IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部は臨海学校に行きます

 そして、遂にやって来た臨海学校当日。

 俺たち一年生は、クラスごとにバスに乗ってから一路、宿泊予定の旅館へと向かう事に。

 生徒会の代理として同行したなかよし部のユニ先輩とクロエ先輩は、担任である千冬姉が部の顧問をしていると言う理由で、一組のバスに一緒に乗っていくことに。

 

「流石は観光バス。二人ぐらい増えても問題無いってか」

 

 年頃の女子高生がバスと言う狭い空間に揃うのだから、そりゃもう教室の時以上に喧騒に包まれていた。

 普段はあまり見ない上級生が二名いると言う事も、皆の興奮を促している要因かもしれない。

 

「クロエ先輩からネタバレしない程度の話は聞いてますけど、どんな旅館なんですかね~?」

「確か『花月荘』という名前だったな。旅館なんだから、温泉ぐらいはあるんじゃないか?」

 

 座る席はくじ引きで決められたんだが、それでも風間さんと箒は見事に隣同士になった。

 完全ランダムな筈のくじ引きでも一緒とか、もうこれ運命で結ばれてるだろ。

 

「あ…あの! わ…私…クロエ先輩のファンで…その…」

「え? ウチのファン? それマ?」

「私も! 私も!」

「私達全員、クロエ先輩のファンクラブに入ってるんです!」

「うぇ~…」

 

 流石はクロエ先輩…あっという間にファンクラブの子達に囲まれてる…。

 当の本人は心の底から嫌そうな顔をしてるけど。

 

「シャルロット~。なんとかしれ~」

「分かりました! ほら皆~。クロエ先輩も困ってるから…ね?」

 

 これまた何故かクロエ先輩の隣の席になったシャルロット。

 もう完全に先輩のマネージャーになってるな。

 ある意味、学園内じゃ有名人なんだけど。

 

「キャ~! 可愛い~!」

「こっちにもお菓子あるよ! 食べる?」

「うむ。基本的にボクは来る者は拒まずだ。喜んでいただこう」

 

 んでもって、ユニ先輩は完全に別の意味で大人気だ。

 なんせ、見た目は完全に幼女だもんな。

 マスコット的な意味で女子の注目を浴びている。

 それに全く動じてないどころか、見事に受け流しているのは流石だ。

 

「先程から随分と皆から菓子を貰っていますね…」

「気にしては負けだぞラウラくん。それに、君も一緒に食べてくれているから、なんとかなっている」

「不覚ながら、私も少しだけ小腹が空いてしまっていたので…」

 

 水着を買いに行った時から、なんかユニ先輩とラウラが凄く仲良くなったような気がする。

 背も近いから話しやすいんだろうか?

 昔、何かのテレビ番組で言ってたけど、背の小さい人は背の高い人から話しかけられる時、見下ろされる事でかなりのプレッシャーを感じているらしい。

 一応、俺は自分なりに気を使っているつもりだが、それでもやっぱりどこかでユニ先輩に無意識の圧力を掛けていたんだろうか。

 恩が沢山ある先輩だしな…今度からマジで気を付けよう。

 

「はぁ…お前達。滅多に会えない上級生が珍しいのは分かるが、余り迷惑を掛けるなよ? そいつらは私が顧問をしている部の部員なんだからな」

「「「「はーい!」」」」

 

 流石の千冬姉も、今日ばかりは少しだけ寛容な様子。

 これも、なかよし部効果なんだろうか。

 なんだかんだ言って、千冬姉ってあの三人の事を認めていると同時に、大切に思っている節があるからな。

 この間なんて、クロエ先輩が少しでも家にお金を入れるためにやっているって言う内職の手伝いをしてたぐらいだし。

 因みに、その時は俺やシャルロット、それから何故か二年生の先輩三人も一緒に手伝ってくれてた。

 その内の一人は、あの例の生徒会長さんだった。

 

「気のせいでしょうか…心なしか、真宮寺さんも黒江さんも楽しそうにしてません?」

「イレギュラーな事態とは言え、再び臨海学校に来れたんだ。顔には出してないが、内心は嬉しいのかもしれんな。特に、真宮寺は三年だ。余裕を持って過ごせるのは一学期だけだろうからな」

「そうですね…三年生はいずれも例外なく、二学期から卒業に向けて途端に忙しくなりますもんね…」

 

 山田先生と千冬姉がなんか話しているけど…そうだったのか。

 いつも通りに見えてたから気が付かなかったけど…そうか…。

 ユニ先輩は今年がマジで最後なんだもんな…。

 そりゃ、少しでも楽しい思い出を作りたいと思うのは当然か。

 これは…一人の後輩として、恩がある人達として、俺も先輩達の事を楽しませる努力をしよう。

 よくよく考えたら、この臨海学校は三人に恩を返せる貴重な機会な気もするしな。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 バスの中でいきなりカラオケ大会が始まって、皆馬鹿みたいに熱唱していたところにいきなりシャルロットからの推薦でクロエ先輩が歌うことになって、想像以上の美声に酔いしれてたら、いつの間にかバスは旅館に到着してた。

 

「はぁ…カラオケなんていつ振りだッつーの…はっずー…」

「いやいやいや!? すっごい上手でしたよッ!?」

「えぇ、実に見事な歌でした。なぁチエル?」

「いやはや…まさか、クロエ先輩がここまで見事なアイドル属性持ちだったとは…恐れ入りましたねー。もういっそのこと、ウチからCDデビューとかしちゃいます?」

「冗談でも止めて。そんなんしたらマジで恥ずか死ぬわ」

 

 俺は良いと思うけどなぁ…クロエ先輩のCD。

 少なくとも、俺だったら絶対に買う。

 

 そんな事を話しながらバスを降り、俺達一年は全員揃って旅館の前に整列する。

 列の前には、女将さんと思わしき女性と、従業員の人達が一緒に並んでいた。

 

「ここが、今日から二泊三日の間、お世話になる旅館『花月荘』だ。分かっているとは思うが、従業員の皆さんの仕事を無駄に増やすような真似だけはしてくれるなよ?」

「「「「「はい!」」」」」

 

 相変わらず返事だけは良い。

 これが本当になってくれたら最高だろうな。

 

「皆さん、初めまして。私がこの花月荘の女将をしております『清州景子』と申します。今年の一年生も元気があっていいですね」

 

 そっか…毎年お世話になってるんなら、当然のように去年や一昨年の一年生の事も知っているのか…。

 

「あら? そこにいるのは、もしかして…花子ちゃんと由仁ちゃん? どうして二人がここに?」

「久し振りだな、清州女将。今回、ボクたちは生徒会の代理としてやって来たのだよ」

「そーゆー訳なんで、今年もまたよろしくおねしゃしやーっす」

「こちらこそよろしくね。ふふ…どうやら、今年はいつも以上に楽しくなりそうね」

 

 マジか…あの二人、女将さんに名前を憶えられてんのかよ…。

 一体何をやったんだ?

 

「黒江は去年、客同士のいざこざを見事に解決し、真宮寺は一昨年、旅館のボイラーの故障を完璧に修理してみせた事がある。その時に二人して旅館から凄く感謝されてな。お蔭でIS学園の対外的な評価も高くなる結果となった。ある意味、今年もまた花月荘を利用できるのも、この二人のお蔭と言っても過言ではない」

「「いやいや」」

 

 なんか二人は謙遜してるけど…それってマジで凄くねーかッ!?

 一年生の頃からやる時はやる人達だったんだな…。

 

「チエルは知ってたのか?」

「いやー…今のは流石に初耳でしたねー。それじゃ、今年はチエルが何かしないといけない番だったりします? 流れ的な意味で」

 

 かもしれないな…。

 臨海学校先でも何かを解決してしまうなかよし部…恐るべし。

 

 その後、前に出てから俺の挨拶をしてから、女将さんから海に行く際の更衣室の場所やらとかを教えて貰ってから、各々に部屋に向かう事になった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 流石は毎年、IS学園が利用する高級旅館…内装からして高級感に溢れてやがる…。

 中学の時に行った修学旅行の時の旅館とは大違いだ。

 

「織斑。お前は今から私について来い」

「え? なんで俺だけ?」

「お前の部屋が私と一緒だからだ」

「一緒ッ!?」

 

 いや…俺的には別に気にしないけどさ…なんで?

 

「お前の為だけの部屋を一つ取るというのは現実的では無くてな。仕方なく、教職員と同じ部屋にしたわけだ」

「あー…なーるほど」

 

 言われてみれば確かにそうだ。

 いくら臨海学校とはいえ、女子と同じ部屋ってのはダメだよな。

 

「ん? チエル? どこに行くんだ?」

「私達なかよし部は、皆とはまた別の部屋にしてあるんですよー」

「一応、ウチらは生徒会の代理って事になってるからね」

「そこら辺の区別はしないといけないのさ」

 

 そうなのかー…。

 向こうも向こうで中々に面倒くさそうだな…。

 

「とは言え、別に遊びに来てはいけないと言う訳ではない。何か用事がある時は遠慮なく訪れたまえ」

「そーゆーこと。だから、そんな露骨に落ち込まない」

「「「はーい…」」」

 

 先輩二人に言われて、拗ねるように返事をする箒とシャルロットとラウラ。

 ラウラも、すっかり皆に馴染んだよなぁ…。

 

「因みに、チエル達のお部屋は、一番奥にありますからねー」

「一番奥だな…分かった。しっかりと覚えた」

 

 物凄く気合が入ってるな…箒。

 寧ろ、分かり易いと思うんだけど。

 

「それじゃあ、荷物を置いてからロビーに集合にしよう。いいかな?」

「「「はい!」」」

 

 この三人も返事だけは良い…。

 いや、ラウラの場合は当然なのか?

 

(そういや、さっきからセシリアと鈴の姿を見て無いような気が…?)

 

 セシリアはバスの中でも静かにしてたし…なんかあったのか?

 話を聞きたいとは思うけど、今は千冬姉に着いて行って部屋の場所を覚えないとだし…。

 

(…後で幾らでも話をする機会はあるか。最悪、学園に戻ってからでもいいし)

 

 って考えてたら、なんかもう千冬姉が先に行き始めてるし!?

 よく見たら、なかよし部の皆も部屋に向かおうとしてるっ!?

 俺だけが置いてきぼりを受けてる…急がねば!

 

「何をしている。とっとと来い」

「わ…分かった」

 

 にしても、バスの中からも見えてたけど…見事に青い海が目の前に広がってるな。

 こうして旅館の近くにあるって事は、きっと新鮮な魚介類とかも取れるんだろうなぁ…。

 色んな魚の刺身に加え、サザエの壺焼きや鍋…考えただけで涎が出そうだ…。

 気が早いかもしれないけど、今から夕飯がマジで楽しみだ…。

 弾にいい土産話が出来そうだな。

 アイツは物凄く羨ましがるだろうけど。

 それは毎度の事だから気にしない。

 今は…とっとと荷物を置いて、水着に着替えてから海を楽しむか!

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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