【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話   作:れべっか

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第6話 レベルアップ修行(2)

【ディア】を覚えたことにより、俺は星霊神社の修行用異界低層攻略(ダンジョンアタック)を再開することにした。なお、ミナミィネキとの個別指導は頻度こそ下げるが引き続き継続する。

ディアを覚えたことで戦術面に変化はないのだが、HP回復アイテムを購入しなくても良くなったのでマグ・マッカ稼ぎ効率は大きく改善されると見て良いだろう。それによりアガシオンが購入しやすくなり、手数が増えれば更に稼げる。

固定のパーティメンバーを増やすという案は、正直難航している。自分と同程度の修行用異界低層を攻略している【俺たち】がいないのだ。現在、生身で異界に潜っているのは、中層探索をメインとするバトルジャンキー組しかいない。安全にレベル上げするためだけの養殖場こと【金札修業異界】に通っている人はいるけど、俺はあっちに通うつもりはない。

人じゃない存在なら多数が異界低層を攻略しているけど、他の黒札連中の専用式神だから、固定パーティは組めない。ダンジョンの入口で偶然出会って野良パーティ結成のお誘いはしたりされたりするときもあるが、確実ではない。

それに、式神たちの『専用式神も持てない可哀そうなヨワヨワ黒札さん』という無言の視線が痛いのだ。

後は、俺が【ソニックナイフ】や【退魔銃】、あるいはアイテムを使うという立ち回りをもっと上手くやるしかないのだろう。これについては掲示板で情報を集めても、とっさの判断という部分だとあまり役に立たない。戦闘巧者である源氏ニキとかの後ろに付いて行ってそこら辺を勉強したいところではあるが、あちらの都合もあるのでマッチングが成立せず、独学で試行錯誤している状態だ。

なお、スタンクニキやドクオニキは『若いうちの苦労は買ってでもしろってな?』と言って引率を拒否してきた。

 

そんな感じでレンタル式神と二人(?)で修行場低層に潜って【地霊ノッカー】と地味な殴り合いを繰り返している。

 

*

 

毎日が戦闘ばかりではモチベーションが続かない。そんな時は気分転換として製造班に行くことが多い。

一時は金策として【イワクラの水】制作のため頻繁に通ったが、今はどちらかというと装備・アイテムの新作情報を集める目的で、黒札用ショップ廻りとセットにすることが多い。

 

今度の新作は、八尺瓊勾玉(レプリカ)*1というネックレスタイプの装飾品。破魔耐性を下げる代わりに呪殺耐性を上げる効果がある。人は元から破魔無効なので呪殺耐性上げ得だが、人型式神に装備させるときは注意が必要。

レベル一桁前半の俺には直近だと無用だが、いずれ【悪霊】を相手にすることを考えて予約した。

 

「手ごろなスキルカードは入荷なし、と……」

 

【黒札専用高級式神】も【アガシオン】も発注済みで、アガシオンはもうすぐ手に入る。戦力アップの手段としてスキルカードはメジャーな手段であり、有用なカードは競争率も高い。

ショップでの品定めを一通り終えた後、雑談しつつイワクラの水の在庫でも作っておこうかと、製造班に寄る。

製造班のいつものゲスト用作業室に行くと、ちょっと珍しいものがあった。

 

「地霊の鉱石、【地霊コボルト】のフォルマねぇ。同じ地霊でも【スダマ】【ノッカー】【ドワーフ】などと比べて出にくい*2とは聞いているけど」

「出にくいとはいえ、しょせんコボルトだから入手難度はそこまで高くないけどね。いつもの【天使の羽】だけじゃ飽きると思って」

「確かにコボルトも天使もパトラを使うから、パトラのアイテムを製造する触媒になると思うけど」

 

班長さん*3の説明を受けながら、手のひらの上でフォルマを転がす。ついでにいつも扱っている天使の羽も手に取って、見比べる。

 

「んんー? 何か新しいことできそうな気がするな?」

 

ここのところノッカーとの戦闘でも金策のアイテム作成でも、どちらもパトラを使いまくったせいで、パトラに対する理解度が一段階深まったような気がする。

今まではパトラの効果をアイテムとして封じていたが、自身の中に根付くパトラという存在を、こう設計図の上にトレース台を置いて複写する感じで……

 

「ぉぉぉ…… 急速に体内マグ消費すると頭痛がぁ……」

「おい、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないっす、まるでインフルエンザ貰ったかのような感じ、これ2日くらい寝込むかも…… でも、その甲斐あったかな?」

「いったい何を作ったんだ? って、これ! スキルカード?!」

「【パトラ】の【スキルカード】です。こんだけ苦労したんだから高く売れろ……」

「急病人が変なこと考えるな、私の式神に命じて部屋まで送るから、自室でゆっくり療養しとけ」

「ありがとうございます、お手数をおかけします……」

 

*

 

その後、体調が戻るまで3日ほどかかった。

しかも、コピーを取る技術が下手くそだったせいか、体内のパトラの設計図にゴミが付着したような感覚があり、どうにもパトラが使えない。その違和感が取れて元のようにパトラを使えるようになるまで7日ほどかかり、トータルで10日ほどダンジョン探索できなかった。

 

「パトラが使えない期間は不安でメンタルぼろぼろだったし、ダンジョン探索の実入りと比較すると、スキルカード作るメリットは薄いかもな」

 

世の中、楽してぼろ儲けとはいかないものだ。

 

*1
元ネタは真・女神転生IMAGINE

*2
ストレンジジャーニーではコボルトは登場しないのでフォルマが出にくいという独自設定にした

*3
「コミュ障ぼっち、ガイアを行く」からキャラをお借りしました




平田維茂(ひらた・これしげ) 男・19歳 転生者・覚醒済 Lv3
ステータスタイプ:【体】寄りのバランス型
耐性:破魔無効、呪殺耐性
スキル:パトラ、ディア
装備:ソニックナイフ、退魔銃、足軽具足一式、八尺瓊勾玉レプリカ、(デモニカ)
仲魔1:妖鬼オニ(レンタル式神) 物理耐性、かばう、挑発
仲魔2:妖魔アガシオン(発注中、Lv4になったら入手予定)
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