IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部はクールに去るぜ

 更識先輩や風間さんと一緒に更衣室から出てきたクロエ先輩は、先程とは完全に姿が変わっていた。

 金髪ツインテールだった髪は短くなっていて、中々の大きさを誇っていた胸は完全に姿を隠してしまい、腰の括れや肩幅なども男のようになっていて、体型すらも見事に男となっていた。

 

「どうですか、どうですか? チエルと楯無先輩の渾身の合作ですよ!」

「いや~…前々から素質はあるとは思ってたけど、まさかここまでとは思ってなかったわ…。うん。もし、こんな男の子がクラスにいたら一発で惚れてるわね」

「あのな…」

 

 目をキラキラさせながら自慢してくる二人に対し、呆れたように溜息を吐きながら腰に手を当てるクロエ先輩(男装)。

 今、判明した事だが、声すらも完全に男のように低くなっている。

 よく見たら、首元にチョーカーみたいのが付いている。

 もしかして、あれって変声機だったりするのか?

 

「おぉ~…流石は二人だ。実に見事。どうだねシャルル君。これこそが真の男装というものだ。これを比べて、君がやった男装はどうだね?」

「はい…完全にお遊戯レベルです…」

「よろしい」

 

 シャルルが意気消沈してしまった。

 申し訳ないが、確かにこれは凄すぎる。

 少しだけ自分の脳内でシャルルとクロエ先輩の男装時の姿を比べてみたけど、並べるとシャルルの方が女に見えてしまう。

 なんか、さっきから更識先輩の目がハートマークになって、ずっとクロエ先輩の事を熱い視線で見つめてるんだけど…あれは放置していていいのか?

 

「ね…ねぇ…クロエちゃん? これからも男装をして過ごすってのは…」

「絶対に有り得ないから」

「デスヨネ…くすん…」

 

 そりゃそうだ。

 流石にそれは無理な相談ってもんだよ先輩。

 

「そう言えば、チエル達がクロエ先輩をドレスアップさせてる間に話はしたんですか?」

「一応はな」

「どうだったの?」

「大凡、我々が予想した通りだったよ」

「やっぱりね」

 

 何もかもが最初から見透かされていたかのような言葉。

 やっぱ…この人達はすげぇなぁ…。

 

「これで分かって貰えたかと思うが、その気になれば君も今のクロエ君と同等レベルの男装が出来た筈なのだよ。なのに、実際にはその姿だ。そこから考えられる答えは只一つ」

「シャルル君…いえ、シャルロットちゃんの変装は最初からバレることを前提としていた」

「「えぇっ!?」」

 

 シャルルの男装が…最初からバレることを想定していたって…。

 

「それって一体どういうことなんスか…?」

「可能性は幾つか考えられますけどぉ~…」

「やっぱ、こーゆーのは本人から直に聞いた方がよくね?」

「直にって…まさかっ!?」

「その『まさか』さ」

 

 ん? まさかってなんだ?

 俺が心の中で首を傾げていると、徐に更識先輩がどこからかタブレットを取り出してテーブルの上に置いた。

 

「実は、シャルルくんが転入をしてきた日から既に我々は信頼できる知人にフランスに行って貰い、デュノア社とその周辺について調査をして貰っていたのさ」

「「ウソォっ!?」」

 

 シャルルが来た日からって…用意周到すぎやしないかッ!?

 本当に、この人達は一体どこまで先を読んで行動してるんだよッ!?

 2手、3手先を読んで行動するとか、そんなレベルじゃ済まされないんだけどッ!?

 

「ところでさ…もうこの男装やめていい? 割とマジで窮屈なんだけど」

「「「えぇ~…」」」

 

 風間さんと更識先輩が露骨に残念そうな顔をした。

 つーか、何気にシャルルも残念がってないか?

 

「ふむ…仕方あるまい。本人が嫌がっているのであれば無理強いは出来ない」

「んじゃ、とっとと元に戻ってきますか」

 

 そう言って、クロエ先輩は再び更衣室へと戻って行った。

 

 つーかさ…よくよく考えたら、クロエ先輩ってこの部屋の更衣室で着替えてるんだよな…。

 そこ、今後も俺が普通に使うんですけど…。

 

 ヤベ…なんか、これから先…あそこで着替える度に変な事を考えそうだ…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 元の格好に戻ったクロエ先輩を待ってから、ユニちゃん先輩がタブレットのスイッチをONにした。

 すると、少しの砂嵐の後に画面が鮮明になってきた。

 映し出されたのは、どこかのビルの社長室みたいな場所。

 もしかして、ここがデュノア社…なのか?

 

「もしもーし。事前に連絡はしておいたと思うが…聞こえているかね~?」

『はいはーい! ちゃーんと聞こえておりますわー!』

 

 ん? この明らかに『お嬢様』って感じの声と口調は…誰だ?

 この声の主がユニちゃん先輩の言っていた『信頼できる知人』とやらなのか?

 

『見えてますかしら? こちら、フランスにあるデュノア社からお送りしておりますわ~!』

 

 画面に出てきたのは、赤みがかった茶髪のポニーテールな髪形の少女。

 見た感じ、俺達と同年代か、少し上ぐらいに見えるけど…。

 

『お久し振りですわね。なかよし部の皆さん』

「うむ。久し振りだな」

「ちーっす」

「そちらも、相変わらず元気そうですね~」

 

 普通に親しげに会話してる…。

 って事は、やっぱりこの人が協力者なのか。

 

『あら? 何やら初めて見る人がちらほら…。そこの男の子はもしや、例の男性IS操縦者さんかしら?』

「あ…はい。織斑一夏…です」

『これはまたご丁寧に。私は『藤堂秋乃』と申します。藤堂グループの総帥の娘ですわ』

「と…藤堂グループッ!?」

 

 シャルルがいきなり凄い反応をした。

 確かに凄そうな名前だけど…知ってるのか?

 

「藤堂グループって言えば…世界中で様々な事業を展開しているって言う大財閥じゃないかッ! ど…どうして、そこの人が…」

「それは~…チエル達が所属している『風間コーポレーション』と『藤堂グループ』が互いに仲が良いからでーす!」

「そ…そうだったのっ!?」

 

 まさか、そんな繋がりがあったとは…。

 風間さんも生粋のお嬢様ってのは知ってたけど…どこで、どんな風な繋がりがあるのか分からないもんだなぁ…。

 

「なんでも、ウチのパパとアキノさんのパパは昔からの付き合いで、小学生から大学までずっと一緒だったらしいですよ?」

「なんつー繋がり…」

 

 腐れ縁とか、もうそんな次元を超えてね?

 そんだけ親同士で仲が良ければ、子供同士も仲良くなるわ。

 

『そして、クロエさんの隣にいるのが例の『更識』の方ですわね?』

「えぇ…初めまして。更識楯無よ」

『こちらこそ初めまして』

 

 なんだろう…画面越しなのに、二人の間に火花が見たような気がしたんだけど…。

 

「楯無くん。一応言っておくと、アキノさんは君よりも年上だぞ?」

「え? そうなの?」

「うん。この人、桜庭学院高校の三年生だし」

「そ…そうだったのね…」

 

 え? ってことは…この人ってユニちゃん先輩と同い年って事か?

 

「…一夏くん。どうしてボクのことを凝視する?」

「いや…なんでもないッス」

 

 最近になって慣れ始めてたけど…このアキノさんって人の方が普通なんだよな…。

 寧ろ、ユニちゃん先輩みたいな子の方が珍しいんだよ。

 本人は頑張って背伸びしてるけど。

 

『それで、そこにいる方が…シャルル・デュノアさん…いえ、シャルロット・デュノアさん…ですわね』

「……はい」

 

 やっぱり、シャルルの正体については知っているのか…。

 そうだよな…それぐらいじゃないと、なかよし部とは付き合えないよな…。

 

「あの…ちょっといいッスか?」

『どうしましたの?』

「藤堂さんとなかよし部って、どんな関係なんですか?」

『簡単に言えば、私はIS学園なかよし部の個人スポンサーですわ』

「「こ…個人スポンサー!?」」

 

 またシャルルと一緒に驚いちまったけど…個人のスポンサー?

 学園内のいち部活動に? 大財閥のお嬢様が?

 

「確かにアキノさんは大財閥のお嬢様ですけど、それとは別に『メリクリウス財団』って組織を仲のいい人達と立ち上げて、立派に利益を上げてるんですよ?」

「その名前…聞いたことがあるわ…。最近になって目立つようになってきた謎の企業…まさか、現役の高校生が経営している財団だったなんて…」

「僕も聞いたことがあるかも…」

 

 フランスにまで名前が知られてるって…どんだけだよ…。

 もう驚きの連続で『!』マークすら出なくなっちまった。

 

「ん? ちょっと待ってくれ」

「どした?」

「前…千冬姉が『なかよし部に口座を知られて、そこから勝手に金が支払われてた』って言ってたんだけど…あれは…」

「…確かにスポンサーはいるが、それだけではどうにもならない事も多々ある。そういう時は織斑顧問に助力をして貰っているのだよ」

「本人の許可は?」

「「「………」」」

「三人揃って目を逸らすのは止めてくれませんかねぇっ!?」

 

 完全に『黒』じゃあねーかよ!!

 

「この間、千冬姉が『今年に入ってもう既に三回も口座を替えた』って言ってたけど…あれも…」

「もう既に調査済みだ」

「千冬ねぇ――――――――!?」

 

 急いでまた口座を替えてくれ――――!!

 じゃないと我が家の家計が大ピンチだ――――――!!

 

『まぁまぁ。今は、そんな事は良いじゃありませんの』

「全然良くは無いんですけどッ!?」

 

 少なくとも、織斑家の大ピンチではあるんだよ!!

 チクショウ…思わぬ所に最大の敵が潜んでいやがった…。

 

『お話はここまでにして、ちゃっちゃと本題に入りましょう。こうして連絡をしてきたってことは、そちらでも進展があったと判断をしてもよろしいんですのよね?』

「そうだ。話が長くなるので今は割愛するが、ここにいるシャルル・デュノア君ことシャルロット・デュノア君の正体が第三者…要は一夏くんにバレた」

『成る程…それで…了解しましたわ。こちらも大方の調査は終わった所ですし。丁度良かったですわ』

 

 丁度良かった…?

 ってことは、そこにいるのか…?

 

『シャルロットさん』

「は…はい…」

『私となかよし部の皆さんで機会を作って差し上げましたわ。だから一度…』

 

 画面が切り替わり、アキノさんの代わりに白人の中年男性が現れた。

 この人がシャルルの…。

 

『お父様と腹を割って、思い切り話してみる事をお勧めしますわ』

「お…父さん…」

『シャルロット…』

 

 親父さん…か…。

 

「さて…と」

 

 ん? 急にユニちゃん先輩が立ち上がった…?

 いや、先輩だけじゃない。

 なかよし部全員が部屋から出て行こうとしている?

 

「ほーれ。一夏もとっとと立つし」

「ちょ…クロエ先輩!?」

「親子水入らずの場面を邪魔しちゃダメですよー」

「で…でも…!」

 

 クロエ先輩と風間さんに両腕を掴まれて無理矢理立ち上がらせられる。

 もしシャルルに何かあったら俺は…!

 

「心配しなくても大丈夫みたいよ?」

「え?」

 

 更識先輩が視線を向けた先を追うと、そこには強い目をしたシャルルがいた。

 

「あの子も…覚悟を決めたみたいね。お父さんと向き合う覚悟を」

「覚悟…」

 

 あんな目をしたシャルル…初めて見た。

 ここまでは、なかよし部の皆がお膳立てをしてくれた。

 こっからは自分の番だって自覚してるってことか…。

 

(そう…だよな。シャルルが勇気を出してるのに、それを邪魔するような真似をしちゃダメだよな…)

 

 どこまで行っても、今の俺は単なる部外者。

 この親子の間に割って入る資格は無い。

 皆もそれを分かっているから、ここから去ろうとしているのか…。

 

『それでは、私も少しの間だけお暇しますわ。お話が済んだら、また呼んでくださいまし』

『あぁ…感謝する。ミス・アキノ…』

 

 今の俺には何も出来ないけど…これだけは言わせてくれ。

 頑張れよ…シャルル…!

 

 

 

 

 

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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