田舎ニキ、馬ニキ、男性優位プレイネキの黒札三人と、田舎ニキの秘書的立場である金札・九重静を加えた四人の打ち合わせは続いている。
「結嵌学園の『○○ながおじさん制度』*1が結果出しているのは事実。だから、良いところは取り入れます」
「しかし結嵌学園の『男としてのプライドを折ってメス化』は田舎ニキの嫌うところ、そこは排除します」
馬ニキと男性優位プレイネキが、才能ロバ霊能者である重下稔少年の育成方針を説明する。
「つまり…… 重下君は、ハメつつハメられるってことさ」
「何それ?」
もったいぶった言い回しに、理解が追い付かない田舎ニキは素直な疑問を口にする。スケベ部相手に説明を求めると、酷いことを聞かされるというオチになることを田舎ニキは今までの経験に学んでいたが、残念ながら学習できても実践に至らなかったようだ。
男性優位プレイネキはキランと目を光らせて、嬉々として喋り出した。
「東アジアには『陰陽和合』の概念があります。それは分かります?」
「ああ、単に男女の交わりを言い換えただけの用法もあるが、太極図を代表とする中華の思想、陰陽論のことだな?」
「そうです、陰と陽のバランス。これは中華で発達した房中術にも多大な影響を与えています。今回はこの房中術の概念で少年を強化するわけですが──」
「前置きは要らないから、三行にまとめてどうぞ」
長くなりそうだと感じた田舎ニキは長広舌をばっさり遮り、男性優位プレイネキはがっかりしながらオーダー通りに要約した。
「通常は男が出して女が出される。男女が交わっているときに男がケツを掘られれば、出しながら出される。これすなわち陰陽和合なり」
「???」
ほんと、スケベ部は意味不明なことばかり言うなぁ。田舎ニキは彼らの主張する理屈について理解することを放棄した。
「もっと具体的に、どうぞ」
「稔少年が姥神明神の花弁に挿して、同時に少年は黒札から菊に挿されるんだ。黒札のフレッシュパワーを体内に受け取るだけでなく、出すという男らしい行為をすることで、男のプライドは保持される」
「他者から注がれることで、少年はより多くより濃いものを注ぐことができます。それは彼が姥神明神をより強く支配することに繋がるでしょう」
理屈だけじゃなく、実際にする行為についてもブッ飛んでるなぁ。田舎ニキは放心寸前だ。
彼は話し合いを三人に任せ、自分の中に籠って台風をやり過ごすことを選択した。
「あの、男性優位プレイネキさんは、女性ですよね?」
「そうですよ。でもスケベ部なら女性に疑似的に生やすこともできますので」
おずおずと疑問と呈した九重静に、男性優位プレイネキはあっけらかんと答える。
「それに、姥神明神←重下稔←男性優位プレイネキ←馬ニキ、と四連直列することで、エネルギーを同期同化させてより強いものを注ぐこともできますよ。重下君をより効率的に強化できると思います」
「よ、四人サンドイッチ! その発想はありませんでした……」
レベルの高くない現地霊能者は、高レベル黒札のカリスマにころっとやられることも珍しくない。
静が顔を赤くしているのは、興味深いアイデアを聞かされたからゆえの興奮か、それとも──(不穏当なナレーション)
「ちなみに、姥神明神←重下稔←馬ニキ←男性優位プレイネキ、という直結パターンもあります」
「ええっ?! 馬ニキさんまで、挿しつ挿されつなんですか?!」
「はい、合法的にショタを掘る機会は貴重ですが、合法的に黒札男性を掘る機会も貴重ですから」
感激してキラキラした視線を男性優位プレイネキに向ける静と、にこやかに笑みを浮かべる男性優位プレイネキ。
「まあ、俺もスケベ部としてミナミィネキの教えを受けたからね。掘って掘られても経験してるし、ネキに支払う報酬として単に俺が身体を張るだけなら、安いもんさ」
馬ニキはちょっとだけバツの悪そうな表情を作った。くそみそニキが女ともヤレるが男の方が好みというのと同様に、馬ニキも女が好みだが男ともヤレないこともない、というスタンスなのだろう。
「本当は、20数名集めて輪になって全員が連結し、エネルギーを循環させることが一番の理想なのですが」
「とても素敵です……」
虚空に視線を彷徨わせてうっとり理想を語る男性優位プレイネキと、それに心酔する九重静。馬ニキはそれについてはノーコメントの姿勢で、田舎ニキはそもそも話についていけてない。
「あの……」
何やら思いついた静が恥ずかしそうにもじもじしながら、ちらちらと田舎ニキに視線を向ける。すると、彼女の意図を汲んだ男性優位プレイネキが先回りして答えた。
「田舎ニキさんも加えた五連直列ですが、人数が増えるとエネルギー同期同化は難しいので、熟練者でない田舎ニキさんを加えるのは難しいですね。しかし、九重静←田舎ニキ←男性優位プレイネキ、というサンドイッチなら簡単です」
今一番欲しい言葉を聞かされたとばかりに、静は立ち上がらんばかりの勢いでガッツポーズ。
「貴女も、田舎ニキさんからより濃いものを注がれればパワーアップが見込めますよ?」
「はわわ……」
男性優位プレイネキから耳元で淫靡なお誘いを囁かれ、何を想像したのか静は半分ほど意識を飛ばしている。
将を射んとすればまずなんとやら。馬ニキはネキが静を言いくるめようとしているところを黙って見守る。なぜならネキから「(スケベ部でないという意味で)素人男性黒札を掘る機会はめったにありませんからね! 私の説得を邪魔しないでくださいよ!」と事前に言い含められているからだ。
ここまで何度かNTR危機を匂わせてきたが、実は田舎ニキの貞操の危機なのである──(不穏当なナレーション)
「癖に生きる俺らと割を食うシキガミ・現地民」の男性優位プレイネキ(仮名)が話を転がすのに便利すぎるw
田舎ニキが自身の貞操を守りきれたのかはシュレディンガーの猫(観測されるまでは状態未定)