○起
山梨県の星霊神社近くにある【ガイア連合】の拠点、第二支部のとある建物の一室。そこで男女2人がビジネスの打合せをしていた。
「打合せの時間となりましたが…… 彼が来ないということは、依頼内容が気にいらなかったということでしょうか」
がっかりした様子で書類を手持無沙汰に意味もなく捲るのは、二十歳過ぎの成年男性。年若いながらも【黒札】であり長野県上田市のガイア連合派出所長を務め、他黒札からはもっぱら馬ニキと呼ばれている。
それに対し、清楚な雰囲気を漂わせた年齢不詳の美人女性はふんわりした微笑みを絶やさずに反論した。
「そんなことありませんよ、彼はちゃんと時間通りに来ています。ほら、そこに」
「ふん、スケベ部の部長には敵わないな」
「えっ、いつの間に……」
ミナミィネキが指さした先、そこには壁に寄りかかり腕組みをした覆面男がいた。会議室の扉が開けられた様子はなく、覆面男はまるでニンジャであるかのように突如としてその場に出現したように見えた。
「…えぇと、レイプマンさん? 本日はお越しいただきありがとうございます」
「こちらから出した条件は聞いているな?」
「はい、私は貴方の正体を詮索しません。こちらの
気を取り直した馬ニキが書類を差し出し、レイプマンニキがそれを丁寧にあらためたのちに小さく頷いた。当事者である馬ニキとレイプマンニキ、そして仲介者兼見届人兼保証人であるミナミィネキの三者がいずれも証文に
「契約は成った。改めて、仕事の詳細を説明してもらおうか」
「まず、前世の預言とも言われる与太話の一部に『長野は天使の支配下におかれ、善光寺平に天使達による新しい都の建設』というフレーズがあり、真偽が定かでないそれを確かめるのが大目標になります。その手段として、長野県各地にある教会を調査し、メシアンどもが阿呆なことを企てているのであれば妨害・仕置きする。それがメシアンスレイヤーたる貴方への依頼です」
「ふぅむ、長野県全域の調査となるといささか広すぎではないか? 手掛かりはあるのか?」
「私は何も”起こり”を検知できていませんが…… 長野県で唯一のガイア連合支部・派出所を運営する立場として、人外ハンターの窓口をやってますからね。ガイアポイントカードを所持しているメシアン系霊能力者のリストアップと、彼らが派出所で請けたオカルト仕事の内容や報酬額など、人と物の流れに関係しそうな情報なら提供できます」
「それは頼もしい」
○承
「『善光寺お上人』という存在を知っているかい? どうやら、近いうちに代替わりという話が出て、何やら揉めているようだね」
馬ニキからの依頼を受けて数日。レイプマンの同志でありメシアンスレイヤーの情報収取担当であるスカリエッティが、さっそく事件の匂いを嗅ぎつけた。
「善光寺は天台宗『大勧進』と浄土宗『大本願』の共同管理だが、尼寺である大本願のトップは『お上人』とも呼ばれ、聖徳太子の時代から公家の血を引く女がその座についていた。124世に代替わりしてまだ数年*1、スキャンダルなり健康問題なりで代替わりが必要という話はまったくなかったのだがね。しかも新しいお上人候補は家柄を養子という形で誤魔化した、新参の若い女だそうで」
「ふぅん? いくら【終末】が近いとはいえ、伝統を破るとなれば反対意見も多かろう」
「そうだね、横紙破りと言っていい。で、その代替わりを強硬に主張する一派にメシアンの影がちらついているのさ」
スカリエッティの説明を聞いて、レイプマンはふっと鼻で笑った。
「洋の東西を問わず、女性の聖職者には純潔が重視される。レイプされたというスキャンダルがあればお上人の代替わりも阻止できよう。メシアンの野望を打ち砕くため、仮面ライダーレイプの出番という訳か」
○転
「お上人候補に『宣教の羽根』が使われているのは想定済みさ。残念だったな」
「ああーっ! いく、いくぅ、いっちゃう~~~(ハート) 許して、死んじゃう~~(ハート)」
18禁シーンはアビャゲイルさんの投下所でお楽しみください。※
「善光寺の本堂内でレイプとは…… ああ、なんということでしょう」
現お上人である尼公が、レイプマンによりどろどろに汚された女性に駆け寄る。
レイプマン(と彼の式神であるうてな)は股間の一物をぶらぶらさせたまま、ニヤリと笑った。
「お上人候補の純潔はいただいた。これにて代替わりの野望は潰えた」
「いいえ、これこそ真の計画通りというものです」
「何っ?!」
お上人の豹変にうてなが驚くが、レイプマンはまったく揺らがない。
「現お上人も『宣教の羽根』か。まったくメシアンは度しがたい」
○結
「戦後の『浄化作戦』により霊的才能限界の低い人をお上人に据えた、当時のメシアンはその戦略で良しとしたのだろう。だが戦後に時間と世代交代が進むにつれ、善光寺という霊地を天使の橋頭保に転換する計画が立案され、お上人の霊的才能の低さが問題視されるようになった」
全てが終わった後、スカリエッティが嬉々として種明かしを始める。
「霊的才能の高い人なんて今時、僕たち【黒札】か、黒札の子に限られる。在野の霊能名家が黒札の子種を欲しがるのは君も知る通り」
「……つまり、お上人候補という畑に、仮面ライダーレイプという黒札が種を蒔く。それがメシアンの真の狙いだったと?」
「Exactly!」
大袈裟な身振り手振りをするスカリエッティに対し、レイプマンは顔をしかめて見せた。
「あっはっは。終わりよければ全て良しというだろう? 我々はメシアンの仕掛けた罠を食い破り、戦後から半世紀以上に渡って進められた『天使の都』計画はご破算さ。キャッスル・オブ・KSJの本丸地下に送り込む素材もたっぷり入手できたし、万々歳という結末じゃないか」
「いや、事件の後始末をすることになる馬ニキの苦労を思うとな……」
レイプマンが視線を向けた先、そこには爆発炎上して焼野原となった善光寺の残骸があった。
「劇場版のオチとして爆発ネタは定番*2だよね! 君が気にすることじゃないさ!」
劇場版『仮面ライダーレイプ』 ~長野県が静止する日~ fin.