IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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今回から、遂になかよし部初の本格的な戦闘シーン御披露。

と言っても、シードになっているクロエはお預けですけど。









なかよし部の試合が始まる

「「VTシステム?」」

 

 時は少し遡り、ラウラが鈴とセシリアをボコボコにし、それをなかよし部の手で鎮圧した日の夜。

 なかよし部の三人は密かに学生寮の廊下の端の方に集まって緊急の秘密会議をしていた。

 

「そう。放課後に例のドイツ少女のISをハッキングした際に、機体内部に搭載されているのを発見した」

「え? それってフツーにヤバいんじゃネ? あれって確か、国際条約で開発は愚か、研究することすらもタブーじゃなかったっけ?」

「もしそれを破った場合は、IS委員会と国連の両方から厳しい罰則が科せられる…でしたよね?」

「流石はクロエくんとチエルくんだ。よく覚えていたな。その通りだ」

 

 なかよし部ともなれば、この程度の知識は当然のように保持していた。

 余談だが、この三人は未だにテストで95点以下を取った事が無い。

 ユニに至っては100点以外を取った事が無い。

 

「搭載の仕方から察するに、恐らくは操縦者本人には内緒で搭載したんだろう」

「ま。フツーに考えればそーだわな。あれでも一応は現役の軍人なわけだし、VTシステムがどれだけヤバいのかってのはよーく知ってるハズだし」

「そーですねー。でも、一体どのタイミングで機体にブチ込んだんでしょうか~? 幾ら慢心をしているとはいえ、国を出る時には最低限のチェックとかはすると思うんですけどー」

 

 自国の大事な専用機を国外に持ち込むのだから、普通は来日に際して入念なチェックをする筈だ。

 そして、その前にVTシステムが搭載されていたのならば、チェックの際に即座に発見されて、ラウラは日本に来ることすら出来なかっただろう。

 だが、実際にはラウラは日本にちゃんとやって来ている。

 この事実が示すことは只一つ。

 

「そのチェックの際に搭載されたに違いない。彼女を実験道具にしようと企んだ『何者か』の息が掛かった整備員を使って、ラウラ・ボーデヴィッヒを言葉巧みに誘導して機体から離れさせ、その隙にVTシステムを組み込んだ」

「あの性格だと、軍内部に自分の事を道具として利用しようと考えている奴がいるなんて想像もしてなさそーなんだけど」

「良くも悪くも、一昔前までの典型的な軍人って感じでしたからねー。外の人間は兎も角、中の人間は全面的に信用しきってるんじゃあないんですか~?」

 

 軍に対して忠実と言えば聞こえはいいが、ラウラの場合は軍にしか居場所が無い故に盲目的に信奉している節がある。

 それは千冬に対しても同様で、なかよし部の三人はまだラウラがどうして千冬にあそこまで執着するのかは知らないが、それでも明らかにヤバいとだけは感じていた。

 

「今回の一件で、彼女の標的は一夏くんから我々に切り替わっただろう」

「あれだけボコったら…そりゃね。アイツじゃなくてもブチ切れるわ」

「下手に一夏くんだけを狙われるよりはずっとマシかもですね。チエル達なら、何をどうされても対処のしようがありますし」

 

 真っ向からの妨害も、搦め手からの妨害も彼女達には通用しない。

 その全てを完璧に捻じ伏せれるだけの『力』があるから。

 

「問題は、今度の学年別トーナメントの最中に、彼女の機体に内蔵されたVTシステムが発動してしまう可能性だ」

「あぁー…およそ考えうる最悪のパティーンだわな…」

「うむ。VTシステムは機体のSEが枯渇した瞬間、操縦者の負の感情をトリガーにして発動する仕組みだ。一度でも発動したが最後、外部からの介入は一切受け付けない。止めるには文字通り『力付く』しかない」

「力付く…か」

 

 そう呟きながら、ユニとクロエが不意にチエルの方を向く。

 

「…え? なんでして急にチエルの方を見るんですか?」

「んなの決まってるじゃんよ」

「彼女は一年生で、チエル君もまた一年生。トーナメントでぶち当たる可能性があるのは君だけで、同時にVTシステムを真っ向から捻じ伏せられる可能性があるのもまた君だけだ」

「うわぁー…やっぱそーなりますかー」

 

 なんとなーく想像はしていた。

 今回の事は完全に一年生の間…その中でも特に一組内で起きた出来事。

 同じ一組の生徒であるチエルに任されるのは当然の事だった。

 

「というか、君の『紅蓮』がその気になれば、VTシステムが発動する直前でどうにかできる可能性がある」

「タイミング次第ですけどねー…」

 

 なんか急に責任重大になってきた。

 チエルは、自分にはそんな物語の主人公みたいな役回りなんて向いていない、分不相応だと思っている。

 あくまで自分は『可愛いヒロイン』であり、悲劇のヒロインを救うような真似はお門違い…だと考えているが、悲しいかな。

 チエルには今回の事の全てをどうにか出来るだけの実力があり、チエル自身もそれを自覚している。

 だからこそ、断るに断れないのだ。

 

「この事は織斑センセーには?」

「無論、今から伝えに行く。予め知っておけば、幾らでも対処のしようはあるからな」

「そうでなくても、複数の意味で織斑先生には伝えておくべきだとは思いますけどねー」

 

 嘗ての教え子であり、今は自分のクラスの生徒でもあるラウラの機体に違法なシステムが、当人の意志を無視して極秘裏に内蔵されていた。

 常識的に考えても、絶対に知らせておくべき案件だ。

 

「そんな訳だ。彼女の事は君に任せたぞ。チエル君」

「ま、偶にはヒーローやるのも悪くは無いっしょ。つーわけでヨロシクー」

「うわー…クロエ先輩、完全に他人事だー。自分がヒロイン枠だからって…」

「だ…誰がヒロイン枠だ! 変なこと言うな!」

「三人の女の子から想いを寄せられている人が言っても…ねぇ?」

「説得力皆無だぞ、クロエ君」

「お・ま・え・らぁ~…!」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 時間は戻り、学年別トーナメント一年生の部の第一回戦開始直前。

 出場選手はアリーナのステージ降り立ち、試合開始を待つだけとなっていた。

 

 箒は腕部にサブ兵装である機関砲を取り付けた打鉄に乗り、ラウラは既に専用機を展開済みなのだが、今日までずっと機体を取り上げられていた為に修復が一切されておらず、虎の子である『AIC』は勿論、主兵装であるリボルバーカノンも使用不可な状態となっていて、かなり悲惨な状況となっていた。

 そんな彼女と運悪く組まされた相川清香は、憂鬱そうな顔をしながらラファール・リヴァイヴに乗ってライフルを握っていた。

 

 そして、当のチエルはと言うと、まだ専用機を展開しておらず、ISスーツ姿のままだった。

 

「おい貴様…風間ちえるとか言ったな。聞いたぞ」

「何をですかー?」

「お前は、あろうことか織斑教官が顧問を務める部活に所属しているらしいな」

「それが何かー?」

「貴様のような奴に織斑教官の教えを受ける資格は無い!! 今日この場で、私がそれを証明してやる!!」

「ハイハイソーデスカー。それは美味しそうですねー。チエルもお腹空いてきちゃったなー。箒ちゃん、この試合が終わったら後で一緒に何か食べに行きませんかー?」

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 完全に聞く耳持たずのスルー状態。

 ラウラが激高するのも無理はない。

 それを見ていた箒は、自分の友人の度胸の凄さに目を丸くしていた。

 

「さ…流石はチエルだな…。アイツ相手にあそこまで言えるとは…凄い精神力だ…」

 

 本当は単にウザいだけだから受け流しているだけなのだが、根っからの剣道少女である箒は、それを良い方へと解釈し、チエルに対して更に信頼を増していった。

 

「さーてと…もうそろそろ試合も始まりそうですしー…チエルも専用機を展開しようかにゃ~」

「貴様の…専用機だと…!?」

「そーですよー。んじゃ…」

 

 徐にチエルが、どこからか真紅に染まったブローチを取り出す。

 それは光の翼を携えた鳥を模したブローチで、これこそがチエルの専用機の待機形態だった。

 

「来い…『紅蓮』」

 

 瞬間、チエルの全身が赤い光に包まれる。

 アリーナ全体が騒然とする中、彼女の身体に真紅の装甲が次々と装着されていく。

 

 そして、光が止み、そこから出現したのは…赤く光る翼を持つ、全身が真紅の鎧に包まれたISだった。

 

「これが、チエルの専用機。少し前に『第三形態移行(サード・シフト)』に到達した、この世にたった二機しか存在しない『第九世代型IS』。その名も『紅蓮聖天八極式』でーす!」

「だ…第九世代機…だと…ふざけるな!! 今はまだ第二世代機から第三世代機に移行しようとしている段階だぞ!! それなのに、それらを全て飛ばして『第九世代』だとっ!?」

 

 ラウラの言っている事は全て正しい。何も間違ってはいない。

 ただ、チエル達『なかよし部』がおかしいだけだ。

 

「そー言われてもー。元々の『紅蓮弐式』の段階で既に『第七世代機』でしたしー」

「第七世代…だと…!?」

 

 驚きすぎて、もうリアクションがパターン化してきた。

 

「ついでに言っちゃうと、クロエ先輩の専用機が、この紅蓮と対を成すもう一体の第九世代機だったりするんですよねー。あ、チエルってばついつい言っちゃった♡」

 

 可愛らしく言ってはいるが、紅蓮は全身装甲機なので、その状態でくねくねとしたリアクションをされても見た目的には全く可愛くない。

 

「と言うか、どうして隣にいる貴様は全く驚いていない!?」

「いや…ペアを組んだ時に普通に教えて貰ったし…」

 

 一緒に組むと決めた以上、明かせる情報は全て開示するのがチエルのやり方。

 なので、チエルは紅蓮聖天八極式の事の全てを箒に話している。

 

「まさか…織斑教官も…」

「そりゃ知ってますよ。その辺の事はちゃんと学園側に報告する義務がありますから」

 

 千冬も最初はラウラと同じように驚きまくったが、なかよし部と一緒に行動するようになってから『こいつらだしな』の一言で片付けるようになってしまった。

 段々と千冬もなかよし部の空気に染まってきつつあるのかもしれない。

 

「チエルー…基本的にこーゆー試合の時って相手にけーいをひょーするってことでー…手加減とか絶対にしないって心に決めてるんですよねー。だーかーらー…」

 

 明らかに目立つ、黄金の爪を持つ巨大な右手をラウラに向ける。

 それを見たラウラは、一瞬だけではあるが確かに背筋がゾっとする感覚を覚えた。

 

「瞬殺とかされても恨まないでくださいねー♡ クスクス…♡」

「風間ちえる…貴様ぁ…!」

 

 さっきから挑発のしまくりだが、まだ試合は始まっていないので両者とも何もしない。

 それを隣で見ている箒は、またもやチエルの事を勘違いして感心していた。

 

(言葉攻めで相手の精神に揺さぶりを掛けて冷静さを奪おうという作戦か…。こうして相対した時点で既に戦いは始まっていると…そういうことなんだなチエル! 本当に、お前と一緒にいると学ぶことが多い!)

 

 箒からチエルに対する好感度が段々と上がっていく。

 このトーナメントが終わった時、二人の関係は間違いなく今までよりも進展している事だろう。

 

 因みに、さっきからずっと完全に蚊帳の外にされていた相川清香はと言うと…。

 

「え? ちょ…何を言ってるの? 第九世代機? は? 何それ?」

 

 会話の内容がぶっ飛ぶ過ぎて、全くついて来れないでいた。

 

 そうして、まだ刃を交えてすらいない状態で既にバチバチになっている中…。

 

 ブ――――――――――!

 

 試合開始のブザーが鳴った。

 

 

 

 

 




現在のカップリング予定。

クロエ&楯無+シャルロット+サラ+フォルテ

チエル&箒+???

ユニ&虚+ダリル+???

鈴とセシリアとラウラがどうなるかは未定。


なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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