IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

4 / 40
なかよし部と怪奇現象

 全てが真っ暗な部屋の中、ユニは一人で何かを操作していた。

 

「ここはこうして…こうだ。後は…」

 

 ブツブツと一人で何かを呟き、モニターの灯りだけが彼女の顔を照らし出す。

 彼女の顔には何の感情も浮かんでおらず、淡々と何かを行っている。

 

「これでよし…と。これで完璧だ。全ての準備は整ったな。では…行くとしようか」

 

 そう言うと、ユニは壁に掛けられている制服に着替えてから、静かに部屋から出て行った。

 

「今日こそ…今日こそ絶対に来てくれる気がする…多分。ふえ…ふえ…へぷち! うぅ~…暖かくなってきたとはいえ、まだまだ夜は冷えるな…。風邪をひかないようにしなくては…」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 謎の無人機が乱入をして滅茶苦茶になったクラス対抗戦があった日の夜。

 俺はなんだか目が冴えて眠れずにいた。

 

(全く眠れる気がしない…。寝ようと意識すればするほど、逆に目が覚めていく…。前にも何回かこんな事は経験したことはあるけど、IS学園でなったのは初めてだな…)

 

 今まではちゃんと寝れていたのに…なんでだろうか。

 特に今日は心身ともに本当に疲れ切っているのに…。

 

 あの後、本当に色々とあった。

 俺が保健室に運ばれて、そこで鈴と話をしたり。

 千冬姉に凄い心配を掛けて怒られたり。

 はぁ…疲れすぎて頭の中がゴチャゴチャする…。

 

(なんか喉乾いた…。水でも飲むか…)

 

 隣で寝ている箒を起こさないように注意をしながら静かにベッドから起き上がって、コップに水を込んで一気に飲んだ。

 

「ふぅ……」

 

 なんかスッキリはしたけど…相変わらず眠気は訪れない…。

 このまま朝まで起きている羽目になっちまうんだろうか…ん?

 

 ふと、何気なく少しだけカーテンを開いて窓の外を見てみた。

 本当に意味なんて無い。なんとなくやった事なんだけど…そこで俺は衝撃的な物を見た。

 

「…………え?」

 

 IS学園の制服を着た三人の女の子が、互いに手を繋いで何故かその場をずっとグルグルと回転していたのだ。

 余りにも不気味過ぎる光景に、思わず目を擦ってもう一回見てみた。

 

「…気のせいじゃなかった…」

 

 これはあれだろ…常識的に考えて、見つけちまった以上は絶対に注意しないといけないだろ。

 体を動かす事で眠気を誘う事が出来るかもと思い、俺はジャージに着替え、勇気を振り絞って夜の外へと足を踏み入れることにした。

 

 それが、俺と『なかよし部』との初めての出会いになるとも知らずに。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「……と言う訳で」

 

 気が付けば、俺はいつの間にか校舎内のとある部屋に来ていた。

 外でグルグルしていた三人と一緒に。

 

「UFOを呼んでいたつもりが、うっかりIS学園唯一の男子生徒である織斑一夏君を呼んでしまった」

 

 UFO呼んでたのかよ…あれ。

 つーか、三人共めっちゃ落ち込んでるし…。

 俺、そんなに悪いことしたか?

 

「まぁ、いいんじゃないんですかぁ? 宇宙人も学園唯一の男子も似たようなもんですし~」

「何言ってんの? 全く似てねぇからね?」

 

 俺と宇宙人を一緒にされても普通に困るんですけど?

 

「そっか…んじゃ、寧ろこれって成功じゃね? つか大成功じゃね?」

「普通に大失敗だよ!!」

 

 この結果を成功と言えるってどんだけだよっ!?

 

「あのさ…君って確か、俺と同じクラスの風間さん…だよな?」

「あっれ~? もしかして~…織斑君ってチエルの事を知ってる感じですかぁ~?」

「まぁ…一応はクラスメイトだし? 名前と顔ぐらいは覚えようと思って…」

 

 仲良くなれるかは別として、それぐらいは最低限の礼儀だよな。

 

「きゃ~! 聞きましたクロエ先輩! 彼ってばチエルの事をナンパしようとしてますよぉ~!」

「どこをどう聞いたらそうなるっ!?」

「でもごめんなさい。ぶっちゃけ織斑君にはそこまで興味が無いって言うか、あそこまで女子を侍られてハーレム系ラノベ主人公ムーブやってる子って普通に見てて虫唾が走るって言うか。チエル自身あんまし異性には興味が無いって言うか。寧ろ、付き合うならクロエ先輩のようなカッコいいと可愛いが同居している系女子が最高って感じですしぃ~」

「まだ何もしてないのに振られたんですけどッ!?」

 

 しかも、すっげー怒涛の勢いで捲し立てられた!?

 どんだけ風間さんに嫌われてるんだ俺っ!?

 

「いやいや…どーしてそこでウチの名前が出てくるし」

「え? 割とマジでクロエ先輩、チエルの理想の彼氏&彼女像なんですけど」

「それを言われたウチはどう反応すればいいのよ…」

「笑えばいいと思いますよ?」

「ウチは一体どこのEVAパイロットだ」

 

 仲…いいんだな…この三人…。

 見た所、他の二人は上級生みたいだけど。

 

「しかし、こうして織斑一夏君と会うのは初めてか。一応、自己紹介ぐらいはしておこうじゃあないか」

 

 そーゆーところはしっかりしてるんだな…行動はあれだけど。

 

「ボクは、このなかよし部の部長であり三年生の真行寺由仁だ。気楽に『ユニちゃん先輩』とでも呼んでくれたまえ」

「はぁ……」

 

 見た目は完全に小学生なのに高校三年生…。

 飛び級…とかじゃないよな?

 

「んで、ウチは二年の黒江花子。名前で呼んだら去勢する。OK?」

「は…はい…」

 

 別に花子って名前も良いと思うんだけどな…。

 何がそんなに気に食わないんだ?

 

「チエル君の事は知っているようなので、自己紹介はこれで終了。では、今から一夏君の為にも改めて説明をしようと思う。良く聞いてくれたまえ」

 

 ユニ先輩…? が仕切り始めた事で急に緊張感が生まれてきた。

 自然と背筋も伸びちまうな…。

 

「こんな遅い時間に皆を呼びだしたのは他でもない。今回は様々なミステリーについて検証していこうと思う」

 

 ミ…ミステリー…か…。

 

「さっきのUFOもそうだが、実はこのIS学園も他の学校と同様に数多くの怪奇現象の目撃談などが有ったりする」

 

 至る所がハイテクの塊でも、そこら辺は普通の学校と同じって事か…。

 

「あの…ユニ先輩…」

「何かね? 一夏くん」

「俺…怖い話系とか、あんまし得意じゃないんスけど…」

 

 これで帰して貰えるかな…?

 

「ダイジョーブですよ織斑くん! クロエ先輩も苦手ですから!」

「そこ。余計なこと言うなし」

 

 だからなんだ。

 あぁ…帰して貰えそうにないわ…これ…。

 

「それではこれより、検証の為に校舎内の探索を開始する。無論、学園側の許可は取ってあるし、念の為に警報などのセキュリティなどに関しては、既にこちらで手を回してあるので安心してくれ」

 

 そっちよりも法とかに触れてないかの方が心配なんだけど…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ってことで俺達がやって来たのは生物室。

 まだ一年だから、ここに来るのは初めてだな…。

 出来れば太陽が出ている時間帯に来たかった…。

 

「噂によると、この生物室の標本が夜な夜な動き出し、校内を縦横無尽に歩き回っているらしい。実際に目撃者も多数存在している」

 

 標本って…あそこにある人体の骨格標本ことか…?

 確かにあれが夜中に動き回ってたら、かなり怖い光景だろうな…。

 

「チエルが聞いた話だと、物凄いスピードで走り回ってたらしいですよ?」

「えぇっ!?」

「ウチは、あいつが落ちているパンを食ってるのを見た事があるんだけど」

「ええぇっ!?」

 

 こっちの想像以上に色んな事をやってんだなオイ!

 なんかマジで怖くなってきたぞ!

 

「謎は深まる一方だな…この害虫標本の謎は」

 

 って、骨格標本じゃなくて害虫の標本の方かよ!?

 生物室で標本って聞いたら、真っ先にあっちを想像しちまうじゃねぇか!!

 

「ゴキブリなんて、探せばそこら辺に幾らでもいるでしょうが!!」

「気を取り直して、今度は音楽室へと移動だ」

 

 普通に無視しやがった!!

 なんなんだ…この集団は…はぁ…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 ってことでやって来ました音楽室。

 今も昔も、授業以外じゃ絶対に縁が無い場所だな…。

 

「誰もいない筈の夜の学園の音楽室…そこからなぜかピアノの音が聞こえてくると言う…」

 

 ユニ先輩も説明の仕方に独特のイントネーションを加え始めたな。

 この人、何気に楽しんでないか?

 

「え? ちょ…なんかマジでピアノの音が聞こえてきたんスけど…」

「本当だな」

 

 じょ…冗談だろ…?

 死んだ霊がピアノを弾いてるとでも言うのかよ…!

 

「こ…こんなの泥棒に決まってるし…それしか有り得ないし…。別に怖がってなんかねーし…」

「いや…ある意味、そっちの方が問題だと思うんスけど…」

 

 あと、自分で墓穴を掘るのは止めた方が良いですよ。

 普通に可哀想になってくるから。

 

「じゃ…じゃあ…俺が確かめてみますよ…」

「「頼んだ」」

 

 本当に泥棒とかだったりしたら大変だしな…。

 ここは男の俺がなんとかしねーと!

 

「だ…誰かいるのかッ!? …って!?」

 

 お…お前はッ!?

 

「ふんふんふ~ん♪」

 

 なんか普通に風間さんが鼻歌交じりにピアノ弾いてるんですけどッ!?

 しかも壁には『コンクールまであと五日』って書かれた紙が貼ってあるし!

 色んな意味で大問題だろーが!!

 

「もしかして風間さん、いっつも夜の学校に忍び込んでたのかよっ!?」

「ふぅ…まさか、この天才美少女チエルちゃんの秘密特訓がバレてしまうとは…意外とやりますね織斑君」

「夜に堂々と学校のピアノを弾くなっ!!」

 

 秘密特訓って何だ!?

 こんなの普通に不法侵入だろ!!

 いや…今の俺達も同じようなもんだけどさ…。

 

「懲りずに今度は職員室前の階段へと移動するぞ」

「切り替え早いな! この先輩!」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 職員室前の階段…ここ自体は俺も何回も来た事がある。

 そこまで珍しい場所じゃない…筈だ。

 

「IS学園は人工島の上に建てられたとされているが、だからと言って最初から何も無かったと言う訳ではない」

「そうなんスか?」

「あぁ。ボクの調査によると、ここにはちゃんと土地が存在していたらしいが、色んな災害などによって海に沈んでしまい、その上にこの人工島が作り出されたとされている」

 

 マジか…土地が海に沈む程の災害って、どんな規模だったんだよ…。

 やっぱり地震とかかな…。

 

「その昔あった土地には刑務所があったらしく、この階段がある場所が丁度、絞首刑台があった場所であったとされている」

「こ…絞首刑台…」

 

 それってあれだよな…首吊りの死刑の奴…。

 ん? なんか急にじゃんけんが始まったんだけど?

 俺もやるの? 別にいいけど…。

 

「そのせいか、夜に目を瞑って、この階段を上ると…本来は12段の筈が…何故か刑台への階段と同じ13段へと変化しているという」

 

 じゃーんけーんぽん。

 あ…他3人がグーで、俺だけがチョキで負けちまった。

 

「この実験をするあたり、織斑一夏くんが階段を上る役を快く引き受けてくれた」

 

 そーゆー意味のじゃんけんかよ…。

 完全に嵌められた…。

 しゃーない…とっとと終わらせるか。

 

「んじゃ行きますよー? よーい…スタート!」

 

 1…2…3…4…5…6…7…8…9…10…。

 

「11…12……13!?」

 

 は…は? ちょ…マジで?

 今回のは本当の心霊現象なのかっ!?

 

「う…嘘だろ…13段あるぞ!!」

 

 こんなのってあるのかよ…信じられねェ…!

 

「そりゃそうだ。だって、そこの階段は去年の改装工事の際に12段から13段になっているからな」

「意味のない事をやらせんじゃねぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 完全に無駄骨だったじゃねぇーか!!

 俺、途中まで本当にドキドキしてたんだぞ!!

 

「つーか、これの一体どこがミステリーなんだよっ!?」

「『幽霊の正体見たり枯れ尾花』ってやつですよ」

「なんかカッコいい返しをされた!?」

 

 なんかチャラそうにしてるのに、もしかして風間さんって本当はめっちゃ頭が良い!?

 いや…IS学園にいる時点で相当に頭は良いんだろうけど…。

 

「べ…べべべべべべべべ別にウチは全然怖くにゃんかにゃいし……怖くなんかないもん……ぐすん…」

「ク…クロエ先輩ッ!?」

 

 この中で一番精神的に強そうな人が泣き始めたんだけどッ!?

 ちょ…これどーすんだよっ!?

 けど…ちょっとだけめっちゃ可愛いって思ってしまった…。

 

「諸君、気持ちは分かるが落ち着きたまえ」

 

 見た目に反して、ユニ先輩が一番冷静だな…。

 流石は三年生…なのか?

 

「これで一通り見てきたが…いよいよ次が最後となる」

 

 やっとかよ…マジでドッと疲れた…。

 これならちゃんと眠れる気がするわ…。

 

「これから諸君は想像を絶するような光景を目の当たりにすると思うが…覚悟をしておくように。ショックの余り心臓が止まった…なんて事だけは勘弁だぞ」

 

 あのユニ先輩がここまで念を押すって事は…今度こそ本当の本当にマジでヤバいのが来るって事なのか…!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 そうして俺達がユニ先輩から案内された場所…そこはIS学園の美術室だった。

 

「この場所に…最後のミステリーが存在している」

 

 唾を飲みながら中へと入ると、そこには初老の男性をモデルにした胸像が置かれてあった。

 

「パイセン。この胸像のモデルって、もしかして『轡木さん』じゃね?」

「その通りだ」

「轡木さん?」

 

 誰だそれ? 初めて聞く名前だぞ?

 

「轡木十蔵さんっつって、IS学園の用務員をやってるおじさんなのヨ。めっちゃ気さくで優しい人で、よくウチら生徒の悩み相談とかも聞いてくれたりしてくれんの。地味にスゲー人気あんだよ。確か…奥さんが学園長してるんじゃなかったっけ?」

「そーそー! チエル、前に轡木さんからお菓子貰いましたよ!」

「ボクもよくお世話になっているよ。彼が淹れてくれた緑茶とこしあんのお饅頭のコンビネーションには未だに勝てない…」

 

 そんな人がいただなんて知らなかった…。

 轡木十蔵さん…か。覚えておこう。

 そんで、機会があれば俺も悩み相談して貰おう。

 

「これは…とある人物の重大な秘密を知ってしまった元美術部員が卒業前に製作したと言われている」

 

 製作者は俺達共通の先輩なのか…。

 一体、この像にどんな秘密が…。

 

「他人に暴露できない苦痛を抱えた状態で生み出されたこの胸像は、夜な夜な奇怪な現象を起こしているらしい」

 

 奇怪な現象…! 冷や汗が出てきた…ゴクリ…!

 

「見るがいい…これが最後のミステリー…名付けて『光る胸像』だ!!」

 

 そう叫ぶと、ユニ先輩は徐に胸像の頭を掴み、そして……持ち上げた。

 

「えぇぇ~……」

 

 なんか胸像の髪の部分だけが取れて光ってるんですけどー…。

 すっごい眩しいんですけどー。

 

「この光こそが…チエル達が探し求めたラストミステリーなんですね!」

 

 だとしたら間違いなく最悪だよ。

 

「なんつーか…神々しさすら感じられるんだけど。つーことで拝んでおこ。御開帳ってことで」

「拝むな!! これは仏像の類じゃねぇから!!」

 

 結局…最後の最後までこうなのかよ…。

 無駄に緊張して損した…。

 

「あの…まさか『とある人物の秘密』ってのは…」

「ご覧の通り。轡木さんのカツラ着用だ」

 

 だろうな。一発で分かるわ。

 

「因みに、この胸像は髪の部分を取ると頭部が発光するような仕組みになっている」

「もう奇怪でもなんでもねェ!!」

 

 一体どこの誰が、こんな変な胸像を作りやがったんだよ!!

 マジで顔を見てみたいわ!!

 

「ということで、今回の活動はこれまで。解散!」

 

 や…やっと終わった…。

 もうほんとーに疲れた…。

 これなら絶対にグッスリと寝れるわ…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 次の日。

 俺は放課後に不意になかよし部の事が気になって、彼女達の部室前までやって来て、窓から中の様子を見てみた。

 

「本日の議題は『青春』だ。ということで、これから皆で夕日の沈む河原に移動する」

 

 また変な事をやってる…。

 冷静に考えれば、この活動こそがIS学園の最大のミステリーなんじゃなかろうか…。

 

 ん? よく見たら、中に千冬姉がいないか?

 もしかして…千冬姉が顧問なのかっ!?

 

 …今度、なんか作って持って行ってやろう…。

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。