ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

95 / 140
#44 身近な狂気

『よく聞け!!不正アクセスする犯罪者共!!』

 

よく響いたその声は中韓プレイヤー達を動揺させるのには十分だった。普通であれば自分たちを侮辱するとも取れる表現で憤慨する事の方が多いが、あれだけ自信満々に言われ、尚且つこの世界はテストプレイだと言うのに自発的にログアウトできないと言うヤバすぎる欠陥や、燃えた痛みがリアルその物だったりとテストプレイと言うには雑すぎると色々と憶測が飛んでいた。そして何より、さっきからダメージを受けているのにログアウト出来ず、阿鼻叫喚の絵図に中韓プレイヤー達は恐怖し、自分たちが間違いだったのではないかと思い始めていた。

すると若い青年と思わしき声は中韓プレイヤー達を更に地獄に叩き落とす発言をした。

 

『貴様らは罪人!よってここに軍事裁判を開廷する!』

 

その発言に中韓プレイヤー達はどよめいた。しかし、そんな声も気にせずに青年は叫ぶ。

 

『被告!中国人プレイヤー!

被告!韓国人プレイヤー!

 

罪状は大量虐殺!よって判決は……

 

 

 

死刑!』

 

 

 

英語で叫んだその言葉にプレイヤー達は驚愕する。

 

『死刑!』

 

その時空からサイレンのような音が聞こえた。まさに悪魔のサイレンだった。

 

ウォォォォオオオーーーーンッ!

 

「「「ーーーーっ!!」」」

 

空から飛来してきたのは爆撃機だった。爆撃機は急降下しながら腹に抱えた黒光りする爆弾を見せつけた。

 

『死刑だぁ!!』

 

直後に爆撃機から爆弾が落とされ、中韓プレイヤー達に降り注ぐ。

 

「「「っ!!!!!」」」

 

逃げようとするプレイヤーもいたが、千キロの爆弾の前にそんな物は無意味だった。

 

上空から現れたのはJu87と言う急降下爆撃機だった。この爆撃機には『ジェリコのラッパ』と呼ばれるサイレンが取り付けられており、この音が第二次世界大戦序盤の連合軍の恐怖心を煽っていた。そしてその心意効果はこの場で遺憾無く発揮されていた。爆撃機の数だけ爆炎が上がり、再び中韓プレイヤーは混乱を起こす。蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う中、中韓プレイヤー達に更なる絶望が迫る。

 

「う、うわあぁああぁぁあぁぁぁぁあ!!」

 

一人が悲鳴をあげる。その視線の先には土煙をあげて接近してくる多くの影を見た。そこから響く音はどこか猛獣の唸り声にも聞こえた。

 

『さぁ、鋼鉄に獣達よ!

蹂躙せよ!殲滅せよ!

目の前の敵を撃ち滅ぼせ、我らの敵を一匹たりとも逃すなっ!!』

 

青年の声と共に煙の奥から現れた()()()に中韓プレイヤー達は思わず足を止めてしまった。

 

「ティ…ティ…」

「ティーガー戦車だ……!!」

「おい!キングティーガーまで居るぞ……!!」

 

それはかつて連合軍を恐怖のどん底に陥れたドイツ軍の戦車達だった。すると他の戦車を見てプレイヤー達は再び悲鳴をあげる。

 

「パンター戦車までいるぞ!!それに…ヤークトティーガー、ヤークトパンターまで……!!」

「こ、こっちはエレファント重駆逐戦車だ!!」

 

目の前に現れたのは全て獣の名前を冠する戦車ばかりだった。戦車を目の前に中韓プレイヤー達は絶望から武器を落とし、戦車とは反対方向に走り出す。

 

「に、逃げろ!!」

「どこに逃げるんだよ?!」

「俺たちじゃあ。戦車相手に勝てっこねぇ!!」

 

そんな叫び声は接近してくる戦車の砲声によってかき消される。

 

「「「ぎゃぁぁああ!!」」」

 

砲撃で吹き飛ばされ、中には逃げ遅れて戦車に踏み潰されて、嫌な音と共に死んでいくプレイヤー達。そこに慈悲は無かった。目の前で起こる地獄絵図にアスナ達は静観するしかできなかった。するとクラインがキューポラから顔を覗かせたプレイヤーに気づいた。

 

「おい、ありゃあストレアちゃんじゃねえか?」

 

そう言うとブレイドは答えた。

 

「ああ、あの戦車とスツゥーカはコンバートしたGGOプレイヤー達が動かしている」

「いつの間に……?」

 

そんなアスナの問いかけにブレイドは何処か愉快そうに答えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

遡る事数十分前。

混戦となった戦場で、ストレア達GGO義勇軍は負傷しつつも北側に撤退をしていた。身体中を傷だらけになったストレアはそこでたまたま着陸していたブレイドを見つけた。

 

「マスター!!」

「ストレア、その傷は……」

「はい、実は……」

 

そうして事情を知ったブレイドは自身の天命値を確認した上で生き残った義勇軍に問いかけた。

 

「失った仲間の復讐をしたいか?」

 

その問いに義勇軍たちは答える。

 

「「ストレアを傷つけた輩を許さない!!」」

 

その返にブレイドは自身の使うスーパーアカウントの能力を最大限使った。現れたのは多数のドイツ戦車と急降下爆撃機Ju87だった。

 

「復讐するのなら此れに乗れ」

 

そう言うと義勇軍は兵器に乗り込む者と、戸惑う者に分かれていたが。そこでストレアが一喝する。

 

「チンタラしているやつは置いて行きなさい」

 

その一言に全員が動いた。元よりここにいるのは殆どがストレアについて来た者。ストレアの後を追いかけるガチ勢なのだ。そんなストレアが前線に行くと言うのだがら答えは簡単だった。

 

「行くぞ!クソッタレの韓国人を吹っ飛ばしてやれ!!」

「嘘つきの中国人を地獄に叩き込んでやれ!!」

 

戦車や航空機に乗り込んだ義勇軍達は今まで溜まっていたものを吹き飛ばすように叫ぶ。

 

 

 

「「日本人の底力(大和魂)を思い知れ!!」」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「前方に敵はまだいるぞ!撃て!!」

「クソッタレの薄汚い面倒な韓国人め!これでもくらぇぇぇ!!」

 

半分私怨が混ざったようにも聞こえる声色で一人が無数の敵に機銃掃射を浴びせる。

 

「装填まだか?!」

「装填完了!!」

「発射!!」

 

戦車の車内では怒号が飛び交っていた。

元より、ここにいるのはミリタリー好きが多い。だから戦車の扱い方も知っている者がかなり多かったのだ。砲弾を装填し、引き金を弾く。GGOに戦闘車があったことがここでは功を奏したようにも見えた。

 

 

 

 

 

似たような光景は空でも起こっていた。

 

「G型の37ミリ砲を喰らいやがれ!!」

「吹っ飛べ!!」

 

上空を飛ぶストゥーカはG型。この機体は両翼に37ミリ砲を搭載するイロモノ爆撃機であった。この37ミリ砲は装甲車を破壊する威力があり、生身の人間相手にはオーバーキルのような気もしていた。しかし、そんなことも気にせずに放たれた砲弾は中韓プレイヤー達を吹き飛ばす。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「「「……」」」

 

おっと皆さんドン引きのご様子で。

事情を全て話した後、ブレイドは最後にこう言った。

 

「奴らが入って来たのなら出口を閉じて仕舞えば良い。二度と入ってこれないようにするにはその方法もあるんだぞ?」

 

そんな発想をできる時点で悪魔だと思った。そして、アスナ達はあることを学んだ。

 

「「「(絶対にブレイドを怒らせたらダメだ……)」」」

 

少なくともご愁傷様としか言えない状況。下手するとそこらの死神や独裁者よりもよっぽど凶悪なことをしていると思ってしまった。

そして一通り話し終えたブレイドは歩き始める。

 

「さて、プレイヤー達の事はストレア達に任せるとして……」

 

ブレイドの歩いて行った方向をアスナ達は見ると警戒の色を示した。

 

「やってくれたなぁ…赤い雷鳴……!!」

 

そこには憤慨し、顔が真っ赤っかのヴァサゴがいた。ヴァサゴは鬼のような形相でブレイドを睨みつける。

 

「貴様は許さん。死罪より重い苦痛を与えてやる」

「っ!!舐めるなぁ!!クソガキィィィィ!!」

 

ヴァサゴは友切包丁を持ってブレイドに接近する。

 

「俺相手には偽モンで十分だったってか?!ふざけんじゃねぇ!!」

「ふざけているのはお前の方だ、ヴァサゴ・カルザス。

日本人を恨んでいるなら勝手に恨んでろ。だがな、人の命はそんな軽い物じゃない。……貴様は人を殺しすぎたんだよ。もう後戻りできないくらいにな」

 

そう言うとブレイドは小銃を地面に置くとサーベルを右手で持って構える。そこには静かな怒りと殺意を乗せて……。

 

「小便は済ませたか?

神様へお祈りは?

部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」

「ーーへっ!」

 

一瞬の静粛が戦場を覆う。そして二人は互いに接近し、剣を交える。

 

「はぁぁぁぁあああ!!」「うらぁぁぁぁああああ!!」

 

燃え盛る戦場の中、二人は重々しい金属音を発しながら互いに死闘を繰り広げる。

ブレイドはここでヴァサゴを()()()に、ヴァサゴはブレイドを()()()に剣を振った。サーベルと肉切包丁がぶつかり合い、火花を散らす。一旦距離を取り、ブレイドが飛んで上からサーベルを振る。ヴァサゴはニィと笑うとお互いに剣を交える。

 

ザシュッ!!

 

互いに交差し、ヴァサゴはブレイドの右腕を切り落とした。ヴァサゴは勝ちを確信し、アスナ達が叫んだ。

 

「「「ブレイド(さん)(先輩)!!」」」

 

しかし、当の本人は余裕そうに斬られた腕を持った。その違和感にヴァサゴは怪訝な表情を見せる。

 

「…これしきで勝ったと思っているのか?」

「!?」

 

その直後、斬られた体と右腕の両方から黒い枝のようなものが出て来ると斬られた腕と繋がり、何事も無かったかのように元通りになった。ペインアブソーバーが無いはずなのに、その痛みすら感じさせないその様子にアスナ達は絶句した。するとブレイドは軽く右腕を動かしながら話す。

 

「何を驚いている?今の私は不死者(ノスフェラトゥ)なのだぞ?これくらい擦り傷にもならない」

 

するとブレイドは笑いながらヴァサゴに話しかける。

 

「さぁ、かかって来い殺人鬼(PoH)!…化物はここだ。お前が斬りたくて仕方ないブレイドはここに居るぞ!」

 

どことなくMっけのある様子で話し、胸に手を当てるブレイドにヴァサゴは真顔から狂気的な笑みを浮かべた。

 

「クッ……クハハハハ!!そんなに斬られてぇならお望み通り斬り刻んでやるよ!!」

 

そう言うとヴァサゴは友切包丁を手に取り、ブレイドの腕を目掛けて斬る。しかし、確実に切り落した筈の腕はブレイドの定位置に残ったままだった。

 

「何っ!?」

 

その事実に驚愕した一瞬。ブレイドの横蹴りがヴァサゴの右側頭部を直撃する。

 

「ゴハァッ!!」

 

凄まじい蹴りを間一髪で衝撃を最低限まで抑えたヴァサゴは頭から血を流しながら横に吹っ飛んだ。土煙を上げ、転がり終えて立ち上がるとブレイドはそんなヴァサゴを見てつまらなさそうな表情を浮かべる。

 

「何だ?その程度か?そんなカスみたいな攻撃で私を倒せると思ったのか?」

「っーーー!!くそがぁぁぁぁあああ!!」

 

ヴァサゴは友切包丁を縦に横に振る。しかし、斬られてはいる。斬れている筈なのに手応えを感じないブレイドにヴァサゴは何かあるのだと理解した。

 

「てめぇ…何仕込んでやがるんだ……」

 

その問いかけにブレイドは非常に邪悪な笑みを浮かべた。

 

「簡単な話だ、

 

 

 

血を吸ったのさ」

 

 

 




注意:作者は書いている途中にどっちが悪役なのかわからなくなりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。