【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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余話58 ロボットプロレス

日本各地にはメシア教に封印された大和神が存在し、めぼしい所は【ガイア連合】の【黒札】が主導して解放されたのだが。

一部の神格については【終末】後も封印されたままだったりする。

 

長野県安曇野(あづみの)市。長野県中央部に広がる松本盆地の北西に位置し、北アルプス山麓の豊富な湧水によるワサビ栽培が有名。

地名の由来は北九州の海の民である安曇氏(あづみうじ)(阿曇氏とも書く)の一部が六世紀ごろに移住し、律令制のもとで信濃国安曇郡が成立したことによる。

この地一帯を管轄する神社は信濃の国三宮・穂高神社。祭神は安曇氏の祖神である穂高見命(ほたかみのみこと)、綿津見神の子であり海神であるのだが、穂高神社は安曇野市(里宮)だけでなく上高地(奥宮)と奥穂高岳山頂(嶺宮)でも祀られているため、北アルプス山脈の山神としての側面も持つ。

 

馬ニキは穂高神から神託を受けて、穂高神を解放すべく封印されている異界を下見に行った。

奥穂高岳の山頂まで登山し、封印の綻びを見つけて異界の中をちょいと覗き込んでみたら、そこには海が広がっていた。

準備不足ということで即撤退し、これは黒札仲間の応援を募らないといけないと判断したところで。次に待っているのは人選である。

 

寒冷地、山神、海。これらの条件に適合して戦闘力のある黒札──

馬ニキはある程度のアタリをつけた後、どうすれば彼ら彼女らを招聘できるか考え始めた。

 

*

 

「どうも、初めまして。私の名は平田維茂、通称ウマニキです」

 

函館・道南支部の応接室で、カス子ネキはとある黒札の訪問を受けていた。

 

「ドーモ、馬ニキ=サン。命子です。カス子と名乗ってます」

 

カス子ネキに続いて邪視ネキとカレンも挨拶し、まずはアイスブレイクとして簡単な雑談でも── というところで、馬ニキが手荷物の中から人形*1を取り出した。

 

「何だ、その美少女フィギア── いや、メダロットか?」

「ご明察です、外見はずいぶんとカスタムしましたが、ベースはメダロットです」

 

黒髪ロングの美少女フィギア、いわゆるビキニアーマーを着た肌色比率の多い人形だが、ヘルメット、肘から先を覆う手甲(ガントレット)、膝から下を覆う脚絆(グリーブ)はしっかりした装甲となっている。

メダロットにはメイドさんや魔法少女をモチーフにしたものもあるので、まあそういうカスタムもあるのだろうとカス子ネキは納得した。

 

「外見モデルはプラレス3四郎の桜姫です」

「あいにくこちらは平成生まれな生粋のコロコロキッズ*2でな、昭和のネタには詳しくない。だがそこまで魔改造するとは、さぞかしホビー部を泣かせたのではないか?」

「ええ、かなり無理を言いました」

 

馬ニキとカス子ネキの視線が交差する。ここまでくれば言葉は不要、ただロボトルが始まるのみ。

 

「ふふん、キリーキンザムは無敵ぃ!」

 

カス子ネキのキリーキンザムと馬ニキの桜姫が1vs1の一騎打ちという形式で、まずは挨拶がわりとばかりにキリーキンザムの右腕(キリサイダー)が唸りを上げる。

 

「それはどうかな? 桜姫、防げ!」

 

馬ニキの指示に従って、桜姫は両腕を顔面の前に出す、いわゆるボクシングのピーカブースタイルの防御姿勢を取る。しかもヘルメットと両腕の手甲だけでなく、背を曲げて腰を落とし両脚の装甲も合わせて使う守勢だ。

 

「あっ、あれは! 肉のカーテン*3、しかもキン肉タツノリ型!」

「知っているのか、雷でん…もといリン!」

 

桜姫が必殺の一撃を防いだことで、邪視ネキとカレンが魁!男塾ばりのノリを披露する。

 

「ほう…… メダチェンジ*4でデストロイを防ぐのか」

 

カス子ネキも感心したように声を上げるが、動じた様子はない。

 

「だが、詰めが甘いな。肉のカーテンとやら、原作再現に拘ったのか知らんが、防御姿勢でいるうちは攻撃できないのだろう?」

 

今度はキリーキンザムの左腕(ツラヌキン)がお見舞いされるが、それも桜姫は肉のカーテン(メダチェンジ)で耐える。

そこでカス子ネキはいったんキリーキンザムの攻撃を止めた。

 

「メダチェンジは頭部・右腕・左腕・脚部の4パーツ装甲を一体化することで、防御力が上がる。しかしメダチェンジ解除後に、受けたダメージが各パーツに均等に割り振られる」

 

攻撃が止んだことで桜姫が肉のカーテン(メダチェンジ)の姿勢を解く。すると、桜姫の両腕装甲が破損して取れてしまう。

 

「なっ?!」

「残念だったな。二手は防げても三手目は防げまい」

 

桜姫が再度肉のカーテン(メダチェンジ)の姿勢を取ろうとするが、両腕装甲のない不完全な状態では焼け石に水。

キリーキンザムの頭突き(キットバス)を貰い、桜姫はその場に崩れ落ちて動かなくなった。

 

「うがあぁぁっ! 負けたーっ!」

「ヴイッ!」

 

頭を抱えて悔しがる馬ニキと、勝利のVサインをするカス子ネキ。

 

「キリーキンザムはベース色が緑、つまりエメラルドパワー*5! 硬度7の前には硬度4.5の肉のカーテンでは耐えられない!」

「な、なんだってーっ?!」

 

敗因を分析しながら、邪視ネキとカレンがMMRばりのノリを披露する。ちなみに平成生まれコロコロキッズなカス子ネキには、キン肉マンも男塾も通じていない。

 

「敗者に用はない、出直すんだな」

「とほほ……」

 

カス子ネキが敗者を煽ると、残骸となった桜姫(メダロット)を回収して馬ニキは大人しく去っていった。

 

「で、結局、何しに来たんだ、あの人?」

「さあ?」

 

予想以上にボロ負けしたショックで、異界攻略の支援を言い出せない馬ニキであった。

 

*

 

「ちきしょーっ! 次は負けねぇーっ!」

「美少女フィギアに魔改造している時点でボディの剛性が大幅ダウンしているから、小手先のチューニングじゃ話にならんぞ」

「うぐぅ」

 

*1
ちなみにメダロットのサイズは身長75cm~1mなので持ち運びは一応可能

*2
今更転生ごちゃまぜサマナー「27話:カス子ちゃんは遊びたい!」

*3
キン肉マンが元ネタ

*4
メダロット3からのシステム

*5
これもキン肉マンが元ネタ

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