IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

33 / 40
なかよし部は買い物に行きます

 日曜日になり、生徒達は各々に思い思いな休日を過ごす。

 それは俺も例外では無い…筈だったんだけど…。

 

「さて。もう準備は出来たかな? そろそろ行こうか」

 

 何故か私服を着たユニ先輩が俺の部屋にて堂々とジュースを飲みながら寛いでいる。

 その理由は単純明快で、この間の部活で言っていた臨海学校に向けての買い物に、俺の半ば強引に連行される羽目になったからだ。

 と言っても、俺は別に誘われてはいないんだけど。

 風間さんは箒を誘って、シャルロットはクロエ先輩を誘って、で俺はユニ先輩に荷物持ちとして誘われた。

 うん。俺だけ全く色気も何も無いな。

 

 その後、『どうせなら行き先が同じなら皆で一緒に行った方が効率が良い』と言うユニ先輩の意見により、俺とユニ先輩と箒と風間さんとクロエ先輩とシャルロットの六人で出かける事となった。

 最初こそ難色を示していた箒とシャルロットだったけど、途中で何かを閃いたのか、急にOKサインを出した。

 あれは未だに謎だよな…。

 

「うむ。休日の朝から飲むジュースも、また乙なものだな。悪くない」

 

 椅子に座っているせいで全く足が床に届いておらず、さっきからずっとプラプラとさせている。

 あれで俺より二個も歳上なんだから凄いよな…。

 パッと見は、どこからどう見ても小学生女子なんだけど。

 

「ん?」

 

 俺のスマホにLINEが来た?

 相手は…この間、ユニ先輩経由で知り合った三年生の先輩二人からか。

 片方がアメリカ人で候補生の人で、もう一人がのほほんさんのお姉さんだったか。

 なになに…?

 

『ユニに何かしたら、お前を殺す』

『ユニさんに何かあったら、その時は命の保証は出来ません』

 

 こ…怖――――――――――――っ!!!!

 情け容赦なく俺の事を脅してきてるんですケド―――――――――っ!?

 こりゃ…絶対にユニ先輩の事を守らねぇと…生きて臨海学校に行けないな…。

 

「いきなりどうしたのかね? スマホを見て顔を青くして。もしかして、迷惑メールでも来たのか?」

「い…いや…なんでもないッス。はい…」

「そうか。なら、早く準備を進めてくれたまえ」

「は…はい」

 

 別の意味で、こんなに緊張する外出なんて生まれて初めてだ…。

 改めて思う…女って怖いなぁ…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 出かける準備を終え、俺は待ち合わせ場所であるIS学園の校門前へと急いだ。

 到着すると、そこには既に四つの人影が立っていた。

 俺達と同じ場所で待ち合わせをしている別に人間でもいない限りは、あの四つの人影はまず間違いなく箒たちだろう。

 

「遅いぞ一夏。いつまで待たせる気だ」

「そうですよ一夏くん。こういう時は、気を利かせて最低でも10分先に待っているのが男の甲斐性ってもんですよ?」

 

 合流して早々に箒と風間さんからボロクソに言われてるんですが。

 いやまぁ…これに関しては全面的に俺が悪いんだけど。

 

「まぁまぁ。別にいいじゃない。一夏が遅れてきた事は決して悪いことばかりを生んではいないし」

「うむ…確かにシャルロットの言う通りだな。仕方がない…今回だけは許してやる」

「お…おう…?」

 

 なんかシャルロットのフォローで事なきを得たけど…悪いことばかりじゃないって一体どういう事だ?

 

「え? 何? 割とマジでイミフなんですけど。さっきまでずっと一夏の愚痴を言いまくってたのに…この豹変っぷりはなんぞ?」

「「ク…クロエ先輩ッ!?」」

 

 もしかして、俺をネタにして風間さんやクロエ先輩と楽しく会話が出来たから機嫌が良くなったのか?

 そうだとしたら、何とも複雑な気分だな…。

 

「ほれほれ。お喋りはここまでだ諸君。まだ出発もしていないのに盛り上がるのはどうかと思うぞ。端的に換言すると『早く行こう』だ」

「それもそうですね、真宮寺先輩。流石は三年生…見事なリーダーシップです」

「そうと決まれば、早く行きましょう! ね、クロエ先輩?」

「ん? あぁ…そうやね。行こか」

「んじゃ、水着買いにしゅっぱ~つ!」

 

 こうして、俺達は駅前にある大型ショッピングモールである『レゾナンス』を目指して出発するのだった。

 因みに、体力的な意味で歩くのが苦手なユニ先輩は、ずっとクロエ先輩と風間さんと手を繋いで引っ張られていた。

 傍から見ると『連行されている先を行く人』だった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 IS学園からレゾナンスへ行くには、嫌でもモノレールに乗る必要がある。

 俺達は駅まで行くと、そこからモノレールに乗ってから、のんびりとレゾナンスへ向けて滅多に無いであろう短いモノレールの旅を満喫することに。

 

 6人という人である以上、必然的に二人が別の席になってしまう。

 なので、俺とユニ先輩、箒と風間さんの四人で座って、クロエ先輩とシャルロットが隣の席に座ることに。

 席が決まった時のシャルロットが、物凄く良い笑みを浮かべてたんだが…なんだったんだ…?

 

「おぉ~…これがモノレールの中か~」

「ユニ先輩は、このモノレールに乗った事が無いんですか?」

「全く無い。外に出かける機会なんて滅多に無い。あるとすれば、仕事でどうしても風間コーポレーション本社に行く時ぐらいだ。その時も、ボク達なかよし部三人は会社のヘリで移動するのだがな」

「「「ヘリっ!?」」」

 

 ヘリって…あのヘリコプターの事だよなっ!?

 思わず俺と箒とシャルロットで揃って大声を出しちまったよッ!?

 

「よりにもよってヘリって…。車でもバスでも電車でもモノレールでもなくヘリコプター…滅茶苦茶にレアな乗り物にだけピンポイントで乗るってのも凄すぎだろ…」

 

 流石はなかよし部が所属している会社…普通じゃない…。

 

「ウチらと違って、ユニパイセンは基本的に買い物は全て通販で済ませちゃうしなー」

「服とかに至っては、よく同級生の先輩達からお下がりを貰ってるから、実質的に洋服代は0なんですよねー」

 

 変な所でコスパが凄いなユニ先輩。

 道理で、同級生から着せ替え人形にされて、文句は言っても拒否はしない訳だ。

 後で服を貰えるんなら嫌とは言えないよな。

 

「だから、今回のように何かを買う為に外に出ると言うのはボク的には非常にレアな事なのだよ。その荷物持ちに選ばれたのだから光栄に思いたまえ」

「へいへい。光栄ですよー」

「よろしい」

 

 これじゃあ荷物持ちってよりはお世話係だな。

 なんとなく覚悟はしてたけどさ。

 

「ふむ…ならば、私のお下がりなどもユニ先輩には入るのだろうか? もし入るのならば、是非とも差し上げたいのだが…」

「いいんじゃあないんですか? チエルやクロエ先輩もよく服のお下がりをあげてますし」

「それは有り難い。少しでも買い物をする頻度を減らせるのは、こちらとしても非常に助かる」

 

 なんだろう…今の話を聞いたら、千冬姉も『自分のお下がりをやる』って言い出しそうだな。

 顧問として色々と振り回されてはいるけど、根っこの部分じゃ千冬姉ってなかよし部の三人の事を大事にしている節があるしな。

 

「もうすぐ着くっぽいね。そろそろ降りる準備するよ」

「はーい!」

「降りたらまず、コンビニに行ってくれると助かる。少し喉が渇いた。水分補給をしたい」

「飲み物を買うなら自販機でもいいのでは?」

「飲み物だけならば、コンビニで買う方が安い」

 

 この先輩…企業所属として、かなりの額の給料を貰ってる筈なんだけど…節約できるところは節約するってことか。

 そこだけは普通に共感できるし、見習いたいって思うな。

 日常的な節制は大事だし、下手に散財すると金銭感覚が狂っちまう。

 実際、俺も白式を受領してからテストパイロットとして通帳に給料が振り込まれてたけど、その額がとんでもなかった。

 一介の高校生じゃ絶対に稼げないような金額が書いてあったからな。

 

「どうやら到着したようだ。みんな降りようか」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「最近のスポーツドリンクは味にも拘っているのだな。中々に美味じゃあないか」

 

 コンビニの前でペットボトルのスポドリを飲んでいるユニ先輩が、どう考えても小学生女子にしか見えない説。

 だって、道行く人が皆揃って俺とユニ先輩を見て温かい目で見つめてくるんだぜ?

 

「妹ちゃんが飲んでいるのをジッと待っててあげるなんて、優しいお兄さんよね~」

「私も、あんなお兄ちゃんが欲しいな~」

 

 残念ながら、俺の方が年下で、この人は高校三年生の18歳なんだけどな。

 なんて言っても誰も信じないか。

 

「お待たせしました~!」

「ついでだから、私達も飲み物を買ってきた」

「まだ夏本番じゃないとはいえ、年々気温が上がってきてっしね。油断は禁物って事で。ほれ」

「え?」

 

 クロエ先輩からスポドリを手渡された。

 これ、もしかして先輩が俺に…?

 

「偶には先輩らしく、後輩に奢るぐらいの事をしないとっしょ。遠慮せんと受け取っときな」

「あ…あざっす」

 

 クロエ先輩…そういう所があるから、学園内にネズミ算式にファンが増えていくんスよ…。

 多分、本人は全く自覚とかしてないんだろうな…。

 もしこの場に弾がいたら、一発で惚れてるだろ。

 

「うぅ~…やっぱりクロエ先輩は優しいなぁ~…。一夏、ちゃ~んと噛み締めて飲んでね?」

「わ…分かった…」

 

 一瞬、シャルロットの目にハイライトが無かったんですが…。

 

「小さいのを選んだからか飲み干してしまったな。まぁいい。喉が渇いたからまた買えばいいだけの事だ」

 

 ユニ先輩は、その小さな体の通り食が細いようで、さっき買ったドリンクも一番小さいサイズを選んでいる。

 それでも少し時間が掛かっているのを見ると、どうやら食が細いのは本当みたいだ。

 

「では皆の衆。行くとしようか」

 

 アンタはどこのお代官様だ。

 

「ところで、水着売り場の場所は知っているのかな?」

「はいはーい! チエル知ってまーす! ここには割と頻繁に遊びに来るんで!」

「なら、チエルに案内を頼むわ。よろー」

 

 そういや、俺もここにはあんまり来た事は無いなー。

 距離があるってのもあるけど、それ以前に買い物なら近所の店で十分に事足りてるし。

 

「それじゃあ、チエルに着いて来てくださいね~! れっつらご~!」

 

 こうして俺達は、風間さんに着いて行く形で水着売り場へと向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。