IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部はすぐに駆けつける

 シャルルの問題はひと段落し、再び平穏な日常が戻ってきた…筈だった。

 

「では、これより会議を始める」

 

 …なのに、どうして俺はまた『なかよし部』の活動に参加しているのだろうか…。

 

「あはは…なんかゴメンね…一夏」

「いや…気にすんな」

 

 因みに、俺の隣には同じように困惑しまくっているシャルルもいる。

 いや…シャルルはもう、なかよし部の一員だから良いのか?

 

「あのー…ちょっちイイッスか?」

「何かね一夏くん」

 

 この会議、勝手な発言をするとめっちゃ怒られるんだけど、ちゃんと挙手さえすれば何故か許されるという謎ルールが存在している。

 これさえ覚えていれば、まぁなんとかなる。

 

「どーして俺まで連行されてるんすかね…? 一応、放課後は俺とシャルルでISの訓練を一緒にする予定だったんスけど…」

「大丈夫だ。ちゃんと参加さえしてくれれば、その穴は我々が埋めてあげよう」

「えっと…埋めるってのは…?」

「ボク達が、君達の訓練を手伝ってあげると言っているのだよ。勿論、部活動の一環としてな」

「えっ!? い…いいんですか?」

「当然だ。なかよし部は、受けた恩は絶対に忘れない。だろう?」

「「うんうん」」

 

 ユニちゃん先輩に合わせて、クロエ先輩と風間さんが大きく頷く。

 そういや…この人達って企業所属で、専用機を持ってるぐらいの実力者なんだよな…。

 そんな人達に鍛えて貰うってのは、何気に貴重な機会なのでは?

 

「ま、ボク達はそれぞれに得意分野が違うけどな」

「そうなんスか?」

「うむ。まず、このボクことユニちゃんは『電子戦』が得意なのだよ」

「電子戦…」

 

 漫画とかで見た事はあるけど…それって、ハッキング的なのが出来るって事で良いんだよな?

 

「んで、ウチは高機動戦闘が得意なワケ。相手の攻撃を受けるってのは性に合わないんだよね。ぶっちゃけ、当たらないのが一番だし」

 

 確かに…クロエ先輩って運動神経が良いらしいから、それっぽいのが似合うな。

 

「そして、チエルは近接戦闘…特に徒手格闘系が得意なんですよ~!」

「マジかよ…」

 

 そういや、前に箒が言ってたっけ。

 風間さんって、実は色んな格闘技を通信教育で全てマスターしてるって。

 ギャルで社長令嬢で格闘技が得意って…属性のデパートだな。

 

「おっと。ついつい話が逸れてしまったね。では、改めて部活を始めるとしよう」

「あれ? そういや、今日は千冬姉はいないんですか? 顧問ですよね?」

「織斑教諭ならば、今日も学年別トーナメントの準備に追われているよ」

「朝は平気そうな顔をしてましたけど、あれは明らかに化粧で誤魔化してますねー」

「今度、なかよし部で労ってやろうって話をしてたっけ」

 

 ち…千冬姉…。

 よし…俺も今度、俺なりのやり方で労ってやろう。

 …偶には好きなだけ酒を飲ませてやろうかな。

 

「またもや話が逸れてしまった。うむ…一夏君がいると賑やかになるのは良いが、どうも話が逸れやるくなるのが難点だな」

「す…すんません」

 

 え? 俺が悪いのか?

 いや…俺から話題を振ってるな。

 

「それでは、今度こそ会議を始めよう。今回の議題は『メソ…』…ん?」

「なんか廊下が騒がしいですねー」

「どうかしたんかな?」

 

 確かに、廊下から大勢の話し声が聞こえてくる。

 賑やかなのはいつもの事だけど、それとはまた毛色が違うような気がする。

 

 まぁ…それはそれとして……メソって何ッ!?

 メソってマジで何――――――っ!?

 

「ちょっと様子を見てみるか。よいしょっと」

 

 教壇から降りたユニちゃん先輩が、教室の扉を開けて、そこにいた生徒に話しかけた。

 リボンの色からして三年生か?

 

「これこれ。なにやら騒がしいが、一体何があったのかね?」

「あっ! ユニちゃん! 今日も可愛いわね~!」

「うあ~…や~め~れ~」

 

 頭を撫でられてる…。

 先輩って、同じ三年生にもマスコット扱いされてるのか…。

 

「あ~…ごめんごめん。つい、いつもの癖でやっちゃった」

 

 いつものことなのかよ。

 あの人もあの人なりに苦労してるんだな。

 

「で、何があったのかね?」

「実は、第三アリーナでドイツの候補生の子が暴れているらしいの」

「ほほぅ?」

 

 ドイツの候補生って…アイツの事だよな?

 暴れてるってのは、どういうことだ?

 

「詳しいことは分からないけど、なんでも一年のイギリスの子と中国の子に喧嘩を吹っ掛けたんですって」

「なんだってっ!?」

「えっ!?」

 

 イギリスと中国って…まさかセシリアと鈴の事かッ!?

 どうしてまた、アイツ等がっ!?

 

「成る程…事情はよく分かった。感謝する」

「それなら、今度またユニちゃん用に新しい可愛い服を買ってきたから着てくれない?」

「う…うむ…情報提供の対価としてなら安い方か…」

 

 この人、同級生の着せ替え人形にされてるのか…。

 実際、似合う服は多そうだしな。

 

「んじゃ、そろそろ行くね!」

「うむ」

 

 そう言うと、三年生の先輩は廊下を早歩きで去って行った。

 ちゃんと『廊下は走らない』の精神を守る辺り、真面目だな~と実感する。

 

「一難去ってまた一難…か。全く、IS学園という場所は本当に暇が無い学園だな。仕方あるまい」

「それじゃあ…」

「なかよし部、緊急出動だ。本日の活動内容を変更し、ドイツの候補生の暴走を食い止めに行くとしよう。学園の治安維持もまた、なかよし部の立派な活動の一つだ。行くぞ諸君」

「「「「了解!」」」」

 

 なんかノリと勢いで返事をしちまったけど、別にいいか。

 それよりも今は、セシリアと鈴を助けに行く方が先決だ!

 

「と言う訳で一夏くん。このボクをおんぶしてくれたまえ」

「なんでおんぶっ!?」

「自慢じゃあないが、ボクはこう見えて運動が大の苦手でね。未だに50メートル走を完走したことが無い!」

「それは自慢することじゃないと思うんですけどッ!?」

 

 50メートル走を完走できないって、もう運動苦手とかそういう次元じゃないだろッ!?

 どんだけ引き篭もっていれば、そこまで体力が低下するんだっ!?

 

「そういや、ユニちゃんパイセンって前にシャトルランの一回目で脱落してたっけ」

「一回目となっ!?」

 

 流石にそれは前代未聞過ぎるっ!

 

「あと、体力が無さ過ぎて前に校舎内で何回か迷子になりかけた事があるって織斑先生に聞いたことがあるんですけど」

「校舎内で迷子ッ!?」

 

 千冬姉…保育士の真似事みたいな事までやってたのか…。

 

「懐かしい。そんな事もあったな」

「そ…それだけで済ませるんだ…」

 

 シャルルが呆れるのも無理ないわ。

 割と冗談抜きで、ユニちゃん先輩が3年生なのか疑わしくなってくる。

 

「だが、これでこのボクが普通に走っていては絶対に間に合わないと理解出来た筈だ。さぁ、ボクを早く背負って、一刻も早くアリーナに向かうのだー」

「へいへい…」

 

 こればっかりは仕方がねぇか…はぁ…。

 なんとなくだけど、また一つ千冬姉の苦労が分かったような気がする。

 

「よいしょ…っと。これで良いっすか?」

「上等だ。ふむ。中々の乗り心地だな。こーゆーところは姉君とそっくりだ」

「おんぶの乗り心地が千冬姉と似てるって言われてもな…」

 

 喜んでいいのか。呆れたらいいのか。

 つーか、やっぱ千冬姉もユニちゃん先輩をおんぶしたことがあるんだな。

 

 こうして、俺達は目的地である第三アリーナへと向かう事にしたのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「おぉ~…ちゃんとボクの事に気遣って走るとは。少しだけ見直したぞ一夏くん」

「そりゃどーも」

 

 そっちは良いかもしれないけどな…こっちは割と大変なんだよ!

 流石に走るのはヤバいと思って、限りなく走るのに近い早歩きで向かっているんだけど、体が揺れる度にその…背中に当たるんだよ!

 ユニちゃん先輩の小さくて柔らかい物が!

 俺だって男なんだから、そーゆーのには反応しちまうんだよ!

 

「…一夏?」

「頼むから…そんな目で見ないでくれシャルル…」

 

 完全に目からハイライトが無くなってるから!

 見事なまでにヤンデレの目になってますから!

 

 これまでに色々な事があったけど、結果的に自分と家族を助けてくれた上に仲直りの切っ掛けまでくれた『なかよし部』の皆の事をシャルルは大事に思っているようで、最近になって何回かこんな目で見られたことがある。

 特にクロエ先輩絡みになると、冗談抜きの殺気が飛んでくる。なんで?

 

「しっかし、一体どうしてラウラの奴がセシリア達に喧嘩を吹っ掛けるような事態になっちまったんだ…?」

「あの子の事ですから、単純に『二人が一夏君と仲が良いから』的な理由なんじゃないですかぁ?」

「十分に有り得るな…だとしたら絶対に許せねぇよ…!」

 

 狙うなら俺だけを狙えばいいだろ!

 どうして周りの連中に手を出すんだっ!?

 

「む? 一夏? そんなに急いでどうした?」

「あ…箒か」

 

 アリーナに向かっている途中で偶然にも箒と出くわした。

 今から部活にでも行くところなのか?

 

「って…なぁっ!? ど…どうして真行寺先輩を背中に乗せているッ!? 貴様…まさかそっち系の趣味に目覚めたのではあるまいな…!」

「ち…違うから! ちゃんと説明させてくれ!」

 

 このまま誤解がするんだら絶対の碌な目に遭わないから、急いで事情を説明をした。

 その際、背中にいるユニちゃん先輩やクロエ先輩達も助け舟を出してくれた。

 

「そ…そう言う事か。私はてっきり…」

「てっきり…なんだよ?」

「いや…なんでもない」

 

 確かに、俺から見てもユニちゃん先輩は可愛いとは思うけど、だからと言ってそういう目で見たりとかはしないぞ?

 もししたら、色んな意味で俺の人生が終了しそうな気がするし。

 

「一夏くんも中々に苦労をしているようだな」

「人気者ですねぇ~。青春してますねぇ~」

「ま…精々ガンバリな。いざとなったら、ウチらんトコに逃げ込んでき」

「ク…クロエ先輩…!」

 

 うぅ…他二人とは違って、クロエ先輩の優しさがマジで身に染みる…。

 マジで良い人だよなぁ…。

 

「しかし…心配だな。転入初日から、いきなり一夏に対してビンタをしてくるような奴だ。どんな事をしているか想像もつかん」

「だよな…」

 

 未だに、アイツがどうして俺をそこまで目の仇にするのか理由が分からないんだよな…。

 正確には、予想は出来るけど、それが正解なのかが分からない。

 

「仕方があるまい。私も一緒に行こう。いざと言う時、止められる人間は少しでも多い方が良い筈だ」

「それもそうだな」

「それに…」

「え?」

「おんぶにかこつけて、お前が真行寺先輩に変な事をしないとも限らんしな。ちゃんと見張っておかねば」

「何にもしねぇからっ!」

 

 お前は普段から俺をどんな目で見てるんだよッ!?

 割とマジでショックだぞっ!?

 

「はっはっはっ。どうやら、ボク程の美少女ともなれば、また出会って日が浅い男子の心すらも簡単に魅了してしまうようだな。うーん…可愛いとは罪だな。そう思わないか? クロエくん」

「どうして、そこでウチに話を振るし」

「クロエ先輩が可愛いからじゃないんですか? 実際、チエルから見てもめちゃ美少女だと思いますし」

「は…はぁっ!? いきなり何を言い出すしっ! 意味分らん…ったく…」

 

 すんません…狼狽えながら赤面するクロエ先輩…滅茶苦茶可愛かったっす。

 これはすげー破壊力だわ…。

 

「うぐ…これは確かに…」

「クロエ先輩…♡」

 

 そして、箒はなんだか悔しそうにしてて、逆にシャルルは嬉しそうにしてる。

 この真逆の反応は何だ?

 

「って、んな事をしてる場合じゃねぇから! 速くアリーナに向かわねぇと!」

「おっと、そうだったな。このボクとしたことがうっかりとしていた。さぁ、急ぐとしよう」

「うっす!」

 

 なんか箒が加わったけど、気にしてる場合じゃないよな。

 頼むから…無事でいてくれよ…セシリア…鈴…!

 

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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