IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部は水着を選びます

 ショッピングモールに到着して早々にコンビニにて水分補給をし、その後に揃って水着売り場へと直行する面々。

 だが、なかよし部以外の面々は気が付いていなかった。

 彼女達の背後を密かに着けている者達がいる事を。

 

「ぐぬぬ…一夏~…! アタシという者がありながら~…!」

「けど、あの方たちは私達にとっても恩人…強くは言えませんわ…」

「そ…それはそうだけど…」

 

 凰鈴音とセシリア・オルコット。

 一夏に密かに想いを寄せてはいるが、羞恥心の方が勝ってしまい上手く気持ちを言葉に出来ず、そのままズルズルと引き摺ってしまっている二人。

 そんな彼女達の目の前では、一夏がユニと仲良く手を繋いで歩いている姿が。

 両隣ではシャルロットとクロエ、箒とチエルが同じように歩いているのだが、今の彼女達の視界に入っていない。

 

「あの子って…あの見た目で高校三年生…あたし達の先輩なのよね…」

「しかも、この間のトーナメントの三年生の部で優勝してますわ。アメリカの代表候補生の先輩とコンビを組んで」

「なんなのよそれ…もう反則じゃない…」

 

 それぞれに彼女達も代表候補生だからこそよく分かる。

 三年生ともなれば、その実力は一般生徒と言えども決して侮れない。

 場合によっては、一年の候補生ぐらいなら普通に勝ってしまうぐらいの腕はある。

 そんな強者だらけのトーナメントで優勝している時点で、ユニの実力は容易に想像が出来る。

 

「フッ…流石は我が恩人たちだな。プライベートでも全く隙が無い」

「「…………」」

 

 自分達の隣にごく自然にいる銀髪の少女に、二人は思わずジト目になる。

 

「…なんでアンタもここにいるのよ」

「別に私がどこにいようと、私の勝手だろう?」

「それはそうですけど…」

 

 少し前までのピリピリした雰囲気はどこへやら。

 まるで普通の少女のようなあどけない顔を見せるラウラに、思わず二人も顔を合わせる。

 

「この間の事は済まなかったな。私もどうかしていた」

「きゅ…急に謝られても…ねぇ?」

「反応に困ると言いますか…」

「そうか。ま、どうでもいいがな」

 

 物陰から立ち上がり、前を行く面々の後姿を見つめながらポツポツと呟き始める。

 

「私はなかよし部の者達のお蔭で愚かな自分から脱却し、目を覚ます事が出来た。この恩はどれだけ返しても返し切れん。特に、風間ちえるには命すらも救われた。故に決めたのだ。私の残りの一生は全て、なかよし部の三人の為に使おうと」

「「お…重い…」」

 

 恩義があるのは自分達も同じだが、流石に残りの一生を全て使うなんて反応には至らない。

 どこまで純粋で真っ直ぐなのかと呆れてしまう。

 

「と言うことで、私はそろそろ行かせて貰う」

「えっ!?」

「ちょ…ちょっと待ってくださいまし!」

「何故だ?」

「いや、それは…」

「お前達に合わせて、なんとなく姿を隠してしまったが、よくよく考えたら私には隠れる理由が無い。だから、普通にあいつ等と合流する。ではな」

「「あ…」」

 

 言いたい事だけ言うと、ラウラはそそくさと行ってしまった。

 前に手を伸ばしたまま固まってしまった鈴とセシリアであった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 それは突然の事だった。

 

「ん? そこにいるのは…もしやなかよし部か?」

「「「え?」」」

 

 いきなり後ろから誰かに話しかけられた。

 思わず皆揃って振り返ると、そこに立っていたのは何故か制服姿のラウラだった。

 

「奇遇だな。買い物か?」

「え? あぁ…まぁな」

 

 あんな事があったばかりだからか、妙に気まずいな…。

 ユニちゃん先輩達は特に気にしてないみたいだけど。

 

「おや、君はラウラ君じゃあないか。買い物かね?」

「はい。私も今度ある臨海学校に向けての準備をしようと思いまして」

 

 わぉ…あのラウラが千冬姉以外の人間に敬語を使っている…。

 こいつにもちゃんと『目上の相手に対する礼儀』ってのがあったんだな。

 

「だが、一人ではどうも大変でな。もしそちらが良かったら、私も同行しても良いだろうか?」

「「えぇっ!?」」

 

 どうしてそこで箒とシャルロットが驚く?

 

「俺は別に構わないけど…皆は?」

「ボクは全然構わないぞ?」

「ウチも」

「チエルもいいですよ~」

「「うぐぐ…」」

 

 なかよし部全員賛成となった以上、流石の二人も『NO』とは言い難いか。

 その気持ちはよーく分かる。

 

「ふっ…心配するな」

「ん?」

 

 ラウラが真っ直ぐに箒とシャルロットの所に行って…なんか言ってる?

 

「お前達の邪魔をするつもりは無い。私はただ、なかよし部の方々に礼さえ出来れば、それでいい」

「「ほっ…」」

 

 今度は安心してる…。

 今日の二人は表情豊かだな…。

 

「んじゃ、改めて水着売り場へレッツゴー!」

「「おぉー」」

 

 なんて覇気のない『おー』なんだ…。

 ま、ユニちゃん先輩とクロエ先輩が明るく声を挙げている姿なんて想像出来ないけど。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、やっと到着しました水着売り場。

 今時の店らしく、無駄に派手で豪華だ。

 んでもって、やっぱり売り場自体は男女で別になっている。

 当たり前だけど。

 

「それでは、ここで別れるとしよう。各々に水着を購入した後は入り口に集合と言う事で」

「「「「「はーい」」」」」

 

 どれだけ幼く見えても、やっぱりこの場での最年長。

 見事にユニちゃん先輩が仕切っていた。

 この見た目に反して、実はかなりのリーダー気質なんだよな。

 なかよし部の部長は伊達じゃないってか。

 

「んじゃ、俺も行きますか」

 

 ここから少しの間だけ俺一人の時間かー。

 それはそれで寂しいような…ん?

 

「シャルロット」

「箒」

「「健闘を祈る」」

 

 …なんか女同士の熱い友情の握手をしているんですが。

 あいつら、本当にいつの間にあんなに仲良くなってたんだ?

 女同士の友情はよく分からない。

 

「…行くか」

 

 仲良きことは美しきかな…ってな。

 理由はどうあれ、仲良くなったことは良いことだ。

 そこを色々と詮索する事こそが野暮ってもんだ。

 さーて、どんな水着があるかなーっと。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 やっと…やっと二人きりになれた!

 この時をどれだけ待ったことか…!

 

「うーん…流石はこの近辺で最も流行を先取りしているレゾナンスの水着売り場…可愛いのからカッコいいのまで見事に全部取り揃えてますねー」

「そ…そうだな」

 

 楽しそうに周囲をキョロキョロしながら店内を散策しているチエルが眩しい…。

 本当に…今の私はチエルに骨抜きにされてるな…。

 

「あ。これなんかいいかも?」

「どれだ?」

「これですよ、こーれ。ここにある真っ白なビキニ。箒ちゃんに似合いそう」

「わ…私ッ!?」

 

 チエルが私の為に選んでくれた水着…水着…!

 こんなの、欲しいに決まってるじゃあないか!!

 

「サイズ確認の為に、一度試着でもしてー…」

「それにする!」

「へ?」

「それでいい! いや、それがいい!」

「んー…箒ちゃんがそこまで言うなら、チエル的には全然いいですけどー…」

 

 よっし!

 よく見たら結構な値段になってはいるが、普段から余り散財しないので財布の中なこれでも割と潤沢だったりする。

 うん。これぐらいならなんとかなるな。

 

「それじゃ、ここはチエルが奢ってあげますね」

「な…何ッ!? いや、流石にそれは悪い気が…」

「気にしない、気にしない♡ トーナメント優勝のご褒美って事で。それに、これでもチエルは社長令嬢なので、これぐらいはぜ~んぜん問題ナッシングなんですよ~」

「そ…そうか…。なら…お願いする」

「は~い♡ お願いされました~♡」

 

 トーナメント優勝のご褒美…か。

 それを言うならチエルも該当するのだが…口が達者なチエルのことだから、私に奢る為に口実にしたに違いない。

 謂わば、これはチエルから私へのプレゼント!

 そんな事をされて嬉しくならない奴なんている訳がないだろう!

 

「そ…それなら、今度は私がチエルに似合いそうな水着を選ぼう」

「いいんですか? うっわ~…ちょっと地味に楽しみかも~」

「ふふ…任せておけ」

 

 これが…これがデートか…。

 なんて楽しいんだ…。

 これこそまさに感無量だな…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「んー…水着っつてもなー…一体どれがいいのやら…」

「………」

 

 遂に待望のクロエ先輩との二人きりの状況。

 ドキドキし過ぎて心臓が爆発しそうだよぉ~…!

 

(こうして近くで見ると…本当にクロエ先輩って綺麗だよなぁ~…)

 

 肌も綺麗だし、睫毛も長くて…まるで本当にアイドルみたいだ…。

 ファンクラブが発足されるのも納得だよ~…。

 

「どした? さっきからこっちばかり見て」

「へ? あ…なんでもないですよ?」

「さよか」

 

 き…緊張したぁ~…。

 前にデパートのアルバイトの時は全然こんな事無かったのに…。

 あの時と今とじゃ状況が全然違うもんね…当たり前か。

 

「そーいや、シャルロットはこうして日本の店に来るの初めてじゃね?」

「そう…ですね。言われてみれば確かに初めてです」

「ならさ、なんか分かんない事があれば遠慮なくウチに聞きな?」

「い…いいんですか?」

「当たり前だっつーの。っつーか、聞け。分かんない事を分かんないままにしておく方が圧倒的にダメっしょ。わーった?」

「は…はいぃぃ…」

 

 クロエ先輩ぃぃ~…カッコよすぎぃ~…♡

 はぁぁ~…思わず溜息出ちゃうよぉ~…。

 

「ん? ねぇ…これとかいいんじゃね?」

「え? これ?」

「この水着。オレンジのビキニのやつ。ほら、アンタの専用機と同じ色でいいんじゃね?」

「わぁぁ…」

 

 このデザイン…確かに可愛いかも…。

 クロエ先輩が選んでくれてるから、より一層そう見える…。

 

「ぼ…ボク…これにしようかなー…」

「ふぅ~ん…ま、いいんじゃネ? シャルロットって何気にスタイルも良いし、割と何を着ても似合うっしょ。知らんけど」

 

 スタイルがいいって…クロエ先輩…ボクの事をちゃんと見ててくれてたんだ…。

 男装をしている時からずっと…ボクの事を…。

 

(あぁ…これは惚れるよ…。先輩達がゾッコンなのも頷けちゃう…)

 

 ズルいなぁ…これはズルいよぉ…。

 こんなの完全に反則じゃんか…。

 

「ウチはどれにするかねー…。フツーに迷うわ」

「これとかどうですか?」

「ん? どれよ?」

「これです。クロエ先輩のイメージに合いそうな気がして」

「ウチのイメージって…ま、別にいいけど」

 

 スポーティーなクロエ先輩には、可愛さとカッコ良さが同居したような水着が絶対に似合うと思うんだよね。

 それに該当するのが、まさかすぐ近くにあるとは思わなかった。

 これはもう完全に運命だね!

 

「折角だし、これにするか。割とデザインもウチ好みだし。いいんじゃね?」

「そうですかっ!? 喜んで貰えて嬉しいです!」

「いや、別に喜んでとかは…はぁ…もういいや。いちいちツッコんでたら身が持たん。とっととレジまで行くよ」

「はーい!」

 

 これがデートかぁ~…。

 人生初めてのデートがクロエ先輩ととか…控えめに言って最高だね。

 本当に悔いないよ。

 日本に来て…本当に良かった…。

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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