ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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すげぇ・・・・UAが30000超えている・・・・


#23 皇帝降臨

ロニエ達と再会をしたユージオはロニエ達がなぜここにいるのかと理由を聞いた。

するとどうやら今回の動員は各修剣学院にも声がかかったらしく、そこで先輩達が参加すると言うことでアズリカ先生が彼女達を推薦したと言う。

あの日以降、毎日の様に鍛錬を怠らなかった彼女たちは実力もそこそこ上がっていたらしく、アズリカ先生がやってきたベルクーリさん相手に決闘をお願いしたそうだ。

 

その時、ロニエ達三人は自分たちにできる最大限の技を繰り出したと言う。

 

三人はまっすぐに走り、先頭に立ったロニエが剣を振り、中央のティーゼが神聖術を、最後のマリーが最後に剣技と神聖術を混ぜた技でベルクーリさんを攻撃したらしいが、届かなかったと言う。

でも実力十分ということでこうして後方部隊の護衛を務めているという。ベルクーリさんが言うにはその伝術は前から守ると一人にしか見えないからもっと鍛えれば上手く行くらしい。

 

 

 

後にジェットストリームアタックと呼ばれるこのロニエ達の十八番戦法はこの時から始まっていたのかもしれない。

 

 

 

ちなみにその技はどこから学んだのかというとやっぱりブレイドだと言う。

ブレイドの性格はやっぱり悪どい!!

と思わざるを得ないその戦術に内心苦笑しつつもユージオは話を聞いていた。数日後にはゴルゴロッソ先輩達もくるらしく、挨拶できるのだろうかと思ったりしていた。

別れ際、マリーがユージオに言う。

 

「ユージオ先輩。詳しい話を聞かせてくれて、有り難うございました」

 

彼女曰く、この半年間、ブレイドの帰りを待っており心配だったと言う。周りの人からは『大怪我を負って安静にしているから会えない』と言われもどかしい日々を送っていたが、ユージオから本当の話を聞いてスッと納得できたと言う。別れ際、マリーがユージオに向かいながら言った。

 

「ユージオ先輩が仰ってくれたおかげで私も真実を知ることができました。本当に、有り難うございました」

「うん。マリーも元気で」

「じゃあ、また」

 

そう言い残すとマリーはティーゼ達の所まで走って去って行った。

それを見送ると僕は少し疲れて天幕の中のベットで横になっていた。

 

「(あ、カーディナルさんの所に行かないと……)」

 

そう思ってユージオは天幕を出るとそこではアリスが待っていた。

 

「おっと!ア、アリス……?」

「……どうかしましたか?」

 

ギョッとなったユージオを見てアリスは不満げになっていると、思わずユージオは思ったことを言葉にしてしまった。

 

「なんか……怖いよ」

「そうですか?」

 

うん、めっちゃ怖い。ブレイドの怖さと別の方向で怖かった。なんと言うか、母に怒られた時よりも恐ろしい。

アリスの顔には『不満です』と言う文字が浮かんでいそうなくらい彼女の顔はムスッとしていた。

 

「な、何かあったの?」

「なんでもありません」

 

そう言うとアリスは僕の手を取って軍議を行う会場まで歩いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

時は少し遡り、数日前。

 

その日、ダークテリトリーの帝城オブシディア城に激震が走った。理由はとても単純、皇帝ベクタが降臨したからだ。直ちにダークテリトリー側の諸侯は玉座の間に集まっていた。

 

白に近いブロンド色の髪を持ち、額に真紅の宝石を嵌めた黒い王冠を被り、黒いスエード調の革製シャツとズボンの上に漆黒の華奢な毛皮のガウンを纏っている。腰に朧げな燐光を放つ一本の長剣を腰に佩き、見事な銀の刺繍が施された手袋とブーツを身につけ血で染められたかのような深紅のマントを羽織っていた。

その一段後ろで一人の騎士がキョロキョロと辺りを見回していた。

 

皇帝ベクタとしてアンダーワールドにログインしたガブリエルはスゥと息を吸って言った。ここでの自分は神。ここは機械の作った世界。そこに()()は存在しないのだ。

 

「顔を上げ、名乗るがいいーーーそちらの端の、お前からだ」

「は、ははあっ!!私、商工ギルドの頭領を務めております、レンギル・ギラ・スコボと申します!」

 

恰幅のいい中年男が弾かれたように上体を起こし、名乗りを上げた。

 

「ジャイアント族の長、シグロシグ」

 

異様に長い鼻梁を持ち、三メートル半の巨体に黒光りする鎖を交差させるように巻き付け、腰を獣の皮で覆った亜人種が地響きの如き低音を発し。

 

「…暗殺者ギルド頭首……フ・ザ……」

 

先ほどのジャイアント族と比べればあまりにも矮小で、存在感の無いフーデッドローブ姿の存在が、耳障りな掠れ声で名乗り。

 

「オーク族の長ぁ、リルピリンだぁ」

 

前に突き出た平らな鼻に牙が覗く巨大な口、小さい目に知性を湛えた豚が七割、人が三割といった頭部を持ち、肩に半ばまで埋まり込んだ首に小獣のの頭骨を幾つも繋げて作った首飾りを下げた存在が、甲高い声で名乗った。

 

「拳闘士ギルド第十代チャンピオン、イスカーン!」

 

 その隣、少年と言ってもいい年頃の若者が機敏な動作で一礼し、威勢よく叫んだ。赤金色の巻き毛を垂らし、日焼けした上半身には革帯だけを巻き、下半身にはぴったりとした革ズボンとサンダルを、そして両手には四角い金属の鋲付きのグローブを填めている。

 

「ぐるる…オーガの……長……フルグル……」

 

上半身はほぼ長い体毛に覆われた、狼によく似た頭部を持つ亜人種が聞き取りにくい声を漏らし。

 

「山ゴブリンの長、ハガシにござりまする!陛下、ぜひとも一番槍の栄誉は我が種族の勇士にお与えくださりますよう!」

 

猿に似た禿頭の両脇から細長い耳を伸ばす、小柄で濃い目の緑色の肌をした亜人種が、キイキイと耳障りな声で吼え。

 

「とんでもない!我らは、こんな連中よりも十倍陛下のお役に立ちまするぞ!平地ゴブリンの長、クビリめにござりまする!」

 

山ゴブリンとは肌の色合いが少々違うだけの亜人が同じような耳障りな声で喚けば、二体のゴブリンは途端に罵り合いを始めたが……。

 

バチッ!!っと二体の鼻先で青白い火花が散った。突然の出来事にゴブリンの長二人は悲鳴を上げて飛び退った。

 

「暗黒術師ギルド総長、ディー・アイ・エルと申します。我が配下の術師三千、そして私の心と体は全て配下のものですわ」

 

ゆるりと立ち上がった女が、実に艶めかしい仕草と声で一礼した。オイルでも塗り込んでいるかのように輝く褐色の肌を黒い光沢のある革で申し訳程度に隠し、履いているブーツは針のように細いピンヒール。背中には黒と銀に輝く毛皮のマントを羽織り、その上を豪奢なプラチナブロンドの髪が腰下まで流れている。

豊満な肢体と妖艶な美貌を誇示するような姿勢の女に反応したのは、後ろにいる騎士だった。

 

「暗黒騎士団長、ビクスル・ウル・シャスター。我が剣を捧げる前に……皇帝陛下に問いたい」

 

最後に名乗ったのは人間には抜きん出た体つきの、壮年の男だった。

 

「今この時に、玉座に戻られた皇帝陛下の望みは、奈辺にありや」

 

単なるプログラムではありえない、その問いかけにベクタは冷ややかに応える。

 

「血と恐怖。炎と破壊。死と悲鳴」

 

切削された金属のような硬質な声で紡がれた言葉が玉座の間に響いた瞬間、十候たちの表情が引き締まった。ガブリエルは十人の表情を順番に見やり、マントを翻して玉座から立ち上がった。その口から、あたかも本心であるように偽った征服欲に満ちた台詞がほぼ自動的に零れた。

 

「余を天界より追い払った神どもの力溢れる西の地。その護りたる《大門》は今まさに崩れ落ちんとしている。故に余は戻って来た……我が威光をあまねく地上に知らしめるために。大門が崩れ落ちたその時こそ、人界は我ら闇の民のものとなるのだ!」

 

ガブリエルの演説に、後ろにいた騎士が興味深くベクタを見る。『あんた、先導者のセンスもあるな』と。

 

「余が欲するのはただ一つ。時を同じくして彼の地に現れる《神の巫女》ただ一人! それ以外の人間どもは望むままに殺し、奪う事を許そう! 全ての闇の民が待ち望んだ――約束の時だ!!」

 

しん、と静まり返った空気。そのすぐ後、雄叫びが響き渡った。

 

 

 

 

 

オブシディア城最上階にある皇帝の居室。そこではニヤニヤしながらワインを飲む騎士ことヴァサゴ・カルザスは笑っていた。

 

「まさか、あんなことが出来るとはな。役者にでもなっていた方が良かったんじゃねえか?」

「必要に応じたまでた。お前も覚えておいた方がいいんじゃないか?」

 

そう言うとヴァサゴは乾瓶を覗きながら言った。

 

「しかし、すげぇな。この瓶もまるで本物だ」

「その代わり斬られれば痛いし、血もでる。ここはペイン・アブソーバーが効いていないらしい」

「それが良いんじゃねぇか」

 

聞けば、アカウントのリセットも効かないのでこの姿も一回きりしか使えないそうだ。まぁ、目的は《アリス》の回収なので問題ないが……。

そう思うと自分は王冠を取り外して一息吐いていた。

 

 

 

 

 

同じ頃、帝城のある廊下では一人の女性が足止めを食らっていた。

 

「何をしている……!!」

 

視線の先にいたのは銀色に縁取られたダブルブレスト型の赤黒い軍服の上に軍帽を深く被った青年が女性を塞ぐように立っていた。すると青年はリピアと呼ばれる暗黒将軍に部下の一人に向かって言った。

 

「今、皇帝ベクタのところに行くのは得策では無い」

「なぜだ?」

「君に皇帝を()()事は出来ないからさ」

「っ!!」

 

リピアは目の前にいる青年に異常なまでの警戒をした。無意識に剣に手を当てている程には……すると青年は白い手袋をつけた両手を上げながら降参のポーズを取りながら言う。

 

「君が何を思っての行動かはわからないけど、『君子危に近寄らず』さ。今ここで君が死なれても困る。それに……」

「?」

「あの男は危険だ。この世界にも、()()()()()()でもな……」

「っ!!??」

 

皇帝のことを男呼ばわりする目の前の青年に驚愕せざるを得なかった。皇帝を恐れないその心意気に一種の畏怖おも感じてしまった。

 

「お前は…一体……」

 

そう問うと、青年はフッと口角少し上げて答える。

 

「名も無きちっぽけな()()だ……さ、来た道を元に戻りな。世の中生きている方が大事なんだから」

 

そう言うと青年は悔しがりながら廊下を戻っていく自分を見送っていた。そのすぐ後に青年は安心した様な表情を浮かべて廊下から忽然と消えていた。




『創世日記』94ページより一部抜粋
ダークテリトリーを旅するステイシア様一行。その道中、ベクタと名乗る男がステイシア様に戦いを挑んできた。
戦いが起こった。それも激しい戦いが。三日三晩続いたステイシア様とベクタの戦いはついに終わりを迎えることなく終結した。そして、この戦いの影響でダークテリトリーと人界は完全に分けられてしまった。今までのステイシア様の努力は水の泡となってしまった。その悲しさからステイシア様は人外にお戻りになり、閉じこもってしまった。

誰とも会おうとしないステイシア様に毎日会おうと試みる者がいた。
それは旅の初めにステイシア様との旅に同行させて欲しいと願い、ステイシア様と共に人界にやって来た唯一のダークテリトリー出身の人間、ヴラッドだった……。
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