【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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余話5 雑魚と煽られる

せっかく山梨・星霊神社に来たのだから、ショタオジの診察だけで帰るのはもったいない。

ミナミィネキとビジネスの話を詰めた後、馬ニキは魔獣寮*1に向かい、獣型悪魔に変身した状態での戦闘訓練を受けた。

 

Lv30後半になってからデビルシフターの能力に目覚めた馬ニキは、それまで人型として武器防具で身を固めて戦うことに慣れていた。それが装備なしの四つ足で体当たり・蹴り・踏みつぶしが主軸の肉弾戦となると、人型と馬型では体のサイズが違うので戦闘中の間合い・位置取りも変わることも合わせ、まったく良いところなく戦闘訓練を終えた。

 

「でかい図体をまっるきり持て余していたにゃ。こんな雑魚【黒札】は久しぶりにゃ」

 

面白半分ストレス解消半分で戦闘訓練に付き合ってくれたミクにゃんが、馬ニキを煽る。

するとそこに、馬ニキを雑魚と煽る存在がやって来た。

 

「馬ニキ、ちいーっす。終末後にもなってまだシキオウジを倒せない黒札とか、ほーんと雑魚ですよね。派出所長なんだから早く成長してくださいよ」

「あ、アカネちゃん、ちぃーっす」

 

新条アカネ*2、終末後に急成長した黒札であり、彼女は馬ニキとスケベ部繋がりで面識がある。

馬ニキはアカネちゃんとそこまで親しいというほどではないが、彼女がコミュ障で一歩対応を間違えると面倒くさいことになると知っているので、彼女の上から目線(なおアカネちゃんは上から目線だと気づいていない)を苦笑いでスルーする。

 

「なになに? 雑魚黒札がこんなとこにいるって? ざぁこざぁこ♥」

「グリムちゃんも、こんにちは」

 

さらに連鎖して、メスガキことグリム・アロエ*3が現れた!

馬ニキはミク・アカネ・グリムと3連続で煽られたが、怒りをぐっと飲みこんだ!*4

 

「お兄さんが魔獣寮(ここ)にいるなんて珍しいね。新しく魔獣を【仲魔】にしたの?」

「違うにゃ。デビルシフター能力で【スレイプニル】になったけど、今までの人型での戦闘経験が邪魔してまるっきり戦えていないにゃ」

「へぇ、Lv40近くになってからデビルシフター。興味あるわ」

 

新条アカネが野次馬根性丸出しで馬ニキに迫る。馬ニキはLvが倍近い存在であるアカネに抗うこともできず、大人しく白状することしかできなかった。

 

「ほーん、【ロキ】かぁ。北欧神話の繋がりで、私のスカディから強くなるアドバイスとか貰えるかも?」

 

アカネの仲魔である【女神スカディ】は、馬ニキをちらりと一瞥した後、小さく首を左右に振った。

 

「今世の魂である平田維茂が完全に主導権を握っており、デビルシフターという形でロキの力を引き出した以上、彼が他の形でロキの力を引き出すことはないだろう」

「スカディ、いつになく無愛想ね」

「スカディがロキを嫌っているのは神話にも語られているから仕方ない」

 

『古エッダ』の『ロキの口論』によると、ロキは北欧神話の神々を続けざまに罵倒したが、その罵倒された中にスカディが含まれる。そしてロキが縛り付けられたとき、ロキに蛇の毒が滴り落ちるようにしたのがスカディである。

 

「あれ? でも、ロキってスカディを笑わせた逸話があったんじゃ?」

「それはちょっと… 下ネタなので…」

 

『スノッリのエッダ』によると、スカディが意に沿わない結婚をさせられたとき、和解条件として「私を笑わせてみよ」と条件をつけた。そのときロキが自身の股間と山羊の髭を紐でつないで綱引きをするという余興でスカディの怒りを静めたという。

それを聞いたアカネは爆笑し、見たい見たいと馬ニキにナチュラルボーンセクハラをかます。彼女の尻馬に乗ってグリムとミクにゃんが囃したて、馬ニキは内心で泣きながら勘弁してくださいと平謝りするしかなかった。

 

*

 

「ああ、酷い目にあった」

 

アカネ・グリム・ミクにゃんの3人合唱による雑魚連呼をどうにか耐えた馬ニキだが、彼は忍耐の末に実利を勝ち取った。

よわよわ黒札に助力をお願いしますと頼み込み、『浦野牧』シェルター近くにあるミズチの巣を駆除する作戦にアカネとグリムのスポット参戦を約束できたのだ。

アカネは気まぐれなので当日に約束をすっぽかす可能性があるが、グリムは根が真面目なので確実に参加してくれるだろう。それにアカネからはミヅチを捕えたら悪魔合体してあげてもいいと(相変わらずの上から目線だが)言質を取れたので、ミヅチとの戦闘に出てこなくても十分助かる。

 

「後は、そうだ、現地霊能者の底上げ用に人造悪魔を買っておかないと」

 

【ガイア連合】が最近になって売り出し始めた【屍鬼オバタリアン】*5が、維持コストが安い割に打たれ強く、しかもサマナーを裏切らないと評判が良い。馬ニキはオバタリアンを何体か購入して【COMP】に入れ、シェルターに戻ったら現地霊能者に譲るつもりで、山梨支部の黒札用購買に顔を出した。

そして彼は、オバタリアンは購買ではなくスケベ部で取り扱っているのでそっちで買ってくれと言われ、嫌な予感を胸中に抱えながらスケベ部に出向いた。

 

「こんにちは、ミナミィネキ。先ほどぶり。購買で聞いたらオバタリアンはこっちで買えと言われたんですけど」

「はい、私とアカネちゃんの合作なのでこちらで扱っています。デビオクでも売っていますけど、こうして対面で売るなら実際に見てもらって分かりやすいですからね」

 

ミナミィネキは自身のCOMPを取り出して、オバタリアンを顕現させる。

COMPから出た何かが【マグ】を纏い、女性型悪魔として実体化する。それを見ていた馬ニキは、どこか既視感を覚えた。

 

あれ、さっき見たアカネちゃんの仲魔である女神スカディと、面影が似ている?

 

「ああ、旦那様! 哀れな端女に、どうか、どうか子種を恵んでくだされ!」

「えっ、何ですかこの痴女は?!」

 

オバタリアンは実体化した直後こそぼんやりした感じだったが、馬ニキを認識した途端、彼に縋りついて懇願し始め、さらには彼の股間を弄りはじめた。

 

「はい、COMPに戻って」

 

ミナミィネキがCOMPを操作すると、オバタリアンは強制的にリターンして消え去った。

 

「えぇと、私としてもオバタリアンがあそこまでアグレッシブに求めるとは予想外だったのですが」

 

ミナミィネキは小首をかしげながら、自身の推論を口にした。

 

「多分、馬ニキの霊気のロキ成分に反応したんだと思います。あのオバタリアン、実は北欧神話の女神スカディが零落した姿なんですよ」

「女神が零落したって……」

「ガイア連合を舐めくさった女神スカディを、アカネちゃんと私で徹底的に尊厳破壊して、ああなったんです。それで、力ある霊能力者からマグを吸収すれば、多少は力を取り戻せますからね。ロキ由来のマグとなれば、失った神格を多少取り戻せる可能性すらあります」

 

マグを吸収してレベルアップすれば力を取り戻せるという理屈は分かるが、ロキ由来とは?

そう疑問に思ったところで、先ほどアカネ・グリムとじゃれあっていたときに、彼女たちには伝えなかった『古エッダ』の内容を思い出した。

 

「そうか、『ロキの口論』でロキがスカディを侮辱した内容は、ロキとスカディが関係を持っていたという事実の暴露だったな」

「そうです、ロキとスカディはセックスしたという神話的事実があるのです。ならば、ロキのマグを色濃く纏う貴方をロキと見立て、ロキとセックスしたなら逆説的に彼女はスカディとなり、それは失った神格を取り戻す第一歩になるでしょう」

 

これは、買えないな。

現地霊能者に譲るつもりだったが、俺が仮初でも主となったなら、あのオバタリアンは俺から離れようとしないだろう。

 

馬ニキは現地霊能者の戦力アップ案が駄目になったことで、がっくり肩を落とした。

逆にミナミィネキは何か閃いたようだ!

 

「そうだ! 馬ニキさん、あのオバタリアンは無料で譲りますから、彼女とセックスするAVを撮りましょう! ふふふ、単なる色情狂に零落した女神が、無様エッチの結果として中途半端に神格を取り戻し、色欲とプライドの狭間で揺れるんです! これは受けますよ、ニッチすぎるTS牝馬獣姦よりずっと! あ、TS牝馬獣姦との二本撮りの方が良いですか?!」

 

ミナミィネキはブレないね。

*1
「小ネタ 楽しい魔獣寮()」

*2
「小ネタ 終末後、とある辺境にて」

*3
「小ネタ 終末エンジョイ()ライフ」

*4
カオ転世界に転生する前の社畜経験があったから耐えられた。だってアカネちゃんに実力でどうやっても勝てないし……

*5
「小ネタ 終末後、とある辺境にて」

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