ユニ「さぁな。今回の主役は一年生のチエルくんだからな。最初の部分だけ書いてから、後は適当に省略するんじゃあないか?」
クロエ「うわー…ないわー…」
遂に始まった学年別トーナメント。
複数のアリーナを利用し、三学年同時に行われるこのトーナメントは、初日から非常に大忙しだ。
教師陣は勿論の事、生徒会や緊急で手伝いを頼まれる生徒も決して少なくは無い。
そんな中、各トーナメントの一回戦に出場する選手たちは、各々にアリーナの選手待機室と言う名の更衣室に集まっていた。
それぞれにペアを組んだなかよし部メンバーだが、彼女達は全員が学年が違う。
今回ばかりは皆バラバラの闘いを強いられることになるが、そんな彼女達の隣には頼もしいパートナーが付いている。
IS操縦者としての実力は申し分ない三人なので、今回の即席タッグでも良い戦績を残してくれるに違いない。
実際、まだ何も知らない一年生はいざ知らず、二年生や三年生はなかよし部のメンバーの事を最大限に警戒し、来賓の客たちもまたなかよし部メンバーたちに注目している。
今回は、そんな彼女達の試合開始前の様子を見てみよう。
まずは三年生である『ユニ&ダリル』コンビから。
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「お~お。今年もまた賑わってやがんな~」
「全くだ。我々、三年生は在学中に培ったことの集大成を見せる絶好の機会だからな。誰も彼もが今まで以上に気合が入っている事だろうさ」
三年生のトーナメントが行われる第2アリーナ。
そこの更衣室にて外の様子を映し出すモニターを見ながら、ユニとダリルが試合開始前最後の会話をしていた。
因みに、ユニのISスーツは彼女の専用に製作された特注品で、全体的に真っ黒で、所々に紫や金の装飾が施されている。
ユニの容姿が容姿なので、見る人が見れば大興奮間違いなしだろう。
実際、久し振りにユニのISスーツ姿を見た虚は興奮の余り鼻血を出し過ぎて出血多量で気を失って保健室にいるし、ダリルも思わず本気で襲い掛かりそうになった。
今は必死に自分の欲情を抑え込んでいるが。
因みに、なかよし部は全員が専用機に合わせた専用のISスーツを着用している。
「そういや、ユニって去年のトーナメントには出場してなかったよな。なんでだ?」
「理由は単純さ。ボクのISが単機での戦いに向いていないからだよ」
「あー…成る程な。確かに『あの機体』はタイマンには向いてないわな。後方支援…もしくは指揮官ってポジションが一番しっくりくるわ」
「そうだろう?」
ユニとは一年の頃からの付き合いなので、当然のように彼女の専用機の事も知っている。
その気になれば他者でも動かす事は出来るだろうが、フルスペックを発揮することは決して不可能。
操縦方法が非常に独特なせいで、ユニでなければ最大限の力は引き出せない。
「にしても、進化したお前の専用機…あれマジでスゲーことになってんな。『世界最強の防御力』なんて言ってたから、どんなもんかと思ってたら…まじで世界最強だったじゃねぇか」
「当然だ。我が『絶対守護領域』は、その気になれば戦艦の主砲は愚か、静止衛星レーザー砲の直撃すらも防いでみせるとも」
「その言葉が全く大袈裟じゃねぇから恐ろしいんだよな…。ったく、ユニと組んで大正解だったぜ」
「その言葉は、トーナメントに優勝してからもう一回言うことになるだろうね」
「上等だ」
ペアを組むに辺り、二人は当然のようにコンビ戦の練習を行った。
その時にダリルは思い知った。
真行寺由仁という少女の底力を。
この歳で伊達に博士号を取得していないのだと。
「オレの予感は間違ってなかった。お前とオレが組めば優勝は貰ったも同然だ」
「だが、決して油断はしないように」
「わーってるよ、相棒」
顔を見合わせながら、お互いを鼓舞するかのようにコツンと拳をぶつけ合った。
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二年生のトーナメントが開催される第4アリーナ。
ここでは出場予定であるクロエとフォルテコンビ、そして楯無&サラコンビが他の生徒達に混じって待機していた。
因みに、クロエの専用ISスーツは純白で所々に金の装飾が施されている豪華仕様だ。
一見するとまるで宝塚の衣装のようにも見える。
「相変わらず、クロエちゃんのISスーツって派手よねぇ~」
「んなのはウチが一番よく自覚してるんだっつーの。でもしゃーねーじゃん。これが一番フィットしてるんだし。デザインの方も機体に合わせたって言ってたし」
「「「機体に合わせて…」」」
そう言われて三人は不意にクロエの専用機の事を思い出す。
確かに、彼女の機体は純白で金のアクセントが特徴的だ。
「はいはい。そんな話はもういいっしょ。それよりも今はトーナメントの話。ウチらはいつ頃にぶつかるのかー…とか」
「ま、打倒に考えれば決勝戦じゃないかしら?」
「その可能性が一番高いでしょうね。代表候補生三人と前大会優勝者が揃ってるんだから」
「案外、決勝前にどこかでぶつかったりするかもッスね」
なんてことを話していたら、モニターにトーナメント表が映し出され、待機していた生徒全員がざわめき始めた。
「お? トーナメント表が出たっポイ。どれどれ……え?」
「あらまぁ…」
「これまたなんとも…」
「良い意味で予想外ッスね…あはは…」
表示されたトーナメント…そこには全員が思わずポカーンとなってしまうような事が書かれてあった。
「おーおー…まさか、ウチとフォルテのコンビがシードとは…。これってもう実質的にアレじゃん。今大会優勝コンビと前大会優勝者コンビとのエキシビションマッチみたいなもんジャン。なにこれ」
「クロエちゃんが強すぎるのも原因かもッスねー。もしも普通に出場してたら、まず間違いなく無双するに決まってるッス」
「それはそれでなんかヒドくね? ウチだって多少なりは苦戦するかもだし」
「「「それは無いわ~」」」
「なんで三人揃ってハモる?」
満場一致でクロエ最強説が提唱されてしまった。
「っていうか、今のランスロットは前にも増して強さに磨きが掛かってるから、ある意味じゃ最も妥当なトーナメントだと思うッス」
実際に一緒に練習をしたフォルテは知っている。
今のクロエと、彼女の専用機は去年よりも遥かに強大な存在になっていると。
こんな時でなければ、何が何でも絶対に敵には回したくは無い。
そう思わせるほどの実力がクロエにはあった。
「けどまぁ…ウチらがシードって事は、楯無たちと試合するにはソッチが決勝まで来るしかないわな。ま、頑張って」
「勿論よ。絶対に二人が待ってる場所まで行くわ。ね、サラちゃん」
「えぇ。決勝戦で会いましょ」
大切な親友同士であり、同時にライバルでもある者達。
IS学園でクロエが得た、数少ない『宝物』だった。
『宝物』だからこそ…戦う時は全身全霊を込めてぶつかろうと心に誓った。
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そして…一年生のトーナメントが開催される第三アリーナ。
ここではチエルと箒、一夏とシャルルたちを含めた生徒達が今か今かとトーナメント開始を待っていた。
因みに、チエルの専用ISスーツは全体的に真っ赤に染まったシンプルなデザインとなっている。
「うっわ…なんじゃこりゃ…。アリーナってこんなにも人が入るのかよ…」
「いや~…これはアレですね~。席に座りきらない人達もフツーにいますね。ほら、あそこの端の方とか立って見てますよ」
「ホントだ。一応、アリーナの外には中の様子が分かる大型モニターが設置してあるのに…」
「そこまでしても試合を見たいのだな…」
室内にいても分かるレベルでアリーナは大賑わいで、今から自分達が出場するトーナメントがどれだけの規模なのかを否が応でも思い知らされる。
「うぅ…今更ながら緊張してきた…。今にして思えば、俺ってこーゆー大会に出るのって人生初な気がする」
「僕もそうかも。でも、風間さんはそんなに緊張してないね。もしかして慣れてるの?」
「別にそんなんじゃないですよー。チエルだってそれなりにキンチョーはしてますからー。でもー…」
「「「でも?」」」
「トーナメントの事は予めユニ先輩やクロエ先輩に色々と聞いてましたからねー。だから、心の準備は出来てたっていうかー」
「「「あぁ~…」」」
そうだった。
他の皆とは違い、チエルには二年と三年の知り合いがいた。
彼女達から情報を聞いていても全く不思議ではない。
「先輩達が言うにはー、今回のトーナメントって三年生には卒業後のスカウト案件、二年生には去年の成果の確認、一年生は現状の実力の確認みたいな意味があるっポイですよ?」
「ってことは、クロエ先輩達は今後の指針に繋がって、ユニちゃん先輩達に至っては今回の試合内容次第で将来が決まるかもしれないってことか…」
「想像以上に重要なトーナメントなのだな…」
「もしかしたら、気楽に試合が出来るのって一年生の間だけなのかもしれないね…」
先輩達の事を聞かされ、今から来年以降の自分達の事を思わず想像して顔が青くなる。
それと同時にIS学園の上級生の偉大さを思い知った。
「ま、あの人達なら大丈夫だと思いますケド。特にクロエ先輩は去年のトーナメントの優勝者ですから。めっちゃ注目されてるんじゃないんですかね?」
「「「えっ!?」」」
チエルの口からシレっと聞き捨てならない言葉が飛び出してきた。
「あのクロエ先輩が…前大会の優勝者…? マジで…?」
「マジもマジの大マジです。全部の試合をほぼワンサイドゲームで終わらせたって聞きましたけど」
「えっと…去年って事は先輩達はまだ一年生で…ロシア代表な現生徒会長でもある更識先輩もいたって事だよね…?」
「正確には、二年生にはギリシャとイギリスの候補生の先輩もいますけどねー」
「あの人は…候補生二人と国家代表相手に完勝してみせたと言うのか…!?」
一夏たちもクロエが只者じゃない事は薄々と承知していたが、まさか前年度のトーナメント覇者だったとは。
これには流石の面々も開いた口が塞がらなかった。
「去年のトーナメントは今年とは違ってシングル戦だったんだよな…? ってことはつまり…」
「このIS学園で一番強いのってクロエ先輩だったり…?」
「かもですねー。本当はクロエ先輩が生徒会長になってる筈だったけど、本人が面倒くさいからって辞退して、準優勝した楯無先輩が生徒会長に就任したらしいですよ?」
「なんとも、あの人らしいと言うか…」
確かに、クロエが生徒会長をしている姿は全く想像出来ない。
今のようなポジションこそが最もクロエに似合っていると思った一夏だった。
「チエル達は一体どこでぶつかりますかね~」
「決勝で会いたい…と言いたいけど…」
「…ボーデヴィッヒさん…だね」
「ある意味、アイツこそが今回のトーナメントでの最大の鬼門か…」
今回のトーナメント、セシリアと鈴が止む無く辞退したとはいえ、それでもフランスとドイツの候補生が参加し、更には世界唯一の男性IS操縦者と風間コーポレーションの社長令嬢が参加するのだ。
二年や三年に負けないレベルで注目はされていた。
「む? 皆、どうやらトーナメント表が出るみたいだぞ」
箒の声を聞き、この場にいた全員がモニターに注目する。
運命のトーナメント第一試合は…。
「あらら…」
「なんと…」
「マジかよ…」
「運命の悪戯…なのかな…」
第一試合。
風間ちえる&篠ノ之箒 VS ラウラ・ボーデヴィッヒ&相川清香
(はぁ…まさか、こんな事になるだなんて…。早くもユニ先輩から言われたことを実行しなくちゃみたいだな~…)
全員がまさかの事態に絶句する中、チエルだけは昨晩、ユニに言われたことを一人思い出していた。
次回に続きますよー。
なかよし部で誰が好き?
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可愛いクロエちゃん!
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賢いユニちゃん!
-
楽しいチエルちゃん!
-
皆大好き!