【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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名無しのレイさんから、田舎ニキを酷い目に遭わせても良いと言質を取ったので、今回はNTRフラグを設定する話。
ようやく自作の主人公も出せました。


外伝 魚沼で頑張るロバ霊能者の話5(前)

「俺もう重下君の面倒見る自信ないよ……」

 

田舎ニキは九重静相手にそう愚痴ると、ウィスキーグラスを無造作に傾けて酒精をあおる。新潟銘菓・柿の種をひょいと摘まんでボリボリッと咀嚼し、再びグラスを傾け、空になった器に手酌で琥珀色の液体を注ぐ。カランと氷が音を立てるが、田舎ニキは気にも留めない。九重静はただ黙って時おり相槌を打ち小さく頷くのみ、ひたすら聞き役に徹している。

 

「なんだよ、もう。スケベ部って、あんなのばっかりなのかよ」

 

グラスを一息で飲み干した田舎ニキは、手酌しようとしてウィスキーボトルが空になっていることに気づき、荒々しくテーブルを叩いた。

 

「酒っ! 飲まずにはいられない!」

 

静は軽く目を伏せると、空のボトルをテーブルの下に隠し、代わりに清酒の四合瓶を取り出した。田舎ニキはそれを引っ手繰るように奪い、開封すると無造作にウィスキーグラスに注ぐ。琥珀色の液体の残りが薄められて濁ったちゃんぽんが出来上がるが、彼はまるで意識せずにごくごくとジュースのように飲み干す。彼の口の端から飲み残しのお酒が筋となって伝い落ちるが、行儀などどこ吹く風、袖口で乱暴に口元をぬぐう。

まごうことなき、やけ酒である。

 

「ねー、静さんさぁ。俺、どうすれば良い?」

「どうすれば、とは?」

 

うざ絡み始めた田舎ニキに、静は嫌そうな顔一つせず、落ち着いた言葉を返す。

 

「上田銀山。このまま異界化する? 今日は清めの塩撒いて現状維持しかしてないけどさ」

「……尾瀬三郎の霊は地下のお宝を探せと言ったのですから、異界は保持しましょう。そのうえで異界を探索して、無限のリソース源として維持するか、潰してしまうかを決めればよろしいかと」

 

具体的な質問にはきちんとしたビジョンを示す。酔っている田舎ニキの頭に翌日も残っているか怪しいが、静は求められたことに誠実に返す。

田舎ニキは静が思ったよりまっとうな回答をしたことに気を良くし、彼が悩んでいる本命を相談することにした。

 

「そっか。じゃあ、重下君のアレはどうする?」

「……あれは、召喚主(がき)悪魔(いろぼけ)を制御しきれていないだけです。おねがショタを翻弄するだけだから問題なのです。ショタの逆襲、つまりショタおね、ショタがおねを攻めて主導権を握れるようになれば解決します」

 

田舎ニキは静の発言内容がまるで理解できず、きょとんとした顔で静を見返した。

 

「?? ごめん、静の言ってることが聞き取れない」

「失礼しました、早急に稔をレベルアップさせましょう。レベルさえ上がれば、姥石明神をきちんと支配でき、結果として他者に迷惑かけなくなります」

「ああ、良かった。静までスケベ部にどっぷり漬かってスケベ部用語を使いだしたのかと思った」

 

田舎ニキはここまでハイペースで痛飲してきた反動が来たのか、急に思考が回らなくなり、テーブルに突っ伏した。

 

「レベルアップかぁ。彼はレベル上限自体が低いから、単にしごくだけじゃ駄目っぽいんだよなぁ」

「ならば早急に結嵌学園に放り込むべきです。サマナーなら前衛に立つ必要はありません、戦闘経験に乏しい欠陥レベルアップでも仲魔の支援さえできるならどうとでもなります」

「んー、それはそうだけど…… 欠陥レベルアップは俺の好みじゃないんだよなぁ…… zzz……」

 

田舎ニキは急に疲労がどっと押し寄せてくるのを感じ、眠気に逆らわずにうたた寝に身を任せた。

 

「碧神様? お休みになられるなら寝所で…… あらあら」

 

静は困った表情を作って自身の頬に手を当て、寝入ってしまった田舎ニキをじっと見つめる。そしてテーブルの上に散らかったグラスやつまみ皿などを片付け始めた。

 

「碧神様がここまで愚痴をこぼされるなど、私もかなり信用して頂けたようで」

 

くすりと笑った静は、次の一手を考え始めた。

 

「ここで私が碧神様が逆レイプして既成事実を作るのも悪くありませんが…… 今は焦らずとも良いでしょう。やはり碧神様から私へ告白(アプローチ)していただきたいですもの」

 

静はテーブルに突っ伏している田舎ニキの横顔に自身の顔を寄せ、頬に軽く唇を落とした。

 

「お休みなさいませ、凍矢(・・)様」

 

現地名家(笑)が黒札に情婦を宛がいハニートラップで絡め取ろうとするのはよくある光景だが、このときの静は恋愛ごっこを楽しむ余裕があった。

田舎ニキは地元・魚沼に最初から腰を据えてフラフラしていないこと、静は生贄に捧げられるはずだったところを田舎ニキに助けられてガチ惚れしていること、今のところ田舎ニキを取り合うライバルがいない*1こと、などが絡み合った結果である。

二人の行く末はどうなることやら──(不穏当なナレーション)

 

 

「やあ、田舎ニキ。後輩の指導に四苦八苦しているんだって?」

 

ある日、男女二人組が田舎ニキを訪れた。男の方は田舎ニキの顔見知りである馬ニキ。長野県上田市に根を張る黒札で、新潟県魚沼に根を張る田舎ニキとはある意味でお隣さんであり、また両者は黒札デビュー時期が近い*2ことからある意味で同期とも言える仲である。

 

「九重さんから話は聞いて、ショタおねを鍛えるための助っ人を連れてきたよ。こちら、男性優位プレイネキ*3

 

馬ニキに紹介されて、男性優位プレイネキがぺこりと頭を下げる。彼女は顔立ちこそ美人だがパッと周囲の目を引くような派手さはなく、肌をあまり出さずベージュや茶黒を基調にした地味な服装であることから、清楚と言うより地味という印象を受ける。ただ乳尻太ももはしっかり自己主張しており、スケベ部の紹介と言われれば納得できる。

 

「なんですか、その雑な名前*4

「いえ、しょせんは今回限りのコードネームですので、気にしないでください」

 

田舎ニキが挨拶より先にツッコミを入れて、男性優位プレイネキがふにゃりと柔らかな笑顔で返す。その『お清楚』な雰囲気にあてられて、田舎ニキは思わず唾を飲み込んだ。

 

「ええと…… うん、立ち話もあれですから、こちらへどうぞ」

 

田舎ニキは一瞬見惚れてしまったことを誤魔化すように、魚沼市の公民館を改造した自らの拠点に二人を招き入れた。

この場に九重静がいたなら、田舎ニキの尻をつねるなり可愛い嫉妬心を見せていたであろう。だがここに彼女はいなかったのだ──(不穏当なナレーション)

 

 

応接室で二人にお茶を勧め、その裏で最近は秘書的なポジションに収まりつつある九重静を緊急に呼び出す。

まずは雑談をしながら、事態を把握しよう。田舎ニキは内心でそう方針を決めて、改めて男性優位プレイネキと挨拶を交わす。

 

「それで、九重さんがいないけど、話を進めちゃって良い?」

 

挨拶が終わると早々に、馬ニキが本題を切り出す。

おいこら、早いよ! 焦った田舎ニキの雰囲気を読み取ったのか、男性優位プレイネキは隣りのソファーに座る馬ニキの膝あたりをペチンと軽く叩いて制止する。

 

「もう少し、お茶を楽しませてくださいな。早漏は嫌われますよ?」

 

そう言われると馬ニキも口を噤むしかない。場の主導権を握った男性優位プレイネキは、湯呑を片手にここまで見てきた魚沼の風光明媚さ長閑さを褒め、田舎ニキも地元を褒められまんざらではない。

馬ニキは、この短い時間で田舎ニキの緊張を解し和ませていく男性優位プレイネキの手腕に感心しきり。これが男を手玉に取るってことか、地方で遊ぶにしても先に現地の管理人を(ほだ)しておくとヤンチャしても後始末が楽だしなぁと見当違いの推察をしているが、多分男性優位プレイネキはそこまで考えていない。

そんなこんなで黒札三人の親睦が深まったところで、呼び出されていた九重静が到着し、いよいよ打ち合わせ開始である。

 

「じゃあ、九重さんからのオファー内容を確認するよ。重下稔君のレベルアップ、ただし戦闘能力のない欠陥レベルアップではなく、ちゃんと戦えるサモナーに成長すること。間違いない?」

「はいそうです。最終的に彼が使役する姥神明神をしっかりコントロールできるのが目標です」

「単にレベルアップするだけなら彼をダンジョンに連れ回せばいい。そうしないのは、彼がレベル上限に引っかかっているから?」

「はいそうです。レベルアップの依頼には、レベル上限アップも含みます」

 

田舎ニキは、静が勝手にオファーしたことだからと、余計なことを口にせず黙っている。異論を挟まないので実質の事後承諾である。

そういや、馬ニキもスケベ部なんだよな。自分の見える範囲ではヤンチャしてないから、すっかり忘れてた。田舎ニキは内心でそう思い返し、静と馬ニキの顔を交互にチラ見する。

魚沼支部を立ち上げた自分と、上田市派出所を立ち上げた馬ニキ。ある意味お隣さんである意味で同期、切磋琢磨するライバルと言えなくもない彼とは、組織運営でなんだかんだ相談することも多い。その際、直接電話することもあるが、秘書ポジションである静が事務手続きで仲介することも多い。ミナミィネキとやり取りしたことでショタおね逆襲など特殊用語を獲得してしまったように、今後も馬ニキと付き合っていくうちに、静もスケベ部に染められていってしまうのでは?

ぼんやりしているうちに、田舎ニキの心うちに不安の種が生まれていく──(不穏当なナレーション)

 

*1
この頃は田舎ニキの式神・破裂の人形はまだ人間形態をとれない

*2
ハーメルンに投稿開始した時期が近い

*3
アレデルトロンさん作:癖に生きる俺らと割を食うシキガミ・現地民 「20.モブカス男と黒札女(♡)」から。R-18注意

*4
黒札の女とだけ描写されて名前がなかったので勝手に命名




故郷防衛を頑張る俺たち「【夷荻撃滅!!】国津神雑談スレパート248【氏子守護!!】」を読む限り、九重静は「ホモが嫌いな女子なんかいません」とか言い出しそう。
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