牧場に【デミフリルニル】、【デミナンディ】、【デミタング】の3種を試験導入して少し。DDS-netのチャンネルで『新たな家畜を導入しました!』と報告したところ、視聴者から「デミナンディを食うのはヤバい、ヒンズー教徒が牛肉を食わない理由を考えろ」というコメントが来た。しかも複数から。
パピヨンニキが【デモノイド】家畜化した時点で、【シヴァ】神*1の了承があると思っていたが、当てが外れた。リスク管理の面から、当面は畜肉にするのを止めておくことにする。
※ なお、パピヨンニキ謹製のデミナンディは名前だけ借りているだけの、ベース悪魔はナンディとは別物なのだが、馬ニキも視聴者も名前だけで早合点してナンディがベースだと勘違いしている。
肉にするのはともかく、荷車を引くなど労働力として扱うことは許されるのだろうか?
うちではタダ飯喰らいを飼う余裕がないので、それすらも駄目だというなら、シヴァ神に奉納という形で引き取ってもらうしかない。
シヴァと直接の縁はないが、シヴァは仏教では大自在天または大黒天となり、日本では大黒天と大国主が習合されて七福神の大黒様として親しまれている。
「今度ミヅチ討伐で千曲川の向こう*2まで遠征するから、そのとき信濃国分寺*3に寄って摂社の甲子大黒天堂でご本人に確認すればいいか」
馬ニキは割と呑気にそう考えており、『浦野牧』が馬牧場から牛・豚・山羊など畜肉動物を手広く扱う牧場に変化した意味を甘く見積もっていた。
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【ガイア連合】の長野県上田市派出所『浦野牧』は、馬背神を
馬背神の権能から、『浦野牧』は馬牧場としての色合いが強い。そして異界であるがゆえに、『浦野牧』には時折【悪魔】が発生・出現する。
現れる悪魔は大別すると二種類あり、一つは異界を乗っ取らんとする強大な存在。これは三重第二支部を襲った【龍王ノズチ】 *4が例として分かりやすいだろう。
次に、隙あらば人を喰らおうとする悪魔が、異界のルールに則ることで出現コストを低く抑えようとする、一つ目よりは矮小な存在。これは【カマプアア】神の支配する異界で養豚状態の【フード:カタキラウワ】*5が出現する例が、『浦野牧』とよく似ている。
『浦野牧』に出現する野良悪魔は、馬牧場というルールに従って、ユニコーン・バイコーン・ペガサスなどの馬型悪魔がほどんどだ。【種族・フード】として弱体化して出現することが多く、低Lv【覚醒者】にあっさり討ち取られる存在ではあるが、【未覚醒者】相手には脅威である。異界を【シェルター】として一般人にも開放した後は、牧場内の小まめな
「ワンワン、新な侵入者だワン!」
馬背神の配下であり牧羊犬代わりとして牧場の治安維持を手伝ってくれる【イヌガミ】のポチくんが通報するときは、悪魔が【種族・フード】として弱体化しているのではなく、【種族・魔獣】としてそれなりの強さで顕現していることがほとんどだ。
もちろん異界ボスである馬背神の意向に逆らって存在するためそれなりに力を削がれており、Lv20を越えることは基本的にない。それでも【現地霊能者】たちではまともな戦いにもならず蹴散らされるのがオチであり、この派出所兼異界兼シェルターの最大戦力である【黒札】の出番となる。
馬ニキはLv40に到達した戦闘者であるので、通報を受けて【トラポート】でひとっ飛びしてさくっと終わらせるのが常であるが、今回はいつもと違っていた。
「【妖魔ケンタウロス】*6、異界に湧く悪魔としては新種だな」
「馬に縁ある悪魔ではあるが、今まで出現しなかったのだから、何か切っ掛けがあったはず……」
馬ニキが仲魔たちと首をひねっているところ、シキガミの<ヒメ>が心当たりを口にする。
「もしかして、主様が
「うーん、その可能性はあるな」
「それから、新種と言えば金色の毛をした羊が種族・フードとして出現したとポチさんから聞きました。牛や豚など畜肉動物を手広く扱い始めた影響と思われます」
「えっ、なにそれ初耳なんだけど」
「フードなので私たちの手を煩わすことなく、ポチさんが処理した、と」
馬ニキはそれを聞いて顔をしかめた。
「ケンタウロスと金毛羊、どちらもギリシャ神話由来。日本の神の庭であるこの異界に、ギリシャの神格がちょっかい掛けてきたってことか?」
「北欧神話のロキが手出ししたという悪しき前例がありますので、否定できませんね」
女神転生の世界で、畜肉の飼育なんて