奥穂高岳の異界を攻略して国津神ホタカミノミコトを無事解放した馬ニキは、異界ボスと強制戦闘させられたために疲労困憊となり、異界攻略成功の打ち上げに参加できず飯を食いっぱぐれる羽目となったのだが。
その日の夜、布団に入って大人しく寝ていた馬ニキに、神霊からの夢の中での啓示があった。いつぞやのように*1『浦野牧』シェルターの守護神である馬背神を筆頭に、北向観音、生島神・足島神、建御名方富命、ミシャグジ様といったシェルター守護の協賛神霊である地元の寺社代表が勢揃い。彼らが雁首揃えて何をしているのかというと、奥穂高岳異界を攻略中に黒札たちから指摘されたこと、すなわち馬ニキの霊的強化である。
「今までは馬背神が彼の前世存在として霊気素質に影響を与えていましたが、マイナー神格である馬背神では今や彼の成長における足枷です。馬背神から本地垂迹である馬頭観音にスイッチし、彼の成長上限キャップを緩和すべきです」
そう熱弁するのは北向観音、馬ニキの霊的資質・守護存在が日本神話から仏教に乗り替わることにメリットを見出しているのか、正論で他の日本神たちを叩けるのが嬉しいのか。それに対して他の日本神たちは渋い顔をしてだんまり、彼の成長には異を唱えないものの仏教神に主導権を取られるのが気に食わないといったところか。
「──仕方あるまい。
しぶしぶといった態で馬背神が承諾し、それまで蚊帳の外だった馬ニキの意識にスポットライトが当たる。
「という訳で、君のレベル上限キャップが一段階解除されるから。君の魂に巣食うロキ*2の残滓を掣肘する機会でもある」
「何が『という訳』なのか分かりませんが、俺が強くなれるなら、承知しました」
夢の中特有のぼんやりした感覚の中、馬ニキは喋る馬こと氏神である馬背神からの言葉を素直に受け取った。
「馬は本来臆病な生き物、其方が戦闘に不向きであったのもある意味妥当。しかし馬頭観音は憤怒相で描かれ八大明王にも分類される存在、仏敵を調伏教化するものとして、其方もこれから否応なしに戦闘と向き合うことになろう。末法の世においてそれがどう転ぶのか」
馬背神の憐れむような物言いに、馬ニキはそっと目を伏せた。
「まあ、修練を積めば馬頭観音からさらなる格上げもありうる。日本人だからイザナギ・イザナミに連なるものとして日本神話系統に戻る可能性は高い。仲魔にかの大神の分霊もついているから尚更」
すると馬ニキの仲魔である道敷大神が、馬ニキの足元の影からすっと顔を出して、ぐっとサムズアップしてまた影に消えていった。
「はぁ? 彼はこのまま仏道の守護者として我らが手の内なんですけど!」
「でも仏教からインド神話に流れても困るし、手綱は付けておくべきだ」
あ、それまでにこにこ顔だった北向観音が急にキレ始めた。それに対して建御名方富命があくまで保険と言い張っている。
いやぁ、黒札ってあちこちの神霊からモテモテだねぇ。実際は競り市に出されているようであんまり嬉しくないけど。
*
「ひどい夢だった……」
夢の中で啓示を受けていたはずなのに、いつの間にか自身の所有権を主張する神霊たちの大乱闘が始まって、巻き込まれないように隅っこに避難したところで夢から覚めた。
馬ニキは布団の中で大きく一つ伸びをして、それから胡坐を組んで瞑想に入る。本当に馬頭観音の加護を得たのか、自身の内に息づく新たな力の存在を確認する。
「……なるほど」
馬頭観音はインド神話のハヤグリーヴァ*3が仏教に取り込まれた存在で、デビルシフター能力でハヤグリーヴァに変身できるようだ。
今までは馬型悪魔(スレイプニル)にしか変身できなかったが、人身馬頭の悪魔にも変身できるようになったということ。
「ハヤグリーヴァでできること、早急に把握しなくちゃな」
馬ニキはそう呟いて、今後の自主鍛錬時間をどう都合つけるか悩みだした。
*
関西ガイアプロレス*4 雑談スレ part.xya
232:名無しのレスラー
第xx回定例興行のラストで新たな刺客登場!
ゼブラマンを名乗る覆面レスラーが試合に乱入して狼藉の限りを尽くし、レスラーニキ怒りのマイクパフォーマンス!
次回、北信越の地方巡業にゼブラマン参戦決定!
近頃は顔ぶれがマンネリだったからニューフェイスは大歓迎
233:名無しのレスラー
>>232
白黒の縞模様の全身タイツ、馬の頭を象った覆面、その正体は?!
まるでファイアブレスのような真っ赤な毒霧、トラポートで瞬間移動したかのような逃げ足の速さ
おそらく地方巡業をこなしてツアー〆の大阪城ホール公演でレスラーニキと一騎打ちだな
234:名無しのレスラー
>>233
あいつ、毒霧を吹くときに腹話術でヨガフレイムって喋ってたし、短距離テレポートするときもヨガッ!て口走ってたぞ
レスラーニキのマイクも「インド人を右に」「ザンギュラのウリアッ上」だったから、インド系なのは間違いない
235:名無しのレスラー
>>234
インド系ってことは『インドの狂虎』タイガー・ジェット・シンの系譜か?!
236:名無しのレスラー
>>234
ズームパンチかズームキックを見るまではダルシムと認めない
平田維茂(ひらた・これしげ) 男・24歳 転生者 Lv47/??(SSR)
ステータスタイプ:【体】寄りのバランス型
耐性:破魔無効
スキル:パトラ(真5仕様、味方単体のPANIC/SLEEP/BINDなどを解除)、デクンダ(味方全体のンダ系解除)、メディラマ(全体HP中回復)、ディアラハン(単体HP全回復)、ハマ(単体即死)、トラポート(ダンジョン外移動)、テトラジャ(味方全体を破魔呪殺から守る)、チャクラウォーク(劣)*1
汎用スキル:房中術、相撲*2
称号:馬背神の加護(中)→馬頭観音の加護、スケベ部幹部*3、小泉小太郎*4、ガイア連合派出所管理人、前世はロキ、マジカルチンポ(微)*5
後天的デビルシフター:聖獣スレイプニル Lv40/?? パトラ、ハマ、ディアラハン、ラクカジャ、体当たり、ヒールドロップ、破魔無効、火炎弱点
後天的デビルシフター:幻魔ハヤグリーヴァ Lv40/?? アギラオ、ハマ、ムド、メディア、ファイアブレス、物理・火炎・破魔・呪殺無効、銃・精神・電撃・神経耐性、氷結弱点。