IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部は手助けします

 俺こと織斑一夏の語る前回のあらすじ。

 皆と一緒に水着を買いに来た俺は、早々に自分の買い物を済ませて女性陣が戻ってくるのを店頭で待っていた。

 すると、いきなり見知らぬ女尊男卑思想の女に絡まれた。

 

 以上、あらすじ終わり。

 

「ちょっと! 話聞いてるのッ!? これを片付けなさいって言ってるのよ!」

 

 うーわー…めんどくせー。

 どうして俺が、他人の手で散らかった水着を片付けないといけないんだよ…。

 これが身内とかで尚且つ、その人に別の用事があって仕方なく…とかだったら俺もだって普通に手助けするけど、これはなー…。

 

(正直…やりたくねー)

 

 このまま無視を貫き通したら、それはそれでまた五月蠅そうだし…かといって、ここで大人しく折れて片付けたら、それはそれで増長してウザい。

 どうしよう…何をどうしても俺が不幸になるルートしかないんだが。

 なんて理不尽な選択肢なんだ。

 所詮、現実はクソゲーなのか。

 

(このまま時間を稼いでいたら、なかよし部のうちの誰かがやって来て解決してくれないかなー)

 

 クロエ先輩の場合は…確実に力で解決するだろうな。

 風間さんの場合は…金で解決しそうだ。

 主に札束ビンタとかやりそう。

 もしくは、金塊アタック。

 

(…一番穏便なのはユニ先輩か…)

 

 典型的な頭脳労働タイプだから、こういう時に一番頼りになる…と思う。

 確か、ラウラと一緒に行動してたっけ。

 あの二人が並んでると、下手したら小学生に間違われる可能性も出てくるな。

 

「あんたね~…この私を無視するだなんて、いい度胸してるじゃないの!」

「あ」

 

 ヤベ…余りのウザさに普通に存在を忘れてた。

 

「いいわ…こうなったら、ここの警備員を呼んで…」

 

 おいおい…こんな事程度で警備員を呼ぶのかよ。

 幾らなんでもアホじゃないか?

 違った。おかしくないか?

 

「おや? そこにいるのは一夏くんではないか。一体どうしたのかね?」

「ユニ先輩!」

 

 最高のタイミングで、今の俺が最も待っていた人物がやって来たー!

 神様がいるって信じたくなったぜ。

 

「これは…どうやら、織斑一夏はあの女に絡まれているようです。ユニ先輩」

「そのようだね。どれ…先輩として、なかよし部の部長として、ここは彼を助けてあげよう」

 

 ナイスアシストだラウラ!

 後でアイスを奢ってやろう。

 

「あ? いきなりやって来て、なんなのよアンタ?」

「ふむふむ…状況から察するに、この散らかった水着を彼に片付けさせようとしていた…そんな所かな?」

「そうよ! それなのに…!」

「ほほぅ…」

 

 ユニ先輩が何か考えてる…。

 一体どんな論破を披露してくれるんだろうか?

 

「この手の輩は下手に論破攻撃をしても効果が薄いと学会で証明されると同時に古事記にも記載されている」

 

 学会ともかく、どうして古事記?

 

「ここはもっと『ストレート』に行こうじゃあないか。偶然にも店の中で出会った『あの人』を使って」

「あの人…はっ!? そういうことか!」

 

 え? あの人?

 ラウラはすぐに察したみたいだけど、一体誰を呼ぶ気なんだ?

 こっちとしては、現状がどうにかなれば文句は無いんだけど。

 

「ま、一緒に店を出てきたから、すぐ傍にいるんだけどね。そうだろう…織斑教諭」

「その通りだ」

 

 ここでまさかの千冬姉の登場っ!?

 千冬姉も水着を買いに来てたのかッ!?

 それで店の中でユニ先輩達と出会ったって…すげー偶然だな…。

 

「おい貴様」

「なによ…って! お…織斑千冬ッ!? なんでここにッ!?」

「私がどこにいようと、それは私の勝手だろう」

 

 その通り。

 

「それよりも、随分と私の弟を可愛がってくれたようだな」

「お…弟…? じゃあ…まさかコイツが…!?」

「そうだ。私の弟の織斑一夏だ。お前達の大好きなISを動かせる唯一の男のな」

 

 おーお…見事なまでにビビってやがんの。

 至近距離で千冬姉から睨まれたら…そうなるわな。

 

「それだけに飽き足らず、助けに入った私の大事な教え子にまで絡もうとするとはな。いい度胸だ」

「さ…さっきの幼女が教え子ですってっ!?」

「私が顧問をしている部活の部長だ。貴様のようなISの威を借ることしか能が無い馬鹿とは比較にならないほどに非常に優秀な私の生徒だ」

 

 千冬姉がここまでべた褒めするって事は、やっぱりユニ先輩ってマジで凄い人なんだな…。

 いや、ユニ先輩が凄いのは最初から知ってたけどさ。

 

「こいつ等に絡むと言う事は即ち、IS学園を敵に回したいと受け取っても構わないんだな?」

「ち…違うわ…違います! あの男が貴方の弟とは知らなかったもので…」

「そんな言い訳が通用すると思っているのか?」

 

 そーだそーだ! そのとーり!

 いいぞ千冬姉! もっと言ってやれー!

 

「敵に回すのはIS学園だけじゃないですよー」

 

 え? この声は…もしかしてッ!?

 

「お前達も来たか…風間、黒江」

「うーっす。なーんか面倒な事になってるっポイ?」

「ですねー。でも大丈夫! ここは私達『なかよし部』にお任せあれ!」

 

 なんだろう…IS学園に入って初めて、本気でなかよし部が輝いて見える…。

 あと、しれっと箒とシャルロットも一緒にいる。

 二人してスゲー満足げにしてるけど。

 

「チエル、さっきの『敵に回すのはIS学園だけじゃない』とはどういう意味なんだ?」

「そのまんまの意味ですよー箒ちゃん。ユニ先輩は企業…風間コーポレーション所属のIS操縦者にして技術主任も兼任している。つまり!」

「ウチら『なかよし部』を敵に回すっつーことは、それ即ち風間コーポレーションをも敵に回すってこと」

「成る程…ということは、あの女の人は今、IS学園と風間コーポレーションの二つを同時に敵に回そうとしてるってことですね!」

 

 うっわー…。

 何気ない日常風景から一変、とんでもないことになってきたぞー。

 IS学園だけでも完全にオーバーキルなのに、それに加えて風間さんの会社まで台頭してくるとか…どう考えても一個人に太刀打ちできる相手じゃない。

 

「もう既に君の顔写真は撮らせて貰った。そこから君の個人情報程度、簡単に手に入れられる。するとどうなると思う?」

「ど…どうなるのよ…」

「端的に換言すれば…君の事を社会的に抹殺できる」

「いぃっ!?」

 

 しゃ…社会的抹殺…。

 ある意味、肉体的に抹殺されるよりも遥かに酷いかもしれない…。

 表社会に居場所がなくなるじゃねぇか…。

 この場合は自業自得だけど。

 

「なんなら、今ここでマイクを使って君の個人情報を大音量で音読しても良いんだぞ? えー…名前は『田中電気鼠(ぴかちゅう)』。おぉ…俗に言うキラキラネームと言う奴だな。始めて見た。で…家族構成は母姉妹の三人。現在は都内のとある企業に所属しながら男達をこき使っている。そんな彼女だが実は幼少期の頃の夢はプリキュアになることで、今でも時折プリキュアの視聴を欠かさず、完全にプリキュアオタクとなり、毎年の夏と冬のコミケでは必ずその年の最新のプリキュアのコスプレをして参加しているという…」

「やぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇぇてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 

 ひ…ヒデェ…見事な暴露ショーになっちまった…。

 これは精神に大ダメージだわ…。

 

「そんなショック受ける必要はないって。ピカチュウ」

「そーですよピカチュウさん! チエルも最近のプリキュアは好きですから!」

「趣味は個人の自由だからな。ピカチュウの事は何も言えんな」

「そうだね。プライベートで何をしても、それはピカチュウさんの自由だもんね」

「その通りだ。だから、そんなに落ち込むもんじゃないぞピカチュウ」

「何度も何度もピカチュウ連呼すんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 女性陣からの怒涛のピカチュウ攻撃…。

 これもう、どっちが被害者か分からなくなってきたな。

 

「何をそんなに大声で叫んでいるのかねピカチュウくん」

「ここに来ている人たちに迷惑だろう。少しは静かにしろ」

「あんたらのせいだろうが――――――っ!!!」

 

 いやいや…元はと言えば…。

 

「何を言っているのかね。元々は君が一夏くんに理不尽な事を言ったのが全ての始まりだろう。その責をボクたちに押し付けようとするのは違うんじゃあないかな?」

「真宮寺の言う通りだ。自業自得、身から出た錆というやつだ。大人しく観念するんだなピカチュウ」

 

 俺が言おうとしたことを全部言われた。

 なんつーか…逆に哀れになってきたな…。

 文字通り、完膚なきまでにボコボコにしやがった…。

 

「このタイミングで、ピカチュウさんが呼んだ警備員さんが来たみたいですよー」

 

 うわぁ…なんつー最悪のタイミング…。

 っていうか、まだピカチュウって呼んでるのかよ。

 

「えっとー…これは一体…どうなってるんですかねー…?」

 

 …うん。そりゃ警備員さんも困惑するわ。

 最初こそは理不尽な物言いをする女に絡まれただけだったけど、最終的には完全に言葉の暴力もといリンチに発展してたからな。

 あの女…ピカチュウは地面に座り込んで何も言わないまま落ち込んでるし。

 

「私から事情を説明しよう」

「お願いします」

 

 千冬姉からの説明…大丈夫なんだろうか。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「…と言う訳だ」

「成る程。良く分かりました」

 

 分かったのかよ。

 最近の警備員はスゲーな。

 

「では、この女性はこちらで預かります。皆さんは引き続き、お買い物を楽しんでください」

 

 軽く会釈をした後に、警備員のお兄さんは座りこんだ女こと田中ピカチュウを連れて行った。

 

「これで一件落着だな」

「そうッスね。にしても災難だったね一夏」

「ま、これも一種の人生経験だと割り切って、早く忘れちゃいましょう」

「う…うん…そうだな…」

 

 最後は完全に被害者と加害者が逆転してたけどな。

 あそこまで哀れな逆転劇も珍しいよ。

 

「流石はなかよし部と織斑教官だ…。見事に突然のトラブルを解決してみせた…」

 

 あぁ…ラウラがなかよし部の皆に向けて憧れの視線を送ってる…。

 また一人、なかよし部の信者が増えてしまった。

 

「織斑せんせー! 私も買い物終わりましたー! って…あれ? なかよし部の皆さんに篠ノ之さんにデュノアさんとボーデヴィッヒさん? それに織斑君も?」

 

 …全部終わったタイミングでやって来るのかよ…山田先生…。

 いや…千冬姉が来ている時点でなんとなく察してたけどさ…。

 

「え…えーっと…? 何かあったん…ですか…ね…?」

 

 目を点にしながら首を傾げる山田先生を横目に、俺はずっと手に持っていた空き缶をゴミ箱に捨てた。

 はぁ…なんか無駄にドッと疲れた気がする…。

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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