九重家*1。新潟・魚沼地方の地方霊能者名家()であり、【ガイア連合】の【黒札】田舎ニキこと碧神凍矢とずぶずぶの仲。
【俺たち】銀さんとずぶずぶの仲になった四国某所の地元霊能組織・大赦*2と同じくらいの勝ち組である。
大赦と同様に九重家も、かつては才能なし修行ノウハウなし物品なしの三重苦であった。だが田舎ニキが惜しみなく支援した結果、知識面と物質面(装備品・消耗品)の両方が急速に満たされていき、残るは人才面となった。
大赦であれば、銀さんやマシュマロおじさんの種を貰って子を産み育てる次世代育成方針であるが、九重家はそうしなかった。
いや、九重家のトップである九重静は田舎ニキの子を孕む気満々であるが、彼女が独占欲を発揮した*3ため、田舎ニキに女を宛がわない*4こととなり、その代わり── ガイア連合の最先端技術である【霊気改造】を人体に施すことになった。
九重一族の分家筋に重下稔という中学二年の少年がいる。彼が霊気改造の被験者に選ばれたのは、まぁ…… その、色々あったのだが。
霊能ザコである彼が抜擢されたのは、成功するかどうか不明な人体実験に失われても痛くない人物を、という妥協の側面があった。だが、九重家当主・
九重家は女系優位であり、一族内で発言権のある女性は多い。そしてそれらの女性が、絶対強者である田舎ニキに纏わりつくことを禁止され、フラストレーションを貯める。その結果として、彼女たちが今まで見下していた重下少年に依怙贔屓されていると感じて嫉妬するのも、ある意味で仕方ないとも言えた。
「最近、重下の坊やが調子に乗ってるよね」
「そうです、ここらでビシッと〆てやりましょう! ちょっくら呼び出してきます」
「頼むよ、こっちは
いかにも行かず後家といった風のガラの悪い女性二人組。この二人は九重家の中では中堅どころの霊能者である。
霊能者として対して期待されていなかった重下少年が、田舎ニキの下で【覚醒】してその後も重用されエリートコースを歩んでいる*5。田舎ニキが来る前からずっと泥臭く活動していた二人には、それがどうにも我慢ならなかった。
なお、この話(外伝)は【終末】前のタイミングであり、地元名家()の霊能者はLv2あれば新人を脱して中堅どころ、Lv5あれば名実ともにエースである。この二人もLv2~3程度であり、彼女たちは今まで自分たちがレベルアップにどれだけ苦労してきたか経験していたため、彼がガイア連合の効率的な手法で同レベル帯に急成長していることに気づいていなかった。
二人は
*
「なあ、稔君。その…… 君が糖尿病だって聞いたんだけど」
重下稔を呼び出した田舎ニキは、恐る恐るそう尋ねた。
「いえ、そんなことありませんけど? あのぅ、どこからそんな話になったのですか?」
想定外のことを質問された彼は、キョトンとした顔で尋ね返す。それに対して、田舎ニキの相方にして九重家のトップ、九重静が恥ずかしそうに答えた。
「実は、
「あっ」
「その顔は心当たりがありそうだね。何かあったのかい?」
よく分からないキーワードに首を傾げていた田舎ニキだが、彼が正直に話すにつれ、眉間の皺が深くなっていった。
「つまり、行き遅れコンビが君を呼び出し、居丈高に逆レイプを匂わせたと。それを君は額面通りに受け取って、据え膳食わぬは男の恥とばかりに、そのまま二人を食べちゃった。で、君の白濁液を二人が口にして『甘い』と言った。……なんじゃそりゃ」
『カルピスまじカルピス』が何を意味しているのか、それは理解できた。だが、根本的な『甘い』原因は分からない。
田舎ニキは目を瞑り、額に手を当てて考え始めた。
「ミナミィネキのところで真珠埋め込みの霊気改造手術を受けたのが切っ掛けだよな、どう考えても。真珠…… 月…… 銀…… 何の要素がこれを引き起こした? うーん、分からん」
「あの、月、銀、真珠、と言えばインド神話のチャンドラじゃないですか? 確か、月神チャンドラは銀と真珠を司り、ソーマとも同一視されますから」
「月は神々の酒杯であり、月の満ち欠けを神酒ソーマを飲み干す様に例えた…… か。稔君をチャンドラに見立てるなら、稔君の体液は神酒ソーマも同然と…… なんでそれが甘露になるんじゃい! サキュバスじゃあるまいし! いや、ミナミィネキだし! 分かるけど分かりたくねぇーっ!」
田舎ニキは頭を抱えて嘆くことしかできなかった。
*
後日譚
「人魚ネキさんにお願いしたら、夜空に浮かぶ満月みたいな真珠をお譲りしていただきまして。陰茎に埋め込むには勿体ない一品物でしたので、尾てい骨に融合する形で、第一のチャクラを強化する方向で処置しました。ええ、菊門からずぶりと入れてそのまま指でぐりぐり押し込んで…… 思いのほか上手く行きました」
「具体的な描写はいらないです。第一のチャクラって、確か背骨の末端であり『根本の座』『根を支えるもの』の意でしたっけ」
「はい、そうです。そして
「
田舎ニキとミナミィネキのアンジャッシュ、いつものことであった。