【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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本作開始時の全体のタイムラインとしては、半終末前、具体的には「★俺たちの自衛隊がこんな強いわけがない part8」前後を想定しています。



第1話 覚醒修行

俺こと転生者である平田維茂(ひらた・これしげ)が転生者集団と知り合ったのは、高校生になってからだった。

前世と今世で性別がどちらも同じ男であり性差のギャップがなかったこと、前世の不摂生・不健康を反省して小学生のうちから運動に力をいれたことから、運良くいじめにも合わずに過ごすことができた。

 

高校では長期休みのたびに、富士山登山&アウトドア・ツアーという表向きの看板で、山梨・星霊神社の【覚醒修行】に参加。

とはいえ、いきなりオカルトに人生全振りする勇気はなく【緩めコースの覚醒修行】を受けた。富士山往復登山、滝行、瞑想、オカルト知識座学といった緩めコースでも【霊地】ゆえに身体能力はすくすく伸びたが、そう簡単に覚醒できるわけもなく。

高校卒業後は大学に進まず、アウトドア・ツアーで仲良くなった人のコネで【ガイアグループ】に就職するという体面で、山梨に引っ越して覚醒修行を継続することとなり。

高校三年生の三学期、卒業間近で授業も最低限というころ、俺は職場の事前研修と両親に嘘をついて(大きな嘘ではない)、最後の追い込みを行っていた。

 

*

 

「前ぇー、ならえ!!」

 

自衛隊ニキ(ネキ?)の号令で隊列を作る。小学校の体育で習って以来の行動だが、ここ数日で身に染みついた。

在学中にいっこうに覚醒しなかった焦りから緩めコースの卒業を試みるも、トラウマ量産と噂の【本格覚醒修行】に踏み切る勇気を持てず、妥協点として自衛隊五島部隊主催のデモニカ覚醒コースに参加してみたのだが。

まずは集団行動に慣れることと体力づくり。次がデモニカや銃などの装備を安全に持ち運びできるようになること。ぶっちゃけズブの素人に銃を撃たせるなんて危険なことはできないと言われて、それはそうだと理屈では納得できるのだが。

 

「自衛隊体験入隊のガワを被ったこの覚醒修行(ブートキャンプ)、これが最後の訓練となる! 皆で地下下水道へ突入してLv1未満の悪霊もどきを文字通り蹴散らすだけだ! 武器など必要ない、隊列を組んで進み、踏みつぶす!」

 

自衛隊ニキの先導で、暗い臭い汚いの3Kダンジョンへ突入だ。これで10日に及ぶ苦行も終わると思えば、何てことないさ。

何しろ、自衛隊員以外でこのデモニカ覚醒修行に参加する【俺たち】は俺が久しぶりの存在で、しかもかつての【俺たち】は軒並み訓練途中でドロップアウトしていったという。そのため自衛隊ネキが俺をドロップアウトさせまいと張り切って、しきりに世話を焼いてくるのだ、ときには色仕掛けっぽいことまでしてな!

神○蘭子のボディで色仕掛けとか、DTに耐えられるわけないだろ! ハードな訓練で肉体が疲労していることと、肉体は女でも精神が男の自衛隊ニキが男の視点で見てピントのずれた誘惑をしてきたから、ぎりぎり手を出さずに済んだけどな!

 

*

 

「デモニカのLvは上がったのに、自身は未覚醒のままとか……」

 

自衛隊体験入隊ことデモニカ覚醒修行を終えたが残念ながら、自衛隊ニキの献身も空しく俺は未覚醒のままだった。

次の訓練では規律行動やデモニカ着脱といった霊能以前の基礎訓練は省略できるからまた来てね、と自衛隊ニキは言ってくれたが、俺の直感だとデモニカ覚醒修行は遠回りっぽいので、丁寧にお断りした。

 

「あー、もう使わないデモニカ(ガラクタ)のローン完済にどれだけかかるのやら……」

 

デモニカ覚醒修行を行うに際し、転生者割引が利くとは言え自前でデモニカを買ったのは失敗だった*1。俺が気づいた時には黒札用無料配布は締め切られてたし。

長い目で見れば購入の方が経済的とはいえ、まずは初回をレンタルで済ませてから次を考えた方が良かった。うーん、【俺たち】用に調整されたデモニカだから狩人ニキに売ればそこそこの損切りで済むか?

 

「お、戻ってたのか、どうだ? って、駄目っぽいな」

「ただいま帰りました、スタンクニキにドクオニキ」

 

気落ちしているところに声を掛けられ、見知った相手なので挨拶を返す。

スタンクニキとドクオニキは、どちらも俺にとってメンター(指導者・助言者)に当たる。俺が高校生のときは、学校の長期休み以外では実家で通信教育による覚醒修行を続けていたし、非覚醒者向けの【異界発生地周辺の探索】(アルバイト)も行っていたが、それらの相談役や緊急時の連絡役というのが覚醒者向けのお仕事として存在するのだ。

スタンクニキはフランク、ドクオニキは真面目と対になっているような存在だが、二人がコンビを組んでいるという訳でもない。まぁ二人とも俺にとって面倒見の良い先輩ということで、色々と頼らせてもらっている。

 

ひとしきりデモニカ覚醒コースの愚痴を聞いてもらい、気分が幾分すっきりしたところで、スタンクニキが凄く良い笑顔でこう言ってきた。

 

「なるほどなぁ、自衛隊ネキのお色気でメロメロと。よし、お兄さんが一肌脱いであげよう!」

「いや、そういうのじゃないんです! って、無理やり引っ張ってどこに連れて行こうってんですか?」

「い・い・と・こ・ろ。」

 

覚醒者二人がかりではどうにもできず、大人しく連れていかれた先はというと。

ミナミィネキの悪魔娼館(ところ)でした。

 

 

──詳細は語らないけど、淫魔のお姉さんを複数相手にしたサバトに参加することで【覚醒】しました。

 

 

「こんな簡単に覚醒できるなら、今までの修行は何だっのか……」

「別に無駄じゃないと思うぞ。お前さん、エッチ(この)方面に特別才能があるわけじゃないから、今まで積み重ねてきたものがなければ覚醒しなかったと考える方が自然だ」

「ふふふ、それでもこれを切っ掛けに覚醒したのだから、飛び抜けた才能では無いとはいえ素質はあると思います。ようこそスケベ部へ、私たちは貴方を歓迎します(ハート)」

 

美人(ミナミィネキ)に正面から微笑まれると、照れるね。

 

「はい、これからもよろしくお願いします」

 

俺はミナミィネキ、スタンクニキ、ドクオニキの3人に向かって丁寧に頭を下げた。

 

*1
「★俺たちの自衛隊がこんな強いわけがない part8」だと黒札の希望者にはデモニカ配布と描写があるが、黒札でも申込していないと無料配布されない




平田維茂(ひらた・これしげ) 男・18歳 転生者・覚醒済 Lv1
ステータスタイプ:【体】寄りのバランス型
耐性:破魔無効
スキル:パトラ
装備:デモニカ
仲魔:なし
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