無人機は所詮強い電磁波攻撃などで簡単にやられてしまう。結局は人が戦争をすることに変わりわないのさ』

 

そう言い、熱くなってしまっている修也を宥めた事を思い出していると横に真之さんが座り込んだ。

 

「どうかね、ここに来て……」

「色々と知って困っています……」

「そうか…ま、それも仕方ないな……」

 

真之はそう言うと後悔する様にポツリポツリと呟く。

 

「わしは、時々思い出す。修也がアメリカに連れて行かれた時の事をな……」

「……」

 

詩乃は座り込んだ真之を見て思わず同じ様に海を眺めていた。方角は東、このまま先をずっと行けばアメリカがある方向だ。

 

「あの時、無理矢理にでも青森の家に連れてこれば良かったと思っている。そうすればあんな事にならなかったのでは無いかとな……」

 

真之が呟く言葉に詩乃は言った。あの時とは修也がアメリカに連れて行かれる前の事だろうと予測しながら……。

 

「それは違うと思います」

「ほう……何故だね?」

 

疑問に思う真之に詩乃は思った事を話した。

 

「修也が秘密にしてきたことはいっぱいあります。でも、その時の経験が色んな人を助けてきました。私が銀行強盗に襲われた時、修也に助けられたのと同じ様に……多分、修也の知らないところで修也のおかげで助けられた人はいっぱい居ると思いますよ」

 

いい例がユナとエイジだ。彼らはあの地獄の世界で修也の助言で助かった人達だ。今でも二人は彼には頭が上がらないと言っていた。他にも彼の知らない場所で彼に助けられた人がいるかもしれない。そう思っていると真之が目に手を当ててこう答えた。

 

「そうか…その一言で随分と救われそうだ……」

 

そう言い、涙ぐみながら海を眺めていると詩乃がある違和感に気づいた。

 

「……あれ?」

「ん?どうした?」

 

そこで詩乃は護衛艦を見ながら違和感を口にした。

 

「あの、護衛艦……離れていませんか?」

「……何だと?」

 

交代はもう少し後のはずだ。真之は長年の経験から嫌な予感を感じ、菊岡に連絡を取った。

 

 

 

ーーーその数分後、オーシャン・タートルは何者かの襲撃にあったのだった。

 

 

 




途中のレールガンの話は完全に作者の趣味と、同じゲテモノズキー達で予測したちょっとした未来予測です。文字埋めのために書いた物なので気にしないでください。

それと近況報告です。
作者の溜め書きと時間の都合上、週一投稿になります。
早く受験オワレ…模試の連続で禿げてきています……。

なので、今回から始まるWar of Underworld編はものすごく変則的な投稿になると推測されます。
下手をすれば半年くらい更新できないかも……。なのでその時は次回投稿までゆっくりお茶を飲んで待っていください。
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