【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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余話1 終末、来る

世界は【半終末】状態のまま奇妙な均衡状態にあり、いつか来ると言われながらもそれが具体的にいつ頃なのかは分からないまま時間が過ぎていった。

だがそれはいっときの猶予期間でしかなく、【終末】は容赦なく世界を襲ったのだ。

東京は陥落し、五島部隊はクーデターを起こし、ショタオジが【エンシェントデイ】を【ルシファー】の力でどうにかして、地球は【魔界】に落ちて奇跡的に軟着地し、とにかく世間の常識は一変してしまった*1

 

長野県上田市の【ガイア連合】派出所である『浦野牧』は【シェルター】としての機能を一般に開放し、いわゆる【黒札】が経営するシェルターとして運営を開始した。

しかし当初の見込みとは異なり、現地神と黒札の相性が悪いわけでもないのに、シェルター運営は順調ではなかった。

 

これは『浦野牧』が【異界】を人が生活できるように拡張したからであり、もともと荒野が広がっていた異界を開墾して牧場・田畑・住居などを拵えたため、文明レベルが江戸時代ほどと他シェルターに比べ低いのだ。

これは新潟の田舎ニキが都市を結界で覆って現代のインフラを維持する方向だったのと大きく違い、『浦野牧』シェルターの住人のうち【未覚醒者】は江戸時代レベルまで生活水準を落として牧畜や農作業をやってねと言われているも同然である。

一応『浦野牧』でもDDS-NETに接続可能であり、小規模ではあるがターミナルが設置され、新潟*2や霊山同盟*3など他支部の下請け工場としてデモニカの一部パーツを製造できるだけの発電・金属加工機能を保有するなど、ほんの僅かながら現代文明を維持している。ただしシェルターの全体にその恩恵が行き渡らず、シェルターへの貢献度という意味で【異能者】が有利である。

これは『浦野牧』管理人の黒札である馬ニキからすると、終末後というこのご時世においてシェルターに保護されて当然という態度のお客様はいらない、人外ハンター事務所への新規登録者には手厚く支援するから【覚醒】を目指す態度を見せてくれ、という考えなのだが、彼の想像以上に甘ったれ(あほう)が多かった。

終末直後のまだ物資や気持ちに余裕があったころは、不満を漏らす未覚醒者(こしぬけ)たちに新潟など他シェルターを紹介するなど便宜を図ったりもしたが、すぐに余裕がなくなり『嫌なら出てけ』の殺伐とした方針に転換せざるを得なくなった。

 

止めとなったのは、上田市『浦野牧』シェルターに流れ着いた難民の中に、KSJ研究所が運営する『月架手町シェルター』*4から追い出された人間の屑(マーベルヒトモドキ)が混じっていたことである。

終末後の悪魔がはびこる地において、どうにか生き延びて『浦野牧』シェルターに到着できたことで、お客様根性を変に拗らせてしまった大馬鹿者。彼が自身の待遇改善を訴えると言って取った行動は、馬ニキなどシェルター運営側から見れば、テロ・クーデター・内紛の扇動と言うべきものであった。

まあ、そもそもその大馬鹿者が生きて『浦野牧』シェルターに到着できたのは、『浦野牧』異界を乗っ取らんと企む悪魔の仕業であったので、KSJ研究所が悪いということでもないのだが。

 

結果として、『浦野牧』シェルター収容人数は最大10000人のところ、現在は2000人ほどしか残っていない。終末前であればそこそこの過疎村といったところ。

派出所長でありシェルター運営のトップでもある黒札の馬ニキは異界のボスである祭神の馬背神と強い縁で結ばれているからこのシェルターを見捨てていないが、並の黒札であればとっくに見捨てて身軽になっているだろう。

そんな馬ニキは最近、ガイア連合【三重第二支部】*5の祭神である愛染明王ハナコと仲が良い。仲が良いというよりは、愛染明王がアドバイザーという名目で馬ニキの愚痴を聞き流すだけであるが。

三重第二支部は黒札直轄運営ではないが規模や運営の苦労が上田市『浦野牧』シェルターと釣り合っていたこと、上田市の北向観音に愛染桂という古木があり愛染明王と土地の相性が良かったこと、馬ニキがスケベ部所属でこれまた愛染明王と相性が良かったこと、馬背神は本地垂迹(ほんじすいじゃく)概念により馬頭観音の別側面であり同じ仏教の(よしみ)もあって、馬背神が馬ニキに愛染明王を紹介した。

三重第二支部長の栖夜は黒札のお手付きということもあり、馬ニキではなく彼の愛人金札(宮下知佳)が三重第二支部との窓口としてアイテム融通などを行っているが、ガイア連合の黒札情報が馬ニキ経由で愛染明王に伝わっているとかいないとか。

*1
詳しくは本家を読んでね

*2
故郷防衛を頑張る俺たち 「【さらなる】技術開発班ロボ部【デスマーチだ!】Part.220」

*3
改造人間短編集「オカルト製品紹介チャンネル 1回目」

*4
アビャゲイルの投下所第二支部

*5
小ネタ 黒札無きガイア連合支部の様子




アヴァゲイルさんに触発されて戻ってきました。
だらだら気長にやります。
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