IS学園なかよし部 活動記録   作:とんこつラーメン

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なかよし部のテレビ出演

 それは、放課後にいきなり織斑先生に言われたことが切っ掛けでした。

 

「済まないが山田先生。一つ頼まれごとをしてくれないだろうか」

「どうしたんですか?」

「実はな、今からISの実習の補習をしなくてはいけなくなったんだ。だから、代わりに私が顧問をしている部に行ってくれないか?」

「織斑先生が顧問をしている部って確か…『なかよし部』…でしたよね?」

「そうだ」

 

 なかよし部についての噂は私も色々と聞いていた。

 各学年の生徒が一人ずつ所属していて、部長は学園で最も秀才とされている真行寺由仁さんだとか。

 あと、女子生徒に莫大な人気を持つ黒江さんと、私が副担任をしている一年一組の風間さんもいるとか。

 色んな意味でぶっ飛んでいる部活らしいけど…どういう意味なんだろう?

 

「頼んだ身でこんな事を言うのもなんだが…気を付けろよ」

「はへ?」

「まぁ…その…なんだ。上手く切り抜けられたら、今夜は酒でも御馳走してやろう。頑張ってくれ」

「はぁ…ありがとうございます…」

 

 気を付けるとは、一体どういう意味なんだろうか?

 この時はまだ、織斑先生の言葉が良く理解出来てませんでした。

 けれど、この後に私は知ることになるのです。

 『なかよし部』が一体どんな部活なのか。

 どうして彼女達が学内でこんなにも有名になっているのかを。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

『さて、お次は『青春! 部活動!』のコーナー』

 

 とあるテレビスタジオにて、初老の男性のニュースキャスターが番組を次のコーナーに移行させようとしていた。

 

『お便りを頂いた高校の部活動を紹介すると言うこのコーナー。今日は一体どんな活動をしている部に出会えるのでしょうか。リポーターの佐々木さーん』

 

 その言葉をきっかけにして、場面が中継現場へと切り替わる。

 現場では、若い女性のレポーターがマイク片手にどこかの学校の校舎内へと入って来ていた。

 

「はーい。現場の佐々木咲恋でーす。私が今、どこにいるか分かりますかー? 実はですねー…なんと! あの天下のIS学園に特別にお邪魔させて貰ってまーす!」

 

 本来、IS学園にテレビが入ってくることなど非常に稀で、それらは全て生徒達を守るためにやっている事で、こうしてメディアが入ってくることなど本来ならば絶対に有り得ない事だった。

 

「ちゃーんと学園側の許可は貰って来ています。いやー…こんな事ってあるんですねー。非常にワクワクしながら校舎内を歩いています。勿論、行ける場所は限定されてるんですけどねー」

 

 現在、彼女達が歩いているのは各教室が入っている校舎の中。

 特別な施設などが無いこの場所ならば一応、問題無く取材をしてもいいと言われたのだ。

 

「えー…お便りをくれた部長の真行寺さんによると、部員が3名で顧問が1名の小さな部活で、部員はそれぞれ学年がバラバラなんだそうです。中々に珍しい部員構成ですよね。あ…どうやら、この教室みたいですね。では、お邪魔してみましょうか。一体、どんな部活動をしているのでしょう。こんにちわー! 元気に部活動をしてるかな~?」

 

 レポーターが教室の扉に手を掛け、挨拶をしながら開ける。

 すると、その中で行われていた事は…。

 

「…と言えば何か」

 

 ピンポーン!

 

「はい。クロエ君」

「天使たちの宴?」

「正解」

 

 ピンポンピンポーン!

 

「…………」

 

 思わず、テレビクルー全員が無言で固まってしまった。

 そこにすかさず、臨時の顧問としてやって来ていた山田先生が全力でツッコむ。

 

「どんな問題ですか―――――――――!!!」

(何…この部活動…)

 

 それはこちらが聞きたい。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 織斑先生の代理としてなかよし部の顧問をしてますけど…なんなんでしょうか…これは…。

 

 なにやら会議のようなものが始まったかと思いきや、いきなりクイズ番組みたいなセットが何処からか出てきて用意されて、気が付いた時にはいつの間にか教室内で真行寺さんが司会を務める本格的なクイズ番組がスタートしていた。

 

 因みに、今日の議題は『テレビ番組』らしいのだけれど、その理由は詳しくは教えて貰えなかった。

 『後で分かる』らしいけど……。

 

「あのー…もしかして顧問の先生ですか?」

「え? いや…私は本来の顧問の先生が忙しいので、その代理なんですけど…って、テレビ番組!? どうしてこのIS学園にッ!?」

 

 一体いつの間にこの教室にっ!?

 IS学園は基本的にテレビの取材などは完全にNGの筈なのに…。

 

「ボクが呼んだ。ちゃんと学園長の許可は得ている」

「番組にハガキを貰いましたー…」

 

 そ…そうだったんですね…。

 真行寺さんがハガキを出して呼んで、許可もあると…。

 どうやって許可を得たんですか?

 普通なら厳しく怒られそうなのに…。

 

「学校制度に数多くの問題がある昨今、教師と生徒が同じ目標へと向かって一緒に進んでいく部活動の素晴らしさを番組内で紹介するという企画に非常に感銘を受けたんだ」

「真行寺さん…」

 

 そう…ですよね。

 真行寺さんは三年生。

 こうして皆と一緒に学園生活を過ごせるのも今年で最後になるんですから、少しでも多くの思い出を残そうとして…。

 

「…というのはあくまで表向きで、本当はメディアを利用して我々『なかよし部』の活動を全国にまで広めることが真の目的だ」

「やめなさい。貴女は悪の伝道師ですか」

 

 一気に感動が薄れましたよ。

 さっきまでの空気を返してください。

 

「え…えーと…そこの女の子は部員かな?」

「陸上部と兼任してるけど、まぁ…そう呼んで貰っていいよ」

「兼任…」

 

 黒江さん…どうして陸上部の活動よりも、なかよし部の活動を優先してるんですか…?

 

「こ…この部は普段どんな活動をしているのか教えてくれる?」

「活動ねェ…いつも一つの議題について皆で色々と話し合ったりしてるんだけど…そーだなー…」

 

 お願いしますから…変な事だけは言わないでくださいね…黒江さん…!

 

「要するに、作者の気紛れで不定期に書かれたり、書かれなかったりする不愉快な二次小説だよ」

「何の話かは知らないけど、それについては触れてあげないでください、黒江さん」

 

 それは完全な禁句ですから…言わないであげてください…。

 

「そ…それにしても凄いセットね! もしかしてこれ、クイズ番組の再現とかだったりする?」

 

 あ。遂にレポーターの方が思い切り話を逸らした。

 気持ちは分かりますけどね。

 私だって同じ立場なら同じことをしますよ。

 

「かなり本格的ね。これって皆で作ったりしてるのかしら?」

「そうしたいのは山々だが、ボクらの力ではどうしても限界がある。なので、こういう作業は主に専門業者の世話になることが多い。餅は餅屋…と言うことだ」

「えっ!? それって、かなりお金が掛かったりするんじゃないのッ!?」

「確かにそうだな。まだ我々は碌に部費も貰っていないので…」

 

 なんだろう…物凄く嫌な予感がする…。

 

「諸経費などは全て本来の顧問である織斑教諭の預金から賄われている」

「織斑先生―――――――――!?」

 

 顧問の貯金を部費代わりに無断拝借するする部活だなんて前代未聞過ぎますよ――――――!!!

 一体何を考えてるんですか――――――――――――!!!

 

「そういえば、織斑先生がこの間、愚痴のように『最近になって急いで口座を替えた』って言ってましたけど…」

「既に調査済みだ」

 

 何をどうやって調査したんですか――――――――!?

 はぁ…はぁ…後でちゃんと織斑先生に報告しないと…。

 

「え…え―――…凄く和気あいあいとした雰囲気の中…」

 

 レポーターさん、なんか無理矢理にでもコーナーを締めようとしてません?

 なんか後ろの方でスタッフさんがスケッチブックに『もう部員には絡まないで』って書いてるし。

 まさかとは思うけど…私も同類に見られている…なんて事は無いですよね?

 

「ごめんなさぁ~い! 遅くなっちゃいましたぁ~! てへ☆」

 

 あ…三人目の部員にして、私の教え子の一人でもある風間さんがやって来た。

 そう言えば彼女、今日は日直でしたね。

 

「14分21秒の遅刻だぞ。チエルくん」

「すいませぇ~ん! チエル、今日は日直で教室の戸締りとかをしてたんですよぉ~……あれ?」

 

 か…風間さん? 急にレポーターさん達を見てどうしたんですか?

 向こうもいきなり凝視されてキョトンとしてるし…。

 

「…………」

「…?」

 

 なんだろう…この空気…嵐の前の静けさと言うか…台風直前の独特の天気みたいな感じは…。

 

「侵入者発見っ!!!」

「きゃ――――――――――――っ!!??」

「ちょ…いきなりどうしたんですか風間さん!? いつもと明らかに様子が違いますよッ!?」

 

 突然、風間さんが床に向かって拳を突き立てて、そのまま床を粉々に破壊したッ!?

 織斑先生以外で、こんな芸当が出来る人なんて初めて見たんですけどッ!?

 

 いや…違う。そうじゃない。

 

 普通の女の子はいきなり叫びながら床を殴ったりしませんから!!

 

「あ。普通のツッコミ目線に戻った」

「部活をやっていると、時折その感覚を忘れそうになるから怖い」

 

 なんか黒江さんと真行寺さんに心を読まれたんですけどッ!?

 この子達も織斑先生みたいに読唇術を身に付けてるんですかッ!?

 

「侵入者は全て敵とみなす…!」

「なんかキャラも変わってるっ!?」

 

 殺意の波動とかオロチの血とかに目覚めた感じになってるんですがッ!?

 本当にどうしちゃったんですか風間さんッ!?

 

「チエルくんは部活中に見慣れない人間を見つけると、極稀にいきなり敵として攻撃を仕掛ける時があるんだ」

「どうしてですかっ!? そんなの初耳なんですけどぉ!?」

 

 まさか…あのいつも明るい風間さんに、こんな一面が隠されていただなんて…。

 副担任としてかなりショックです…。

 

 ピンポーン

 

「発作?」

「クイズじゃありませんから!!」

 

 何をしれっと答えてるんですか黒江さん!!

 あなたもこんなキャラでしたっけっ!?

 

「以上、この二次小説の説明と登場人物の紹介は概ね完了。初めての読者でも容易に理解出来たに違いない」

 

 あれ? なんか急に終わりの雰囲気を醸し出してる?

 まだ何も終わって…いや、そもそも終わりってどこなんですか―――!?

 

「本日の活動はこれにて終了。スタジオさんにお返ししよう」

 

 本当に終わった――――!?

 これでいいんですか――――!?

 

 はぁ…織斑先生が『気を付けろ』と言った意味がようやく理解出来た気がする…。

 今夜は愚痴に付き合って貰おう…うん…。

 

 余談ですけど、その後に行われた番組会議の結果、『青春! 部活動!』のコーナーは廃止されたそうです。

 

 一つのコーナーを一発で終わらせちゃった…どうしよう…。

 

 

 

 

 

 

 

なかよし部で誰が好き?

  • 可愛いクロエちゃん!
  • 賢いユニちゃん!
  • 楽しいチエルちゃん!
  • 皆大好き!
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