IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

15 / 40
なかよし部は信じて待つ

 部屋にシャルルだけを残し、俺はなかよし部の皆や更識先輩と一緒に食堂に向かって歩いていた。

 何故か、風間さんに腕を掴まれた状態で。

 

「あの~…風間さん?」

「なんです?」

「…どーして、さっきからずっと俺の腕に抱き着いてるんですかね?」

「こうしないと一夏君、シャルル君が心配になって部屋に戻りそうじゃないですか~」

「うっ…それは…」

 

 確かに心配ではある…あるけど…。

 

「だ…大丈夫だって。俺だってシャルルの事は信じてるしな」

「ほんとーですかぁ~?」

「あ…あぁ…」

 

 ぶっちゃけて言うと、今すぐにでも部屋に戻りたいって気持ちもある。

 けど、それ以上にシャルルの勇気に泥を塗りたくないって気持ちも大きい。

 だから必死に我慢してる状態だ。

 

「まぁまぁ、チエル君。その辺にしておきたまえ。いざとなれば、このボクが開発した特製ロープ『オー! ロンサム・ミー!』を使って拘束すればいい」

「それマウンテン・ティムのスタンド! まさか能力も再現して…」

「まさか。ものすご~く丈夫なロープなだけさ」

「そ…そうッスか…」

 

 ユニちゃん先輩の場合、本気でスタンド能力を忠実に再現した代物を作りそうで怖いんだよなぁ~…。

 

「しっかし、他校にも知り合いがいるとか、なかよし部ってもしかして、俺が想像している以上に顔が広い?」

「そう…かもしんないね。割とマジで校外に知り合いは多いかもしれない」

「最初はバラバラに知り合うのだが、その後に紹介されて共通の友人になっていく感じだな」

「そうですね~。実際、アキノさんもチエル経由で知り合ってますしね」

 

 金持ちは金持ちを引き寄せるって事なのか…?

 マジでスタンド使いみたいだな。

 

「シャルル君に関しては、今は考えても仕方あるまい。全てを決めるのは本人だ。我々が出来る事は全てやり尽くした」

「ユニちゃん先輩の言う通りね。私達はあの子を信じて、大人しく待ちましょ?」

 

 更識先輩の言う通りだな。

 ここからはもうデュノア家の問題だ。

 どれだけ友人だと言っても、介入していい領域ってのもんがある。

 これ以上は踏み込めないし、踏み込んじゃいけない。

 

「それじゃ、ウチらは今日の夕飯の事でも考えマスか。何にすっかなー…」

 

 クロエ先輩に言われ、急にお腹が空いてきた。

 後でシャルルに持って行ってやったほうがいいかな…?

 

「まだまだ夜は少し冷えるからな。ボクは温かいものでも食べるか」

「例えば?」

「ピリ辛チゲうどん…とか?」

 

 チゲうどんかー…麺類も偶にはいいかもなー。

 あんまし夜に食べるイメージってないけど、だからこそ良いかもしれない。

 

「ウチは丼ものにでもすっかな。牛丼に天丼に親子丼…カツ丼もありか?」

 

 うぉい…丼物は最強だろ…。

 何を食べても絶対にハズレが無いしな…。

 

「私も、クロエちゃんと同じ丼物にしようかしら?」

「ふーん…別にいいんじゃネ? 知らんけど」

 

 やーっぱ、この二人…仲良いよな?

 普通の友人以上に仲が良い様に見えるのは、俺の気のせいか?

 

「だったらチエルはぁ~…迷った時の定食系ですね! 唐揚げ定食にチキン南蛮定食。トンカツ定食とかもいいですね~」

 

 意外。風間さんはまさかの定食系。

 お嬢様だから、もっと豪華な奴を食べるのかと思ってた。

 意外と舌は庶民なのか?

 

「一夏くん。今、変な事を考えませんでした?」

「いや別に?」

 

 え? もしかして風間さん…千冬姉みたいに読唇術が使える?

 若しくは、部活の合間に千冬姉から習った?

 そっちの方があり得そうだな…。

 千冬姉、見込みがある奴には嬉々として技術を教えたがるし…。

 

「飯の事を考えてたら本格的に腹が減ってきたな。食堂に急ごうぜ」

 

 気を抜くと腹の音が鳴りそうだ。

 流石に、なかよし部の前でそんな真似はしたくない。

 なんて弄られるか分かったもんじゃないし。

 

「い…いいいい一夏!? どうして風間と一緒にっ!?」

「げ…箒」

「あー…篠ノ之さんだー。ちぇる~ん!」

 

 食堂に向けてペースアップした瞬間、前方から箒がやって来た。

 風間さんの顔を見た途端、凄い形相になったけど。

 

「えっと…風間さんって箒と仲良いのか?」

「仲が良いって言うか、ルームメイトなんですよね~」

「そうだったのか?」

 

 全然知らなかった…。

 そっか…俺の部屋から風間さんの部屋に移動してたのか…。

 

「ど…どうして風間と腕を組んで歩いているんだっ!? しかも、他にも女子を侍らせ追って!」

「「「侍らせるって…」」」

 

 辞書とかにしかなさそうな単語を使いやがって。

 ほら。ユニちゃん先輩やクロエ先輩、楯無先輩がマジで呆れてるじゃねぇか。

 

「あー…チエル。こいつ、誰?」

「チエルや一夏君と同じ一年一組の『篠ノ之箒』ちゃんです。さっきも言った通り、チエルのルームメイトでもあるんですよ」

「篠ノ之って…あぁ~…そゆこと」

 

 流石はクロエ先輩。

 箒の名字を聞いただけで事情を察して、敢えて聞こうとしなかった。

 

「む? よく見たら…風間以外は全員が上級生…なのか?」

「そうだぞ。二年生と三年生。ったく…挨拶ぐらいしろよな」

「う…うるさい! 元はと言えばお前が…!」

「はーいはい。篠ノ之さん。飴ちゃんでも舐めて落ち着いてくださいね~」

「何を言って…むぐっ!?」

 

 箒が大きく口を開いた隙に、風間さんが棒付きの飴を放り込んだ。

 うーん…やるなぁ…。

 

「落ち着きましたか?」

「あ…あぁ…」

 

 落ち着いたってよりは、強制的に落ち着かされたって感じか。

 流石の箒も、なかよし部の前じゃこんなもんか。

 

「折角だし、篠ノ之さんも一緒に食堂に行きます~?」

「い…良いのか?」

「勿論ですよ~。ね?」

 

 俺は当然だが、他の皆も同じように頷く。

 そもそも、断る理由が無いしな。

 

「そ…そうか。なら…同行させて貰おうか」

「はい決定ー! んじゃ、皆で仲良くいきましょーか!」

 

 す…すげー…お手本のような陽キャだ…。

 ギャルでお嬢様で陽キャって…ある意味で最強の生物なのでは?

 

「い…いいいいいい一夏さんっ!? 何をしていますのッ!?」

「今度はセシリアか…」

 

 同じ寮に住んでるからって、二連続で来るか普通…?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 食堂に向かいながら、自己紹介をしつつ箒とセシリアに事情を説明した。

 と言っても、流石にシャルルの正体については話せないので、適当に『シャルルの具合が悪くなったので、ゆっくりと休ませる為に一人で食事に行こうとしていた所に皆と会った』って事にした。

 俺の頭じゃ、これ以上の言い訳が思いつかなかった。

 

「そうだったのか…それならそうと早く言えばいいものを」

「全くですわ。人騒がせな…」

「その台詞、そっくりそのまま二人に返すからな」

 

 一番人騒がせなのはお前等だろーが。

 なんだろう…不思議と、なかよし部の皆が真面に見えてきた…。

 どれだけ思考や言動がぶっ飛んでても、暴力を振るわないだけ遥かにマシなんだなぁ…。

 

「それにしても…」

「な…なんだよ?」

「どうかしたのかね?」

「んー?」

「何かしら?」

 

 箒たちが急に先輩達の事をジロジロと見だした。

 あんまし凝視すんなよ。普通に失礼だぞ?

 

「一体いつの間に、こんなにも大勢の上級生と知り合っていたんだ…?」

「全く存じませんでしたわ…」

 

 別に報告する義務もねぇしな。

 

「うーん…強いて言えば…部活?」

「「部活?」」

「そ。なかよし部」

 

 俺は入部してないけど、それでも何故か巻き込まれるのが謎。

 割とマジでどうしてなんだろうか?

 千冬姉が顧問をしてるから?

 

「一夏は部員じゃないけどね」

「時折、自主的に我等の活動に参加してくれているのだよ」

「いや~…一夏くんがいるだけで盛り上がりますよね~。織斑先生には出来ないツッコミをしてくれるって言うか」

「ツッコまれるような事をしてるって自覚はあるのか…」

 

 自覚があってしてるって、なかよし部の胆力は半端じゃねぇな…。

 いずれ、シャルルもこの三人みたいになるんだろうか…。

 

「織斑先生? どうして先生の名前が出てくるんだ?」

「どうしてって…」

「センセーはウチらの顧問だし」

「「えぇっ!?」」

 

 やっぱ驚くよなぁ…俺も最初は驚いた。

 てっきり運動部系、しかも武道系の部活の顧問をしてるかと思ったら、まさかの文化部系(?)だったもんな。

 余りにも意外過ぎて、逆に顔に出なかったわ。

 

「つーか、俺としては箒が風間さんと一緒の部屋だったのが驚きなんだが?」

「う…うむ…」

 

 この感じ、完全に風間さんに振り回されていると見た。

 まだ日が浅いってのもあるんだろうけど、それ以上に性格が合わないだろうしなぁ…。

 だって、モロに真逆だし。

 人付き合いが苦手な箒と、典型的な陽キャの風間さん。

 先生達も、どうしてこの二人を同じにしようと思ったのやら…。

 

「それよりも気になることがあるのだが…」

「私もですわ…」

「ん?」

 

 どうして二人してユニちゃん先輩を見る?

 あ…そっか。

 俺達はもう完全に見慣れてるけど、ユニちゃん先輩の見た目は、初見の人には小学生とかにしか見えないよな。

 

「一応言っておくが、ボクは立派な18歳の三年生だぞ」

「「18歳!? 飛び級じゃなくてッ!?」」

「まぁ…そんなリアクションには…なるわよねェ…」

 

 更識先輩も初めて会った時は同じ反応をしたのか…。

 気持ちは分かる。誰だって分かる。

 

「でもパイセン。前に小学生の女の子(一年生)に混じって一緒に遊んでなかったっけ?」

「あれは単に、彼女達に便乗しておやつを貰いに行こうとしただけだ」

「それはそれで色々と問題がある気が…」

 

 小学生低学年女子と一緒に遊ぶユニちゃん先輩…。

 うん。違和感仕事しろ。

 普通にバレねぇわ。

 

「なんて話をしている間に食堂に到着か。結局、皆は何にするんだ?」

「ピリ辛チゲうどん」

「「カツ丼」」

「チキン南蛮定食」

 

 うーん。見事な初志貫徹。

 それなら俺は…。

 

「じゃあ、俺も風間さんと同じチキン南蛮定食にするかな」

「お揃いですね~」

「「!!??」」

 

 ん? どうして箒とセシリアは鳩が豆鉄砲を喰らったような目でこっちを見る?

 別に俺が何を食べようと、俺の勝手だろ?

 

「や…矢張り…一夏の奴…風間の事を…!?」

「うぅ…私達とは全く違うタイプですものね…由々しき事態ですわ…」

 

 一体何が『由々しき事態』なんだ?

 ちゃんと説明してくれ。

 

「へぇ~…なんか面白いことになりましたねぇ~」

「ほぅほぅ…これはまた…」

「ふーん…一夏も大変だねぇ~…」

「青春ねぇ~。ね、クロエちゃん?」

 

 完全に傍観者気分になってるし。

 巻き込まれる方の身にもなってくれよな…。

 はぁ…箒たちとなかよし部…それぞれ別の意味で疲れる…。

 けど、どっちが良いかと言われたら、多分迷わずに『なかよし部』を選ぶと思う。

 だって、なかよし部は俺に暴力振るわないし。

 変な事で怒ったりもしないし。

 ツッコミは疲れるけど、それだけだしな。

 

 …なんだろう。俺もなかよし部に入れば、少しはマシな青春が送れそうな気がしてきたんだが…。

 少なくとも、優秀な先輩達がいるのは事実だしな…。

 

 …俺…マジで入部を考えるかもしれない…。

 

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。