【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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感想からネタを回収。また新潟の田舎ニキを擦るネタも今回でいったん打ち止めです。


Ex4 伊邪奈美神の誘い

山家神社、信濃国小県郡(ちいさがたぐん)の延喜式内社。長野県と群馬県の境にある四阿山をご神体とし、山頂には奥社が、山裾の長野県真田町*1には本宮が存在する。真田町の本宮は上田市の東北に位置することから鬼門除けとして古くから重視されていた。

祭神は大国主(おおくにぬし)命、そして江戸時代には別当寺として白山寺があったことから伊邪奈美(イザナミ)命、菊理姫(キクリヒメ)命も合祀している。

ちなみに奈良時代に白山寺が創建されたときは白山権現=伊邪奈美だったが、戦国時代に寺が焼失・移転したときに菊理姫を祀る三ノ宮を上ノ宮と誤記したことから伊邪奈美と菊理姫の立場が入れ替わり、白山権現=菊理姫という異説が生まれた。そのため全国の白山神社は主神を菊理姫とするところも多い。

 

なんでそんなことを調べたのかというと、イザナミ神から霊界通信による呼び出しを受けたからだ。

優れた霊能力者に対し神霊側から接触することは珍しくない*2が、縁もゆかりもまったくないところからアプローチされることは基本的にない。これはつまり、先だって魚沼の異界【黄泉比良坂】*3を探索したことで、縁ができたということなのだろう。

いつも神社に参拝するときは清酒の瓶にMAGを注ぎ込んで特製お神酒を作成しているが、今回は気張って大吟醸の一升瓶を三つ作る。黄泉神でもあるイザナミの機嫌を損ねたら一発アウトだからね、仕方ないね。

 

そんな訳で、真田町の山家神社に参拝してお神酒を供えたところ、イザナミ神から神託通信が来た。

 

「千曳の岩まで来ておきながら、母に何の挨拶も無しとは、困った我が子だこと」

 

初っ端から嫌味をチクリと言われましたよ。そんな嫌みったらしい女だからイザナギに逃げられ…… ゲフンゲフン、何でもありません!

 

「まあ良い、此度そなたを呼びしは、我が助力してやろうと思うてな。……ふふ、心当たりがないと疑問に思っているが、すぐに分かる。後ろを振り返ってみよ、上田平が一望できよう」

「はあ」

 

気の抜けた生返事を返しながら、言われた通りに振り返って上田盆地を一望する。中心を流れるのは千曲川、新潟県に入ると信濃川と名前を変える、日本最長の河川。そして千曲川沿いを走る国道18号と、俺が苦労して【街道】化した霊的道路。

 

「ああ、丁度来た」

「へ?」

 

千曲川の下流側、西から何かが千曲川を逆流してくる。あれは何だ? 津波で河川が逆流する様子に似ているが、物理現象ではなく、霊的現象だ。

ドババババという振動が山地の山家神社まで伝わってきて、俺の身体がぶるぶる震える。何だ? 何が起きている?

 

「あっ?!」

 

霊的津波は周囲に破壊の力を振りまきながら逆流している。その奔流により破壊されるもの、それは俺が苦労して川沿いに敷設した霊的街道そのもの(・・・・)だ。

そう認識した途端、全身に痛みが走る。霊的街道が暴力的に破壊されたことで、作成者の俺にも破壊のフィードバックが届いた。

 

「あ痛たたたたっ?!」

 

ダンプトラックに跳ね飛ばされて全身を強く打ったかのような、激しい痛みが全身を襲う。

まるでショタオジの覚醒修行ややハードコースを受講したような、というか受講経験がなければショック死していたかも知れない。

 

「うう、死ぬかと思った……」

「あら、思ったよりタフ」

 

全身の穴という穴から血汗涙涎鼻水その他をこぼしながら、地面に倒れ伏してしばらく痙攣する俺。それを見守るイザナミ神。

ところで俺、今のでショック死していたら冥府神であるイザナミ神に連れていかれるところだった?

 

「何だったんだ、今のは……」

 

とりあえず【ディア】が使える程度までは回復したので、よろよろと身を起こして座り込む。眼下の上田市一帯は、千曲川河川敷を中心に今の破壊流で酷いことになっている。物理的な影響は砂防ダムが吹き飛んだことぐらいだけど、霊的影響は…… ちょっと考えたくない。俺が苦労して敷いた霊的街道は跡形なく消滅している。

逆流はとうに俺たちの目の前を通り過ぎ、今頃は佐久地方の…… 千曲川の源流まで届いたかもな。

 

「新潟にアラハバキが出現して、信濃川に『自然に返れ』ビームを放った*4。それが上流にまで逆流して、この有様よ」

「?????」

 

イザナミ神の言ってることが理解できない。アラハバキ? 自然に返れビーム? 何それ?

 

「いきなりで事態を飲み込めぬか。矮小な人の身ならば仕方なし」

 

しばらく呆然としていたが、段々と実感が湧いてきた。千曲川流域は大型台風による水害を何度も受けている、そして天変地異と神の気まぐれは同じ。

つまり新潟でアラハバキ神が暴れてその余波を喰らったということなのだろう。それはそれで現象が発生した理由は腑に落ちたのだが、理不尽に自分が積み上げたものを奪われたことに対する怒りがこみ上げる。

 

「ああああああ、ああああああっーーー! 畜生、畜生!」

 

怒りや悔しさといった原始的感情に身を任せてのたうち回るが、そのうちそれも落ち着いて、強い疲労が前身にのしかかる。

 

「今しばらくMAGを放出しても良かったのに…… 頭が冷えたか、先にも言うたが我の助力を欲するか?」

「え?」

「そなたが敷いた街道は見るも無残、敷きなおすにも一苦労であろう。我には道敷大神(ちしきのおおみかみ)の別名もある、道を敷くに相応しいと思わぬか? なに、そなたの信仰を全て寄越せとは言わぬ、馬背神に配慮して、最初の取り分は5%で良いぞ」

 

あっ、国生みの創造神からのお誘いにしては俗ですね、5%とかいきなり数字出すとは思わないでしょ。

 

「我は分霊の中でも変わりものゆえにな。ところでどうする、今契約するならキャッシュバックもあるぞ」

「……持ち帰って検討させてください。3日以内に結果を回答いたします」

「ガードが堅いな、まあ良い、吉報を期待しておる」

 

*

 

ガイア連合掲示板・地方愚痴スレ partXX

 

884:名無しの転生者

アラハバキの自然に返れビームで長野県の北信・東信は大被害なんですけど?

 

885:名無しの転生者

信濃川の被害は大河津可動堰だけじゃなかったのか

 

886:名無しの転生者

河童やミヅチなどが千曲川沿いにいくつも発見報告上がってる

 

 

 

912:名無しの転生者

>884

ショタオジがしばきあげて契約で縛ったけど、現場の被害の補償が優先で長野県へは最悪保証なしかも

 

913:馬ニキ

>912

長野-小諸に敷設した街道も吹き飛んだのに、保証なし?! マジ?!

お排泄物がよ……

*1
2006年に上田市と合併(平成大合併)

*2
「23話超小ネタ 結局シキガミと本霊の関係って?」

*3
本作「Ex2.1 伝承再現・塩焼王(2)」

*4
【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち「出現!国津神アラハバキ!」

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