【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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最終話 馬背神杯ジャパンワールドカップ

ある日、アメリカのボストンでクトゥルーが召喚され、日本へ向けてICBMが発射された。その結果、日本では【半終末】という状態になり、最終的に【終末】を迎えることとなった。

俺は【終末】に備えあれこれ準備していたため、生き延びるという点はそこそこ恵まれた環境だ。四国・大赦の銀時ニキほど周囲に好影響を与えてはいないが、ドクオニキのAV撮影シェルターよりはずっとマシ。

 

*

 

「終末を迎え競馬という娯楽が消え去って幾年月。馬ニキの尽力により、ここ『浦野牧』で競馬が復活します! どうですか、解説のドクオニキ」

「競馬と呼べるほどに多数の馬を集めて曲がりなりにも走らせるなんて、世界広しといえどここだけじゃないですかね。実況のスタンクニキ」

「競馬場などという建物は存在せず、野原にロープを張っただけのフィールドで、芝1600mと強弁するのはどうなんでしょう?」

「オグリキャップの有馬記念とか、芝が枯れて土が剥き出しになってたけど芝表記でしたから、まぁぎりぎりセーフだと思います」

「各馬、続々とスタート地点に集まります。ゲートはありません、相馬野馬追の甲冑競馬スタイルです」

「興味を持ったらようつべに映像上がっているはずなので調べてください」

「では改めて、馬背神杯ジャパンワールドカップ第1回、芝1600mの出走馬を紹介します」

 

1番、ギンシャリボーイ。騎手は松岡正海。この『浦野牧』で生まれ育った、今では世界中でも希少な純サラブレッドです。

2番、ピンクフェロモン。騎手はミナミィネキ、処女じゃないのにユニコーンを従えています。

3番、チョクセンバンチョー。騎手は反町キメジ、こちらはバイコーンです。

4番、バンエイホース。騎手はムワイ・サンコン、スレイプニル。北海道のばんえい競馬で使われていたペルシュロン種に引けを取らない、1トンの巨躯が目立ちます。

5番、ピーピ-ドーナッツ。騎手は平田知佳、こちらも『浦野牧』で生まれ育った木曽馬、ポニーの体格なので4番と並ぶと親子ほども違います。

6番、ハリボテエレジー。騎手は鬼女紅葉、噂によると今朝仕上がったばかりの、段ボールとガムテープの手作りサラブレッド(?)。

 

「ところで、本レース開催に多大な尽力をした馬ニキと相棒式神の姿が先ほどから見えませんが……」

「中の人などいない!」

「おっと、失礼しました。では解説のドクオニキ、どの馬が勝つと思いますか?」

「普通なら悪魔であるユニコーンかバイコーンかスレイプニルなんでしょうけど、私は純サラブレッドであるギンシャリボーイを推します。あの馬、覚醒しているんじゃないかってくらいに賢いんですよ」

「へー、賢いってエピソードとかあります?」

「私のシェルターで獣姦AVを撮影するとき、牡馬の派遣を依頼したらギンシャリボーイが来ましてね」

「はい、この話はお終い! ファンファーレが鳴ります、まもなく出走です!」

 

各馬いっせいにスタート!

まず飛び出したのはギンシャリボーイ、続いてチョクセンバンチョー、つやつやのリーゼント風ツノ。さらにピンクフェロモン、ジョッキーいわく最強牝馬。牝馬? 中央いい位置、北欧からの刺客バンエイホース、3馬身離れてピーピ-ドーナッツ、大きく遅れて最後尾ハリボテエレジー、これは馬なのか。ハリボテエレジーから空き箱を叩くような音がしている。

さあ混戦模様のジャパンワールドカップ、各馬第3コーナーを周って、ああっと、転倒! ハリボテ壊れた! ガムテープの剝がれる音!

大ケヤキを抜けて最終コーナーへと突っ込んでいく、先頭は依然ギンシャリボーイ、内からピンクフェロモンがつけている。外からチョクセンバンチョー、バンエイホースも上がってきている。追いかけるピーピ-ドーナッツ、残り400m。

鞭が入る鞭が入る、喰らいつくピンクフェロモン、大きく散らかった展開。ああーっ、ミナミィネキ立ち上がった! フェロモン全開、女王様とお呼びーっ! しかしギンシャリボーイ逃げる、逃げる! まるでミナミィネキと過去何かあったかのような逃げっぷり、ギンシャリボーイ、今ゴールッ!

 

確定しました、1着ギンシャリボーイ、2着ピンクフェロモン。それでは皆さんさようなら、またどこかでお会いしましょう。




スレを眺めるうちに覚醒馬でレースというネタを思い付き、その一発ネタを書くためにどこまで舞台に説得力を持たせられるのか、というところから始めました。
前振りに28話も使うとは自身も思っていませんでした。
本作はこれにて完結、今までのご愛読ありがとうございます。
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